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発表会の話 その2

 本番に備えて衣装に着替えた…のですが、今回は関内ホールと言っても、小ホールの方であるという事と、古いホールという事もあるのか、設備があまり十分ではないのですね。

 舞台と舞台袖がカーテン一枚で仕切られています。今時のホールなら、舞台はしっかり壁兼反響板で囲われて、舞台袖との間にはドアがあって、舞台袖の物音が舞台に漏れにくいようになっているのですが…ここはカーテン一枚だから、光や物音がすべて筒抜けです。おまけに、カーテンの隙間から出入りするのですが、その境目が客席から丸見えというもの、なんかちょっと悲しいです。

 さらに舞台袖から楽屋入り口まで、扉も何もないまま、割と近い距離でつながっていますので、楽屋にいても舞台の音がよく聞こえます。舞台の物音が聞こえるのは、楽屋で控えている分には便利ですが、楽屋の物音も舞台や客席に聞こえると思うと…なんか落ち着きません。

 さらに言うと、ここは楽屋が1つしかなくて、当然、男女兼用です。一応、アコーディオンカーテンが真ん中にあって、着替えの時などは、それを閉めて部屋を半分に分けて使うわけです。問題は、楽屋が1つしか無かったため、先生方用の楽屋が確保されなかった事で、先生方には゛あれこれ使い勝手が、よろしく無かっただろうなあという事です。狭い部屋でも良いので、もう1つ2つ楽屋があると良いですねえ。地元の市民会館の小ホールでも、楽屋は大部屋1つと、小部屋が2つあって、すぐそばには会議室もいくつかあって、それらも楽屋として使える体裁になっています。

 さて、本番間近で着替えも終えた私は、録音機をセットに客席に行きました。舞台袖のすぐ近くの隅の座席に録音機をセットしました。今回は私も舞台に出ている時間も多いし、あれこれ忙しいので、録音機は始まる前にスタートさせ、そのまま発表会を丸々録音して、終わってから回収するようにしました。録音機材は隅っこに設置したので、舞台からは少々遠いし、方向的にも良くないので、しっかりマイクを舞台正面に向けるなど、細かな作業もしたんですよ。

 で、録音機を設置して、そのまま最初は客席で他の人達の演奏を聞きました。皆さん、衣装も歌も立派で感服いたしました。妻の最初のソロ曲まで客席で歌を聞いて、舞台袖に下がりました。一応、自分の出番に備えるためです。

 一度、楽屋に下がって、細々とした準備を終え、歌詞の再確認をして、ちょうど妻の2曲目の出番のところで、舞台袖に行って、彼女の歌を聞きながら控えていました。午前中に、ゲネプロをしていたので、もうこのまま本番しなくてもいいかな…ぐらいに、もう気分的には満足しておりました…が、そういうわけにもいかないので、諦めて歌うことにしました(笑)。一応、カラダが固くならないように、体操などをしながら控えていました。

 やがて私の出番になりましたので、スっと舞台に出て、音楽の神様にお祈りをしてから歌い出しました。特に気負いなどはありませんし、大きな不安もありません。何より、ゲネプロの歌唱は最高だったから、あのくらい歌えば御の字だもの…と安心していたのがいけなかったですね。人間は常にハングリーでなければいけませんし、ピークは本番に持ってこないといけないわけです。

 とりあえず歌い切りました。本人的には4箇所ほどダメです。まあ、厳しい目で見れば、4箇所どころの騒ぎではないと思います。でもまあ、ダメなところもあったけれど、それ以上に良かったところもあると思うので、全体的にはOKという事にしておきます。別に商品ではありませんから、完璧に仕上がっていなくても勘弁です。もしも、100点満点の歌が歌えるなら、私、プロデビューしてますから(笑)。あくまでも比較対象は、世界の一流オペラ歌手の皆さんではなく、昨年の私自身ですからね。昨年の私よりも、良い出来の歌が歌えていたなら、それで万々歳ですって。

 それにしても、返す返す悔しいのは、ゲネプロの歌唱がほぼ100点に近い歌唱だった事。ああ、あの時の歌が本番で歌えたならばなあ…。

 というわけで、当日の音源です。

 録音は、後半部分の声が音割れをしています。これは別に私の声が割れたのでなくて、いわゆる過入力って奴で、録音機が録音しきれていないんですね。オペラ歌手の歌声の録音って、難しいらしいんですよね。一応、録音機自体は、自動入力レベル制御にしていますので、音割れなんて、普通はしないはずなんですが、機械的には想定外の音量だったんでしょうね…。どんだけ、大きな声を出しているんだ、私は!

 なので、録音では分かりづらいですが、私の声、この一年で格段に良くなっているんですよ。とにかく今回は、色々な方に声を誉めていただきました。社交辞令でしょうが「中音域が安定してきた」「音色が深くなってきた」「次の課題はパッサージョから上の音だね」とか。さらに「瞬間的に神の声が出てました」とまで言ってくださった方もいましたが、まあ…瞬間なんです。あくまでも良い声が出たのは、瞬間なんですね。良い声がずっと出せるようになったなら、そりゃあプロデビューした方が良いしね。

 録音では声の良し悪しは分かりませんから、私の、この高揚感は分かりづらいでしょうが、それでもいいのです。会場で私の歌を聞いた方が分かってくれれば、それでいいやと思ってます。とにかく、去年よりもだいぶ上達しているという確信が得られました。

 さあ、次はボエームだ。

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コメント

  1. おぷー より:

    またまたお上手になられてますよ。
    音程がかなり安定してきてます。(高音で支えがなくなって、音が不安定になるのが惜しい!)
    高音で力まなければ、ちゃんと出ると思います。
    合唱の高音みたいに飛ばす感じでいいんじゃないかな。
    フォルテにしようとするとこけますよ。

  2. すとん より:

    おぷーさん

     アドヴァイス、ありがとうございます。

     高音の力みは、いけない事だと分かっちゃいるのに、ついついやっちゃいます。ほんと、困ったモンです。地道に日々の練習で力を抜いて高音を出すことをカラダに覚えこませないといけませんね。これが今後の大きな課題になってくると思います。

    >フォルテにしようとするとこけますよ。

     高音を発声しようとするとフォルテになってしまうのは、まだまだノドで歌っているから…ではないかと思ってます。分かっていても、なかなか改善しません。困った事です。

     でも、今後も頑張っていきます。いずれは、安心して聞いてもらえるような歌を歌える人になりたいと思ってますから。

  3. 椎茸 より:

    前半は、高音がフワっとした感じで、気持ち良かったです。音程の取りづらそうな曲ですが、音程もしっかりされていると思いました。後半は疲れが出て来ましたでしょうか。おつかれさまでした。

  4. すとん より:

    椎茸さん

     疲れもあると思いますが、やはりメンタルの弱さが出てきたんだと思います。後半は、高い音があるので、ついつい覚悟を決めて、気張っちゃったんですね。本当は平常心で歌わないといけないのに、ついつい、エイヤーとやってしまったのです。ほんと、メンタルが弱いんですよ、私。

     だからこそ、場数を踏んで、このメンタルをなんとかしようと思っているのですが…。

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