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音痴は楽器に伝染する

 普通、フルートというものは、組み立てる際に、頭部管を胴部管の奥まで差し込んでから、3~5mmほどちょっと抜いて(引っ張って?)おくと、ちょうど正しい音程になるように作られています。

 普通はね…。

 チャイナ娘はその状態にして「ラ」を吹くと、チューナーは見事に「B♭」と表示します。オーマイガーッ! 半音も高いじゃん! このフルートはD♭管ですか?

 そこで、通常、せいぜい5mm抜くところを20mmほど抜くと、ちょうど「A」になるので、その状態で吹いていたら、笛先生に注意されました。そんなに頭部管を抜いてしまったら、「ラ」は当たっても、他の音に影響がありますよってね。

 そりゃまあ、そうだけどサ。チャイナ娘って音痴なんだよね。半音も高いのだよ。

 とグチっていると、笛先生が私からチャイナ娘を取り上げる。吹く。

 バッチ正しい音程!

 笛先生曰く、確かに安い楽器は音程が悪いけれど、そこは演奏者が工夫しないと…。

 そう言って、フルートを吹きながら、笛をグリグリまわすとおもしろいように音が上下する。笛をこっち(演奏者側)に廻すと音が低くなり、向こう側(客側)に廻すと高くなりました。このテクニックで半音程度の音程は簡単に変わるそうです。と言うか、実際に変わります。だから、フルートを吹いてみて、音がズレているなあと思ったら、頭部管を引っ張って抜くよりも、唇とフルートの位置関係を工夫して音程を調整しなさいとのこと。

 ふええ…、音感ないのに、殺生だよお…。

 とにかくチャイナ娘は(私にとっては)音が半音ほどうわずっているので、できるだけ息を歌口に対して、上から吹き込むようにしないさいと言われました。ただし、その時にフルートにかぶさってはいけませんとのこと。フルートと口をできるだけ離して、それで上から息を入れる。これはとても難しいので、すぐにはできないと思いますとまで言われた。私、チョー初心者なんですけど…。

 「上から息…」と意識しすぎて、フルートの上にかぶさって吹くと、フルートの音色が固くなってしまうそうです。できるだけフルートから離れて吹く方が音色のコントロールがしやすくなるそうです。へえ。

 できるだけフルートから離れて、でもかぶさらないで、上から、細くて速い息で吹く? それって、可能なんですか?…って、目の前で笛先生、実演してるし…。先生、うますぎ……。

 結局レッスンの時は、ピアノでチューニングしながらやったのですが、その状態では私はきちんと正しい音は出せませんでした。だって、難しいんだもん。今の私にはまるっきりムリ。それで半音高いまま吹き始めてしまいました。

 笛先生曰く、音程が違うのは気になるだろうけれど、だからと言ってそれにばかり気を取られては、肝心の練習ができなくなります。ひとまず音程については横において、たくさん吹いてくださいとのこと。ラジャー。

 レッスンを終えて、自宅で練習。チューナーで確認しながら、フルートを吹いてみました。管をこちらがわに廻していくと、段々音が低くなってきます。おお、いい感じに近づいてきたなあと思ってたら、上唇がフルートに当たりました。 ??? 歌口とキッス状態です。

 つまり、私の技術(?)では、管を廻す程度の調整では、チャイナ娘は正しい音程にはならないというわけだ。

 ええ、そうですとも、思いっきり抜きましたよ、頭部管。ザクッと20mmほど。だって、なんか気持ち悪いだもん、微妙に音程の違う楽器ってサ。

 でも、先生のおっしゃるとおり、「ラ」を合わせても、他の音はやっぱり音痴。一音一音管をあっちへこっちへとグリグリ廻しながら吹いてます。

 ううむ、フルートって、みんなそんなもの? それともチャイナ娘は特別なの? 笛先生は音程よりもキレイな音を出すことに心を砕きなさいというものの、音階が変だと気持ちわるいよ、ほんと。

 音痴な私が吹くと見事なくらい音痴な笛になるチャイナ娘ですが、どうも構造的に多かれ少なかれフルートって奴は音痴というか、音程に幅のある楽器のようです。「ド」の指遣いであっても「ド」は出ずに、「ソ」の指遣いであっても「ソ」は出ない!? 常に奏者による演奏中の微調整が必要。そういう意味では、演奏者の音痴が伝染する楽器です。楽器初心者には薦められない楽器だなあ…微妙だ。[2008年6月19日追記 フルートは確かに音程の調整が比較的容易な楽器ですが、基本的には簡単に正しい音程が出せる楽器のようです。コメント欄を参照してください]

