スポンサーリンク

どうも発声はアよりもオの方がまとめやすいみたいです

 声楽のレッスンに行ってきました。

 お教室に着くなり、お願いしたのは、レッスンの振り替えです。

 先生とのレッスンは、私と先生の仕事のスケジュールを合わせて不定期に行っているのですが、実は、私の仕事が予想外に忙しくなってしまって、次回のレッスンに予定していた日がどうも難しくなってしまったので「ごめんなさい、次のレッスンはひとまずキャンセルで…」とお願いしたわけです。

 先生も働く男の事情は分かってくださってますので、その件は笑顔で受け入れていただきましたが、問題は「では、そのレッスンをいつに振り替えましょうか…」って事なんです。不定期レッスンってのは、積極的に予定を入れていかないと、どんどんレッスン間隔が開いてしまいますからね。

 いやあ、それにしてもY先生の年末年始は忙しいんです。大小のコンサートにディナーショーと、まさに“師走”状態。で「う~む」と唸っていただいて、ニューイヤーコンサートのリハのために、NHK入りするのが遅い日の午前中にレッスンを入れてもらいました。平日の昼間なので、私の仕事の調整をしないといけないのですが…そこしか予定のアキが無いので、なんとかしましょう。

 さて、レッスンです。ハミングの練習から入りましたが、高いポジションのまま、声を変えずに音程だけ変えて歌うハミングの練習をしました。と言うのも、私は低いポジションのままで、ついつい発声をしはじめる癖があるので、最初から高いポジションで発声する癖をつけましょうって事と、高いポジションで高い音程に行った時、ある高さから声の響きを副鼻腔のみに切り換えてしまう癖があるので、副鼻腔だけでなく、副鼻腔も含めた全身での響きのまま歌う、つまり声そのものは変えずに歌えるようにしましょうって事で、その道筋をつけるため、ハミングでそれらにトライしてみたわけです。

 難しいは難しいのですが、意識さえきちんとしていれば、できないわけではありません。問題は、いつでもそれを意識し続けて歌うって事なんです。

 私は歌い始めると、ついつい歌に夢中になってしまって発声がおろそかになってしまうので、発声に必要な事は、癖づけておかないとダメなんですね。そういう意味では、歌手としての私は、ちっとも知性派ではなく、タイプとしては憑依型なんですよ。憑依先がオペラ歌手ならともかく、そうでなければ、歌唱技術なんてすっかり横において、役に入り込んで歌っちゃうわけなんです。だから、役に入り込んでも、カラダに歌唱技術を残しておかないといけないわけです。だから、歌集技術は癖として身につけておかないといけないわけです。

 そういう点では、歌手として熟成するのに、時間が必要なタイプだし、遅々として上達しないタイプなんですよ。はあ~。

 クチを開いての発声練習では、クチの開き方の練習をたっぷりしました。縦開きですよ。以前よりもだいぶクチが縦に開くようになってきたとは言うものの、まだまだ高音になると、横にもクチが広がります。そうなると、クチの開き方の縦横比がおかしくなってしまい(発声ではなく)発音的におかしくなってしまいます。

 キング先生のところでは、発声と言えばアで行っていましたが、どうやら私の場合、アで発声するよりも、オで発声を整えた方が良いみたいです。無論、オだけでなく、アでも発声をまとめられないと、イやエはちゃんと発声できない…わけですが、まずは取っかかりとしてオで発声をまとめているのが良さそうだと言われました。つまり、発声の基本ベースはオでやってみる。やがては、色々な母音でちゃんと歌えるようにする。こんな感じじゃないとダメみたいですね。練習あるのみです。

 で、どんな発音でも、クチのカタチはオのままで、発音の仕分けは口の奥でやる…というスタイルが私向きのようです。つまり“クチをオのカタチに固定したままで行う腹話術”って想像すると分かりやすいかもしれません。それで歌うわけです(汗)。

 今回も高音チャレンジをしたのですが、かなり高いところまで出たそうですが、もっともっと高いところが出るみたいだと言われました。今現在の私は、下手くそでテクニックが無いので“高音が苦手なテノール”に甘んじていますが、どうもポテンシャル的には、高音を苦にしないタイプのテノールらしいんです。HI-Cどころか、もっと上まで行けそうだと先生はおっしゃいますが、問題は私の歌唱テクニックなんですね。ノドにそれだけの性能があっても、そのノドを制御するテクニックがボンクラなんですよ(涙)。なので、声の持ち腐れ状態なんだそうです。

 厳しいね。でも、せっかく持っている声なんだから、きちんと使えるようになりたいですよ。

 声と腹筋を直結する練習もやりました。腹筋の動きが声にダイレクトに反映するためには、その間に邪魔者を置かなければいいわけなんですが、それが難しいね。おまけに腹筋を使いづづけて歌うのも、体力的に厳しいです。

 雑談です(笑)。声楽家の留学先にも流行り廃りがあるそうです。昔々は、猫も杓子もウィーンに留学していたそうです。その頃の声楽家というのは、勉強するのにお金がかかるので、お金持ちの子女しかなれなかったそうです。その後、ドイツに留学するのが流行り(ウィーンよりもドイツの方が物価が安いので、色々と勉強しやすいらしいんです)、やがてイタリアに留学するのが主流になってきたそうです。H先生も奥様先生もイタリア留学組で、だからお二人ともイタリア語がペラペラなんです。

