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目指せ! ベネット!?

 ようやく、フルートも内向き奏法に慣れてきたかなあ…って感じです。

 フルートの組み立て方、外向きと内向きでは、だいぶ吹いた感じが違いますねえ。奏者側の都合で言うと、内向きの方が右手が楽です。外向きで吹いていた時は(散々ブログで文句をぶーたれていましたが)常に右小指に違和感がありました。しかし、内向きに変えて以来、とても楽です。右小指が楽に動かせるのはいいなあ。しかし今まで、右小指が不自由で、ろくに小指の練習をしていなかった分、その分のツケを払うのに懸命です。ふう。

 あと、フルートの構えもなんだか安定しているみたいで、中音Cisになってもフルートがぐらつかないのもいいです。フォーム的には内向き奏法ってのは、私に合っているみたいです。しかし、このまま内向き奏法で固まっちゃったら、アルタスフルートしか吹けなくなっちゃう(内向き用にフルート作っているのはアルタスだけだから)ので、ちょっと寂しい感じがします。

 フルート的には、音が変わりましたね。まずピッチが安定するようになってきました。それと音色も落ち着いてきました。どの音域の音も太い音が出てくるようになりました。低音は落ち着きのあるリッチな音に、高音は耳に優しい音になってきました(当然、当社比:笑)。おそらく、以前よりも低音成分が豊かに鳴るようになってきたのでしょうね。

 ただ、少し残念なのは、銀の笛なのに、ちょっと銀っぽくない音になってきたような気がします。音色的に落ち着いてきて、銀なのにキラキラした音というよりも、ミチッとした音になってきました。私はノーテンキな銀の音が好きなのに、このインテリっぽい音色は、すごぶる残念無念。

 そろそろ、アゲハと付き合いだして、一年になります。最初の頃と比べると、だいぶフルートから出てくる音が変わってきました。もちろん、最初から今に至るまで、ずっと、うっとりするほどの美音が出ていますが、その美音も段々落ち着いた音色になってきました。人も笛も、年を重ねていくと、落ち着きというものが出てくるのでしょうか?

 私は普段は音楽をiPODで聞いています。当然、シャッフルしながら聞いてますので、今聞いている曲が何なのか知らないままに聞いている事もあります。

 先日の事、iPODでフルート音楽を聞いてたら、すごくデジャブーな感じというか、なんか身内に出会ったような感じというか、すごく日常的なフルートの音が聞こえてきました。はっきり言っちゃうと、アゲハを使って演奏しているような感じなんてすよ。いやあ、実に音がクリソツなんですよ。

 あわてて奏者を確認したら……ウィリアム・ベネットでした(笑)。ベネットの「ハンガリー田園幻想曲~フルート名曲集」を聞いていました。

 いやあ、そっくりでした。と言うか、生のアゲハの音と、録音のベネットの音がそっくりでした。ま、相手は録音なので、リアルに聞いたら、アゲハの数倍も美しい音なんだろうけれど、録音の音は本当にそっくりでした。

 以前、外吹きだった時には、ベネットの音に、それほどのシンパシーを感じる事はありませんでした。それよりも、アゲハに近い音を出すプレーヤーは、バイノンだと思っていました(なので『目指せバイノン』だったわけです)。でも、アゲハを外向きから内向きに変えたところ、音の傾向がバイノンよりもベネットになりました。それも、バイノンの時は「よく似ているよね、こっちの方向だね」って程度だったのに、ベネットは「え? これはアゲハ?」って感じでそっくりでした。

 いやはや、参ったね。

 さっきのCD、録音された時期を考えると、たぶんベネットはアルタスを吹いているでしょうね(どのモデルだったのかな?)。それに、アルタスは元々、ベネットの意見を多く取り入れてフルートを作っている会社です。ある意味、ベネットサウンドがアルタスサウンドなんですから。ですから、アルタスのユーザーがベネットの演奏を聞いて「あ、私のフルートと同じ」と思うならば、それは、メーカー的には成功なんだと思います。

 でもでも、それにしても、あんまりソックリ(当社比)なんで、びっくりしちゃいました。

 これだけべネットの(録音の)音にソックリな音が出るように作ってあるって、やっぱりアルタスってメーカーは、すごいや。

 でも、メーカーが意図した音でフルートを吹いている(と言うか、吹かされている)私は、あまり誉められたモノじゃないよね。だって、これって、アゲハが本来持っている音色で吹いているだけの話で、私がアゲハに、私自身の個性というものを全く反映させられていないってわけです。今、私がフルートを吹いても、出て来る音は、私の音ではなく、アゲハの(つまりアルタスの、そしてベネットの)音でしかなく、私はアゲハ(&アルタス)に振り回されているだけの話なんです。

