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2014年クラシックコンサートに出演してきました その2(音源付き)

 ステージ衣装に着替えて、舞台袖に入りました。私が舞台袖に持ち込むのは、楽譜とお茶と老眼鏡です。

 楽譜はお守り代わりです。と言うのも、出演直前って、なぜか急に歌詞が思い出せなくなって不安な気分になったりするので、そんな時に楽譜をすぐに見て安心するためです(舞台では暗譜で歌ってます)。実は昨年、舞台袖に手ぶらで入ったら、急に歌詞を忘れてしまい、でも確認する手段がなくて、そうしたら、いきなり不安な気分に陥ってしまったため「ああいうのは、もうごめんだな」って思ったので、今回は楽譜を持ち込みました。今回も「あれ?」と思う瞬間は何度もあったので、その都度、楽譜確認が出来て嬉しかったです。やはり、舞台袖に楽譜を持ち込む事は、精神衛生上必要かもしれませんね。ちなみに老眼鏡は…せっかく楽譜を持ち込んでも、老眼鏡がないと楽譜が見えないので、楽譜のお供として持ち込みました。

 私は本番に強い男と言われています。人前で歌うくらいで平常心を失ったりするのは、ありえないと思っていたのですが、今回はかなり違いました。

 舞台袖に入る少し前から、気分が悪く、舞台袖で控えている時は、頭痛はするは(汚い話ですが)吐き気がしていました。その吐き気を我慢しているうちに、段々息苦してなって、ノドがイガイガしてきました。こりゃマズいと思って、舞台袖から防音扉の向こう側の廊下に出たら、思いっきりゲホゲホやっちゃいました。

 なんか、まるで本番に弱い新入り君みたいになってしまいました。そんなわけで、自分の本番直前まで、頭痛と吐き気とノドのイガイガに苦しんでいた私です。「ああ、なんか急に、本番に弱い、子犬のようなオッチャンになっちゃったなあ(涙)」と思っていた私ですが、考えてみれば、この時の私、風邪ひいて調子が悪かったんですよね、忘れてたけれど(爆)。

 本番は、妻のソロが先です。彼女のステージが終わった直後、入れ替わりに私がステージに出ます。

 妻と一緒に戻ってきたピアニストさんを迎えて、改めて「よろしくお願いします」と頭を下げて、ステージマネージャーさんが「どうぞ」と言う声と同時に、笑顔を作って舞台に飛び出しました。

 ピアニストさんの方を振り向いて、タイミングを合わせて一緒に頭を下げて、すぐに精神統一&音楽の神様の降臨を待ち望みます。それまで、舞台には背中を向ける私です。

 神様がふうっと降りてきたら、ピアニストさんに合図を送って、最初の曲であるダウランド作曲の「Come again/来たれ、今いちど」を歌い出します。この曲はイントロが1音しかないので、歌い出しはピアニストさんの方を向いた状態から、客席に振り向く最中に行います。うむ、かっこいいでしょ(笑)。

 歌いながら、次の歌詞の事ばかりを考えます。なにしろ、この歌は、気を抜くと、すぐに歌詞がこんがらがってしまいますからね。でも本番では歌詞チェックばかりじゃすみません。、自分の発声はどうだろうか? 響きは下がっていないだろうか(少し低いかも…)? ほんの少しだけ、響きのポイントを上げてみましょう。ああ、いい感じになった。

 なんて事をしていたら、さっそく歌詞が飛びました(涙)。それも普段は絶対に間違えない1番の歌詞を間違えました。とっさに帳尻合わせです(笑)。一度間違えると、気持ちが動転してしまって、ミスが続きます。ガタガタです。それらを直しているうちに、1番は終わってしまいました。ふう…2番からは、なんとか平常心で歌い切りました。いやあ、出だしで穴に落ちるとは…不覚だね。

 でも「来たれ、今いちど」は無名な曲ですから、私が歌詞を間違えたところで、おそらく誰も気づいてはいないでしょう。しめしめ。

 一曲目が終わって、一呼吸置いたら、もう次の曲です。次は、トスティ作曲の「Ideale/理想」です。

 この曲は、私の前の前の人(つまり妻の前の人)が歌ったばかりの曲なんですね。観客は、数分前に同じ曲を聞いているわけで、私が歌えば、当然、その人の歌との比較になるわけですが…「よっしゃあ、それならこれでどんなもんだい!…」という気分で歌ってみました。

