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やわらかいクチビル

 フルートって音域がだいたい3オクターブあります。で、その3オクターブとも、基本的には同じ指遣いです。例えば「ソ」。低音(第1オクターブ目、以下同様)の「ソ」も中音の「ソ」も高音の「ソ」も、みんな同じ指遣い。リコーダーのように、笛の裏の穴を半開きにして…なんてテクニックや、オーボエのように「こっちの穴を開けると、1オクターブ上がって、こっちを開けると、更にもう1オクターブ上がります」なんて便利機能はない。みんな同じ。

 じゃあ、どうやって吹き分けるの? っていうと、クチビル周辺のテクニック(アンブシュアというそうです)で吹き分けるのです。高いオクターブほど、クチビルから出す息を細くし、かつ、速くするのだそうです。それでオクターブを吹き分ける。

 言うほど簡単なものではない。

 私の場合、高音はまずお話にならない。中音の上の方、「ラ」「シ」「ド」あたりから問題噴出。。アルテの第1課に出てくる、基本中の基本の音なんだけれどネ…。何が問題かと言うと、フルートに息を送る際に、一緒にクチビルが鳴ってしまうのです、ブーってね。ちょうど金管楽器のマウスピースを当てて息を吹くとクチビルが振動するでしょう、アレの感じ。

 笛はピーって鳴るのに、人はブーって鳴ってるわけ。変でしょ。

 笛先生は、クチビルが硬いですねえとひと言。フルート吹くには、クチビルが柔らかくないとダメですと更にひと言。そうなんだろうね。

 スポーツの世界では、硬い体も日々の柔軟運動でドンドン柔らかくなるわけだから、硬いクチビルも毎日笛吹いていたら、きっとそのうち柔らかくなるでしょう。そう信じて頑張ることにしました。そう思わないと、今すぐフルート辞めなきゃいけなくなるしサ。

 でもクチビルが柔らかい方がフルート向きなんだ…。だからフルート奏者は女性が多いのか? そりゃ男よりも女の方が絶対クチビル柔らかいよな、なにしろクチビルって筋肉の固まりだからナ。

 でも超一流のフルート奏者はたいてい男性なんだから、男であってもフルートが吹けないわけではないだろう。ひとまず頑張ろう。

 とにかく、まだまだクチビル周りには問題が山積みです。

 クチビルの固さと関係するのだろうが、私の息は太いそうです。もちろん、それではダメで、いくら体が太くても、息は細くスマートにしないといけません。あたかもストローを口に加えているかのような息遣いでないといけないそうです。

 だいたい私のように、フルートを吹いて苦しくなるのは、間違っているそうで、フルートはとても吹くのにラクな楽器だそうです、苦しくなるはずはないそうです。苦しくなるのは、どこかが間違っているからだそうです。そりゃそうだろうなあ、とは私も笛先生を見ているとそう思う。だって先生、本当にラクチンに吹いているもの。私の場合は、まだまだ色々なところに無駄な力が入っているんだろうと思います。

 歌だって、上達するほどに、歌うのがラクになってゆきます。きっと、この感覚が笛の世界にもあるんだろうなあと思います。

 前回は、練習不足のままレッスンに行ってしまいましたが、結局、第1課はもう一回ってことになりました。さあ、次回までには暗譜するほどに練習してくるか。

コメント

  1. すだれ より:

    > 高いオクターブほど、クチビルから出す息を細くし、かつ、速くするのだそうです。…
    > …笛先生は、クチビルが硬いですねえとひと言。

    ブログを読みました。
    これは難しい課題だと思いました。直感的に矛盾しています…息を鋭く細くするには、唇で息を締め付けないといけません。当然力が入るわけで、そうするとやわらかい唇ではなくなってしまうと思います。息を細くでも唇は柔らか。だとすると息の圧力が小さいとしか考えられません。でなければ私の頭では想像がつきません。

    私は竹の横笛やインディアンの笛を吹きます。↓
    http://oto.temiruya.com/

    「息は細いほどよい」というのはきっと竹笛にも当てはまるアドバイスのようで、参考になりました。

  2. すとん より:

    >すだれさん

     ブログ拝見しました(情報量が多くて、まだきちんとは読めてません、すみません)。私の心のツポにも近くてワクワクするブログですね。

     さて、クチビルは柔らかく、しかし息は細くて速い。この問題は両立するか?

