さて、今年もお盆の季節になりました。そこで、毎年恒例の夏の連載を開始しますので、よろしくお願いします。
しかし、この手の記事って、書き溜め記事の大放出だろうと思われるでしょうし、実際、以前はそうだったのですが、去年あたりからは自転車操業で“書いては出し”状態だったりします。ほんと、ブログ更新に関しては、綱渡りな私です(笑)。応援よろしくお願いします。
さて、今年の連載のテーマは「すとんが薦める初心者向けオペラ」でございます。
ここのブログには、オペラファンの方もいらっしゃるでしょうが、その他にもフルートファンとか、歌曲ファンとか、オーソドックスな音楽ファンとか、習い事ファンとか、オペラ以外に主軸を置いている人もたくさんいらしゃるのではないかと思われます。なので、そんな人々にも、ぜひオペラを知ってもらいたい、できれば見てもらいたいなんて思っていたりするわけです。
というのも、オペラほど、食わず嫌いなモノはない…と、私は思っているからです。なので、皆さん方には「騙された」と思ってくださって結構ですので、一度オペラをご覧になって、その素晴らしさをご堪能いただきたいと思ってます。
とは言え、一言でオペラと言っても、たくさんあるわけで、どれから見ればいいのか分からない…と言うのが本音だろうと思いますので、そこで私が『オペラ初心者さんが見るなら、どのオペラから見ればいいのか』と言うのをガイドして差し上げたいと思って、今回の記事を書いてみました。
では、まず最初の作品ですが…レオンカヴァッロ作曲の「道化師」などはいかがでしょうか!
本当なら、プラシド・ドミンゴが主演したDVDをお薦めしたいのですが、残念ながら廃盤なので、最近の上演を収録したこのDVDをお薦めします。
それにしても、DVDって安いですね。私が熱心にオペラにはまっていた時は、当然DVDはなく、VHSはあったけれど、とても高くて、なかなか手が出せず、結局音のみのCDを購入して、付属の対訳を見ながらオペラを聞いたものです。音だけですから、どんな演技をしているかなどは想像するしかなく、おまけにCDってやつが現在のDVDよりも、ずっと高価だったんですよ。
ほんと、良い時代になりました。今思えば、オペラをCDで楽しむなんて、なんて不便だったんでしょうね。もっとも、私よりも前の世代のオペラファンは、ラジオ放送でオペラを楽しんだそうです。ラジオ放送ですよ! 対訳すらないんです。ほんと、選ばれた人しかオペラを楽しめませんなあ(涙)。
しかし、オペラって、映像があってナンボのモンだと思います。最初から演技付きのモノでオペラを楽しめるなんて、今の人が、本当に、うらやましいです。それに映像なら、字幕で日本語訳が表示されますから、画面から目を離すことなく、ストーリーや歌詞の内容が把握できるわけで、本当に素晴らしいです。
実は「道化師」というオペラ。私が最初にはまったオペラと言いますか、私がオペラを好きになったきっかけの作品なんですよ。当然、当時の話ですから、DVDではなく、CDで知ったわけなんですが(笑)。
私が聞いたのは、マリオ・デル・モナコ主演の「道化師」でした。このCDは現在では廃盤のようです(残念です)。ただし、モナコの「道化師」はDVDでは発売されていますので、画像は白黒、音声はモノラルでも良いのなら、世紀の名演が今でも楽しめるってわけです。ちなみに、私がお薦めしている最近の上演の方で演出をしているジャンカルロ・デル・モナコという人は、マリオ・デル・モナコの息子さんなんですね。親子二代で「道化師」で食べているわけです。うむ、道化師一家だな(笑)。
私が初心者の皆さんに「道化師」を薦める理由は、内容が普通に面白いんです。まあ、もっともその内容って、ドロドロの痴話喧嘩なんですがね。
旅芸人の夫婦のうち、若い女房の方が村の青年と浮気をしてしまい、今夜舞台が終わったら駆け落ちをしましょうという事になり、それを知った年寄りの亭主が、ウジウジしているうちに舞台の時間となり、芝居をしている最中に、芝居と現実の区別がつかなくなって、自分の女房と愛人の青年をナイフで刺し殺してしまうという、ちょっとばかり血生臭いけれど、実際にありそうなストーリーのオペラなんです。
オペラって数多く見ていくと分かりますが、ストーリーって、ほぼ無いモノがほとんどなんです。でも、それでいいんですね。と言うのも、ストーリーって、歌の舞台装置の一つなんですよ。つまり、歌の状況説明のためにストーリーがあるわけです。と言うのも、オペラってストーリーを楽しむモノではなく、あくまでも歌を楽しむものなんです。だから、オペラって、ストーリー軽視の作品が多いのですが、それではオペラ初心者にはハードルが高いわけです。ですから、ストーリーがちゃんと存在する「道化師」を最初にお薦めするわけです。
さらにこのオペラ…上演時間が約70分と、普通の映画並な点が良いですね。普通、オペラと言うのは上演時間が長くて、それが人々に敬遠される部分でもあるのですが、このオペラは映画並の上演時間なので、オペラ初心者の方でも、映画を見るような感覚で見てもらえる点がお薦めです。(ただし、お薦めしたDVDは「カヴァレリア・ルスティカーナ」という、これも70分程度の短いオペラと組み合わされているので、合わせて2時間半程度になってますので、注意してください)
言わずもがなですが、このオペラは音楽がいいんです。劇中で歌われる「衣装をつけろ」という曲(アリア)は、1904年にエンリコ・カルーソーが歌ったレコードが、世界初のミリオン・セラー(!)になったほどです。今の感覚で言えば、パヴァロッティが歌った「寝てはならない」が世界的なヒットになったわけだけれど、あれを数倍すごくした感じなんだと思います。とにかく良いんですよ。
本来、私が薦めたかったドミンゴ主演の「道化師」より「衣装をつけろ」でございます。
ね、すごいでしょ! 騙されたと思って「道化師」をご覧になってください。私はこの作品でオペラにはまりました。ほんと、お薦めなんですよ。
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