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脱力って大事、ほんと大事

 先日、例によってアマチュアの声楽発表会を聞きに行きました。割とよく発表会を聞きに行く団体なので“見知らぬ人の発表会”と言うよりも“見知った人たちの発表会”なわけで、その成長ぶりを確認するのが楽しみな発表会でした。

 で、その団体の発表会を…実は今回、数年ぶりに聞きに行ったわけです。最近、聞きに行っていなかったので、さぞや皆さん上達をしただろうと思って聞きにいったわけですが、実際問題としては、上達した人もいれば、現状維持の人もいるし、却って下手になっている人もいたりして、全般的には「あまり変わらないなあ…」という印象でした。アマチュア歌手が歌を上達するのって、色々と難しいんでしょうね。

 で、その団体の特徴は2つあって、…

 1)声量が極端に小さい事
 2)力の入った声で歌っている事

 …でした。で、この2つは実は同じ事が原因なんだろうと思います。それは「ノドの脱力不足」だと思いました。

 声の支えをノドで取り、音程もノドで取り…という、いわゆる“ノド声”で歌っている方が実に多くいました。ノドで歌っているので、中低音は太めの力みすぎな声で、高音は苦しげな声で歌うのが、その団体の特徴にすらなっていました。

 おそらく、こういう声が(指導者の)好みなんでしょうね。一聴すると、ヴェリズモオペラ向きの声に聞こえますが、一種の作り声なので、ちょっと無理があるように私には感じられました。

 もっと伸びやかに歌えれば、もっと上手になるのになあ…と他人事ながら、ちょっぴり残念な思いになりました。ほんと、脱力って大事、ほんと大事だよ。

 理想とする声を目指して、その声に近づけていくのではなく、自分の声を素直に美しく出していく。これが発声では大切な事だと思います。しっかり声を支えて、ノドを脱力して、きちんと響きをのせて歌う。その結果、自分の理想とする声とは違ったとしても、それは受け入れないとね。自分は自分、なるようにしたならないのです。

 私だって、マリオ・デル・モナコのような、重厚なテノールの声が好きだし、ああなったらいいなあと思うものの、現実の私は、それとは全然違う声なわけで、モナコのマネをしたって、何にもならないわけです。それより、私自身の声を磨いていって、自分の声で歌えるようにする方が、全然マシだと思ってます。

 あと、選曲は大切ね。私が聞く限りでは、声に合わない歌(チェンジの付近の音が多い歌や、低音が多くて音程を取れていない歌)を歌っている人も目立ちました。一般的には、音域の低い曲は簡単な曲という扱いを受けやすいのですが、それも程度があるわけで、低くても、自分の声に合っていない歌は、簡単そうに見えて、実は難しく、アラが目立つんですよね。

 ノドの脱力と選曲の大切さ、私も決して他人事じゃないんだよね、気をつけていかないと…。

 

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コメント

  1. ショウ より:

    喉の脱力か、大事なんでしょうねー
    僕は完全に自己流の自己満で歌っていますが、最近舌も脱力した方がいいのではないかと思っています。
    舌を脱力すると高音に苦しむことなくいけるような気がしますが、どうしても発音が曖昧になります。何故あんなにパヴァロッテイは発音がハッキリ出来ているのか理解不能です。
    すとんさんは舌の脱力?を意識されていますか?

  2. すとん より:

    ショウさん

    >すとんさんは舌の脱力?を意識されていますか?

     もちろんです。ノドと舌根はつながっています。ですから、舌は、広い意味でのノドに含まれると私は思います。舌根に力が入っていると、気道が塞がれてしまいます。音程が高くなると、声が苦しげになり、ノドに蓋がかぶさるようになってしまうのは、舌根が大きく膨らむからです。

    >何故あんなにパヴァロッテイは発音がハッキリ出来ているのか理解不能です。

     発声と発音が別々に行われているからです。発声は横隔膜~声帯~鼻腔というラインで行い、発音は舌や頬を含む口腔で行っているからです。つまり、舌は発音のために使う器官であって、これを発声に使ってはいけないって事になります。

     ノドに力を入れて、舌根を膨らませると、声は外に出ずに、自分のカラダの中で響きます。そうすると、自分の声がとてもよく聞こえるようになりますが、外にはあまり出なくなります。そういう意味でも、舌根は膨らませてはいけないのだと思います。

  3. ショウ より:

    やはり舌は大事ですね・・

    普段話している時の癖なのか、舌を完全に発音のためだけに使うのが難しいです。舌を脱力してはっきりと発音するのが非常に難しいです。

    詳しい説明ありがとうございます。

  4. すとん より:

    ショウさん

     舌を意識するってのは大切かもしれません。効果があるかどうかは分かりませんが、昔、合唱団で散々やったトレーニングメニューがあります。それは、スプーンで舌根を抑えながら発声をするという練習です。実に馬鹿らしい内容ですが、確かに舌根は意識できますし、力が入ればスプーン経由で分かります。ただ、あまり合理的とは思えないので、私自身は数回やって止めちゃいましたけど(笑)。

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