暇な時間の大半は、常に発声の事ばかり考えている私です。たぶん、テノールと呼ばれる人たちは、プロアマ問わず、そんな感じなんだろうと思います。それくらい、テノールにとって、発声というのは悩ましいものです。
隣の芝生というのは、常に青いのです。
本当は失礼な話になるんだろうと思うので、その点は勘弁してほしいのですが、たまにバリトンに転向したくなる時もあります。
理由は…ですか? 実に実に本当に失礼な理由なんだけれど…発声が楽そうだからです(ごめんなさい)。
おそらくバリトンの方に言わせれば「発声が楽だと! バリトン、なめんなよ」と怒られそうですが、そう思ってしまう時があります。
バリトンの一般的な音域と言うのは、低いGから高いGまでの2オクターブです。私、この音域なら、ラクラク出せますので、バリトンの歌は、テクニカル的な部分は別として、みんな楽に歌えると思い上がっているくらいです。
一方、テノールの一般的な音域というのは、低いCから高いCまでの2オクターブですが、上の方の、A~Cぐらいの音域の発声って、目が潰れるくらいに難しくて、それで四六時中発声について考えないとならないわけなのです。テノールの音域で歌うのは、難しくて、未だにきちんと歌えませんし、今後頑張ったところで歌えるようになれるかどうかは、神のみぞ知るという状況だったりします。
「だったら、さっさとバリトンに転向すればいいじゃん、何を悩んでいるんだい」
ほんと、バリトンに転向できれば、そりゃあいいですよね。実際、前に歌を習っていたキング先生は、私にバリトンに転向しなさいと命令したくらいだしね。
でもね、テノールとバリトンの違いは、発声できる音域の違いで区別されるわけではなく、その人の声の質や特性で区別されるべきものなんですよ。声の音色とかチェンジの箇所とか、高音での輝き、中音でのふくらみとか…ね。そう考えると、私の声は、実に見事にテノールなわけで、それもごく典型的なテノールの声なわけで、バリトンへの転向なんて、ありえないわけで、それを「声が出ないから」なんていう理由でバリトンに転向すれば、それこそ「お前、バリトン、なめてんだろ!」って言われかねません。
まあ、低音部はバリトンっぽい声を出せる私ですが、中高音に関しては、全然テノールの声だし、実際、テノールは低音は捨てて発声するので、私の声は普通にテノールの声であって、バリトンのパートは歌えば歌えるだろうけれど、それで良いのかと言えば、たぶんダメです。
なので、日々日々発声について悩んでいるわけです。
自分の持ち声ばかりは、いくら望んでも変えるわけにはいかないからね。そこが器楽との決定的な違いだね。
現状、私の場合、高音の無いテノール…つまり、バリノールなわけですが、それは多くの未熟なテノール同様、単純にテクニック不足で高音が発声できないだけで、そこをなんとかクリアして、リアルなテノールにクラスチェンジをしたいものだと願っています。
ほんと、悩み多いんです。だから、四六時中、発声の事ばかり考えてしまうのです。
もしも、自分の持ち声を、自分の希望で変えられるなら、私は…テノールではなく、実は、ソプラノになりたいですよ。だって、ソプラノって、名曲ばかり歌えて、ズルいよなあ。ほんと、ズルいと思います。
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