ソノリテ…マルセル・モイーズが著したフルート教則本の一つ。正式書名は『ソノリテについて 方法と技術』です。フランスのルディック社から出ていますが、値段が約6000円と高価な割にペラペラ(たった28ページしかないんですよ)なので一部で不評ですが、フルーティストにとって基礎基本の教則本であるという評価なので、皆さん、文句を言いながらも購入して利用している教則本です。
私も一冊持っています。初学者の頃に、フルートへの憧れと一緒に購入しました。で、購入したことを当時の先生に報告したところ「なんで、そんな高いモノを買うの!」と呆れられてしまいました。今は先生のおっしゃる意味が分かりますが、当時は高い買い物をしたのに叱られるなんて…と、ちょっぴり凹んだものです。
で、ソノリテをすでに持っている人は、ぜひ一生懸命練習して、元を取ってください。まだソノリテを持っていない人は…無理に購入する必要はないと、私は個人的に思っています。実際、私もソノリテは購入当初は熱心に練習しましたが、今では書棚のどこにしまったか忘れてしまったくらいですから(笑)。
ソノリテは、音階をロングトーンで吹いていく練習です。数回練習すれば、暗記できる内容です。いや、暗記する必要もないほど、単純な内容です。でも、これを日々行っていく事は、効果的だと思います。
私が考えるソノリテの効用は以下の通りです。
1)呼吸筋が鍛えられる。 基本的にロングトーン練習ですから、きちんと練習すれば、呼吸筋が鍛えられます。ただし、腹式呼吸をマスターしているという前提は必要です。腹式呼吸がまだ不完全な人がやっても、効果はなく、むしろカラダを痛めるだけなので気をつけるべきでしょう。
2)音色が整えられる。 基本的にロングトーン練習ですから、きちんと練習すれば、フルートの音色が美しく整えられます。ただし、演奏している自分は吹くことに一生懸命で、なかなか音色にまで気が回らないものです。必ず、先生とかコーチとかと一緒に練習する事をお勧めします。一人で練習しても、自己満足に終わりがちですよ。
と言うわけで、ソノリテは基本的にロングトーン練習なので、別にソノリテ通りに練習しなくても、ロングトーン練習を継続的に行っていれば、同様の効果は得られると思います。なので、ソノリテの購入は好き好きだと思っているわけです。
実際、ソノリテを使わないと身につかない事ってないし、他の教則本にも、ソノリテ同様の効果のあるエチュードが掲載されているし、いや、別に教則本を使わなくても、毎日ロングトーン練習していれば、それで十分だし…って感じです。あと、ソノリテの課題をそのまま実直にやるのは…かなりハードな練習内容になるかもしれません。よく、練習全体のウォーミングアップとしてソノリテをやっている人がいると聞きますが…ソノリテって真剣にやると、とてもウォーミングアップどころか、へとへとになりませんか?
でも、ソノリテって人気ですよね。筆者のマルセルも、訳者の吉田雅夫氏も、フルート界の重鎮と言うか、アイドルですからね。推しが関わっている教則本なら、ぜひ練習してみたいと思うのが、人の常ですしね。
これで安価(ってか、本のボリュームにふさわしい価格)ならば、気軽に勧められますが、ソノリテって、どう考えても、高価すぎると思います。コストパフォーマンス、激悪です。そこを受け入れられるか…ってところじゃないでしょうか?
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コメント
こんばんは。
>まだソノリテを持っていない人は…無理に購入する必要はないと、私は個人的に思っています。実際、私もソノリテは購入当初は熱心に練習しましたが、今では書棚のどこにしまったか忘れてしまったくらいですから(笑)。
全く同感です。こちらも今は全然使っていなくて埋もれてしまい見つかりません。
>ソノリテは、音階をロングトーンで吹いていく練習
手元にある(あった?)吉田雅夫翻訳の「ソノリテ」はフランス語、ドイツ語、日本語が横3列に並んでいました。ここに「ロングトーン」という表記はあるのでしょうか。最初の音は白玉ですが。
吉田雅夫曰く「”荒城の月”と”歌の翼に”でHを作ってソノリテを始める、僕自身はソノリテの音は全部モイーズ先生の音を想像して吹く、最初のHの音はモイーズ先生が最もきれいなHを吹いているところ、Bはシリンクス、Aはフェルー、Asはベートーヴェンのソナタ、Gはアンダースンのop.15-3、Dはイベールのピースの頭(途中かなり省略)」らしいです。(by 吉田雅夫「フルートと私」対談植村泰一)
「ロングトーン」という意味不明な言葉の起源をマジ知りたい今日この頃です。
モイーズで最初に使うとしたら、吉田雅夫の本のアンドレ・ジョネの教程にある24のショート・メロディアスあたりかとおもいます。Leduc版ではソノリテは7e-9eで一番難しいです((1の方が入門)。フルートを初めて音が出て指使い覚えたら「ソノリテ」、というのは楽器屋業界の戦略かとおもっています。
失礼しました。
tetsuさん
>「ロングトーン」という意味不明な言葉の起源をマジ知りたい今日この頃です。
私は何の疑問もなく使ってますし、周囲の人たちも普通に使ってますので、フルート界ではごく普通の用語だとばかり思っていました。ネットを見ても、色々な人たちが普通に使ってますね。
まあ、確かに考えてみれば、「ロングトーン」=「長い音色」ってわけで、なんか変ですね。でも、ネットを見ると、英語圏で全く使わないってわけでもなさそうですが、普通に使う言葉でもなさそうです。となると…和製英語なのかな?
日本人が使う「ロングトーン」を普通の英語に直すなら“long note”が言葉のニュアンス的に近いでしょうが“long note”だと、ただの白玉音符程度の意味にしかなりません。となると、やっぱり“Breath control”かな? でもこれは声楽用語であって、木管用語じゃないんだよね。となると、やっぱりただの“blow”でいいのかも?
確かに「ロングトーン」って意味不明な言葉ですね。