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腹筋を使って、数mmの壁を越えていこう

 声楽のレッスンの続きです。シューベルトの「美しき水車小屋の娘」の 6番「Der Neugierige/知りたがる男」です。
 低音の歌い方に注意です。別に男声なので、低い声が出ないわけではないのですが、ついついしっかり出そうと思って、声を深く掘りがちです。そうなってしまうと、声の響きが思いっきり低くなってしまいます。私はテノールですから、声の響きが低くなるのは禁忌ですから、声を掘ってはいけません。むしろ、弱音気味でも、声が薄くても、浅い声でも、良いのです。もっと極端に言っちゃえば、声をスカしても良いわけで、昔、キング先生がよく言っていた「低音なんて捨てればいいんだよ」って感じで歌うのか、どうも良いみたいです。
 私、根は真面目なんですよ。だから、高音も低音も全部しっかり発声しないといけないと思いがちで、それがあって、低音はついつい深堀りして、高音はついつい張ってしまうわけですが、歌なんて、もっといい加減にチャラけて歌っている方が結果が良いみたいです。低音は、捨てた声で歌えばいいし、高音も気の抜けた声で歌った方が結果は良いのだそうです。問題は、一見、手抜きに見えるような発声を、私自身が良しとしていない事もあって、なかなか実行できない事です。なんかそういうの、罪悪感が生じてしまうのですよね。
 でも、低音は捨て気味で歌わないと…。だって私は低音歌手ではないので、低音の発声に頑張ってはいけないのです。
 そして理想を言えば、フレーズの歌い出しの時から、そのフレーズに含まれる最高音と最低音の両方に対応できる幅広い音色で歌えるのが良いのです。うむ、難しい…ってか、今の私には無茶振りに近い要求だと思いますが?
 とにかく、小川が流れていくようなレガートで歌っていく事が大切です。
 次は、ヴェルディ作曲「リゴレット」の「La donna e mobile/女心の歌」です。
 まずは以前も注意された“si”の発音について。これを「シ」ではなく「スィ」って感じに発音しないといけません。厳密には「スィ」ではなく“s-i”なんですが…。
 どうも私は日本人であるためか、ついつい発声が日本語…つまりカナで発声しがちなのですが、ヨーロッパ語にはカナがなくて、あるのは子音と母音の組み合わせなのです。カナは子音と母音が限りなく同時に、ほぼ1つの音として発音されるわけだけれど、ヨーロッパ語の子音と母音の組み合わせは、あくまでも子音と母音の組み合わせであって、どこまでも子音と母音の2つの音が近いタイミンクで発声されるだけであって、決して同時に発声されるわけでないのです。
 ほんの小さな、意識に乗るか乗らないか程度の違いだけれど、この違いが、聞いていると大きな違和感に繋がるわけで…そういう細かい部分は大切しないといけません。
 表現記号について。fとあれば、強く演奏するわけだけれど、強く演奏するというのは、圧の問題だけでなく、時間の要素もあって、fの音は、少しゆっくりめ発声していく事が大切。同時に、leggero とあれば、軽く歌うだけでなく素早く歌っていく事も大切。そういうところにも気を使って歌っていきたいです。
 この曲の(ヴェルディが書いた)最高音は高いA♯だけれど、今のところ、数mm低いのだそうです。もっともっと腹筋を使って発声して欲しいと言われました。頑張りますよ。この高いA♯がちゃんと出せないと、カデンツァ(最高音はB)にチャレンジできませんからね。

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コメント

  1. 如月青 より:

    >Neurigierige
    個人的にですが、この曲は低音というほどの低音はないような気がします。低めの音は多少浮いても、いわゆる「チェンジの上」だけで歌えるのが気に入ってます。
    「水車小屋」で低音が多いのは2、10、11、14ですが、2と11はノリで、10はバラード調で流せるかな?14はもう、手も足も出ません...
    「支え」という点では、低音を滑らかにきちんと響かせるほうが、高音より難しい。高音は音自体が支えていないと出ないので、自分できちんと支えているか分かりますが、低音は努力していなくても音は出るので、喉で歌っていても自分では分からないのが難しいところ。
    私が今習っている先生によると、かなり高音で鍛えて、支える感覚が身体にしみ込まないと、低音は支えられないのだそうです。
    ↑のような意味もあって、「La donna e mobile/女心の歌」のB、期待してます。

  2. すとん より:

    如月青さん
     私は男性ですから、低い音は五線譜の下にはみ出るAくらいまでは実用範囲に入ってますし、今までもそれくらいまでの低音を使った歌は歌ってきました。ただ、声がテノールですから、五線譜の下にひっかかるEくらいまでならともかく、それより低くなると、ポジションを低めに移動したり、少し声を張ったり、掘ったりしないと、音量が稼げなくなります。
     今までは、そんな感じで頑張っていたし、つい頑張ってしまう私なのですが、そういう発声方法は良い発声ではないので、今は低音の発声もちょくちょく直されているわけです。
     そもそも、Der Neugierige に限らず、中声用の楽譜を使っているため、どの曲もどの曲も私には低くて歌いづらいのです(いや、マジほんと)。声の事だけ考えたら、原調で歌いたいのですが、Y先生にはY先生なりの教育方針があって、今は声に合わない中声用の楽譜で歌っているわけです。
     おかげさまで、低音の発声の勉強をせざるをえないわけなのです。それにしても、低音の発声もきちんとしないといけないとなると…案外難しいし、体力がいります。おそらく、あまり意識していないのですが、たくさん支えて歌わないと低音もダメなんだろうと思います。
    >「La donna e mobile/女心の歌」のB、期待してます。
     自宅では練習していますが、レッスンではなかなか…ね。と言うのも、只今高いA♯の発声と戦っているからです。A♯をロングトーンで安定して出せないと、Bを人前で歌うわけにはいかないだろうと思っているからです。先は長いのよ。

  3. 如月青 より:

    >中声用の楽譜
    「水車小屋」でこれはキツイかもしれません。
    6曲目だと最初の音がeくらいでしょうか。私の持っている
    原調版だと最初がfisでそこからほぼ1オクターヴ上までの
    音域なのでちょうどいいですが、最初が低い曲って、はじめの音を
    しっかり響かせようとするとその後で声が潜って浮き上がれなくなることがあります。
    c2くらいで始まって緩やかに上下するのが一番やりやすいですね。
    私はまだ今の教室では「イタリア古典歌曲」のレベルですが、昔も今も先生の
    指定は「中声用」です。(今の先生は純イタリア系でシューベルトに
    関心がないので、発表会などでは原調を使っても何もいわれませんが)
    初心者で声種不明なので、中庸のところで、というわけではないし、声を
    重めにもっていく(若いときの教室ではそうでしたが)という意図も明確ではないし、
    こちらもそこらへんは意味不明です。

  4. すとん より:

    如月青さん
     そうなんです、キツイんです。でも「水車小屋」を学び始める時に、散々、楽譜については先生と話したので、一応、納得はしているのです。
     高音を封じて、中低音の発声をきちんと学ぶ…という目的があるわけだし、実際、中低音の発声を学んでいるから、まあいいんですけれど、歌いやすい音域では無いのは確かです。
     学習のために学んでいるので、これで良いのです。なので、今のところ「水車小屋」を発表会等の本番に持っていくつもりはないんですね。中声用だと、私の声には合っていませんから。ただ、本番に持っていけない種類の曲を延々と学んでいくのは、精神的にはちょっとクサります。
     学んで益がある曲と、歌って楽しい曲は、別物。と理解した上でレッスン受けています。

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