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今、DeAGOSTINIに注目!

 まず最初に、私はDeAGOSTINIの関係者ではなく、何の利益供与も受けていなければ、宣伝費や広告費の類もいただいていない、何の関わりもない一般市民であることを、宣言しておきます。

 DeAGOSTINIとは“デアゴスティーニ”の事で、何の会社なのかと言えば、付録付きのムックをバンバン出版している出版社です。そこの出版物は、本屋の棚に並んでいる事はあまりなく、たいていはレジ側に「創刊号999円!」とかのポップ付きで平積みされていたり、たまにテレビCMで(やっぱり)「創刊号999円!」って言われていたりします。そしてそれも、最初の数号だけは本屋で見かけるけれど、いつの間にか本屋から消えていたりするので、我々一般ピープルとは馴染みがあるようでない出版社さんですね。

 まあ“付録付き”のムックを販売している…と書きましたが、実態は付録の方が中心で、その付録に申し訳程度の解説書をつけて、付録本来の販売ルートではなく、書籍ルートにして本屋で自社製品を売っているというわけです。おまけのフィギュアがメインだけれど、それにチョコをつけて、お菓子としてコンビニやスーパーで売っている“食玩”の、本屋バージョンですね。

 DeAGOSTINI(以下、デアゴスティーニと略。読みづらいし書きづらい社名だね)とは、元々がイタリアの会社で、分冊百科を扱っている会社さんです。分冊百科とは、百科事典の販売形式の一つです。

 そもそも百科事典って、一度にドーンと買い揃えるのって、経済的な負担がかかるじゃないですか? そこで、通常は全巻購入予約をして、一冊ずつ届けてもらって、一冊ずつ代金を支払っていくというカタチが普通でした。私が子供の頃に愛読した百科事典も、そんなやり方で親に買ってもらってました(この百科事典が私の知識ベースになっております)。

 それでも百科事典一冊ずつの購入となれば、そこそこお高いいんですね。そこで、百科事典を一冊ではなく、さらに細かくわけて、一折り(16ページ)ずつとかにして売れば、うーんと安く売れるわけです。もちろん、適当なところで表紙なども購入してもらって、自分で製本してもらう(ヨーロッパでは、本の製本は自分でするのが当たり前です)事で一冊が完成し、それを続けてもらって、やがて百科事典全巻を揃えてもらう…これが分冊百科の販売方法です。

 この販売方法を考えて、世界で最初に行ったのが、イタリアのデアゴスティーニだったわけです。で、このデアゴスティーニが世界進出をして、1988年に日本進出し、1997年に日本子会社を設立して、今に至るわけです。

 ちなみに、デアゴスティーニは、イタリアのメーカーさんなので、スペル(DeAGOSTINI)はイタリア語読みするので“デアゴスティーニ”であって“ディアゴスティーニ”という英語読みにはしないんだそうです。これ、マメね。

 日本におけるデアゴスティーニは、百科事典の分冊販売と言うよりも(百科事典なんて今どき売れないよね)“付録付きムック”のシリーズ販売がメインのようです(もちろん、付録の付かない純粋な書籍の分冊販売もそれなりにありますが…)。付録の種類は多種多様(CDとか模型パーツとかフィギュアとかグッズとか)に渡りますが、最近はDVDを付録にしたものが多いようです。

 で、ここから本題(笑)。

 そのデアゴスティーニが、今年(2015年)の6月23日に『DVD 世界のオペラハウス名演コレクション』というシリーズを発売開始したんですね。隔週発売で、創刊号は999円(笑)、2号以降は一冊1998円で、毎号オペラのDVDが付いてくるという趣向です。全80号の予定なんです。

 実はデアゴスティーニは、2009年に『DVD オペラ・コレクション』というオペラDVDシリーズを発売しております。こちらはすでに完結・販売終了(2009年9月~2012年2月)となっていますが、全65巻で65作品のオペラ(つまり、作品のダブリ無し)を紹介したシリーズになっていたわけです。前シリーズは、往年の名歌手・名舞台・名演奏を中心に揃えられたシリーズで、デアゴスティーニ初のオペラシリーズとあって、お好きな方々には大いに受けたそうですが、名歌手の名舞台を優先してセレクトしたせいか、収録年代の古い作品も多く含まれ、多くがビデオ画質で、音質もあまり芳しくないDVDも多く含まれていたそうです。おそらく製作者側の「このオペラなら、この歌手で聞いてほしい」という気持ちが優先されたチョイスだったんだろうなあと思うラインナップでした。

