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二種類の「男声四部合唱」

 男声四部合唱と言うと、みなさんはどのようなスタイルの合唱を思い浮かべるでしょうか?

 トップ・セカンド・バリトン・バスの4パートによる合唱なんでしょうね、たぶん。これは、いわゆるグリー系の合唱スタイルですね。あるいは、リード・テノール・バリトン・バスのバーバーショップ系の合唱スタイルでしょうか。

 私はボーイソプラノ・カウンターテナー・テノール・バスの4パートによる合唱を思い浮かべてしまうので、時々、話がかみ合わなくなります。

 私の根っこの音楽は、いわゆる教会音楽であり、そのカウンターパートナーとしての劇場音楽(つまりオペラね)があります。この二つの音楽を中心にして、その周辺を見回してゆくというのが私の音楽観(って言うほどおおげさなものではない)なのですネ。

 教会音楽の合唱は、今でも男声四部合唱が基本。でも、本来ソプラノパートを歌っていたカストラートはとっくの昔に死滅し、教会自体に通う男性や子どもの数が減ってしまったこともあり、多くの教会で、男声四部合唱を混声四部合唱に置き換えているのが現状。なにしろ、教会ってところは、オバチャンなら豊富にいますからね。

 さらに教会を離れ、コンサートホールなどで演奏される教会音楽も、日本では…悲しいことに…混声四部合唱で演奏されるのが常。

 だから、生演奏であれ、ディスク演奏であれ、ソプラノパートを男声(もちろん少年可)が歌っているのを聴くと無性にうれしくなる私なのです。

 具体的に書くとネ、モーツァルトのレクイエムの合唱が、オバチャン・ソプラノやオバチャン・アルトで演奏されると、仕方のないことだとは分かっているけれど、でもでも悲しい気分になってしまうのよ。やっぱり、教会音楽である以上、男声で統一して欲しいんだな、これが。

 混声合唱って、どこか『俗世』を感じさせるんだな、私には。

 そんな私が、最近よく耳にするのが、グリー系の合唱。グリー系は、私にとって最近まで『アウト・オブ・眼中』の音楽でして、そういう意味では、私は世間とはズレていたわけです。だって、合唱関係のCDの男声の部(?)は大抵、このスタイル。私の知らない世界の方がメジャーだったんだな…。

 あんまりよく知らないグリー系の合唱ですが、男声で統一しているのに、俗気がプンプンでおもしろい。バーバーショップ系は、それほど多くを聴いているわけではありませんが、かなりポピュラー寄りのスタイルで、ハモネプまであとちょっと!なんて感じすらします。

 こういうふうに、ブログで偉そうに記事なんか書いている私ですが、まだまだ知らないことや聴いたことない音楽がたくさんあります。それって楽しいことなんだろうなあって思います。素人、バンザイって、気分です。

 男声四部合唱と言っても、実は大きく分けて2種類ありますって、報告でした(って、誰に報告しているのでしょう?)。

 蛇足。

 実は大学に入学したばかりの頃、私を真っ先に勧誘したサークルが、実はグリークラブでした。当時から大の音楽好きであった私は、どこか音楽系のサークルに入りたいなあという野心はあったものの、グリーが男声合唱のこととは思わず(グリークラブって、乗馬クラブかなんかだと思ってました、バカだね)、さっさと断ってしまいました。

 あの時、グリークラブが合唱部だと知っていたら、当然喜んで入っていただろうになあ…。そしたら、私の人生も色々な意味で変わっていただろうなあ…。でもなんであの人たち、自分たちのことを「グリークラブ」なんて言ったんだろ? 「合唱部」って言えば良かったのに。それとも「グリークラブ」という言葉が世間一般で通用する言葉だと思っていたのかな? 少なくとも、湘南に住んでる普通の高校生にとって「グリークラブ」なんて言葉は「ラ・ボエーム」と同じくらい意味不明な言葉だよ。

 仲間うちで普通に使う言葉が、世間にも通用するって考えるのは、僣越というものだな。あの大学生たちは、自分たちの僣越的な態度やものの考え方が、一人の音楽好きな新入生を合唱から遠ざけたことに、今でも気づいていないだろうなあ…。

