半音ってのは、カラオケ的に言えば「1」です。歌っていて、少し高くてキツイなあ…と思った時に、1つ下げたり、2つ下げたりするじゃないですか? あの時の「1つ」が半音です(2つは「全音」ですね)。
そう考えると、半音って、そんなに大きな差じゃないと思いがちですが、実際、高くてキツイなあと思った時に、音を1つ下げただけでも、だいぶ楽になります。ギリギリ歌えなかった曲がギリギリ歌える感じです。でも、もっと楽に歌いたい時は、2つとか3つとか、それ以上下げちゃうわけです。下げれば下げるほど、歌うのが楽にはなるけれど、あまり大きく下げちゃうと、曲の雰囲気が変わるし、そもそもカラオケって、デフォルトのキーがすでにオリジナルよりも低く設定されているものも多いので、そんなに大きく音を下げる必要がありません。それに、一部では、オリジナルキーで歌うのがエライという風潮もあり、あまり大きくキーを下げない傾向もあります。
ま、これがカラオケの世界の発想です。
ちなみに、私なんかは、逆にカラオケに行くと、音を上げて歌ってます(笑)。だって、そうしないと、歌いづらいんだもん。で、マイク無しで大声で歌って、嫌がられています(笑)。
で、クラシック声楽の世界だとどうなるのかという話ですが、クラシック声楽でも声の種類によって、移調譜というのが用意されています。オペラアリアは原則的に移調せずに歌いますし、歌曲でも現代歌曲は移調をしないで歌うという風潮もあるようですが、多くの場合、歌曲に関しては、歌手の声に合わせて移調して歌うのもアリです。
…ってか、むしろシューベルトなどのドイツリートは、原調で歌う人よりも低く移調された譜面で歌う人の方が多くないかい?(かく言う私も、そうなんだけれど)。
で、クラシック声楽の場合、低く移調すると言っても、1つとか2つとかの半音単位で下げる事は、まずありません。基本的には“中声用”あるいは“低声用”として予め低く移調された楽譜が出版されていますので、これらの楽譜を使用します。
これらの楽譜を見ると、原調の楽譜と比べ、低くなっている程度が曲によってまちまちです。カラオケ的に言えば、2つ(全音低い)あるいは3~4つ(三度低い)下げる譜面が多いかな? 中には全然下げていない楽譜もあったりします。
意外と無いのが、1つ(半音)だけ下げてある楽譜です。ありそうで、なかなかありません。と言うのも、クラシック声楽的に考えるならば「半音低く移調? ありえなーい」となるからです。
これは、カラオケの音楽(ポピュラー音楽)は平均律の音楽なので、どれだけ全体を高く/低く移調しても、それぞれの音の関係は変わらないのですが、クラシック声楽に限らず、クラシック音楽は、なんだかんだ言って、純正律、またはそれに近い音律で出来ている音楽なので、調性ごとに音楽の雰囲気が異なりますので、移調する際には、似た雰囲気の調に移動するのです。なので、機械的に音を下げるという事はせずに、曲ごとに移調した楽譜を用意するわけです。
上下に4度(5つ)または5度(7つ)離れて移調するのが、一番雰囲気が近いんだそうです。次3度(3つ)下げるが近いかな? とにかく、音を低い方に移調するにしても、ルールがあるわけです。
半音下げる(1つ)というのは、クラシック音楽的には全然違う音楽になってしまうので、半音下への移調というのは、まずないのです。ピアノの鍵盤で考えてみれば良いのだけれど、半音違う調性である、ハ長調で使う鍵盤と、ロ長調で使う鍵盤って、ほとんど一致しないでしょ? この一致のしなさ具合が違う雰囲気を作ってしまうのだそうです。
ハ長調とヘ長調やト長調って、使う鍵盤がほとんど同じじゃない? 雰囲気が同じって、そういう事を言うようですよ。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント
お久しぶりです。ブログ引っ越し後、はじめての書き込みになります。
>上下に4度(5つ)または5度(7つ)離れて移調するのが、一番雰囲気が近いんだそうです。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロって、ポジションを変えずに隣の弦で弾くと5度(7つ)移調したことになりますね。コントラバスは4度(5つ)ですけど。
これと関係あるのかな・・・
根拠はありません。思いつきです(笑)。
MTBさん
多分、弦楽器の弦の(音程の)間隔は、意図的なんじゃないかなって思います。隣の弦との音程が五度違いなら、うっかり隣の弦に触ってしまっても、音が濁らないし邪魔にならない、重音奏法(複数の弦を一度に鳴らす奏法)をするにしても、基本が五度違いなら、五度はもちろん、三度や四度違いも容易に弾けるからね。
コントラバスは四度音程の違いなのは、ギター属と同じですが、これは低音楽器で、弦のポジションが広くて、人間の手では五度音程の違いのままでは演奏できないという、物理的な事情から、四度になっているのだと思います。四度違いでも、重音奏法はやりやすいでしょうが、うっかり隣弦に触れた時に、五度違いよりも音に濁りが生じちゃうのが厄介ですね。