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フルート購入に関する心境の変化について… その1

 アゲハ(アルタスA1307R)を購入した私ですが、購入に至るまでの、心境の変化を振り返ってみると、なかなかおもしろいかもしれないと思いましたので、これも中年の思い出として記事にしておきます。ある意味、今回の「フルート購入顛末記」のまとめ記事的なものです。

 そうそう、いつまでもメーカー名をイニシャル表記にもできませんので、今回から具体的な社名を書きますが、これはあくまで私の個人的感想であって、そのメーカーさんなり、フルートなりを、貶めたり誉め殺しにするつもりはありませんので、その辺は誤解のないようにお願いします。ま、あくまで「個人の感想」って事で留めておいて下さい。

 さて、参ります。

 最初にチャイナ娘の衝動買いをして、笛を吹き始めて、私はすぐにフルートのとりこになりました。真剣にやってみたくなりました。その思いが先生探しにつながり、その思いが「ちゃんとした普通のフルートを買いたい」という気持ちになりました。一応、チャイナ娘がおもちゃのような楽器だという自覚は、まだフルート界のことを全然知らない私でも分かっていましたから。

 その頃の「ちゃんとした普通のフルート」とはヤマハの洋銀フルート、YFL-221です。6万円の笛です。冗談抜きで、この笛って『洋銀フルート』の名品でしょ。ジャズ系やポピュラー系ではプロ奏者も結構これを使っている。それくらいの名品。私はこれが欲しかった。だって、その頃の私は、フルートを習うと言っても「ポピュラー・フルート」をやるつもりだったから。ポピュラー・フルートならYFL-221っしょ。(まさか当時はアルテをきちんとやるなんて思わなかったし…、というよりもアルテの存在知らなかったし。)やっぱりお金を出す以上、プロが使っているような良いものが欲しいものね。

 もちろん、ヤマハ以外のメーカーの存在も知っていましたし、地元の楽器屋さんに行けば20万円程度のフルートだって置いてありましたが、これらは音大受験などの本格的にクラシックのフルートをやっている人向けのもの(当時はそう思ってました。モノを知らないって恥ずかしいね)であって、自分とは無縁な楽器だと思っていましたし、それに6万円だって、十分に高価な買い物だと思ってました。

 高価な買い物なので、ちゃんとしたものを買いたい。そしてフルートを買うときには試し吹きをするはずだから、試し吹きができる程度の腕前は欲しい。それなりの腕前になれば、楽器屋にだまされて変なものを買うことはないだろうから、先生について練習に励みたい、そう思ってました。

 「楽器屋にだまされて変なもの」…これは、楽器屋の言いなりになって、実力以上の高価な楽器を、知らず知らずのうちに買わされることを指してます。オーバースペックは銭失いですからね。だから、自分にふさわしい楽器を購入したいと思っていました。で、その頃は、ヤマハの洋銀フルートこそが自分にふさわしい楽器だと信じていました。だいたいが初心者なので、その頃の私の選択は正しかったと思います。で、まずはそこから。もしも、もっともっとフルートの腕前が上達したら、次のフルートを買うかもしれないけれど、まずはそこから。そう考えていました。

 フルート買換えが前提でしたので、先生選びも、その点を少し考慮に入れました。近所の楽器店のフルート教室が色々な意味で便利でしたが、そこでお世話になってしまうと、当然次のフルートはそのお店で買わなければいけません。これは生徒としての仁義という奴です。さらにその店はヤマハの特約店ですから、ヤマハのフルートを買わなければいけない。ヤマハを買うつもりだったけれど、買い物に関して、足かせというか、束縛というか、自由に品定めをしたいと思っていた私は、変なヒモツキになることを危惧し、楽器店のお教室にはいけませんでした。で、色々と探して、現在の笛先生にお世話になることにしました。