 歌手である以上、イタリア語がペラペラと言うのは、必要条件なんだそうですが、今の時代、イタリア語だけができてもダメで、他の言語(ドイツ語やらフランス語やら)もそれなりに出来ないと、歌の仕事って廻ってこないんだそうです。大変ですね。

 で、フランス語と言えばフランス歌曲ですよ。「私もいつか、フランス歌曲を歌いたいです。特にフォーレの歌曲を歌いたいです」って言ってみました。先生、ちょっと苦笑いをしてましたよ。なんでも、フォーレは私の声には合わないから、今は止めておいた方が良いだろうとの、先生の判断なんですね。今はまだ、パワフルでイケイケな歌を歌った方が良いのだそうですし、そういう声なんだから、積極的にそういう歌を歌っていくべきなんだそうですよ。やがて、年を取れば、いやでも声は変わっていきます。フォーレは声が変わってから取り組んだそうがいいでしょう…って話でした。

 なので、フォーレはしばらくペンディングです(残念)。でも、年を取ってからの楽しみって事にしておきますし、それまでにフランス語の勉強に励めばいいだけなので、チャンスを待つことにしました。ふふふ。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 クラシックブログ 声楽へ
にほんブログ村

コメント

  1. だりあ より:

    おはようございます。

    >意識さえきちんとしていれば、できないわけではありません。問題は、いつでもそれを意識し続けて歌うって事なんです。

    今日は、この一節にドキッときて、妙に納得しました。
    スポーツでも音楽でも、「練習」、というのは、一つの動作を意識しつづけて、それを無意識にできるように脳と身体に落とし込んでいくことで、それがどんどん高度なことを要求される果てのない作業なんでしょうね・・。

    今の自分にできないことが、意識してしつづけて、無意識にできるようになるまで、って自分が予想しているよりずっとずっと時間がかかるので、私はフルートですが、やっぱり途中で幾度もめげそうになりました。

    先生にチェックされたそのときにはすみずみしっかり意識を行き届かせて動作できますが、あっと言う間にいつものクセが出てしまいます。意識から無意識までって遠くて難しい道のりですね。

  2. カル より:

    オで発音を整えるですか。。難
    私は最近ボイストレーニングに通い始めたのですが、
    上級者の方でも発声って気を遣われるのですね。
    参考にさせて頂きます。音楽活動、頑張ってください。

  3. tetsu より:

    こんばんは。

    > で、フランス語と言えばフランス歌曲ですよ。

    フランス歌曲といえば、パンゼラによるデュパルクの「旅への誘い」です。ボードレールの詩も大好きです。
    すとんさんの声質でも「枯淡の境地」(!?)に至れば十分聴かせることができるとおもいます。

    パンゼラのあとフランス歌曲で誰が歌っているかさえ知らない程度ですが、好き勝手に書いてしまい失礼しました。

  4. すとん より:

    だりあさん

    >スポーツでも音楽でも、「練習」、というのは、一つの動作を意識しつづけて、それを無意識にできるように脳と身体に落とし込んでいくこと

     そうなんですよ。だから、Y先生は根性論を否定するんです。

     一回やって出来ない事は練習が足りないからで、だから出来るようになるまで、例えば大概の事は、100回練習すれば出来るようになるし、100回やっても出来なければ1000回やればいい。出来るようになるまで何度も何度もやり続ければ、必ず最後は出来るようになる…こんな事をよくキング先生がおっしゃってました。根性論ですね。

     だから私は一生懸命に努力していたわけです。

     でもY先生は、それは絶対にダメって言うんです。と言うのも、100回やって出来ないと言うのは、出来ない事を100回繰り返すわけで、それってカラダに失敗体験を100回させるわけで、出来ない事を癖づけるわけで、いわば失敗をカラダにしみこませる事だって言うんです。

     この事を聞いた時は、目からウロコでしたね。そりゃあ、確かに、やればやるほど出来なくなるよね。

     大切な事は、練習では成功体験を積み重ねていく事。出来ない事できるようにするのは練習ではなく、それはレッスンなんです。練習では、出来るけれど危うい事を、危うくならないように、成功体験を癖付け、カラダに染み込ませることが目的なんです。

     Y先生の話を聞いてから、私、自分なりに練習に取り組む姿勢が変わりました。ほんと、練習で失敗しちゃいけないんですよ。今では、出来なかったら、即座に止める。出来たら、続ける。この方針で練習してます。

     そして成功体験を積み重ねていくと、やがて無意識でできるようになる…かもね。

  5. すとん より:

    カルさん、いらっしゃいませ。

     私は上級者ではないですよ(笑)。キャリアを考えれば、上級者並の力量があってもいいのに、技巧的にはまだまだ初心者に毛が生えた程度で、とても残念な人なんです。

     オで発音をまとめるのは、私個人の場合です。このあたりは人によって様々で、イやエの方が発音がまとまるという人も大勢いらっしゃいますよ。まあ、それでも基本はやはりアだと思います。

  6. すとん より:

    tetsuさん

     パンゼラ? 知らなかったので、YouTubeを漁ったところ、SP時代のバリトンさんですね。ううむ、味がある歌唱した。

     そう、フランス歌曲って、男性の場合、どうもバリトンさんが担っている感じがします。やはり、中声~低声だといい感じなのかもしれません。テノール、それも軽めのテノールの私には、確かに合わないかもしれないです。

    >パンゼラのあとフランス歌曲で誰が歌っているかさえ知らない程度ですが

     私も最新の状況は知りませんが、少し前なら、ジェラール・スゼーが代表格でしょうか? 私のフランス歌曲のコレクションも、スゼーのものが一番多いかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました