話は6日の午後2時半あたりからです。
ブラレイ先生とコレギウム・ヴォカーレのコンサートで、幸せ気分満喫の私たちは、グラーベン広場に向かったところ、ブラレイ先生のサイン会やらコレギウム・ヴォカーレのサプライズコンサートとぶつかり、思わず心がよろめいてしまったものの、初心貫徹、青島広志氏のピアノミニコンサートに行きました。そう、先日、雑踏の中で思わず振り向かせて意味不明な行動で応答してしまった(ホント、申し訳ない)、あの青島広志氏のミニコンサートです。
さあ、グラーベン広場の一番奥へと、雑踏くぐり抜けて、参ろうではないか!
青島広志ピアノミニコンサート
そう、半券無料のプログラムにも色々あります。ラ・フォル・ジュルネの主催者側が用意してくれたプログラムもおもしろいのですが、協賛している企業がやってるイベントにもなかなかおもしろいものがあります。この青島広志氏のコンサートも実はそんな企業がやっているプログラムです。
グラーベン広場の中に数社が出展していますが、その中の一つである旅行会社のH.I.S.が、自分たちのブースで行なったイベントがこれ。なぜ旅行会社が音楽祭に協賛しているのかは、私には分かりませんが、企業イベントなので、場所も狭く、そのため演奏者とお客さんの距離が近い近い。そんなところもいい感じです。
お茶の間の人気者(表現が古くてすいません)のコンサートなので、混雑が予想されるます。そこで少し早めにブースに行きました。すでに座席はいっぱいでしたが、立ち見のいい場所がとれました。舞台まで約5メートルだよ。すごく近くだ。
時はまさにグラーベン広場の中央舞台で無料コンサートの真っ最中。東京トルヴェーレという女声合唱団がすごいボリュームで達者な演奏をしてました。すっごいなあと思って聴いていたら、どうやらPAが入っているようす。そりゃあそうだよね。もしあの会場で、女声合唱団がPAなしだったら、結構キビしいよね。
グラーベン広場のコンサートが終わると人が移動して、あっと言う間にこっちも人だかり。早めに来てよかった。
そうこうしているうちに青島氏登場。ピアノを弾きすぎて指が『ひょうそう(爪周辺炎)』のようになってしまいましたと言いながら、指にしていた絆創膏を剥がしてピアノを弾いてくれました。さすがのプロ根性なのですが、ちょっと痛々しくて可哀相。痛む指で、まずは「キラキラ星変奏曲」を。指にアクシデントがあるので、演奏の方は完璧とは言えなかったけれど、それでもさすがはプロ。リズムとメロディは決して落とさなかったよ、それってすごいな、尊敬します。
軽快なおしゃべりを交えて、二曲目からはヴァイオリニストの高畑氏登場。ベートーヴェンの「ロマンスヘ長調」とクライスラーの「美しきロスマリン」を演奏。目の前でヴァイオリンとピアノのデュオだよ、いいね、H.I.S.。私は海外旅行はしない人だから、世話になることはないだろうけれど、この会社の名前はしっかり覚えちゃいました。こういう宣伝はなかなか上手な宣伝だと思います。
最後はシューベルト。「ヴァイオリンのためのソナチネニ長調」という曲を全曲やってくれましたが…実は私は終楽章の途中で泣く泣く退場。楽しいプログラムで最後まで聴いていたかったのですが、次のプログラム…オーボエの体験レッスンの予定が入っているのです。人ごみをかき分けながら、会場を後にし、島村楽器に向かった私です。
オーボエ・レッスン
実は先日のフルート・レッスンに味をしめ、完全に冷やかしモードでオーボエの体験レッスンを受けてみました。だってオーボエに触ってみたかったんだもん。先生は小犬のような風貌のかわいい感じのお嬢さん先生でした。
例によって防音室に入ってレッスンです。オーボエを組み立ててみました。オーボエって(当たり前ですが)木製です。黒檀でできているそうです。メーカーはヤマハでした。後で知ったのですが、オーボエ界ではヤマハはトップメーカーなんですって、意外ですね。組み立ててみると、見た目よりずっと軽い。紙細工のように軽い。もちろん比較対象はマイフルートなんですが(どんだけ重いんだい、我が愛器!)。
楽器を組み立てたところで、持ち方を教わりました。キーがたくさんあって複雑そうですが、リコーダーと本質的には変わらず、親しみやすいです。
次にマウスピースの説明。(おそらく)先生お手製のマウスピース登場。「これは本当は自分で作るんですよ」と未加工のリードとリードにすらなっていない葦の枝切れを見せてくれました。この葦の枝切れを自分で削ってリードにして、このリードをさらに細工してマウスピースにするのだそうだ。結構大変じゃん、オーボエ。本来はこのマウスピース作成からレッスンは始まるのだろうけれど、今日は体験なので、先生から借りて演奏です。
マウスピースを楽器に差し込んでいよいよ音出し。マウスピースのくわえ方をレクチャーしてもらいました。注意点はくれぐれもマウスピースを噛んではいけませんとのこと。しっかり歯を唇で覆って優しくマウスピースを加えて息を吹き込んでくださいとのこと。そりゃあ、手間暇かけて作ったマウスピース、生徒さんがカジってダメにしたら悲しいよね。
「シが出しやすいです」と先生がまずはお手本でブー。いい音です。
「ではやってみましょう」との合図で、私もブー。先生が意外な顔をして「オーボエ、やったことありますか?」と質問してくる。「今日、生まれて始めて触りました(ほんと)」と答えました。なんでもオーボエって、音を出すのに苦労する楽器なんだそうですが、私はそこを難なく自然体でクリア。たぶん先生が作ってくれたマウスピースが、初心者でも音を出しやすく作られていただけだと思います。それとも私にオーボエの才能が満ちあふれているとか?