 実は私、前シリーズが欲しかった人なんです。でも、うっかり屋さんだから、前シリーズの存在に気づいたのは、販売終了後だったりします。うっかりにも程があるよね(笑)。なので、前シリーズのオーナーさんたちが、うらやましくてうらやましく…。で、次に刊行されるオペラシリーズを一日千秋の思いで待っていたわけですが…これまた実は、発売されていた事に、全然気づいていなかったんです。

 だって私、リアルな本屋に行かないし、テレビCMとかも見ないので、このシリーズが発売になっていた事なんて、全然知らなかったんです。

 たまたま旅先で土産物屋さんを冷やかしていた時、その土産物屋に並んで営業していたローカルな小さな本屋さんの店頭に、デデンと平積みしていたのが目に入り、慌てて創刊号と2号を購入したわけです。

 うわー、危なかったなあ。この手の分冊百科モノって、刊行当初から素早く入手しないと色々厳しいでしょ? しばらくたってからだと、バックナンバーを揃えるにしても、まとめ買いになってしまって、そこそこの金額になってしまうし、売り切れてしまってバックナンバーが手に入らなくなってしまったりする事だってあるわけで、最初っから順番に刊行されるのを順番に購入していくのが、一番良いでしょ? なので、2冊遅れの段階で気づいて、ほんと、良かったなあ…。

 さて、今シリーズの『DVD 世界のオペラハウス名演コレクション』の特徴は、前シリーズと較べて、付録DVDの画質・音質の向上が図られているって事でしょうね。

 今回のほとんどのDVDが、現役歌手たちによる比較的新しい公演(2000年以降のモノばかり)が中心で、大半が高画質収録(元はハイヴィジョン)&ドルビーステレオ5.1chのようです。まあ、今どき、いくら名演だからと言って、ビデオ画質じゃあ、さすがに厳しいよねえ…。

 最近の公演が中心なため、どうしても歌手たちが、往年の名歌手ほどネームバリューのある人達ばかりとはいかないけれど、そこは大した問題ではありません。だって、今どきの若い歌手さんたちって、実は往年の名歌手よりも、歌が上手かったり、演技力があって、スタイルも良い人たちばかりだったりするんだよね。つまり、今の歌手の方が平均値がグンと高くなっているので、DVDに収録されるレベルの歌手さんなら、何の問題も無いってわけです。で、それらが良い画質で楽しめるんだから、これからオペラに親しもうという人にとっては、今シリーズの方が良いと思います。

 なお、現在のところ、他メーカーの既発売のDVDの再発売品が付録の中心なので、人によっては、手持ちのDVDとカブる可能性が無いわけではないけれど(私の場合は、発表されている31冊のうち、グラインドボーンの『ジューリオ・チェーザレ』とレアル劇場の『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』の2つが手持ちのDVDとカブリます)、そこは安価だし、シリーズものとして揃えるんだから、それも良しと思うしかないかな? まあ、一部DVDのカブりがあるにしても、今回のシリーズの中には、日本未発売のものや、DVD初出のモノも、そこそこあるようだかから、それに期待していきましょう。それに手元のDVDとカブるという事は、DVD単体でも十分に商売になるモノをラインナップしてくれた…というわけですから、DVDの中身も自ずと保証されるってモンです。

 また今回のラインナップは、1オペラ作品1冊ではなく、同じオペラ作品でも上演された歌劇場が違えば、それもまた収録するという、演目のカブリを恐れないシリーズ構成となっているようです。つまり、良いものは両方入れちゃいましょうって事です。少なくとも、現段階で、ヴェルディの『椿姫』はゲオルギュー版とデセイ版の両方がラインナップされています。ゲオルギュー版は既発売ですが、デセイ版は日本未発売(映画「椿姫が出来るまで」のオペラ版です)だから、楽しみ楽しみ。なにしろオペラって奴は、演目が同じでも、歌手が違って演出が違うと、ほぼ別物になりますので、演目のダブリはむしろ歓迎です。