 ちょうどその頃の話です。私のリアルな知り合いに、音大のピアノ科卒の小学校の先生がいて、その人が副科でフルートを吹いていたそうです。ある時、その人との話の中で「音大に入学して、フルートを買いましょうとなった時に、先生から『ムラマツ以外のフルートは買わないでください』と言われたから、高かったけれど、このフルートを買ったんですよ」と言って、自分のフルートを見せてくれたことがありました。それがムラマツの昔のスクールモデルでした。

 音大ではムラマツ以外のフルートは御法度なのか…。ムラマツのフルートってすごいんだなあ。一番安いのでも音大生が使うんだ。とりあえず、ヤマハのフルートを買って、上達したら、次はムラマツの一番安いフルートを買おうって思い始めました。

 いつかはムラマツのフルートを…そんな気持ちになりました。

 その頃になると、ネットでフルート系のブログを読むようになりました。使用フルートの機種を明らかにしていない人もいますが、明らかにしている人の多くは、やはりムラマツ。なんかマジメなフルーティストは全員ムラマツユーザーなんだという、勝手な思い込みが膨らんでゆきました。だんだんムラマツに対する憧れの気持ちが大きくなってゆきました。私もいつかムラマツユーザーになろうと思うようになってきました。

 でも、フルートを習い始めた頃は、笛先生には私にフルートを買い換えさせる気持ちは皆無だったみたいで「しばらくはこのフルート(チャイナ娘)で…」とおっしゃってました。その辺のことはこちらの記事に書きました。フルートを買い換えたい私は、がっかりすると同時に、フルートを買い換えるには、まだまだ腕前が不足しているのだなあ…と思ったものです。それにチャイナ娘は意外にいい笛だということも分かり、買換えは、半ば棚上げにして、チャイナ娘とトコトンつきあう気持ちになってきました。

 それが、それほど時を経たずに、笛先生からフルートの買換えを検討しましょう、という話が出てきました。その時の話はこちらです。そして、買うなら「最低でも頭部管銀で」と言われたことから、ヤマハの洋銀フルートを買おうと思っていた思惑はくずれました。そして「頭部管銀」なら、ムラマツのスクールモデルがまさに「それ」じゃない。もしかしたら、いきなりムラマツを買っちゃってもいいの? そんな気分になってきました。

 実際に値段を検討すればするほど、頭部管銀ならムラマツだって買えるんじゃないって気分になってきました。つい最近まで、6万円のヤマハの洋銀フルートを高価だと思っていた私が、23万円のフルートを「買える」って思っちゃったんですよ。ああ、今思えば、この段階から金銭感覚がマヒし始めたんだなあ…。

 買えると思うと、思いは募るもので、地元の楽器屋にムラマツのEX(頭部管銀のスクールモデル)がありました。暇さえあれば、その楽器を眺めにいきました。「先生の許可が出れば、この楽器を買おう!」そう思うようになっていました。あの頃はまさに“トランペットが欲しい黒人の少年”状態でした。程無く楽器店のフルート担当者に顔を覚えられて、いつも冷やかしばかりだったので、何となく行きづらくなってしまいました。でも本当に、あのリップ金のムラマツEXにあこがれていました。他にもフルートはあったけれど、目に入らないくらいでした。

 それからまもなくして、笛先生からスペシャル・ミッションがくだり、フルートの試奏に行きました。それらのことはすでに記事にしましたので、そちらをご覧ください(スペシャル・ミッション最初の試奏二度目の試奏)。

 続きはまた明日。

コメント

  1. あゆみ より:

    ホントにムラマツってすごい!何せゴールウェイの手持ちの半分がムラマツというぐらいですから。世界のトップにこれだけ認められてる会社です。

    工藤氏はヤマハのビジューとかメルヴェイユの宣伝に出てますが実際使っておられるのでしょうか?メルヴェイユは試奏されましたか?どんな感じ?