 せめて伴奏楽器(ピアノとか)があれば、それを頼りに音程の微調整も可能だけれど、家で一人でアルテをやっていても、音痴のまんま。一応、チューナーはつけっぱなしにしてやっているけれど、音は目で確認するよりも、耳で確認しないと、音楽にならない。どうしよう…。何かいい方法はないだろうか…。ううむ、困った。

 音感の無さがここで足を引っ張ろうとは…。し・ん・こ・く…だよ、この問題。音痴が楽器に伝染するとは…思ってもみなかったです、はい。

コメント

  1. めいぷる より:

    ちょっと前の記事にも関連するけど、
    概ね、音程のしっかりしたある程度の楽器で練習する方が上達しやすいんですよ。
    フルートと言う楽器はダブルリードとかに比べて音は出し易いし、「ど」を吹けば概ね許容範囲の「ど」が出ます。 おそらく、ピアノの次に簡単に「目的音」が出せる楽器だろう…との事です。
    (音質云々は抜きにして)

    先ずは正しい奏法や音色、、最後に音程を気にすれば、、、という位に楽な筈なんですよ。ちなみに、初心者がダブルリード楽器を吹くと「どの運指でも同じ音が出ます」という事があります。(笑)

    正しい奏法で吹けば、チューナーのグリーンランプは点きっぱなしになります。それでもずれるのが楽器の癖なので、そこに気を使ったり、アンサンブル時に音の役割によって音程を微調整したりするので。最初は余計な事(本当は大事なんだけど)に気を使わなくて済む楽器のほうが良い訳なんですね。

    高ければ良い…という事はありませんが、音楽室に置き去りにされていて調整もしていない様な楽器を初心者が吹くのは、ちょっとリスクがあるかもしれませんね。

  2. すとん より:

    >めいぷるさん

     ありがとうございます。ふーん、フルートって、本当は音程のしっかりした楽器なんだ。フルートという楽器が音痴なのではなく、私の持っているチャイナ娘が音痴なのね。了解。本文の方にコメント欄を見るように追記しておきます。

     チューナーのグリーンランプですか? そう言えば、チャイナ娘を吹いていて見たことないなあ…。たいてい、上が下のどちらかにズレてしまいます。そういう意味では音痴な笛です。ズレるたびに、こっちへグリグリ、あっちへグリグリ回してます。

     新しい楽器を買った方がいいのかな? でも、笛先生はしばらくはチャイナ娘でがんばってゆきましょうと言ってますので、買いにいけないなあ…。それに今一人で楽器屋に行ったら、何を買わされるか分かんないし。

     でも、次のレッスンに行ったら、音程の件も含めて、先生に相談してみよう。

  3. tico より:

    >笛先生曰く、音程が違うのは気になるだろうけれど、だからと言ってそれにばかり気を取られては、肝心の練習ができなくなります。ひとまず音程については横において、たくさん吹いてくださいとのこと。

    と、書いておられるように、教える側は全般的なこと、今何が必要かを考えていますので、先生のおっしゃることに従っていく方がいいと思います。まず指が動くこと、音がとりあえず出ることなど課題は色々あると思います。音楽は止まることが一番練習になりませんので、集中して最後まで吹ききる精神力も必要ですしね。

    私の生徒さん(おじさん)は習いに来た時から毎週くらい、「いい音が出ない」って言ってます。「いい音を出す」というのは音を出すという意味だけではない深い問題なので、いい音を出したかったら何年も真剣に練習してほしいです。やっぱり「いい音のことは考えないで」と言ってしまいました。勿論その方向で教えるのですが、ノウハウではないのです。割と真面目に言った通りに練習してくださってるので、いつの日にか「いい音」が出るようになると思います。

    「弘法筆を選ばず」とも言います。最高の音楽をする為には選びますが、どんな楽器でもそこそこの音を出せるもんなんです。その力がつくまでには時間かかりますけどね。

  4. すとん より:

    >ticoさん

     ticoさんのコメントを読んで、少し心が上向きになってきました、感謝です。

     私、昨日まで、フルートって音程調節の難しい楽器だと思っていたので、正しい音程を作る練習に躍起になっていたのですが、実はそれは楽器を買い買えれば済む問題だと知り、それまでの苦労が(と言っても、たかだか一週間程度の苦労ですが…)全くの徒労と分かり、その反動でしょうか、一気にフルート熱が冷めました。(と言っても、めいぷるさんのコメントのせいではなく、あくまで私の中の何かがなくなったって感じです)

     フルートなんか、辞めちゃてやる~、って感じ? 私には歌があるんだから、笛なんぞ吹けなくても、かまやしねぇ! とか?