     記事を書いている時には気づきませんでしたが、確かにおっしゃるとおり、理詰めで考えると、すだれさんのような答えになってしかるべきだと思います。

     ところが現実の演奏場面では、笛先生のクチビルはかなりリラックス&脱力(つまり柔らかい)してますし、息は(見えませんので推測ですが)細くて速いだろうなあと、聞こえる音からそう判断します。

     だから実際の演奏においては、矛盾はないんだろうと思います。

     実はこの時、笛先生は「フルートで高い音を出す時は、歌で高い声を出す時と同じ筋肉を使います」ともおっしゃいました。

     この発言については、自分の中でもう少し先生の言葉を咀嚼してから記事にしようと思っていたので、今回は書かなかったのですが、この辺の事も一緒に書いておくべきだったかな…と今頃思ってます。

     と言うのも、歌の世界の話なら、別段矛盾はないんです。というのも、息をコントロールするのは腰とか尻とか背中の筋肉ですし、クチビルの形はもちろんクチビル周辺の筋肉でコントロールするので、クチビルを柔らかい状態のまま、細く息を出しても、息そのものは腰や尻や背中の筋肉の力で出すので、クチビルの状態とは無関係に力強くも素早くも出せます。

     実際、私はまだまだフルートは下手くそですが、一応、腰や尻の筋肉使って(背中の筋肉を使うのはまだ苦手なんです)息を笛に送り込んでます。なので、音をタンギングではなく、その辺の筋肉で切ってますので、しばしば笛先生に叱られます(笑)。

     だって、舌の筋肉よりも腰の筋肉を使って息を切った方が楽なんだよね。

     以上書きました、これらの筋肉の使い方は、私の解釈であって、笛先生の真意がここにあるのかが、まだ私には分からないので、記事にできなかったのです。もう少しフルートの修行が進んできたら、再びこの問題に触れることになるだろうと思ってます。

     管楽器と息の支えに関する問題も、大切な論点の一つですからね。

  3. chiko より:

    やわらかいクチビルですね。
    高校の時に、「わあ、くちびるやわらかい!!」なんて、お互いにさわりあったりしていましたねえ(フルートパート限定)。
    市民吹奏楽団では、(フルートパートにも)男子もいたので、ちょっと色っぽかったです。テヘ!
    やわらかいクチビルがいいのは知っていましたけど、当たり前な感じでしたね。若かったからですかね。
    やわらかいクチビルは、柔軟性があると言うことでしょうか。

  4. すとん より:

    >chikoさん

     やわらかいクチビルの「やわらかい」って、もちろん「柔軟性がある」って意味もあるでしょうが、「脱力した」とか「無用な力みがない」の意味があるんじゃないかなあ…と思いたいです。

     と言うのも、今更私のクチビルが「柔軟性を得る」なんてことはないものね。でも「脱力」とか「力みがない」だったら、これから獲得する事ができるもの。

     少なくても、高音を出す際に、クチビルがブーって鳴らない程度のやわらかさは欲しいです(涙)。

    >高校の時に、「わあ、くちびるやわらかい!!」なんて、お互いにさわりあったりしていましたねえ(フルートパート限定)。

     これは「フルートをやるにはクチビルのやわらかさ必須」なのか「フルートをやっているとクチビルがやわらかくなるのか」のどちらかでしょうが、私は個人的に後者を希望します。

  5. すだれ より:

    ビニール袋に水を入れ、角を小さくはさみで切り落とすと、ちょろちょろと水が出ます。ビニール袋をぎゅうっと押さえると水がぴゅーっと勢いよく出ます。もっと強く押さえると…ビニール袋に開けた穴が裂けてしまうでしょう。

    小さな穴から勢いよく出る水は、穴を押し広げようとする力を発揮します。これは空気も同じです。息の流速を増すほど唇に力を入れて締めつけないと、息に負けて唇のすき間が広がってしまいます。そしてその分、息の流速は遅くなります。

    だから本人の自覚がどうであれ、高いオクターブを吹くときには唇に力が入るはずなんです。だからつまり、必要以上に力まない、という意味なのかなと考えたりします。とにかくこのへんは謎です。

  6. すとん より:

    >すだれさん

     すだれさんのビニール袋のたとえは、とても分かりやすくって納得しました。そうですね、本人の自覚はともかく、速い息はクチビルを広げようとするでしょうが、そこで細い息を維持しようとすれば…、はい。おっしゃるとおりです。

     私は笛先生ではないので、その真意が分かりません。また、同じ言葉であっても、その意味する内容は人それぞれですから(深く踏み込むと、ディスコミュニケーション論になってしまいます…笑)、私とすだれさんと笛先生で、使っている言葉は同じでも指し示す内容が違う事だってあるわけです。

    >だからつまり、必要以上に力まない、という意味なのかなと考えたりします

     私も謎ですが、このへんで手を打っときませんか? 私がもう少しフルートが上達したら、また何かお話ができるかもしれませんし。

  7. すだれ より:

    > 私がもう少しフルートが上達したら、また何かお話ができるかもしれませんし。

    そうですね。このへんの話のできる相手がいなくて、つい長文を書いてしまいました。まだなにも知らないうちからいろいろ考えを巡らせても仕方ないというところもあります。
    またそのうちおじゃまさせてくださいまし。
    ではでは

  8. すとん より:

    >すだれさん

     ありがとうございます。私はまだまだ笛の世界では、ヒヨコなので、聞きかじってはいるものの、まだ身体感覚にまで昇華しきれていな部分がかなりあります。だから、時々、変なことを言い出すかもしれません。そんな時はやさしく教えてください。

     いつの日か、笛も上達して、すだれさんと、みっちり濃いめの話ができるようになりたいと思います。見守っていてください。

     よろしくお願いします

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