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メーカーによる音色の違いにこだわりますか?

 考えてみれば、不思議でも何でもないのだろうけれど、ピアノ弾きの方々のピアノメーカーに対するこだわりについては、時々理解できないことがあります。

 あ、まず前提条件を提示しておきましょう。私の地元では、ピアノメーカーと言えば、圧倒的にヤマハさんです。だから大抵の家庭にあるピアノはヤマハですし、公的機関に何気に置いてあるピアノもほぼヤマハです。つまりヤマハがデフォルトの地域だというのが、まずは前提条件なのです。

 ええと、地元で演奏会場になるようなホールには、大抵何台かのピアノが置いてあったりします。実際の演奏会では、それらの中から一台を選んで、調律などの準備をして演奏会に臨む訳です。まあ、そこのピアノのラインアップは、大抵ヤマハのグランドを中心に揃えてあったりするわけですが、そのラインアップに、スタンウェイやベヒシュタインのピアノが加わっていたりすると、まず十中八九と言うより、十中十、いわば百発百中の割合(笑)、ピアノ弾きの方々はスタンウェイなりベヒシュタインなりの、外国ピアノを選択します。

 なぜでしょ?

 私に言わせれば、これらはレンタル料が案外高い。下手するとヤマハの倍のレンタル料では済まない。コンサートを主催する側にいる時は、正直「ゲゲッ!」と思ったりします。

 これがピアノリサイタル!なら、やむないかもしれないけれど、合唱コンクールとかで、ピアノが脇役に廻る時にコレってどうなの?って思います。

 普段、自宅で弾いているピアノはヤマハなんだから、手になじんだヤマハピアノを選択するのが当然だと思うのですが、そこで手になじんでいない、普段のピアノと癖の違うメーカーでいいのかと思うわけです。

 あるいは、実際にそのホールに行って、ピアノ達を弾き比べて「これにします」というなら、まあ分からんでもないけれど、大抵はレンタル料金表を見て「これ!」ってケースが多いと聞きます。ううむ、分からん。

 あんまり分からないので、身近なピアノ弾きに尋ねてみたら「音が違う」と即答。ああ、音(音色)が違うのね。

 確かに音は違うだろうけれど、それは異なるメーカーのピアノを横に並べて聞き比べをすれば、確かに音は違って聞こえるかもしれないけれど、そうでないなら、それらの違いって、たぶん分からないと思う。少なくとも、観客サイドには関係ない。

 ヤマハピアノの音がダメダメで、日頃はやむない状態の中、それで演奏しているけれど、人前での演奏会はきちんとしたピアノで弾きたい、というなら分かりますよ。でもね、ヤマハのピアノってダメダメではないよ。むしろ、すごく立派。外国産ピアノに一歩も引けをとらないと思います。確かに音は違うけれど、それは善し悪しの問題ではなく、単に趣味の問題だと思うけど、違う?

 それにお客は「今日は国産ピアノだからダメだ」とか「今日は外国産ピアノだから音が良かったね」などとは、絶対に言わない。言うのは「今日のピアニスト、無名だけれどなかなかやるじゃん」とか「難しいフレーズは軽く弾きこなすけれど、聞かせ所はまだまだだねえ」とか「さすが、歳を重ねるごとに心に沁みる演奏をするようになりましたねえ…」とか、ピアノじゃなくてピアニストに関する感想しか持たないと思うよ。

 さらに言っちゃうと、ピアノが伴奏にまわっている時は、観客は主役の方ばかり見ているわけで、ピアニストに関する感想すら無いこともあるしサ(これはさすがにピアニストさんには不憫ですが…)。

 確かに音は違うだろうけれど、客はそんなこと気にしてないわけ。つまりはピアノのメーカーによる音の違いにこだわるのは、ピアノ弾きの方々の単なるこだわりなんだね、これ。または外国産ピアノに対する憧れ?