 その時の音源がこれです。

 どうでしょうか? いい感じでしょうか? まあ、終盤、色々とやっちゃってますが、私がすんなり歌い終えたらつまらないでしょ。これはこれでご愛嬌って事で(笑)。

 歌い終えたら、なんか肩の荷がいっきに下りたような気がしました。舞台袖に戻ると、妻が出迎えくれました。で、一言二言会話を交わすと、彼女は急いで楽屋に戻りました。そうなんです。間に二人ほど挟んだら、今度は二重唱を歌います。彼女は、衣装替えをするので、急いで楽屋に戻った…というわけですね。私とピアニストさんは、そのまま舞台袖に残りました。

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コメント

  1. おぷー より:

    体の調子が悪いと書かれてますが、出来は高音を除けば、少し発音不明瞭って
    感じがするだけで、低音・中音域はひどくないと思います。
    声質が均一になってきたのがいいですね。
    だから、聴きやすいです。
    低音部・中音部にもう少し深みがでると良いと思います。
    元気になったら、お腹を支えて頑張って下さい!

  2. wasabin より:

    >「よっしゃあ、それならこれでどんなもんだい!…」
    が伝わってきますよ!

    自信持って気持ちよく歌わないと、
    聞いている方も気持ちよくないですからね~
    アマはその上での細々の技術だと思います。

  3. のんきなとうさん より:

    いやぁ~、この曲初めての私にとっては、「やっちゃっている」のはわかりませんね。

    客席側でどのように録音されているのかわからないですが、ピアノに対してこれだけ大きく聴こえてくるのがすごいですよね。
    楽器に負けない声質のようで、うらやましいです。

  4. だりあ より:

    パチパチパチパチ~。今の歌のお師匠さまに替わられて、これで何年めになるのでしょうか。ほんとに先生選びって、大事なんですね。すとんさんのご経験をずっと読ませていただいてきて、今回の音源聞かせていただいてつくづくそう思いました。

  5. すとん より:

    おぷーさん

     体調が悪いと言っても、本番では体調の悪さを忘れる程度ですから、あまり言い訳になりません。それに高音がダメなのは、おそらく元気いっぱいでも同じ事だと思います。高音のAは、まだまだ不安定で実用音域ではないからです。でも、Aまではソロはもちろんですが、合唱テノールでも要求される音ですから、ここまでは楽に実用音域に納めたいと願っています。そのためにも、まだまだ精進精進です。

    >声質が均一になってきたのがいいですね。

     そうですか、自覚は無かったのですが、言われてみれば、そうかもしれません。少しずつでも上達していることを確認できると、とてもとても嬉しいです。

    >元気になったら、お腹を支えて頑張って下さい!

     …ですね、お腹が弱いのが、今現在抱えている大きな問題の一つですからね、なんとかしないと。

     ありがとうございました。

  6. すとん より:

    wasabinさん

     まあ、ちょっとばかり気持ちが先走って、多少、乱暴な歌いクチになってしまっているのが残念ですが、意気込みはお分かりいただけるでしょ? 別に勝負をしているわけではありませんが「負けてなるものか!」という気持ちが無かったと言えば、嘘になります。

     願わくば、もう少し、お上手に歌えると良かったのですが…ねえ。

  7. すとん より:

    のんきなとうさん

    >客席側でどのように録音されているのかわからないですが、

     ホールを前後に分ける、真ん中の通路の一番上手側の隅で、小さなPCM録音機(大きさ的には、とても薄いチョコバーぐらいですね)を置きっぱなしにして取ったモノです。マイクも貧弱ですし、舞台から録音機までも、ちょっとばかり距離があるかな? その分、ホールの残響を一緒に録音されていて良い感じだと思います。

     ちなみに、ピアノは全開にしてガンガン弾いてもらってます。だって、その方がピアノの音もキレイに響きますからね。

    >楽器に負けない声質のようで、うらやましいです。

     その代わり、合唱に混じると、声が目立ちまくるので、邪魔者扱いを受けます(涙)。

  8. すとん より:

    だりあさん

    >今の歌のお師匠さまに替わられて、これで何年めになるのでしょうか。

     ちょうど2年になります。ようやく、前の先生に仕込まれた事が、少しずつ抜けてきて、そこにY先生に教えてもらったモノが置き換わり始めたところです。

    >ほんとに先生選びって、大事なんですね。

     …ですね。もっとも、これは“良い悪い”の問題ではなく“合う合わない”の問題だと思いますよ。私はキング先生のところではあまり上達できませんでしたが、キング先生の教えをうけて、みるみる上達された方もいらっしゃいますからね。私はキング先生の事が大好きでしたが、歌の上達を考えると、どうもうまくはいかなかったみたいです。

     でも、自分でも感じるのですが、この一年で、私はだいぶ上達したと思いますよ(あ~あ、自分で言っちゃったよ:笑)。

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