 ちなみに私は、手話サークルと聖書研究会(音楽とは全く関係ない!)に入って、それなりに充実したサークルライフを過ごしたのでした、チャンチャン。

コメント

  1. Cecilia より:

    自分がカウンターテナーが好きなせいもあるのですけれど(笑)、最近例の「メサイア」も含めボーイソプラノが入った男性だけの合唱に敏感になりました。
    NAXOS MUSIC LIBRARYなどでいろいろ聴いていて思いますが、最近宗教曲のアルトのソロはカウンターテナーが演奏しているものが多いように思います。
    女性のアルトには確かに”色気”が・・・。
    それに外国人歌手のアルトはよいのですが、日本人のアルトやメゾはどうもオバちゃんの雰囲気が漂っている人が多かった気がします。(今は知りません。)
    そもそも最近宗教曲のコンサートを聴きに行く機会もないのですが、日本はともかく海外ではいわゆるグリーよりも合唱と言えば教会音楽が中心ですよね。
    確かに教会にはオバちゃんばっかり!

    それから教会の聖歌隊は美しく歌うことよりも、皆で歌うことを大切にしている場合が多いので”透明性””純粋性”は保てませんよね。
    地方教会ではオバちゃんばかりの中にオジさんが一人だけとか・・・。

    私もグリーってよくわかりませんでした。

    > 仲間うちで普通に使う言葉が、世間にも通用するって考えるのは、僣越というものだな。

    同感です!

  2. すとん より:

    >Ceciliaさん

     確かに、日本人のメゾやアルトには、オバちゃんの雰囲気を隠しきれない人が結構いますねえ。

     宗教曲でも困りものですが、なんと言っても、オペラのズボン役では、何とも言えず、居心地の悪さを感じるものです。

     ズボン役というのは、男性の役なんだけれど、作曲家の指定で女性のメゾやアルトの歌手が演ずる役のことです。だから、ズボン役の人は、ボーイッシュの雰囲気がないとね。ま、宝塚の男役みたいなものですか?ちょっと違うかな?

     有名なところでは「フィガロの結婚」のケルビーノとか、「ばらの騎士」のオクタヴィアンなどがそうです。役柄としては、少年なので、オバちゃんの雰囲気があっては困るのですが…なのです。

  3. いのうえ より:

    おばちゃんアルトです。ははは
    前にも、書き込ませていただいたことがあったと思います。
    初めましてでしょうか、御無沙汰です、でしょうか・・・

    女性のアルト・メゾには、色気がある。
    あるいは、俗世感(?)があるというのは、なんとなく分かるような。。。

    カウンターテナーのアルト大好きです。
    三年ほど前から入った合唱団の指導者がカウンターテナーだったこともあり、
    宗教曲でも、カウンターテナーのものと、女性が歌っている者とを聞き比べたりしています。
    でも、カウンターテナーの方が好きだっりすると、正直悲しくなります。私って、なんのためにいるの・・・〜

    自分で歌っていて、感じるのは、音域の違いです。
    アルトが一番苦労する音域が、彼らはホントに得意中の得意で・・・くやじぃ〜
    どうしてもクリアに歌えないことを、すぱっと歌われたりすると、ホントに「ずるい〜」と思ってしまいます。
    以前にいた合唱団では、先生がアルトの声量が足りないときに、テノールの何人かに歌わせていましたが、それはそれは悔しかったものです。
    だいたい、アルトって地味なのに、せっかく地味じゃない感じで歌えそうになると、テノールにお世話になるなんて・・・

    などと、恨み節も多々あるのですが、
    カウンターテナーも、ボーイソプラノも、大好きです。

    あ、でも、教会の男声ばかりの合唱団には、別の意味での色気を感じるときがありますよ。

    それでは、また〜

  4. すとん より:

    >いのうえさん

     お久しぶりです(笑)。アルトとカウンターテノールでは、たとえ音域が同じでも、楽器の種類が違いますから、色々違っていて当然ですね。自分に無いものをうらやんでも仕方がありません。

    >アルトの声量が足りないときに、テノールの何人かに歌わせていました

     確かにコレって悔しいですよね。アルトパートでも上の方の4つくらいの音を除けば、テノールでも十分歌えますからねえ…。また、テノールの声って、派手だし、響くんだよね。これは恨まれても仕方無いですね。私もテノールなので、謝っておきます、ごめんなさい。

     でも、合唱団によっては逆もあるんですよ。テノールが高音で苦しんでいると「そこ、アルトに歌ってもらう?」とサラっと言っちゃう指揮者もいます。

     高音命のテノールにとって、プライドをズタズタにされ、神経を逆撫でられた、その怒りというのも、これもまたすごいものがあります。

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