 “アゲハ”対“私”、この戦いは今のところ、アゲハさんの優勢です。もっと私が腕を上げないと、アゲハから、ベネットサウンド以上のものが引き出せないというわけで、ううむ、がんばるぞ。

 とにかく今は「目指せ! ベネット」というよりも「べネットから離脱せよ!」って感じです。そういう意味では、やはり「目指せ! バイノン」なんだな、やっぱり。

 いやあ、実際にアゲハとべネットの音って、本当にそっくりなんです、薄気味悪いくらいに似ている。これだけ似ていると、不気味な感じすらします。ああ、こえ~。

 蛇足 A1307(AL系フルート)でベネットなら、PSにしたら、バイノンやブリヤコフのような音が出るのかしら?

コメント

  1. 夜希 より:

    そういえば、私が1207を購入したとき、おまけでベネットのCDをもらいました。
    特典だったのかな。「フライングウィズベネット」だったかな。
    マイナスワン付きで、ベネットとデュエットできる仕組みになっていました。
    実家に置いてきてしまいました…。今度探します。

  2. すとん より:

    >夜希さん

     「フライング・ウィズ・ベネット」ですか? ベネットと二重奏? ちょっとおもしろいかも。私が買った時の特典CDは、フルートとソプラノの日本の抒情歌のヤツだった。もちろんベネットではないよ。

     ベネットはたくさんCDを出しているけれど、ほとんどが輸入盤で、日本では簡単に買えないのが残念です。今度、山野に行ったら、CD売り場を漁ってみよおっと。

  3. 小夜子 より:

    >メーカーが意図した音でフルートを吹いている(と言うか、吹かされている)私は…

    え?そうですか?私は羨ましいけどなぁ。。。
    だって私、「外吹きフルート」の桜子を外吹きじゃ全然吹けないんですもん。確かに高音は出やすいけど、低音はからっきし鳴らないしピッチはボロボロ(泣)
    で、自分に良い角度を探したら外吹きとは全くかけ離れた状態で~。今は真上に向いた歌口の上から被さるように息を入れています。これって角度を換えてみたらメッチャ内吹きってのと同じ事ですよね?

    すとんさんは、まずアルタスさん推奨の内吹き奏法が確立したら、そこから「自分の音探し」をすれば良いんだと思うんですよね。
    フルートにはメーカーの意図した「良い音」(ムラマツトーンとか言うじゃないですか)があって、それが出せて当たり前でそこからが「個性」になってくるとではないかなぁ。
    なので私はまず桜子に慣れて工房推奨の「外吹き」で良い音&ピッチを手に入れたいです☆

  4. すとん より:

    >小夜子さん

     外吹きはねえ…ちょっと大変だと思う。内吹きよりもパワーと言うか、息そのものに力がいると思う。おまけに息がバラけちゃいけないし…。中低音を鳴らすのは難しいし…。その代わりに決まれば、キレイで音量も感じられる遠鳴りのする音が出ると思うよ。

     アルタスフルートが「音量無い」とか「近鳴りフルート」とかいうイメージがあるのは、すべてこの内向き推奨のせいだと思う。内向きだからと言って、必ずしも、音量が不足したり、近鳴りになったりするわけではないけれど、内向きだとフルート吹くのに、パワーが無くてもOKなんだよ。だから、結果として、音量がなかったり、近鳴りになったりするんだ。

     おっしゃるとおり、メーカー推奨の音って、簡単には出せないものなのかもしれない。そんな中で、とにもかくにもメーカー推奨(っぽい)音が出せるのは、良いことなのかもしれない。そういう意味では、アゲハは私と本当に相性が良いのだと思う。ただ、メーカー推奨の音だと「はめられた感」があるんだよね。それが、ちょっとね、残念なのよ。

  5. YOSHIE より:

    フルートのことはよくわからないですが、私も“まずその楽器の鳴りたい、出したい音を鳴らさせてあげる”ことから始まる気がします(小夜子さんと同じ意見かな〜)。アゲハ嬢?プリンセスアゲハ?はツンデレなんですよね?「あなたの好きな音で私を鳴らしたいなら、まず私の鳴りたい音を出してごらんなさいよ」といったとこでしょうか?。なので、「好きにしていいんだよ〜」と言いつつ、時間をかけて囲い込んじゃう方(奏者の色を出す、染める)がやりやすいかも。ん〜、思うに、すべての使いこなすのが容易でない道具(と楽器に関して、言っては失礼ですが)ってそういうところがある気が‥‥。しょっぱなから個性的はむしろ危険な香りが…なぁんちゅわって、エラソ〜ですみません、コホッ…でも、これで、将来的にすとん節を鳴らす切符は手に入れたということになるのでは?。そこまで辿りつけない人も多いんですよね、きっと(てか私??プッ)

