スポンサーリンク

ファルセット開眼!

 さて、声楽のレッスンに行ってきました。

 レッスンのために、先生のお宅に向かって移動していったわけですが、先生のお宅に近づいたところで、なにやら大きな歌声が聞こえてきました。もちろん、先生の歌声ですが…音楽室は防音しているはずだけれど、こんなに離れた外にいても、よく聞こえるなんて…人の歌声ってすごいですね。

 さて、先生が歌っていたのは、バリトンの曲ではなく、テノールの曲でした。プッチーニ作曲の「トゥーランドット」の中のアリアで「Nessun dorma/誰も寝てはならぬ」でした。もしかすると先生、次に私に歌わせるたいと思っている曲は、これなのかな?

 「Nessun dormaは、最後の最後にHが出てきて、大変な曲ですよね」

 「でも大変なのは、そこだけで、後は簡単でしょ?」

 と言うわけで、先生はご自身でこの曲にチャレンジしてみたそうです。でもやはり、バリトンさんには厳しかったみたいで「やっぱり、出なかった(てへっ)」って感じになりました。

 バリトンさんに簡単に歌えてしまったら、テノールの存在意義がなくなるので、なんかホッとしました(笑)。

 さて、レッスンです。

 まず最初はハミングで先生とハモる練習から始めました。ピアノが和音を弾くので、私と先生が同時に違う旋律を歌って、ハモる練習をしたわけです。いやあ、実は私、ハモリが苦手だったりするんです。

 私、これでも結構気が小さい(笑)ので、他の人と歌っていると、ついつい相手に釣られてしまい、最初は違う旋律を歌っていたはずなのに、いつのまにか相手と同じ旋律を歌ってしまうという、意志薄弱な歌しか歌えなかったんですね。もちろん、これは声楽をマジメに勉強する前の話ですが、気の弱さは歌を習ったからと言って、そう簡単に変わるわけではありません。一生懸命に先生の歌に釣られないように、気持ちをしっかり持って歌いました。気持ちをしっかり持つついでに、ついつい気張ってしまい、ノドに力が入ってしまいます。ノドに力が入ると、音程がズリ下がるので、結果的にキレイにハモれません。ああ、なんて残念な。結構頑張ったんだけれど、後で録音を聞くと、結構惜しい感じになってました。

 ハミングの後は、実声で発声練習です。「しっかりとノドを開けて!」と何度も何度も注意されて、しっかりノドを開けて歌っていると、ムショウにノドがかゆくなります。かゆくてかゆくてタマリマセン。それでも我慢してい歌っていると、やがてかゆみの頂点に達してしまって、思わずむせてしまいます。一度むせると、ノドが痛くなります。

 どんなにノドがかゆくても、やがてかゆさに慣れるのですが、その慣れるまでがつらいです。きっと、毎日の自宅練習でしっかりノドを開けて歌っていたなら、こんなにかゆさに負けることはないのでしょうが、自宅では、レッスンのように、きちんとノドを開けて歌えないのですね。ああ、残念だ。

 実声で発声練習をした後は、ファルセットで発声練習をしました。ファルセットですよ、ファ・ル・セ・ッ・ト。そう、ファルセット、つまり裏声で発声練習です。

 実は私、つい最近までファルセットで発声練習どころか、ファルセットそのものを出すことができませんでした。なぜ出せなかったのか…その理由は、今ならわかります。それは、ノドに力が入りすぎて、声帯がガチガチに固まっていたので、声帯の薄い部分を使うことができず、結果としてファルセットが出せなかったんですね。なにしろ、ファルセットは声帯の一部分しか振動させませんから、力を入れてガチガチに固めてしまうと、そんな細かいこと出来るわけないですからね。

 それがY先生に師事する様になって、約1年。ようやくノドの力みが取れ始めて、ファルセットで歌えるようになりました。実にうれしい事です。

 ファルセットを使うと、通常音域よりもだいぶ高い音で歌うことになります。男性の場合は、ほぼ女声音域で歌うことになります。しかし、音域的には女声的であっても、所詮は男声ですから、女声とはだいぶ違って“極端に高い男声”になるか“オカマ声”あるいは、ちょっと人間離れした“河童声”って奴になるのが普通です。