 とは言え、ヴァイオリンやギターのように、自分の楽器を常に持ち込めるのなら、こんなこともないでしょうね。自分の演奏を、自分にとって最高の楽器で演奏したい、というのは、音楽をやっている人のいわばサガで、その気持ちは全く分からないではありません。所詮、音楽というか、美の世界って、こだわりなんだと思う。たとえ鑑賞者に分からなくても、表現者が表現にこだわる事って、大切なんだろうとは思うけど…やっぱ鑑賞者の立場だとよく分かんないや。

 本当なら、自分で最高のピアノを所有し、それを常に持ち運べれば良いのだろうけれど、ピアノを持ち運ぶピアニストって、外国の超一流のピアニスト以外いないじゃない。常にその場にある他人の楽器で演奏しなければならない、そんなピアニストって、演奏者として大きなハンデを負っているのかな? やっぱり

コメント

  1. ムコ殿 より:

    友人から教えてもらったのですが、
    esquireという雑誌の今月号で、ピアノの特集やってます。
    http://www.esquire.co.jp/
    記事も面白いですが、付録にプレイエルのショパン時代のピアノと現在のピアノの聴き比べCDがついていて、これが興味しんしんです。

  2. Cecilia より:

    私も音の違いはそれほどよくわかりません。
    ピアノブログの方々がよく「ベーゼンドルファーでピアノ練習会しました。」とかおっしゃるのですが、ピアノ弾きの方々には違いがわかるのでしょうか?
    確かに弾きやすさの違いは感じますが、ヤマハやカワイも悪くないし、むしろ良いと思っています。
    個人的にはカワイが好みなのですが
    ヤマハのほうが商売上手(=商業主義)のにおいを感じます。

  3. ことなりままっち より:

    違いわかりますよ~!!
    私の持ってるピアノはカワイなんですけど、ヤマハとの違いもわかります。
    スタインウェイはぜんっぜん違うんです~~~。私が特に感じるのは、『ダンパーペダルが浅い』ことかな。PTNAのセミナーに行った熱田文化小劇場という、ステップの会場にもなってるところはスタインウェイでした。先日惨敗(笑)した発表会も、当日はスタインウェイだってことが分かってたので練習したかったんだけど、練習場所が探せなくて…。怖かったです。

    ベーゼンは未経験。というかベーゼンのあるホール自体少ないかもしれんと思います。

    合唱の演奏会の伴奏であれば、その合唱団の持っている音色というのもあるのではないか、それにピアノの音色も合わせてあげたほうがいいから、必ずしもスタインウェイなどを選ぶのがベストともいえないんじゃないかな、という気がしますが…。ピアニストのこだわりっちゃこだわりでしょうね。

    昔エキストラの仕事(注:合唱ではない)を学生の頃やったんですが、ピアニストはとにかく、行った先のピアノを弾いてくるだけですので、弾きにくいピアノにあたっちゃうと悲惨です。リハで気づいてもどうしようもない。逆に考えると、手持ちの楽器を持ち運ぶことが難しいからこそ、構造とかメンテナンスにあまり関心のない人も多いのかもしれませんよ。

  4. すとん より:

    >ムコ殿さん
     さっそく、エスクァイアという雑誌のサイトをのぞいてみました。私はてっきりピアノ専門誌かと思っていましたが、これって一般誌ですね。落ち着いた大人の男性対象かな。私のようなオヤジ小僧にはちょっと敷居が高そうです…(汗)。
     付録のCDには私も興味があるので、これから、レッスンに行くところなので、その途中のコンビニの雑誌コーナーや書店のそれを見てきます。

  5. すとん より:

    >Ceciliaさん
     やはり日本の二大ピアノメーカーというと、ヤマハとカワイなんでしょうね。私は耳慣れているといった意味で、ヤマハの方が好きかな? 私の印象だと、ヤマハの音って、ちょっとキラキラしているって感じ? カワイはどっちかと言うと渋めで大人って感じかな。スタンウェイはCDのピアノの音って感じで、生で聴いてもなぜかリアルに感じない(笑)ような気がします。
     なんて偉そうに書いても、きっちり聞き比べない限り、どちらも私には「ピアノの音」なんです。
     やっぱりダメじゃん>私の耳

  6. すとん より:

    >ことなりままっちさん
     やっぱりピアノ弾きの方には、メーカーの違いって大きいのですね。ダンパーの話からも、音色だけでなく、その演奏感もだいぶ違うみたいですね。それではこだわりを持っていても仕方ないかな? いやあ、勉強になりました。
     となると、やはりピアノ弾きの方々には、スタンウェイって特別なピアノってことになるのでしょうか? だからCDの録音とかでも、たいていスタンウェイだし、地元のピアノリサイタルでも使うピアノは、ほとんどスタンウェイなのは、そんな理由なのでしょうかね?
     