  2. すとん より:

    >あゆみさん

     あ、ごめん。そのクラスのヤマハは吹いてません。ヤマハで試したのは、総銀のナンバーモデルまで。固有名を持っている奴らは触ってません…だって、もし触って、心奪われたらどうする? シャレにならないでしょ。

     それにしても、ムラマツって、半端なくすごいフルートメーカーだと思います。本当は、ちょっぴりムラマツユーザーになりたかった私です。ま、これから腕を上げていけば、そのうち、ムラマツも吹けるようになる…かもしれませんので「いつかはムラマツ」はあきらめたわけではありません。

     でも今は「アゲハ一筋」っす!

  3. ことなりままっち より:

    多分私もその、「ムラマツを買いなさい」って話、聞いたことあります。(私もピアノ科だから、副科ですが)すごいなぁ。
    私は副科打楽器だったので、スティックとスネアだけでよかったけど、それでも3万くらいでした。まぁマリンバを副科なのに買うやつはおらんと(爆)

    まぁでも、高校ブラバン出身の子はヤマハの子もいましたけどね。

  4. すとん より:

    >ことなりままっちさん

     やっぱり「ムラマツ買いなさい」ってのは、音大では割とある話なんですね。

     確かにフルートは高く、特にムラマツフルートは高いのですが、その話を私にしてくださった方は「買った時は高いなあと思ったけれど、ちゃんとした楽器は一生ものだから。このフルートも、もう何年も吹いていないから、音も出なくなっちゃったけれど、きちんと修理をすれば、また元通りになる。だから決して高い買い物だったと思ってないの」と、うっとりした顔つきで話してくれました。きっと、そのフルートには色々な思い出が詰まっているんだなあと思いました。

     それにしても、副科打楽器はスティックとスネアドラムだけですか。副科フルートとは大違いですね(笑)。ところで、初心者向けの安い楽器のない、オーボエとかファゴットというのは、副科にあるのかしら? もしあったら、大変だろうなあ…。

  5. ことなりままっち より:

    >ところで、初心者向けの安い楽器のない、オーボエとかファゴットというのは、副科にあるのかしら?

    今はカリキュラムがかな~り変わってしまったので、どうなのかわかりませんが、私が学生時代はありましたよ。
    実は友人(メルマガネタの生徒さんたちを以前教えていた子)が、副科ファゴットだったりします。ええ、そりゃぁもう大変だったみたいですよ。
    ピアノ科同期の男性で、オーボエ副科の人は、オーボエが足りないため、ピアノ科なのになぜかオケの定演に出ていた・・・。(実は私の高校の先輩がオーボエなのですが、クラから転向したんです)

    チューバとかコントラバスとかもありました。そういうのはまさか自分で買うわけにもいかないから、学校の備品で練習してたようですけどね。フルートは案外、中・高でやっていた人がそのまま副科をとるケースも多いですよ。学生としても、手持ちの楽器で経費を抑えたいというのもあるんです。(私のスティックは消耗品なので、買い替えてますが・クラのリードと通じるところがあります)

  6. すとん より:

    >ことなりままっちさん

     副科でファゴットってあったんですね。そりゃあ大変だったでしょうね(金銭的にも技術的にも)。だいたいダブルリードの楽器を副科でとるという根性が素晴らしいです。

     オーボエ副科の彼は、きっととても鍛えられたでしょうね。

     手持ちの楽器で…というのは、とてもよく理解できます。中高のブラバン出身のヤマハと言ったら、やっぱり洋銀フルートでしょ。それでOKならよかったですね。それとも副科とは言え、音大の生徒さんたちだから、同じヤマハでも、もっと立派な楽器なのかな? どちらにしても手持ちで済むなら、それが一番。何しろフルートは“安くない楽器”ですからね。でももしヤマハ洋銀(10万円でお釣りくる)で良いなら、ムラマツフルート(安くても20万円オーバー)を勧められて買っちゃった人ってかわいそうな気がするけど…ってお節介だね、まったく。

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