冗談はともかく(笑)、音階を教わる。音はラクラク出るし、キー操作はフルートでおなじみだし、基本の指遣いはリコーダーと一緒だから、当然すぐマスター。気分はもう、のだめの黒木くんです。
「ではさっそく曲に行ってみましょう」と言って出てきたのは、先日も拝見したフランス民謡の「月の光」。「この曲はご存じですか」との質問に「はい、知ってます」と返事。そりゃそうだ、一昨日吹いたばかりだよ。「では吹いてみてください」とおっしゃるので、さらっと全曲演奏。うっかりオクターブキーに触れてしまったハプニングもあって、時々素っ頓狂な音も出したけれど、止まらずに初見演奏終了。
「タンギングって分かりますか?」と言って、オーボエのタンギングのやり方を教わる。当然だけど、フルートのタンギングとは違うし、リコーダーのそれともちょっと違う。
「では、タンギングに注意しながら、もう一回演奏してみましょう」 やってみる。二度目は一度目よりも上手にできたような気がする。結構、オーボエもおもしろい。声楽とフルートがなければ、この楽器に夢中になってしまうかもしれない、それくらいオーボエも演奏していて楽しい楽器です。
月の光全曲を二度も演奏したので、当然レッスンは終了です。最後に先生が目の前でディズニー映画の曲「ホール・ニュー・ワールド」(アラジンだね)を演奏してくれました。曲調とオーボエの音色が合っていて、なんかいい感じ。目の前で妙齢の女性が私だけのためにオーボエ吹いてくれるなんて、たぶん死ぬまで二度とそんなことないな。感動。
ここまで約10分。もちろん修了書もいただきました。評価は「Very Good!」でした。フルートよりも評価が高いじゃん。フルートよりもオーボエの方に適性があるわけ、私?
外へ出ると、妻と息子君がいました。レッスンの様子を防音室の外から見ていたようです。彼女は、青島広志氏の絵はがきセット(氏が描いた「題名のない音楽会」の番組内で使用した作曲家のイラストを絵はがき化したもの。なかなか愉快な絵はがきです)を購入して、氏のサインをゲットしたそうです。ブラレイ先生のサインはもらえなかったけれど、青島氏のサインがもらえてよかったね。
さあ、時間もちょうどいいぞ。次はキッズプログラムだ。
今日はここまで。時間的には5月6日の午後2時半から3時半までの話でした。青島広志氏のミニコンサートにしても、島村楽器の楽器体験レッスンにしても、当日の朝、チェックしたり申し込んだりしたものです。もちろん両方とも無料。こんなふうな楽しみ方も、ラ・フォル・ジュルネではできるんですね。では、続きはまた明日。
コメント
いいですねえ、青島広志先生大好きです。テレビで見るときはいつもひょうひょうとして、とても楽しい気持ちにさせてくれる人なのに、大変なこといっぱいあるんですねえ。そりゃそうですよねえ。ピアノ大好きなんですねえ、仕事とは言え。ああ、ますます好きになってしまった。
オーボエは、のだめカンタービレでは、黒木君ですね。ごめんなさい。黒木君も大好きです。
クラリネットのリードは楽器店に売ってあるので、オーボエのリードにも、何の疑問も覚えていませんでした。黒木君がのだめに、「リードを自分で削らなくちゃならない、そんな手のかかるところも含めて好きなんだ。」みたいなことを言っているので、ああそうなんだと初めて知りました。
>chikoさん
そうなんですよ、青島先生、プロとして立派な方だと思いました。私もテレビで見ていて好きな方だったのですが、今回生で拝見させていただき、ますますファンになりました。
オーボエは本当に手間かかりそうです。なにしろ、マウスピースを手作りするだけでなく、演奏のために適当な時間を計算して予め水に浸しておかないといけないのです。のだめのマンガの中で、コンクールの時に黒木君が、うっかりマウスピースを水につけすぎて失敗してしまったシーンがありましたが、あれってかなり信憑性のあるエピソードですね。
私が借りたマウスピースもいい感じで水分含んでましたもの。オーボエ吹きは性格的にかなりきっちりした人でなければダメなんじゃないかな? それこそ黒木君みたいに。