 ちなみに、今シリーズは前シリーズのオーナーさんにも面白いかも…。と言うのは、今シリーズと前シリーズでは、演目のダブリは(当然)ありますが、公演そのもののダブリはないようです。例えば、今シリーズでも前シリーズでも、ヴェルディの『椿姫』はゲオルギュー版ですが、前作がショルティ指揮コヴェントガーデン王立歌劇場のゲオルギューだったのが、今回はマゼール指揮ミラノ・スカラ座のゲオルギューという違いはあるので、それはそれで楽しめるようになっているからです。

 すでに発売予告されているのは、既発売も含めて、以下の通りです。あくまでも予告なので変更もあるでしょうから、ザッと書くだけにしておきます。

 椿姫(スカラ座)
 フィガロの結婚(ロイヤル・オペラハウス)
 カルメン(ヴェローナ音楽祭)
 魔笛(チューリヒ歌劇場)
 ラ・ボエーム(バレンシア州立歌劇場)
 ドン・ジョヴァンニ(ウィーン国立歌劇場)
 トゥーランドット(ヴェローナ音楽祭)
 カプリッチョ(パリ・オペラ座)
 リゴレット(パルマ王立歌劇場)
 ローエングリン(バーデンバーデン祝祭歌劇場)
 メリー・ウィドウ(ザクセン州立歌劇場)
 椿姫(エクサン・プロヴァンス音楽祭)
 ラインの黄金(コロン歌劇場)
 こうもり(ウィーン国立歌劇場)
 ばらの騎士(ザルツブルク音楽祭)
 蝶々夫人(マチェラータ音楽祭)
 ノルマ(ベッリニー大劇場)
 ニュルンベルクのマイスタージンガー(ウィーン国立歌劇場)
 カヴァレリア・リスティカーナ/道化師(レアル劇場)
 マクベス(ロイヤル・オペラハウス)
 カルメン会修道女の対話(ハンブルク国立歌劇場)
 コジ・ファン・トゥッテ(アン・デア・ウィーン劇場)
 ファルスタッフ(ヴェルディ劇場)
 シモン・ボッカネグラ(パルマ王立歌劇場)
 アイーダ(ヴェローナ音楽祭)
 オルフェオ(リセウ大劇場)
 オテロ(フェニーチェ歌劇場)
 ドン・カルロ(トリノ王立歌劇場)
 ジューリオ・チェーザレ(グラインドボーン音楽祭)
 後宮からの逃走(フィレンツェ歌劇場)
 二人のフォスカリ(サンカルロ歌劇場)

 …って具合です。ああ、楽しみ。

 さて、今回、なぜ私が、こんなにもデアゴスティーニの『DVD 世界のオペラハウス名演コレクション』を推しているのかと言うと…すでに私が全巻購入予約をしたから(笑)。私、このシリーズを集めようと思っているんです。

 でね、デアゴスティーニという会社は、購入者が少ないと、まれにシリーズの刊行を途中でやめちゃったりするらしいんです。逆に購入者が多いと、内容の充実はもちろん、シリーズの刊行予定が延長されたりもするんです。つまり、多くの人が購入してくれるほど、シリーズが良くなっていくという事らしいのです。

 ですから、私は自分のブログ記事を使って、このシリーズをプッシュしているわけです(笑)。だって、私、今回のシリーズをきちんとコレクトしたいと思っているんだもの。途中で中止はイヤだし、むしろ全80号が「ご好評につき全120号に延長します」ぐらいの事があったらいいなあと思っているわけです。

 とにかく、リアルな書店では、まだ創刊号と2号は発売中なので、興味がある方はぜひ手にとって、試してもらいたいです。創刊号の『椿姫』は999円です。同じモノをBlu-rayで購入すると3480円なんですよ(DVDはとっくの昔に廃盤になってます)。安いでしょ? 2号の『フィガロの結婚』は1998円。同じモノをDVDで購入すると、3672円(税抜き)です。アマゾンだと安売りしているので2845円(税抜き)です。安売りしているアマゾンと較べても、まだ安いでしょ?

