全音が“1”なら、半音は“1/2”だから“0.5”でしょ? 少なくとも、ピアノの黒鍵は、その右の白鍵からも左の白鍵からも、同じ位の差のある音程になっていて、まさに「半音は“0.5”って感じです。
ピアノは確かにそうだけれど、歌とかフルートとかヴァイオリンとか、自分で音程を作る楽器では、半音を0.5音と考えるのは、ちょっと違うようです。
実際のところ、半音は「半分とちょっと」です。「まあ、だいたい半分なんだけれど、その半分を強調するために、ちょっと多めに行く」のが半音です。だから、半音は“0.5”というよりも“0.6”とか“0.55”ぐらいかなって気がします。ただし“0.7”だと、やりすぎだろうと思います。と言うのも“0.7”なら“0.75”にかなり近いでしょ? おそらく“0.7”だと、半音というよりも3/4音って感じになると思います。
とにかく、半音は半分よりもちょっと多いのです。だから、♯が付いた音は、ピアノの黒鍵よりもちょっと高いし、♭が付いた音は、ピアノの黒鍵よりもちょっと低いのです。だってピアノの黒鍵は、ちょうど半分ですからね。
要は、変化記号は強調のための記号だという事なのです。強調だから、きちんと強調しないとダメなのです。山椒は小粒でピリリと辛いのです。
次に、普段はまずめったにお目にかかれませんが、♯♯(ダブルシャープ)とか♭♭(ダブルフラット)などは、半音が二つなので、ほぼ1音と考えがちです。つまり、D♯♯はEと同音で、D♭♭はCと同音って考えるでしょ? 特にピアノだったらそうです。でも、実際のところは、ちょっと違うみたいです。
半音が0.6音くらいだという理屈で考えると、半音二つは1.2音となり、D♯♯はEよりもちょっと高くなるし、D♭♭はCよりもちょっと低くなります。でもね、Dxxという表記である以上、その音はDの範囲と言うか、テリトリーにあるはずで、隣の音を越してはいけないわけで、変化記号が2つ並んでいるから1.2音だと言うのは、さすがに言い過ぎです。D♯♯はDやD♯よりも高い音なのだろうけれど、あくまでも“D”の音なので、Eではありませんし、Eに届いていないからD♯♯って表記されるのです。
と言うのも“♯♯”は“♯”よりも高いけれど、次の音に届くほどではない…という程度の意味なのです。ならば“♯♯”は0.9音とか0.95音ぐらい? つまりD♯♯とは、Eに限りなく近いけれど、ちょっと届かない音…って感じです。D♭♭も同様で、Cではないけれど、Cに限りなく近い音…ってわけです。
つまり変化記号ってのは、それを付ける事で「次の音までの半分くらいの音程に変化させる」わけで、そういう意味ではピアノの白鍵黒鍵の関係は正しいのだけれど、ちょうど半分では人間の耳では物足りないので、ちょっと強調するくらいでちょうど良いので、半音は0.6音ぐらい? 変化記号が二つ並べば0.9音ぐらいになるわけです。
ああ、難しいね。だから、調性によって音階の色合いが変わり、昔の作曲家が調性にこだわりを持っていたのは、こういう理屈なんだと思いますよ。
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