  7. すとん より:

     エスクァイア買いました。最新号は、ピアノに関する蘊蓄(うんちく、すごい漢字だなあ…)を溜め込むにいい特集です。ああ、こうやって蘊蓄親父ができあがってゆくんだなあとヒシヒシ感じる雑誌です。
     とにかく付録のCDを聴き込むことにします。何か、私でも感じるものがあったら、いづれ記事にしたいと思ってますが…新旧のプレイエルの違いなんて、さすがに違いそのものは分かるけれど、それを言葉で表現するなんて、ああ、難しいなあ…。

  8. みるて より:

    ピアノは本当に難しい楽器ですよね。
    誰が弾いても「ド」の鍵盤を押せば「ド」の音がでる。
    でもそのピアノが持っている「一番いい音」を出せるかどうかはピアニストの腕にかかっているんです。
    そのとき、そのピアニストの腕や技量やテクニックを「素直に反応してくれるかどうか」はピアノのメーカーによって大きく違うように感じます。
    ヤマハは割と誰が弾いてもそのピアノが持っている本来の音のいい音が出しやすい。
    かたやカワイはピアニストの技量を顕著に反映させるの。
    なので、ヤマハの方が知らない(初めて触る)ピアノは弾きやすいと思います。
    一方カワイなんかはうまい人が弾くともうそれはうっとりするほどのものになる。
    ピアノを選ぶときに弾き手に対してどこまで反応してくれるか、も「どんな音色か」と同じぐらい大事な問題だと思います。
    合唱とかでピアノがメインでなくても、ピアニストの要求に素直に反応してくれるピアノを選ぶのは自然なことだと思いますが。。。。。
    2005年のショパンコンクールの1次予選は(全員)カワイのピアノを使わせています。
    リヒテルはヤマハのピアノを使っています。
    だからヤマハやカワイが日本のメーカーだから選ばれないと言うのは間違いかと。
    ただ、どうしてもスタインウェイやベーゼンドルファーはホールでの残響がきれいで、弾き手の要求を満たしてくれる楽器であるのも事実です。

    こんな選び方もあるんですよ。
    元ピアノ科のみるての意見でした。
    わたしは個人的にボリュームはスタインウェイに劣りますが、つや消しのような低音がきれいに聞こえるベーゼンドルファーが好きです。

  9. すとん より:

    >みるてさん
     音色のみならず、弾き手にどれだけ反応するかの違いも、重要とのこと、私には想像つきませんでした。これまた勉強です。
     確かに音色だけなら「好みの問題でしょ」と言えるけれど、楽器の反応性の違い、演奏者からすれば、譲れないほどの大問題だって事、分かります。
     楽器としての反応性が良くなければダメだろうけれど、ある程度は楽器自身に任せてしまいたいところだってあるでしょう。演奏する人間が、どこまでを楽器に委ね、どこからを自分でコントロールするかを決め、その決めた線で楽曲に集中して演奏できる。そのためにピアノを選ぶ。そう考えると、ピアノ弾きの方々がメーカーにこだわるのも、当然なのですね。納得しました。
     話のスケールはだいぶ小さくなりますが、パソコンのキーボードやマウス、こだわらない人は全くこだわらないだろうけれど、実は私こだわる人です。その理由は、やはり機械としての反応性の違い。ホンのちょっとだけでも、遊びがあったり、緩慢であったりすると、私は耐えられません。で、そのちょっとを解決するために、高価なキーボードやマウスを使ってます。もちろん、楽器とパソコン用品では、規模も価格も全く違いますが、それが大問題だってことはよく分かりました。

  10. ムコ殿 より:

    エスクアイア買って下さったんですね。
    といっても、僕は同誌のまわしものではありませんが(笑)。
    さすが、好奇心旺盛なすとんさん!
    なかなか、面白い企画でしょ。
    音○友○社の雑誌みたいに視野せまくないし(ハハハ)。
    ぜひ聴き比べて、感想アップしてくださいね。

  11. すとん より:

    >ムコ殿さん

    >ぜひ聴き比べて、感想アップしてくださいね。
    がんばりま~す(笑)。

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