  6. すとん より:

    >YOSHIEさん

     ううむ、YOSHIEさんのおっしゃるとおりかもしれない。

    >「あなたの好きな音で私を鳴らしたいなら、まず私の鳴りたい音を出してごらんなさいよ」といったとこでしょうか?。

     これ、大正解のような気がする。だいたい、ツンデレなアゲハが、私好みの音を簡単に出してくれると思う方が間違いだね。はあ~、まずはキチンと鳴ってくれる事に感謝しなきゃいけないんだろうな。

     がんばろ。

  7. 橘深雪 より:

    これからまだまだ変わっていくと思いますから大丈夫ですよ!
    それにしても、内向きだとすとんさんにピッタリなんて、アゲハちゃんに出会うために・・・と言っても良いくらいですね(笑)

  8. すとん より:

    >橘さん

    >これからまだまだ変わっていくと思いますから大丈夫ですよ!

     ですよね~、まだ一年だもん、これからですよねえ~。これで終わったら、なんか悔しいもの。

     それにしても、私の場合、内向きって、本当に手にしっくり来るんですね。もちろん、これからも頭部管の差し込む向きの微調整は必要だろうけれど、内向きは本当に楽なんです。だから、記事にも書きましたが、この楽に慣れたら、他のメーカー品が吹けなくなっちゃのよ。困ったものだね。

  9. sakura より:

    こないだアンブシュアをあれこれやってる時、ずっと内吹きだったので試しに外吹きに組み立ててみたんです。
    そしたらすごく安定が悪くて、右手の小指がつりそうになりました。
    すとんさんがおっしゃってたのはこれだったのか~!と納得です。

    すとんさんとアゲハちゃんは相性抜群なんですね。
    これからが楽しみですね♪

  10. すとん より:

    >sakuraさん

     大丈夫~? 小指、傷めなかった? 手がつりそうなら、まだいいのよ。私はそのまま、指の関節が外れちゃいましたから(笑)。今となっては、笑い話です。フルート吹いてて、指の関節ハズしちゃうなんて。

     今は、内向きにしたおかげで、全然指も快適で、フルートの音をしっかり聞きながら練習できてます。ありがたいことです。

    >すとんさんとアゲハちゃんは相性抜群なんですね。

     そりゃあそうです。数十本あるフルートの中から「これだ!」というのを選んで、お嫁にもらったんですからね。その辺の話は「フルート購入顛末記」にまとめてありますが、すごいハーレム状態の中から選んだ一本ですからね。ビビビと来たのよ。相性抜群は、ある意味当然なんです(エヘン)。

  11. たかさん より:

    フルートのメーカーって、ユーザーの希望を聞いて楽器作りをする所と、理想のフルートは、これだ!と強く主張する所の二つに分かれますよね。

    もちろんアルタスは後者でしょう。私個人はアルタスの音は好きですよ。ベネットさんのフルートも、いいなと思っています。

    今、自分の好みの音を出すように、フルートを作ってもらったら、葉二そっくりだったりして…。

    あり得るなあ…。

  12. すとん より:

    >たかさん

    >フルートのメーカーって、ユーザーの希望を聞いて楽器作りをする所と、理想のフルートは、これだ!と強く主張する所の二つに分かれますよね。…もちろんアルタスは後者でしょう。

     私もアルタスのそんな職人気質が大好きです。そういうところを感じたからこそ、チョイスしたのだと思います。

     アルタスは、職人気質の会社が作ったフルートゆえに楽器の個性がかなり強いのだと思います。私もべネット氏のサウンドはキライではありません、と言うか、実はアゲハと酷似のサウンドのフルーティストという事で、なんか親しみすら感じています。

     ただ、いかにアルタスフルートが、どれだけ美音のフルートであったとしても、私は“誰かとそっくり”というのがイヤなんです。ただ、それだけ。美しい音色はOKだけれど、それが〇〇サウンドじゃなくて「すとんさんの音」じゃなきゃイヤなの。私って、そういう人だから(笑)。

     実は今日、ひさしぶりにフルートの録音しました(アップは火曜日にする予定です)。たしかに、べネット氏の録音と私の生音はかなり似ていると思いますが、べネット氏の録音と私の録音は、ちょっとばかり(かなり?)違いました。録音しちゃうと、音の美しい部分がほとんど落ちてしまうのだなあと思いました。

     私はやっぱりまだまだだなあと思うと同時に、ちょっぴり安心しました。それにしても、やはりベネット氏は録音であっても、あれだけ美しい音色を残せるのだから、リアルな音は、きっと素晴らしく美しいのだろうなあ…。

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