今回の曲は、武満徹作詞作曲の「小さな空」です。日本歌曲集などには入っていない、楽譜の入手困難っぽい曲ですが、案外、この歌、あっちこっちで聞きます。結構、人気あるみたいですし、実際、良い歌だしね。
この曲は、元々はTBSラジオドラマ『ガン・キング』の主題歌だったそうで、初演歌手はジェリー藤尾だったそうです。1962年の作曲です。どんなドラマだったんでしょ? まあ、そういう意味では、作曲家はクラシックの人だけれど、音楽としてはポピュラーソングだったわけです。
YouTubeで検索すると、この曲、独唱曲としてよりも合唱曲としてアップされていて、なぜなんだろうと思ったら、1980年代になって、合唱曲にアレンジされて、今では合唱曲としても歌われている…ってか、合唱曲としての方が有名かも…って感じになっているわけです。ここではもちろん、独唱バージョン、メゾソプラノの波多野睦美氏の歌唱で聞いてみましょう
合唱曲も何本か聞きましたが、やはりこの曲は独唱の方が寂しさがうまく表現されて、いいんじゃないかと思いました。とは言え、合唱曲を否定するつもりはありません。日本の合唱とか吹奏楽などの音楽は、演奏するための音楽であって、演奏する人が気持よく歌えることが最優先な種類の音楽である…と私は認識しているので、この曲の合唱版を歌うと、確かにメッチャ気持ちよくなるだろうと思いますので、合唱曲としても、当然ありだと思いました。ただ、聞く立場として言うなら、合唱よりは独唱かなって思うくらいです。
武満徹と言うと、なにやらよく分からない現代曲ばかり書いている作曲家であると、私は偏見を持っていましたが、この曲に限らず、数は多くはないのですが、優れた歌曲もいくつか書いているんですよね。特に「死んだ男の残したものは」という曲は優れた楽曲だと思いますが…その詩の内容のあまりの重さに、到底私では歌いきれない曲だなあって思ってます。
やっぱり日本歌曲って、歌うのが難しいなあ。
次回から、通常運転に戻ります。
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コメント
こんばんは。
> 武満徹と言うと、なにやらよく分からない現代曲ばかり書いている作曲家であると
「小さな空」はNHK名曲アルバムの東京混声合唱団の演奏で初めて知りました。以前はここのサイトに過去の履歴がありましたが、今は見つかりません。独唱曲版、というのは今回初めて知りました。
小学生の頃、「未来への遺産」というTV放送があって、ハイデガーとかの引用と武満徹のBGMであちらこちらの遺跡を映していました。
CDが出たときすぐ買ってしまいましたが、この曲は今も大好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=vDxmIIP3z7o
遺作となってしまったフルート独奏曲のエア Airは口ずさんでしまうような曲です。こちらはC管しかないので、さらう予定はありません。
ニコレの最後のリサイタルは記憶に残っています。画像は別ですが。
https://www.youtube.com/watch?v=b7m72TJlzaI
そういえば先日ブーレーズが亡くなりました。
彼のハルサイについての「ストラヴィンスキーは生きている」は未だに全部は理解できていないので、スコア見ながら早めに決着つけたいところです。
補足です。
NHKの「らららクラシック」でも「小さな空」を扱っていました。カバちゃんは内声が器楽的な動きをしているので歌うのは難しい、とか話をしていました。
吉松と湯浅のコメントはメチャおもろいです。
http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20070514/1179089546
こちらもブラームスは大好きです。
tetsuさん
武満徹氏は、現代作曲家の中では、比較的好きな作曲家です。と言うのも、彼の作る音楽には、かろうじてメロディがあるからです。本格的な現代作曲家だと、メロディが無い曲ばかりを書く人も大勢いますからね。そういう人の作品は、聞く気になりません。
>そういえば先日ブーレーズが亡くなりました
そうですね、ご冥福をお祈りします。で、その直後に、デビット・ボウイが亡くなりました。私にとっては、そちらの方がショックです。1980年代前半のボウイの曲は、どの曲も私の魂に突き刺さります。悲しくて仕方ありません。
ブーレーズとデビット・ボウイの比較はできませんが、今日は70年代の(年はバレバレ)Heroesを聴きながら仕事していました。
https://www.youtube.com/watch?v=Fmw7gSDRnTA
ある範囲はyoutubeで簡単に拾えるところがすごいです。
tetsuさん
>ある範囲はyoutubeで簡単に拾えるところがすごいです。
そうなんですよね、著作権とか軽く飛ばしちゃってるところがなんともですが(苦笑)。
私もYouTubeを利用しますので、偉そうな事は言えませんが、YouTubeは利便性が高いメディアであるけれど、著作権者の懐には何も入らないのが欠点です。そこなんだよね、問題は。