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メトのライブビューイングで、2019年版の「ワルキューレ」を見てきました

 東京は4月25日から緊急事態宣言に入り、映画館を始めとするエンタメ関連施設がお休みになってしまいましたが、私はその前日の24日に東劇に出かけて、2019年版の“ワーグナー作曲「ワルキューレ」”を見てきました。映画の上映前に「…当劇場は明日から休業します…」ってアナウンスがあったけれど、それはちょっとかわいそうだなって思いました。
 映画館って、感染予防対策をかなりきちんとやっていると思うし、クラスターも出してないし、第一、みんな映画を見ている時は黙っているし、咳だってする人いないし、座席の感覚もそれなりに広めにとって座っているし、別に休業要請されるような施設じゃないと思うけれど…行政から要請が出たら、従うしかないんだろうなあ。ほんと、気の毒。
 同じようなエンタメ関連施設だけれど、寄席は休業しないんだよね。曰く「寄席は社会生活の維持に必要不可欠なもの」だからだそうです。席亭の皆さん、なかなか気合が入ってます。応援したくなります…とは言え、映画館ほど感染予防対策をしっかりやっていると、ちょっと思えないところが残念だけれどね。まあ(リスクは覚悟の上で)行きたい人は行けばいいでしょう。
 いきなりの休業で、お客さんだって可哀想だよ。東劇では、このゴールデンウィークは「ニーベルングの指輪」のチクルスをやる予定でした。1日に2作品ずつ上演して、2日あれば、全4作見ることができるわけで、この土日を使っては全部見ようと思っていた人たちも当然いて、数名のお客さんたちが劇場の係員さんに「今日の続きはいつやる予定ですか?」と詰め寄って尋ねていたもの。
 休業要請はゴールデンウィークの後まで続くわけで、上映スケジュールってのは当分先まで決まっているわけだから、劇場側からは「今のところ(指輪の続きを)やる予定はありません」としか答えられないわけで、うーん、やっぱり可哀想ってか、お気の毒な感じがします。
 たとえライブビューイングとは言え、「ニーベルングの指環」を全作一挙に鑑賞するなんて、人生の中でなかなかできるモンじゃないからね。ほんと、お気の毒。
 それはさておき、私「ワルキューレ」を見てきました。メトの「ワルキューレ」は2011年と今回の2019年と、同じ演出で2度行なわれていて、2011年版を見ていた私は、2019年に再演版が上映された時はパスしていたので、今回始めて、この上映版を見たわけです。ちなみに、2011年版を見た時の感想はこちらです。
 指揮:フィリップ・ジョルダン
 演出:ロベール・ルパージュ
 ブリュンヒルデ:クリスティーン・ガーキー(ソプラノ)
 ジークムント:スチュアート・スケルトン(テノール)
 ジークリンデ:エヴァ=マリア・ヴェストブルック(ソプラノ)
 ヴォータン:グリア・グリムスター(バリトン)
 フンディング:ギュンター・グロイスベック(バス)
 今回の上映版は、なかなか良かったと思います。2011年と同じ演出のはずで、2011年の時は、この演出をプラスに評価していなかった私ですが、なぜか今回はしっくり来てました。この演出もアリだなって思っちゃいました。ううむ、2019年は再演ですから、舞台演出の細かい部分は変更になっているだろうし、ビデオ演出は当然やり直しだろうけれど、それにしても同じ演出なのに、こんなに印象が変わるのは、自分でも不思議でした。なんか、良かったです。
 出演者は、2011年と比べると、有名どころの出演もなく、歌手も全体的に小粒になっている感は否めませんが、スター主義じゃないところが、全体のバランスが整って、却って良かったのかもしれません。
 特筆すべきは(主役である)ブリュンヒルデを演じた、クリスティーン・ガーキーでしょうね。彼女のブリュンヒルデはとても良かったです。歌や演技はもちろん、彼女は(かなり太めではあるものの)美人だし、何と言ってもかわいい容姿なのでブリュンヒルデに実にふさわしかったです。
 ブリュンヒルデって、戦乙女なのだから、結婚前の若い女性であるべきで、それを演じる歌手は、やはり初々しさとか可愛らしさがある方が良いでしょうね。
 でも、一般的にブリュンヒルデを演じるソプラノは、かなりキャリアを積み上げてから演じるので、どうしてもオバサンだし、デブで容姿に恵まれない事が多いです。いやいや、ブリュンヒルデに限らず、ワーグナー作品に出演する歌手って、たいていデブだし、たいてい容姿に恵まれていません。その代わり、声のボリュームとスタミナに特化しているわけです。今回の2019年版も、出演者はみんな太めで容姿には全然恵まれていない歌手が揃っていました。そんな中、太めとは言え、美形のガーキーがブリュンヒルデを演じたわけですからね。感覚的には「掃き溜めに鶴」的な感じに、私は感じたわけです。
 オペラですから、声が一番大切だけれど、映画として上映するなら、やはりある程度の容姿も出演者には求められるわけです。そういう意味では、ワーグナー作品は歌うのが大変すぎて、歌手たちに容姿まで求められないのは理解しますが…それでも無い物ねだりをするのがファンというものです。そういう意味では、今回のガーキーは当たりです。
 もっとも、2011年版もあるわけだから、最初に「ワルキューレ」を見るならば、2011年の方をオススメします。2011年のワルキューレはデボラ・ヴォイトなわけで、可愛らしさではガーキーに叶いませんが、決して醜女ってわけじゃないですからね。それに2011年版では、主役の一人であるジークムントをヨナス・カウフマンが演じてます。やっぱりヒーローはイケメンじゃないとダメでしょ? そういう意味でも、2019年と2011年を比較するなら、2011年かな?って思う私でした。
 ちなみに、問題演出であったルパージュの演出による「ニーベルングの指輪」は、もうメトではやらないそうです。次の新しい演出によるチクルスも、ぜひライブビューイング化して欲しいなあと思っている私でした。次は…伝統的な演出がいいと思ってます。

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