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フルートを吹いてますが、肺活量が足りなくて、息が長続きしません

 …なんて悩みを、よくネットで見聞きします。

 でも、それは大きな誤解だと思う。息が長続きしない事と、肺活量の多少は、たぶん関係ないと思います。私は肺活量はたっぷりありますが、息は長続きしませんからね(爆)。

 だいたい、肺活量って、一度に体内に取り込める空気の量の事でしょ。

 肺活量そのものは、分かりきった話ですが、カラダの大きさに比例するわけです。カラダの大きな人ほど肺活量が大きくて、カラダの小さな人ほど肺活量が小さいわけです。それはカラダの大きさに、腕の長さとか指の長さとかが関係するのと、全く同じ理由です。

 フルートに限らず、管楽器全般の演奏が、もしも奏者の肺活量に依存するなら、世界中のオーケストラの管楽器隊は、ガタイの大きな男ばかりになるはずだし、学校のブラバンだって男だらけで、女子の出る幕なんて無いはず。でも、現実的には、今やブラバンは女子の部活だし、プロオケだって女性奏者花盛りでしょ。あれを見れば、管楽器の演奏には肺活量なんて、標準程度あれば十分って事がよく分かります。

 なのに、標題のような悩みがネットから消えないのはなぜか?

 それは実際問題として、フルート初心者たちが真っ先にぶつかる壁が「息が足りない」って現実だからです。まだまだ音をのばさないといけないのに、息が足りなくてのばせない(涙)からです。そして、それを繰り返しているうちに「ああ、私は肺活量が足りないから、息がのばせないんだ」と思い込んでしまうからでしょう。で「私は肺活量が足りない」と悩み始めるわけです。

 たしかにフルートは息のすべてが音に変わる楽器ではありません。相当量の息を捨てながら吹く楽器なので、かなり息の消費量が多い楽器であると勘違いされがちなのは確かです。さらに、音量を求めて息の無駄遣いをしていたり、無駄に力んで息を多く使ってしまったり…そういう事をしがちでしょ。それで「息が足りない」 -> 「肺活量が不足しているのではないか」と悩むのだろうと思います。

 確かに、フルートに不慣れなうちは、息が足りないでしょう。でも、フルートって、小柄な女性(つまり肺活量の少ない人)でも演奏できる楽器です。つまり、本当はそれほど肺活量を必要としない楽器なんですよ。

 では、本来、肺活量をそれほど必要としないフルートなのに、なぜ息が足りないと思ってしまうのか? それは、息の絶対量が足りないのではなく、短時間で息を使い切ってしまうことが問題なのです。分かりやすく言っちゃえば、ダムの水は計画的に放水することで水不足になりがちな夏シーズンを乗り切るわけで、いきなり水門を開いたら、あっと言う間にダムが空っぽになるでしょ。あれと一緒です。

 息が足りないと思っている人は、吸った息をすぐに使い切っちゃうから、足りないだけです。計画的に放水するダムのように、計画的に息を使っていかないと、そりゃあ足りなくなるでしょう。

 息を細く長く出せるようになれば、フルートを吹いていて「息が足りない」なんて事にはなりません。

 ではなぜ、息を細く長く出せないのか? それは単純な話で“息の支えが弱いから”です。息の支えに必要なのは筋力です。つまり、息を支えられるだけの筋力が無いから、息をすぐに使い切っちゃうのです。足りないのは、肺活量ではなくて、筋力なんです。

 筋力が足りないからと言って、腕立て伏せや腹筋運動をしても、たぶん、あんまり役にたちません。それをするくらいなら、むしろジョギングをした方がよろしいでしょう。

 鍛えるべきなのは、呼吸筋です。具体的に言えば、横隔膜。ここを鍛えないと、いつまでたっても、息は支えられません。呼吸筋を鍛えるには、しっかりと呼吸をする事が大事。だから、ジョギングは良いのです。あれは、しっかり呼吸しないでは出来ない運動だからね。

 だから「私は肺活量が少ない…」なんて悩む暇があったら、毎日走った方が良いよ。そうすると、呼吸筋が鍛えられて、音がのびるようになります。

 「そんな、走るなんて…。そんな気の長い事は耐えられません。直接、横隔膜や呼吸筋を鍛える方法はないのですか?」って、誰しも思うよね。気持ちは分かります。

 ならば、次善の策ですが、ソノリテをしましょう。あの練習をすると、息が長くなります。

 ソノリテじゃ甘い! もっといい方法はありませんか?……ならば、発声の練習をするといいです。声楽や合唱、演劇などのテクニック本に、呼吸や発声の練習方法が書いてあります。腹式呼吸うんぬんのページです。それらに書かれている練習方法を取り入れるといいです。ただし、どれもこれも本格的な練習だと、かなりハードだし、危険な面もありますので、決して一人でやらない事。必ず人に付いてもらってやってください。

 ちなみに、このブログでも腹式呼吸は何度か取り上げていますし、その度に色々な事を書いてきました。右下の検索窓から検索すると、過去の色々な記事にヒットしますから、それらを参照してくれてもいいし、そんなの面倒くさいって人は、まずはこちらの記事でも読んでください

 とにかく、生兵法は怪我の元ですよ。呼吸の練習をして、意識がなくなって倒れる…なんて日常茶飯事だから、本当に気をつけてください。不慣れなうちは、呼吸の練習は、決して一人でやらない事。でも、周りに頼める人がいないなら、ウジウジ悩むよりも先に、走るべし、です。

 つまり、カラダをフルート向きに作り直せば、息が足りなくなることは無くなるって事です。なので、ソノリテも有効ですし、走るのはもっと効果的だと思います。…さあて、私も走らないといけないかな(汗)。…問題は、走ると膝が壊れちゃうって事かな(涙)。

コメント

  1. キング より:

    息自体もそうですが、酸素が足りないのと空気が足りないのを混同しちゃって、苦しい=息が足りない になっちゃうパターンも多い気がします。

  2. すとん より:

    >キング先生

     確かに、空気中で溺れちゃって苦しいと言うケースもありますね。いわゆる、酸欠の話です。では、明日は、その“酸欠”をテーマに記事を書きます(笑)。

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