 でも、問題が一つあります。実はデアゴスティーニの書籍って、アマゾンでは全部が全部取り扱っているわけではないみたいなんです(なぜでしょ?)。少なくともアマゾンでは『DVD 世界のオペラハウス名演コレクション』は買えません。またリアルな書店でも刊行当初しか現物を置きませんから、買い続けるためには、リアルな書店で定期購読の申し込みをするか、ネット書店を探して定期購読を受け付けてくれる書店にお願いするか、インターネット、フリーダイヤル、フリーファックス、申し込みハガキ等を使って、デアゴスティーニから直接定期購読をするかの方法しかないんです。販売チャンネルが狭いんだね。

 このブログを読んでいる方は、ネットが得意でしょうから、ここにデアゴスティーニの『DVD 世界のオペラハウス名演コレクション』のページを貼っておきますので、よろしく(笑)。

 ああ、大勢の人がこのシリーズを購入してくれて「ご好評につき、全80号の予定でしたが、全120号に延長します」って事にならないかな? マジで期待しています。

蛇足 ちなみにデアゴスティーニのトップページに行っても『DVD 世界のオペラハウス名演コレクション』の情報は全くありません。忘れているのかな? しかし、会社から全くプッシュされない企画って、何なんでしょうね? 担当者の首が飛ばないか…心配です。

追記 この記事の続きをこちらに書きました。

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コメント

  1. アデーレ より:

    わー知らなかった!いいね、デァゴスティーニ!!前回、買いそびれ、その後、小学舘のを揃えましたが、いやー小学館は高かった!3800円で大変でした。しかし、1番欲しかったべッリーニやドニゼッティやロッシーニがセビリアの理髪師と愛の妙薬だけだったよーな!?あとなく、少し不満。デァゴスティー二様!夢遊病の女や清教徒とか、とにかくベルカントものもお願いしたい!私のコレクション的には有名なのは小学館のであるけど、オペラって、歌手や劇場が違えばまたいくらでも楽しめるからね!予約しよ!流石はすとんさん!情報早いな。ナイス、ナイス!

  2. すとん より:

    アデーレさん

     確かに小学館は安くないよ、でも高いと言ったら可哀想かも。私も2冊だけ持ってますよ、「愛の妙薬」と「エフゲニー・オネーギン」です。小学館のは安くないけれど、同時期に出ていた世界文化社のオペラシリーズは3990円のシリーズと4800円のシリーズがあって、小学館よりも高かったもの。小学館は、ちょっと安い上に、DVDのセレクトが王道だし、冊子の編集もソツがなくて、好感が持てます(でも、私のようなひねくれたオペラファンは、世界文化社のシリーズの方が好きだったりします:笑)ソツのない編集で、高いのもやむを得ないかなって思ってます。

     小学館は全34巻でしょ、今度のデアゴスティーニのは全80巻(予定)だから、無事に刊行すれば、オペラの大全集になるはずです。

     とにかく、オペラの名演が一つ2000円で買えるんだよ。これを逃す手は無い!と私は思うんだよね。いや、ほんと、このお値段、メッチャお買い得なんだよ。

  3. 椎茸 より:

    これはいいですね! さっそく申し込みました。
    声楽を趣味にしているのですが、恥ずかしながらオペラ音痴…なので、こういう企画は本当にうれしいです。

    デアゴスティーニといえば、昔「インサイド・ヒューマンボディ」というシリーズを定期購読していましたが、人気だったらしく予定より号数が伸びました。反対に、興味はあったけど購読していなかった「マイ・ドールハウス」(ドールハウスと家具を作る)が途中で終わってしまったり……

  4. すとん より:

    椎茸さん

    >人気だったらしく予定より号数が伸びました。

     そうそう、デアゴスティーニって、そういう事をやる会社さんなんです。一般の出版社と違って、定期購読者相手に商売をしているので、出版計画をたてやすいんだろうし、在庫だって少なめでOKなわけです。まあ、だから安い価格で提供できるんだと思うし、好評なら企画の寿命だって伸ばすし、再販したり、次シリーズだって始めちゃうわけです。

     とにかく興味があるなら、まずは購読ですね。安価だし、定期購読は途中解約も可能だし、気軽に始めればいいんです。そうやって、皆さんがご購入していただければ、シリーズの内容が充実し、延長するかもしれないじゃないですか? そうすれば、メーカーも嬉しいし、読者も嬉しい。まさにwin-winになれるわけです。

     皆さん、オペラに興味があったら、ぜひご購入を! オペラのDVDが2000円で買えるなんて、破格の安値なんですよ。普通は無理ですからね。

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