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練習は無理強いするべきなのか?

 よく話題になるのが『ピアノを習っている子が全く練習しない』ってのがあります。これはある意味、自然な姿であって、自分から率先してピアノの練習をする子は、本当にピアノが大好きなのか、ピアノしか楽しみがない子なのか、あるいは親の顔色をうかがえるだけの知恵のある子なのか、ただの変人なのか…まあ、そんなところでしょう。

 今の世には娯楽がたくさんあります。一方、時間には限りがあるわけで、今時の子どもたちは結構忙しい毎日を過ごしているわけで、自由に過ごせる時間なんて、案外少ないわけです。その少ない時間に、ピアノの練習をしないといけないと分かっていても、ついついテレビ見たり、マンガを読んだり、友達と無駄話をしたり…なんて、しょーもない事に時間を使ってしまうのが、普通の健全な子どもなんです。だから、ピアノを習っているのに練習しない子がいても、それはピアノがキライというわけではなくて、ただ優先順位的にどうしてもピアノの練習が後回しになってしまい、練習がなおざりになってしまうというだけの話で、これは普通にあるわけです。

 でも、親としては、それはダメですよね。月謝払ってピアノ習わせているのに、練習をちっともしなかったら、なんか月謝がもったいないような気がするし、第一、母親ってのは子育てに真面目な方も多くて、そんな我が子のちゃらんぽらんな姿を見ていると、言い知れない怒りがフツフツと湧いてくるようです。

 で、怒り心頭し、子に練習を無理強いしてしまうわけです。

 子どもにも色々なタイプの子がいます。言われて始めて気がついて「ああ、そうだ。私はピアノの練習をしなければいけないんだっけ」と思い出して、いそいそと練習を始めるタイプの子もいるでしょう。そういう子に練習をしなければいけないと伝える事は必要な事です。でもね、単純に、優先順位の問題でピアノが後回しになっている子に対して、練習を無理強いすると言うのは、要するに、その子の優先順位を強制的に変更させる事であって、そんな事が度重なれば、子どもの中に不満やストレスが溜まっていきます。

 直接的に反抗的な態度に出る子もいるでしょうし、面従腹背な子もいるでしょう。どちらにせよ、ピアノを習っているために嫌な思いをするわけですから、強制的に練習をさせ続けていたら、やがてピアノ嫌いな子になるだけです。それじゃあ、本末転倒です。

 要は“強制”とか“強いる”とかがダメなわけで、練習そのものを子にさせる事は、ピアノを学んでいる以上、必要だし大切だと思います。

 ではどうするべきか? 待っているだけじゃ、子どもって絶対に練習を始めません。

 一つの方法として、生活の中に練習を組み込むのは、いかがでしょうか? 例えば、学校から帰ってきたら、まずはピアノの練習をして、次に宿題をして、それから遊びの時間が始まるとか…、ピアノの練習をしてからオヤツにするとか…、毎日午後5時になったら必ずピアノの練習をするとか…。ピアノの練習をそういう生活習慣の中に組み込むというのはいかがでしょうか?

 あるいは、子どもが遊びで夢中になっていてピアノの練習を始めないなら、親が楽しくピアノを弾き始めてしまうというのはいかがでしょうか? 特に幼い子どもは、オトナが楽しげにしていると、それ自体に興味を持ってやってきますから、やってきたところでピアノの練習を始めるという手もあります。

 それでもピアノの練習をしてくれない子もいるでしょう。そんな子を見ると、親もイライラしますが、ピアノの練習って、毎日しないといけないのでしょうか? 別に職業ピアニストになるわけじゃないのなら、毎日練習しなくても大丈夫でしょ? もちろん、練習しなければ上達しません。これは仕方がないです。ピアノのレッスンは、その子のペースで行うしかないと思いますよ。

 普通の子なら、ずっとずっと練習をしないままって事は、たぶん無いと思います。子どもにも良心がありますから、あまり練習をサボっていると、なんか悪い気がしてきて、そのうちに練習を始めるものです。それでも一向に練習をしないのなら…ピアノが向いていない子なのかもしれません。それはそれでまた別の問題ですね。

 とにかく、子どもに練習を無理強いしても、良い事は一つもありませんから、無理強いはするべきではないと思います。

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コメント

  1. しるべ より:

    はじめまして、しるべと申します。
    わたしは教会音楽を専門に仕事をしていますが、ちょっと検索していたらヒットして、それから時々のぞかせていただいています。

    しるべも幼い時、そして大学卒業しても練習嫌いでした(^-^;
    でも、オトナになって色々苦しい道に迷いこんた時、まぁ、32歳でしたが、それからやっぱり本当に音楽を真剣にやりたいと思ったのでした。
    しるべの長女もそうでした。
    今はプロの声楽家として二人の幼い子を育てながらもがんばってますが、それまで迷って、迷って、道を外れて・・・結局たどりついたのは、やっぱり音楽でした。

    何が言いたいかというと、やっぱりほとんどの子どもは練習は嫌いなのですよ。
    でも、とにかく中学3年生までは「義務教育」だから、ぜったいに生活の中で練習はし続けなくてはいけない!と確信して育てること、そう思って今は孫にピアノ教えています(*´v`)

    人生の苦しい時に、音楽があるって、やっぱり素敵だし、救われますよね~

  2. すとん より:

    しるべさん、いらっしゃいませ。

     しるべさんは、きっと真面目な方なんだなって思います。で、しるべさんのお嬢さんもお孫さんも、そんなしるべさんの血をひいて真面目なんだろうなあ…って思います。私も基本的に真面目な人間だから、しるべさんが書かれている事に、とても共感しますが、世の中の人って、ほとんどが不真面目でいい加減なんですわ(笑)。そりゃあもう、めまいがするくらいにいい加減な人がザクザクといます。私は、いわば、そういう世間一般の人たちを念頭に置いて記事を書いている部分があります。

     私が、練習は無理強いするべきではないと考える理由の一つに、練習の効果を考えているからです。同じ時間同じ練習をするとしても、その練習を楽しんで行ったり、理解して行っているのなら、練習も身につきますが、イヤイヤやっていたり、頭を空っぽにしてやっていたら、ほとんど身につきません。練習が身につかないどころか、人生の浪費をしてしまう事になりかねないので、練習は無理強いをするのではなく、子どもがその気になって練習をしてくれるように導きましょう。何度導いてもその気にならないなら…という話は、また明日するつもりです。

  3. shirousagi より:

    前回、そして今回の記事を読んで ああ、わかってくれる人がいる!と嬉しくなりました。
    私はピアノを教えていますが 生徒さんは主に初心者の子供です。 親御さんは子供は自発的に練習してくれるものだと思い込んでいたり、叱って強制して練習させればいい、と思っていたり、で そうでないことを理解してもらうのに骨が折れます。
    そして・・練習をする子が必ずしもピアノ好きな子ではないんですよね・・特に小さな子は。
    こちらは教える側なので ある意味、本音ではピアノの生徒さんはお客さんなので よほどの事がない限り「あなたには才能がないから 時間の無駄。ピアノをやめなさい」とは言いませんが お金を払ってレッスンを受けてくれる以上は 今はピアノが上手くならなくても 将来 今やっている事が役に立つ、将来大人になってピアノが弾きたくなった時に レッスンにつかなくてもある程度は弾けるようになってくれればいいなあ・・と思っています・・が、まあ、お金と時間の無駄だなあ、と感じる事もよくあります。 やめるように言おうか・・と悩む日々です。

  4. すとん より:

    shirousagiさん

     いやいやいやいや。親とピアノ教師は立場が違いますから。親の立場なら、子どもの才能を見つけて磨くために、ピアノに才能がないと分かれば、さっさとピアノを切って、次に行くべきですが、ピアノ教師は親御さんから大切なお子さんを預かっているわけですから、才能がなくても…からっきしダメダメな子でも…求められている以上、お相手しないといけないと思います。それが仕事ってやつだと思います。

     もちろん、上達の見込みの無い子に教えるのは、徒労でしょうが、別にピアニストを目指すのでなければ、基礎をガチガチにやる必要もないわけで、その子が喜ぶような事を教えてあげるといいのだと思います。それが音遊びであるかもしれないし、流行歌をカッコよく簡単に弾けるようになることかもしれないし、発表会で親を喜ばせるための練習であってもいいじゃないですか? 顧客の多様なニーズに応えるのがプロってもんでっせ。

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