     なにしろ、楽器を買い換えれば済む問題であっても、今の私は、フルートを買換えに楽器屋に行ったところで、店をもうけさせるだけで、ちゃんとした買い物はできない事くらい分かります。つまり実質的には楽器の買換えは不可なので、だったら音痴な楽器で練習するくらいなら、いっそフルート辞めちゃった方がいいのサ! と、ちょっぴりやさぐれてました(笑)。

    >教える側は全般的なこと、今何が必要かを考えていますので、先生のおっしゃることに従っていく方がいいと思います。

     全くその通りですね、先生だって、チャイナ娘の音痴さは十分分かっていて、それでおっしゃっているんだから、音痴な部分は気にしてはいけないんだ。買い換えれば済む問題であっても、今はあえて買い換えない、この音痴な娘と徹底的に付き合う。その気構えがないとダメなんだろうなあ。それに音痴な笛と戦った経験は将来、絶対役に立つ(?)よね…。そう思って練習に励もうと思いました。

    >私の生徒さん(おじさん)は習いに来た時から毎週くらい、「いい音が出ない」って言ってます。

     まるで私みたい(笑)。もっとも口に出してはいませんが、いつもいつも「いい音が出ない…」と心の中でブツブツつぶやいてます。特に先生と一緒にいると、その笛の音の違いに、ほんとのホントに嫌になります。違っていて当然なんですが、でもあまり違いすぎると、悲しくなるものです。

     なんか、文章が荒れてますが、まだ心かちょっとササくれているので、勘弁してください。

  5. tico より:

    今はしんどいと思いますが、すとんさんはすぐに躍起になる性格のようですから、押さえて、押さえて、ネ。ぼーっとがんばる!音程の話では高い音を出す時は「お茶を冷ます時みたいな細い息」低い音を出す時は「冷たい手を暖める時みたいにゆるい息」。そして音が上がったり下がったり徐々に変わる間に息も少しずつ変化します。同じ息で吹いていると音程が取れません。

    上等の楽器を使うと上手になるというのは本当なんですが、少しなんかある程度演奏できる頃でないと、効果てきめんというわけには行きませんから、高い楽器を買っても「うまくならね~~や!」なんて怒ってしまう結果になりかねません。そうなるとかなり損した気分ですしね。
    ボチボチやってくださいませ~。何かの役に立つかどうかは、まあ、5年か10年先にひょこっと思うかもしれませんね。とにかく続けて損はなしです。自分のがんばりがいじらしくなりますよ。誰も自分の苦労はわかってくれなくても、「オマエハヨクガンバッタナア!」なんていつの日か泣けてきたりしてね~!(これ、私に向けて言ってます。みんな練習中はしんどいですもんね。)

  6. すとん より:

    >ticoさん

    >すとんさんはすぐに躍起になる性格のようですから、押さえて、押さえて、ネ

     ははは、本来の性格は、地味に努力を積み上げていけるタイプなんですが、最近、リアルな生活の中で、色々とストレス溜め込む事が多いので、少しばかり感情の浮き沈みが激しくなっているかな?

     だいたいストレス解消のために音楽やっているのに、音楽でストレス溜め込んでいたら、ダメでしょ>自分。

     もしかすると、今の私のマイブームは「音程」なのかもしれない。歌でもそうだし、笛でも、音程が気になって仕方がない。もっとも歌は「音程気にしすぎ」って事で、発声練習禁止令が出てしまったし、笛は、チャイナ娘は音痴!って、神経質になりすぎました。まあ、以前の私は音程に無頓着すぎた嫌いはありますが…。

    >ボチボチやってくださいませ~。

     はーい、ボチボチやらせていただきまーす。

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