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日本の歌劇団の上演を見て思うこと その2

 裏方関係にいきます。
 衣装は、時折へんてこな衣装を着ている公演もありますが、そういう一部の演目を除けば、日本のオペラは、まあまあ頑張っていると思ってます。特に「蝶々夫人」を演じる時の衣装は、どの団体であっても、世界でもピカイチだと思いますよ。
 むしろ、どうにかならないのかと思うのは、大道具です。日本のオペラは、本当に背景が残念な公演が多いんですよね。最近は、残念すぎる背景の代わりに、プロジェクション・マッピングを使用した公演もありますが、プロジェクション・マッピングを使ったから、大道具はスクリーンだけがあれば良い…とはならないと思います。あちらの歌劇場のように、各幕ごとに大道具を変えよう…とまでは言わないけれど、せめて各幕ごとに舞台の印象は変えようよ。
 演出は…こじらせていると言うか、力が入りすぎている舞台ばかりを見たような気がします。ライトなファンには厳しい演出が多いかな…。もっと素直で分かりやすい舞台を見たいと思いますが、そういうモノは海外のモノをDVDで見るしかないかなって気がします。もっとも、最近は海外でも(特にヨーロッパ関係は)こじらせ演出が増えているような気がします。
 結局、なんでそうなってしまったのか言えば、答えは単純で「誰もオペラを見ないから」ですね。なぜオペラを見に行かないのかと言えば、日本のオペラはエンタメではなく、勉強だからです。要はつまらないんです。つまらないから誰も見に行かなくて、エンタメになりきれないのです。
 エンタメなら好きな方が大勢集まって、お金を払って見に行きますが、勉強なら、それを学んでいる人たちがしぶしぶ行くぐらいですからね。ほぼ身内か関係者ばかり…って感じです。
 で、誰もオペラを見に行かないから、オペラではお金が稼げないわけで、お金が稼げないから、上演機会も少なくなり、少ない上演機会を有効に使うために、あれこれ考えて準備してしまい、その結果、アレコレこじらせてしまうのだろうと思います。
 オペラじゃ金が稼げないのは日本だけの話ではなく、最近では、ヨーロッパなんかもそんな状況のようです。だからヨーロッパの歌劇場も演出をこじらせてしまうわけだ。だから、日本が…というよりも、オペラ自体が金にならないコンテンツ…つまりオワコンなのかもしれません。
 オペラがオワコンになってしまった理由の一つに、オペラって新作を作りづらいんですよね。新作の音楽劇を作れば、それはオペラではなくミュージカルになってしまうのが現代です。やはり新作を作れないコンテンツは厳しいと思います。歌舞伎もオペラ同様に古い芸能ですが、常に新作を作っていますので、未だにオワコンにならずに頑張れているのだろうと思います。最近見た、ナウシカ歌舞伎なんて、本当にすごかったもの!
 あと、オペラって演じる側が(無意識だろうけれど)客を見下している部分があるじゃないですか?(もちろん、異論は認めます:笑) オペラ歌手の皆さんは、皆がみんな、、有名な音楽大学を優秀な成績で卒業されたセレブな方ばかりだし、その上、海外で何年もかけて勉強してきたような選ばれた優秀な人たちの集団じゃないですか? いわゆる先生方で成り立っているのがオペラの世界でしょ?
 ポピュラー音楽とかミュージカルとか歌舞伎とかって、すごい学歴や家柄の方もいるけれど、その一方で、庶民に毛の生えた程度の人なのに、努力と才能でのし上がってきたような人もいるわけで、そういうごった煮感がオペラには無いんだよね。いくら才能があっても、中卒や高卒の人はオペラ歌手にはなれないし、演劇を勉強してきた人がちょっと歌を学んだ程度じゃオペラ歌手にはなれないでしょ? でも、そういう人でもミュージカルなら演じて歌えるわけですよ。ミュージカルも庶民的とは言えないかもしれないけれど、オペラに至っては、全然親しみやすくないんだよね。ま、オペラってそういうモノだから、仕方ないのかもしれません。
 そんなオペラが大好きな私って、たぶん変態なんだと思う(笑)。

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