 いわゆるカウンターテナーやソプラニスタの声の魅力は、女声音域の声でありながらも、女声にはない力強さがある事でしょう。おそらく、今や現存しないカストラートの声は“力強い少年の声”なんだろうと思います。

 つまり本来、男声がファルセットで歌っても、あくまでも男声のままで、決して女声っぽく聞こえないのが普通です。、

 さて、私が(ほぼ始めて)ファルセットで歌ってみた感じですが、歌っている最中から、すでに「なんか、私の声って、可愛くない?」と思いながら歌っていましたが、後で録音を聞いてびっくり! 私のファルセットの声って、全然、裏声っぽくないんですよ。

 どんな声だったのかと言うと、私のファルセットは、ほぼソプラノ(笑)。

 とにかく、録音を聞いていると、全然男っぽさがなくて、普通に優しい感じの女声なんですね。力強さのかけらもなく、繊細な感じの女声に聞こえるんです。いやあ、録音を聞いて、本当にビックリしました。だって、全然、私の声じゃないんだもの。私には姉妹がいないけれど、もしもいたら、こんな歌声なのかなって、一瞬思ってしまったほどです。

 ま、私のファルセットには、力強さが大いに欠けているって事なんだと思います。

 でもね、「ファルセットの方がいいですね…」と先生に言われたのは、かなりのショックでした。

 そして「ファルセットで歌っているような感じで、実声でも歌ってください」と言われて、実声で歌うと「やっぱりファルセットの方がいいですね」って言われてしまいました。凹むなあ…。

 私のファルセットがソプラノっぽく聞こえるのは、なにしろ、ファルセット初心者ですから、ファルセットに慣れてなくて、それで実にひ弱な声で歌ってしまったからだと思います。ただ、単にひ弱な声ってわけではなく、一応、口腔の響きで拡声して歌ったわけですから、歌い慣れない女声のような声になったのだと思います。

 まあやがて、ファルセットにも慣れて、声に力強さが加われば、カウンターテナーとか、ソプラニスタにもなれるかな? もしもテノールとしてダメだとしても、カウンターテナーとしてやれるかな(笑)。

 …ってか、ファルセットありきで考えちゃダメか。まずは実声をきちんと鍛えて、ちゃんとしたテノールになる事を考える方が先決だね。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 クラシックブログ 声楽へ
にほんブログ村

コメント

  1. Velvettino より:

    カウンターテナーの才能が発見されたのですね!
    何年もテノールの訓練を積まれてきて、ファルセットは初心者(失礼)なのに、先生にファルセットを褒められるなんて、すごい能力が隠れていたんですね!

    今後テノールとファルセットと両方鍛えられて、記事を書かれたらとても興味深いと思いました!
    テノールのアリアもメゾのアリアも歌えるなんて、贅沢も出来てしまいそうですね。

  2. すとん より:

    Velvettinoさん

     いやあ、カウンターテナーの才能なんて、からっきしナッシングですよ。ただ、テナーとしての発声よりもファルセットの方が良い(涙)というだけの話です。

    >今後テノールとファルセットと両方鍛えられて

     んまあ、それは考えないでもないです。ってか、どうも私の場合、歌い始めの導入の声慣らしには、ハミングよりもファルセットの方が良いかもしれないなあ…って思います。その方が、息の通り道がよく分かるような気がします。

     なので、これからはきっと、毎日毎日ファルセットの発声練習が日課練習に入りますので、そのうちファルセットでも歌えるようになるかもしれません。それはそれで楽しみかなって思います。

     ファルセットが使えるようになると、昔のカストラートの歌が歌えるようになるわけで、それはなんか楽しみです。ま、あくまでもテノールの余技としてのファルセットですけれどね。

タイトルとURLをコピーしました