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アゴの開け方、落とし方 または 男声と女声の違い

 最初に言っておきますが、今日の記事は私の観察なので、まちがっていたら、ごめんなさい。

 テレビでソプラノ歌手とテノール歌手が並んで歌っている、なんて風景はよく見ると思いますが、ある日、何気にそんな光景をテレビを見ていた時に、私はふと気づいてしまったのです。「もしかしたら男と女では、歌う時のアゴの開き方が違うのでは…」ということを。

 人によって、それぞれ癖はあるものの、女声はアゴの関節を中心にして、そこから円弧を描くようにして喉へ向かってアゴを開いてゆく人が多いようです。もちろん、そのまま開いてゆくとアゴで喉を潰してしまいますので、アゴを開いてゆくと同時に顔もやや上に向けて傾けてゆきます。ま、両手の手のひらを合わせて、手首のあたりを支点にして、指先を開いていくのと同じような感覚で、アゴ関節を中心にして、アゴ[下アゴ]と頭[上アゴ]を開いてゆくようです。

 対して男声は、頭は動かず、アゴを開くと言うよりも、重力にまかせて下へ落とすという感じに開く人が多いような気がします。その時、ガマガエル(失礼)のように、喉が膨らむ方もたくさんいます。

 ですので、女声は前方やや上に向かって声を出し、男声は前方やや下に向けて声を出しているような気がします。

 両者とも共鳴腔である口の中を大きくするためにアゴを大きく開くのですが、そのやり方の違いは、喉仏(声帯が入っている箱ですね)を下に下げるための、ストラテジーの違いではないかと思いました。

 女声のようにアゴを開くと、自然に喉仏が下がります。

 男声のようにアゴを落とすと、喉仏は全く動きません。しかし、口の中は女声のやり方よりも大きく広がります。では喉仏は…と言うと、アゴの動きとはまったく別に、下げる事になります。女声のように自然に下げるわけではありませんので、そのための筋力が必要になりますが、より大きく下がります。その結果が、ガマガエル(再度失礼)になってしまうのでしょう。

 喉仏の下がり方は、大きければ大きいほど口腔内の容積が大きくなるので、筋力さえあれば、あのガマガエル・フォームは、見た目はかなり悪い(三度の失礼)のですが、理に適っていると思います。

 喉を下げるのは大いに結構ですが、喉を絞めることは厳禁です。喉仏付近の筋肉は小さな筋肉ばかりで、その小さな筋肉を選択して、あれだけ大きく動かすには、かなりの筋力が必要です。筋力というのは男女を問わず、筋肉の断面積に比例します。つまり首が太い人は首の筋肉が発達しているわけで、筋力もあるけれど、首の細い人は筋肉が少ししかなく筋力の面で劣ることになります。

 女声だと、やはり首の細い人が多いですし、筋力の問題が壁となるので、アゴを円弧を描くように開いて自然と喉仏を下げる方法を選び、男声は筋力に余裕があるので、アゴはアゴとして落とし、喉仏は喉仏として下げるのだと思います。

 だから、どうと言うことはないのですが、テレビを見ていて気づいたものですので、記事に書いてみました。合っているのかなあ…。

コメント

  1. Cecilia より:

    う~ん、私はあまり顎を開けないのです。
    どちらかというと頬骨を上げるほうに近いですが、それもあまりやりません。
    顎に関する指導は男の先生のほうがあるように思いました。

    あと私の場合は初期の頃から「顎に入らないように。」ということをよく言われていました。
    上の響きということをよく言われていたので。

    良くも悪くも顎を使ってないことが影響しているように思います。

  2. すとん より:

    >Ceciliaさん
     私は(もちろん)女性ではないので、女声の観察が甘かったかな? なんて今更に思ってます。色々な人がいるのは当たり前として、確かにおっしゃるとおり、発声に関しては、女声はアゴに重点をおいているわけではなさそうですね。ホオというか、笑顔というか、あの辺りの注意はよく聞きますし、実際、笑顔で歌う女性歌手の方はたくさんいますし…。
     キング先生に習い始めた頃、一生懸命ホオをあげていた私(何しろ以前は女性の先生に習っていましたから)なのですが、先生に「顔は普通でいいですよ。それよりしっかりアゴを落として下さいね」と言われました。
     ただし、この言葉は、一緒に習っているお姉様方にも言われていたので、ホオは男女というよりも、流派の違いかもしれませんが…。

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