スポンサーリンク

腹式呼吸って、腹筋とは関係ないよ その2

 息をちゃんと吸えたら、次は息の吐き方…と言うか、歌うときの息のコントロールにつてですね。それは声の支えをどこに持ってくるかという事。で、それで…と書いたところで、指が止まる、汗が出る…。

 あっれ~。オレ、その辺、全然分かってないじゃん。

 ダメじゃん>自分。

 ロングトーンは十分にできないし、歌っている途中で息足りなくなるし、ブログにえらそうな事書いている場合じゃないよお。

 いやはや、そんなわけで私自身、まだまだなんだけれど、ひとまず、今の自分で分かっている事を書いてみます。

 まず、「腹式呼吸」という言葉。やっぱり、この言葉は曲者だな。だまされちゃいけないような気がします。

 というと、やっぱり「腹式=腹筋」ってイメージがあるでしょ。そうすると腹筋を鍛えたくなるわけだ。そこで腹筋運動(仰向けに寝て、足首を抑えてもらって、上体を起こす運動)をしながら「アー~」と言って、発声練習したりして自分を鍛えようとした人いませんか? いるでしょ? 映画「うた魂」の中でも、その練習やってたもん。でもその練習、人によっては声帯痛めるから、やめた方がいいいよ。腹筋に力が入るから、喉は脱力するって考えるのだろうけれど、人によっては力を入れるとき、喉を詰める人がいるでしょ。そんな人が腹筋しながら声出したら、一発でアウトだよ。

 格闘技をやるなら、内臓を守るために腹筋運動をして、お腹をガチガチに固めるのは絶対に必要なんだけれど(私は柔道黒帯よ)、歌うのにお腹ガチガチである必要は全くないと思います。

 ていうか、声を支えるために、確かに体内のどこかが力むのは、ある話だけれど、それでもいわゆる腹筋が硬くなるのは違う話。むしろ腹部前面は脱力してリラックスした方が良い結果が出ると思います。

 もっとも、声の事は抜きにして、単純に身体を鍛え体力向上を狙うなら、腹筋はアリですね。そういう意味で、合唱部での腹筋運動は全くの無駄ではないと思う。

 じゃあ、どこで声をささえるかだけど、これが悩みの種。私も実はよく分かってない。発声関係の本を読むと、なんか色々あるみたいだし、派閥でちょっとずつ違うみたい。

 キング先生からは声の支えとしては、きちんと習っていないけど、私が声の支えを失ってヘナヘナ声を出すと「ホラ、背中が潰れたでしょう」とか「口の奥が狭くなったでしょう」とか言われるので、この辺が声の支えと関係してくるのだと思う。

 で、歌っている自分の身体をよくよく観察してみると、やっぱり腰。て言うか骨盤? 腰骨(骨盤)をきちんと倒している事で、背中が潰れるのを回避できると思うし、腰骨を倒し続けていると口の奥というか頭の中というか、あのあたりを狭くせずに済むような気がします。だから、腰骨をしっかり倒すことが声を支えることにつながっているのだと思います。

 だから、誤解を恐れずに単純化して言っちゃうと、腹式呼吸って、腰を膨らませて息を吸い、腰骨を倒して息を吐く呼吸のこと。

 と書くと、「腰を膨らませて息を吸い、腰骨倒して息を吐き、また腰を膨らませて息を吸い、また腰骨を倒して息を吐き…」のくり返しだと思われるでしょうが、これまた違うような気がします。

 一度腰を膨らませて息を吸ったら、そのままずっと膨らませたままの状態をキープしようと意識し、一度腰骨を倒して息を支えたら、そのままずっと倒したままの状態をキープしようと意識し続けて、歌っていくのです。もちろん、キープしようと意識するのであって、キープし続けるのではありません。なぜなら背中を膨らませた状態をキープし続けるのは、人間として無理だから、どうしても背中が少々しぼんでしまったり、腰骨がやや立ってしまうのだけれど、気持ちはキープなのです。

 そしてこれを意図的でなく、無意識のレベルでできることが肝心なのです。ある意味、さあ歌おうと思って、歌のスイッチを入れると、自然と以上のことがスッとできる、これがあるべき姿なのでしょう。

 何事も、マスターするとは、無意識でできるようになることです。歌も諸注意のすべてを無意識で回避できるようになることが、当面の目的かな、ってすごい目標だな、私の場合。

コメント

  1. 松尾篤興 より:

    To Ston
    早速「美声学」を御購入頂き、忝のう御座います。
    Stonさんが呼吸法に拘るようになられたのは、歌の根っこの部分が見えてきたせいではないでしょうか。まさに息の流れを制する者は歌を制するのであります。
    キング先生のアドバイスも的を得たものがあり、Stonさんの今後が楽しみですが、先生が云われる腰骨に息を入れる、とは息を吸った時に拡がる胸郭を拡げた状態のまま呼吸する、また腰を膨らます意識を持つことによって筋肉の働きによる軟口蓋を拡げ、口蓋垂を上げる動きに繋げようとするイメージだと理解します。
    云うまでもない事ですが、空気は肺にしか入れる事はできないのです。したがって横隔膜の動きにいかに任せて息を吐く、つまり歌えるかが、自然でなめらかなブレスコントロールを会得する鍵とまりましょう。
    ドイツ唱法などは腹筋に圧力をかけて、筋肉の力で音声を絞り出す、いわゆるHelden(勇壮な)な歌い方もありますが、キング先生はどちらかと云えば息の流れを利用したベルカントな発声法を示唆されているのではないでしょうか。
    松尾篤興

  2. すとん より:

    >松尾さん

     美声学は毎日少しずつ読んでいます。少し読んでは心に留め、また読んでは心に留め、少し読み進んではまた戻り…などという読み方をしているので、一向に読み終えません。まあ、小説やエッセイなどのような読み方はできない種類の本なので、まあそんなもんとわきまえて読んでおります。

     実は今回の記事は、先生から改めて「声の支えについて」などというレクチャーを受けたわけではなく、今までやってきたことから、自分なりに推測しつつ書いたものなので、内心「間違ってたら、ヤバいな…」などと、ヒヤヒヤしながら書いたものです。

     でも間違いがなかったことは、先生の指導が正しいこと(当たり前ですが)と、それに対する私の理解も正しいこと(これはちょっとうれしい)なのだと思ってます。

     さらにまた、先生のおっしゃることの理論づけを、松尾さんにしていただき、改めてきちんと声の支えについて理解できたような気がします。ありがとうございました。

     そして、私自身、まだまだ初歩の初心者なので、先生に「私の習っている歌は、ドイツ唱法でしょうか、それともベルカント唱法でしょう、それとも全く違うものでしょうか?」なんて、生意気のことは聞けません。と言うか、それこそ、まだまだ歌の根っこの部分を勉強しているので、そんな上級な話題はなかなか切り出しづらいのですが、薄々は「いわゆるベルカント系?」と推測してましたが、やっぱり、レッスン内容から、いわゆるベルカントな発声なんですね。ああ、ちょっと安心。少しうれしい。

  3. ひと休み  より:

    こんばんは。
    発声法についてですが、私は、高校生の時、合唱団の指導者に、下腹に力をいれてへこませ(げんこつでたたいても歌声が揺れない)、そして、吸い込んだ息をいわゆる横隔膜を上げた状態でキープして、支え、上唇は軽くかぶせ、深い声で歌うように、指導されたのが、最初です。そのうち、世の中の傾向?が変わってきたのか、響きを前に、ということで、口角をあげて、上の前歯はみえるように、と、指導の先生も方向転換したようでした。
    それから、20?年、ママさんコーラスで、指導者に、
    それは、ふるいやりかた、横隔膜は、下げたままで歌うのよ、まあ、どちらでもいい声が出ればいいんだけど、といわれました。
    そして、5~6年程前、グループレッスンを受けた指導者から、息を吸い込んだら、おなかは、膨らませたままで、キープして、支えること。と、指導されました。
    わたしも、最近ドイツ流とイタリア流があるのか、原語(言語)的にも発音が違うんだから、それは、歌い方(発声法)も違うんだろうなと、思っています。
    また、日本は、何かと、音楽にかぎらず、ドイツからとりいれたことが多いとききました。
    CDでも、日本の歌曲とかかりてきて、深い声で、わざとらしく歌っているのがあると、きっと、古いレコードの復刻盤かな?なんて思っています。
    私的には、イタリア?ベルカントが好きです。
    でも、日本語とイタリア語は違うし、なんてったってイタリア人は明るくおおらかだし・・日本人はやはり、わび、さび・・
    私の目標は、イタリア歌曲や、オペラのアリアではなく、日本の歌を歌いたいので、どうなんだろう?といつもおもいます。
    ラジオの合唱指導の先生が言ってましたが、「まだ、音大でも、日本語については、確立されていない・・」本当かな~?

  4. すとん より:

    >ひと休みさん

     私はドイツリートよりも、イタリアオペラ大好き人間なので、イタリア風というかベルカント風というか、まあ、そっち方面の方が好みです。

     ま、どんな声の出し方であれ、美しい声さえ出れば、その方法が他人からは間違いと言われても、その人にとっては正解。つまり、結果オーライでOKが、芸術とか芸事の世界なので、古いとか新しいとかが問題なのではなく、自分にとって、よりベターの方法はどっちなのかという点で考えると良いでしょうね。

     私が合唱を始めたのは、今から20年以上も前の話(当然、すでに大人になっていました)ですが、その頃からすでに「息は背中に入れて!」「横隔膜は下げろ!」ってやってましたよ。今思えば、もうすでにドイツ唱法なるものは、駆逐されていたようです。

     地域差ですかね?

  5. ひと休み  より:

    こんにちは。
    またまた、発声の話ですが、ママさんコーラスのとき、かけもちで、また別のママさんコーラスに入ろうかと思い、1回体験したのですが、そこでは、横隔膜をあげておなかをひっこめて・・とやっていたので、私は、相反する指導は受けられないと思い、横隔膜をさげる団に、身を任せ(大袈裟ですが・・笑)、浮気はせずに、すみました。そこは、横浜だったので、文化的にも、音楽的にも遅れているというかんじはなかったので、過渡期だったのか、指導者の方針だたのか、わかりません。
    大学生の時に、合唱団でボイストレーナーをしてくださった先生に、4~5年前たまたま、合唱団OG(女子なので、OBとはいわない)数名で、ボイトレを受ける機会(たった1回)に恵まれたのですが、お腹を膨らませた状態を保つのは同じだけど、ほんとうのところ、活躍されている方々は、支えている位置は、下のほうのひともいれば、私はこの辺かしら・・・と人それぞれだ・・なんて、またぎきしました。
    すとんさんのおっしゃるように、自分にとって、結果オーライということなのでしょうね。

  6. すとん より:

    >ひと休みさん

     一人一人楽器が違うので、その楽器の鳴らし方が、またそれぞれで違う、というのが正解でしょうね。

     もちろん、大雑把な意味での「やり方」というのは存在するのでしょうが、細かい技法や注意点は人によって違うのだと思います。

     私のレッスンは、個人レッスンの要素も加えたグループレッスンなので、一緒に習っているお姉様方のレッスンの様子も見ることができます。

     この形のレッスンに慣れない方は、他の人と先生がレッスンしている様子を真剣に見て、そこから学ぼうとして、先生に注意されます。

     「一人一人、楽器が違うのだから、他の人へのアドバイスは聞かないで無視してください」と先生は決まって言います。

     同じ欠点を持っているAさんとBさんがいて、先生がAさんに向かって「〇〇しなさい」とアドバイスをし、Aさんはそのとおりにして欠点を克服したからと言って、それを聞いたBさんが同じことをして、欠点を克服できるかは分からない。そのアドバイスで、たまたまその欠点を克服できるかもしれないけれど、逆にひどくなることだってある。歌なんて、そんなものだそうです。

     同じ欠点に対しても、先生はAさんとBさんの違いを考慮に入れて、アドバイスを変えるのだそうです。それはAさんとBさんが持っている楽器が違うからです。

     もっとも、私の教室ではテノールは常に私一人で、他の方はほとんどソプラノなので、マネのしようがないのですがね。たまに男性が入ってきても、たいていバスかバリトンなので、他の人の影響を受けるというのは、あまりない私なのです(笑)。

タイトルとURLをコピーしました