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ロイヤル・オペラのライブ・シネマ・シーズン『蝶々夫人』を見てきました

 オペラのライブビューイング(という名の映画上映)は、今までアメリカのメトロポリタン歌劇場と、フランスのパリ・オペラ座のものを見てきましたが、今回新しく、イギリスのロイヤル・オペラ(昔は、コヴェント・ガーデンと呼んでいた歌劇場です)のライブビューイングを見てきました。

 オペラの映画上映のスタイルは、ロイヤル・オペラでは“ライブビューイング”と呼ばずに“ライブ・シネマ”と呼んでいるようです(差別化ですね)。

 実は、ロイヤル・オペラのライブビューイングは、以前から日本で上映されていました。昨年までは、イオン系の映画館でやっていました。その事自体は知っていたのですが、上映期間が、木曜日の夜にたった一回きりの上映…というスタイルだったので、私は見に行けなかったのですよ。だって、いくら夜の遅い時間とは言え、仕事が終わってから、遠方の映画館(近所ではやってなかったんです)出掛けるんじゃ開始時間には間に合わないし、翌日もあるから、平日にオペラ見ちゃうと寝不足で翌日仕事にならないし…ね。なので、面白い演目がやっている事は知っていましたが、見に行けなかったのですよ。

 おそらく契約の問題なんでしょうが、今年からロイヤル・オペラは、イオン系ではなく東宝系の映画館で上映する事になり、さらに木曜の夜一回切りの上映ではなく、メトやオペラ座同様、一週間の連続上映になったわけです。よかったよかった。

 そもそも東宝系では、これまでパリオペラ座のライブビューイングをやっていたのですが、それも一昨年までで、昨年はオペラ座のライブビューイングは、日本では無かったんですよね。ですから、イオン系では今までやっていたオペラ上映を止めて、東宝系ではパリ・オペラ座からロイヤル・オペラに乗り換えた…形になったわけです。

 で、ロイヤル・オペラのライブビューイングです。なかなか見に行くチャンスがなくて、ようやく見に行けたのが(日本では)今シーズン最後のオペラとなる『蝶々夫人』だったわけです(イギリスでの今シーズン最後のオペラは、カウフマンの『オテロ』ですが、日本では…東宝の契約が継続するなら…来シーズンのオープニングとして上映されるようです)。

 メトとオペラ座もかなり違いましたが、ロイヤル・オペラもだいぶ違って面白かったですよ。

 まずはスタッフと出演者は以下の通りです。

指揮 アントニオ・パッパーノ
蝶々夫人 エルモネラ・ヤホ
ピンカートン マルチェロ・プエンテ
シャープレス スコット・ヘンドリックス
スズキ エリザベス・デ・ション

 歌手の皆さんは…ごめん、誰も知らない。でも、歌唱に不足はなかったです。今の時代、歌手も上手い人達が増えてますから、私ごときが知らなくても、素晴らしい歌手は山のようにいるって事です。ってか、音楽としては、歌手のみならず、指揮もオーケストラも合唱も、高水準の演奏で、とても素晴らしかったですよ。

 例によって、問題は…演出ですね。『蝶々夫人』は、なまじ日本を舞台にしているだけあって、我々日本人が見ると、常にあれこれ問題を感じる演出ばかりなんです。で、ロイヤル・オペラの今回の演出も…日本人目線で見ると、あれこれ腑に落ちない事だらけの演出でした。

 衣装が和風と言うよりも、中華風に沖縄風味を混ぜたような感じだったけれど、まあ良いでしょう。障子が左右ではなく、上下に可動するのも演出と考えましょう。床が畳ではなく、フローリングなのも許します。

 でも、許せないほど気になったのは、主役の蝶々さんのメイクです。これ、絶対におかしいです。まあ、彼らイギリス人から見た日本の芸者さんって、こう見えるのかもしれないけれど、ほぼ“バケモノ”になってました。色々おかしい蝶々さんを見てきた私ですが、今回の蝶々さんのおかしさは、たぶん群を抜きます。いわゆる“花魁”をイメージした白塗りメイクなんでしょうが、実にあれこれ違っていて、おかしいと言うよりも、醜悪なんです。見るに堪えない…歌唱が良いだけに、実に残念です。

 蝶々さんを演じた歌手のヤホの名誉のために書き添えておくと、彼女は決して不美人ではありません。スタイルも良いし、リハーサルシーンを見る限り、容貌もおそらくは並以上だと思われます。要は、メイクがダメなんです。彼女の顔に、あのメイクは合わないのです。

 ただし、いわゆる白塗りのメイクが全くダメかと言うと、そうでもなく、ヤマドリ氏のメイクはむしろカッコよくて、惚れ惚れしました。いわゆる“歌舞伎”のメイクなんですが、これは衣装とあいまってカッコよく決まっていました。ヤマドリ氏に限らず、男性の白塗りメイクはまあまあ見れる感じだったのが、蝶々さんに限らず、概ね女性の白塗りメイクが全滅だったのは…一体なぜだったのでしょうか?

 舞台の前に行われていた、女優さんによる解説は、メトとは違って、お勉強風味が強くて、これはこれで楽しめました。動くプッチーニ(当時の映像です)がたくさん見れたのは興味深かったです。

 今回は、蝶々さんのメイクにドン引きしちゃった私ですが、メイク以外には及第点を与えたいと思います。今後も日本で上映してくれるのなら、私、メト同様、ロイヤル・オペラにも通ってみたいと思ってます。それくらい、良かったんだよ。

 ちなみに、来シーズンの上映予定の演目は…オテロ、魔笛、ボエーム、リゴレット、トスカ、カルメン、マクベス、マノン、なんです。わりと定番の演目が並んでますよね。楽しみです。

蛇足 ロイヤル・オペラは、パリオペラ座同様、オペラだけでなく、バレエのライブビューイングも行っています。来シーズンでは『くるみ割り人形』や『白鳥の湖』などをやるようですが、私はバレエが分からないので、そこには興味が惹かれません。

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