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2013年6月現在の私の歌声[音源付き]

 声楽の先生をキング先生からY先生に変えて、約1年になりました。発表会の準備も着々と進んでいますので、今回は勇気を以て、現在の発表会準備途中である現在の歌声をアップしてみる事にしました。ま、一種のメモリアル・アップです(笑)。

 曲目は、トスティ作曲の『Non t’amo piu!/君なんかもう』。記事のタイトルは「2013年6月現在」となってますが、実際に歌ったのは、5月29日です。まあ、細かいことは気にしない(笑)。

 自分的には、ますますキング式の発声方法が抜けて、少しずつY先生の教えてくれる標準的な発声方法に変わっているように感じています。とは言え、さすがに五年間、毎日毎日練習してきたわけで、まだまだキング式発声が抜けきれていない事も事実です。感覚的には、五対五ないしは、六対四ぐらいの割合かな? もちろん、数の多い方がキング式ね。

 キング式の発声方法は、選ばれた人間のための発声法…と私は勝手に思ってます。選ばれた人たちが、キング先生の元で学ぶと、本当に劇的に変わります。でも、選ばれていない人で、力の無い人は、壁にぶちあたったまま悪い癖をこじらせて停滞するし、中途半端に素質があると、声を壊します。残念ながら、私は選ばれていない人間だったみたいです。あのままキング先生の元で学び続けていたら、確実に声を壊していたと思います。なにしろ、私は、中途半端な人間ですから(笑)。まあ、だから、音楽の神様が、中途半端な私にも対応できる、オーソドックスな先生に変えてくださったのだと思ってます。

 さて、アップした歌は、他人が聞いたらどう聞こえるかは別として、私自身の感覚では、以前とはかなり違っているんですよ。

 まず、一番の違いは、声が楽に出て、歌っている事が、とても楽しいんですよ。

 歌は昔から好きでしたが(ブログには何度も書いてますが、入門当初から)キング式の発声では、苦しいし、痛いんですよ。なにしろ、ラクに発声するとダメが出ます。先生がOKをくれる声は、苦しいし、痛いんです。苦しいのは酸欠でクラクラするから。痛いのは、ノドの奥やコメカミの上、頭頂部、うなじのちょっと内部。それと歌うと、ノドから血の匂いが漂います。

 そんなに苦しくて痛いなら、歌なんて辞めればいいのにと思われるでしょうが、私は、歌が大大大好きだから、声を出すのがつらくても我慢してきました。たまにつらすぎて、その事を先生に伝えると「我々だってつらいんだ」と言われると、そうかプロでもオペラチックな発声って、つらくて大変なんだ。だったら、私の痛みぐらい、我慢しないとね…なんて思ったものです。実際、先生を信頼していたから、先生の指導方針に従って我慢してきました。

 まあ、私はキング式発声方法に耐えられるほど、カラダもノドも強くなかったんだと思います。だから、つらくて痛かったんだと思います。

 でもね、やっぱり、人間、痛くない方がいいし、つらくない方がいいです。特に、趣味なんだから、ツライより楽しい方がいいよね。

 Y先生のところに入門して、最初に言われたのが、これ。声を聞いて、いかにも、つらそうな声だと言われました。いや、実際は、つらそうではなく、つらかったのですけどね。

 だから、最初にやったのは、楽に発声すること。楽に楽しく発声すること中心に、この一年間は声楽を学びました。まあ、だいぶ楽に感じられるようになったもの、時折、昔の悪い癖が出て、自分を追い詰めて発声してしまいます。で、Y先生からダメをもらいます。この録音でも、部分的に自分を追い詰めて発声しています。まだまだ、楽々とは発声できない私です。五年かけて身に付けた癖は、五年かもっと長い時間をかけないと、カラダから抜けないものなんでしょうね。

 実は私の声は、以前よりも出なくなったと思います。音量は減り、遠達性もダメになったと思います。以前は、大ホールでも朗々と歌えましたが、今はおそらく無理でしょう。なにしろ、声そのものが、だいぶスケールダウンしてしまったわけですから。

 その代わり、自分の身の丈に合った、無理の無い声で歌えるようになりつつあります。

 今は歌っていても、どこも痛くないし、つらくもありません。『君なんかもう』のように長い曲は、以前だと、1番を歌っているうちに声を使い切ってしまい、とても2番を歌うことはできませんでした。今は、1番2番を通したフルコーラスを歌うことはもちろん、そのフルコーラスを5回連続して歌っても、たぶん大丈夫。余裕で歌いきれると思います。それくらい、発声が楽だし、声が余ってます。ほんと、人間、変われば変わるものです。

 変わったのは、痛みの有無だけではありません。声質も変わったかな? 録音で聞くと、あまり変わっていないように聞こえますが、私自身の感覚では、私の声質は大変化を遂げています。以前は、自分の歌声は『明るいテノール声』だと思ってました。今は『地を這うように低くて太い声』だと思っています。きっと録音機がなければ、私は自分の事を、バスバリトンか、あるいはバスになってしまったと悲しむところかもしれません。

 しかし、声って、自分で感じているモノと、録音したモノ(つまり他人が聞いている声)って、全然違うんですね。しかし、今の私の歌声ほど、自分の感覚と、録音音源で聞ける声が、全く違うのも珍しいです。

 だって、自分自身は、まるでバスバリトンかバスになってしまったかのように感じながら歌っているにも関わらず、録音で聞こえる歌声は、正真正銘のテノール声なんですよね。これはショックです。こんなにも、自分で感じている声と、他人に聞こえる声が違うなんて、驚きモモの木山椒の木です。ほんと、ショックショックです。

 あと、音程の甘さは相変わらずですが、でも今の方が、かなりマシに歌っていると思います(でしょ?)。

 声の響きですが、これに関しては、今はまだ落ち着きがありません。いい響きで歌えているところもありますが、うっかりして、響きを逃がしたり、落としたりしています。そういう意味では、発声方法がまだまだ固まっていないのでしょう。以前は、今ほど良い声ではありませんでしたが、ダメはダメなりに安値安定していました。

 そうそう、自分なりに、少しずつだけれど“良い声”って奴が、感覚的に分かってきたような気がします。そして、今まで考えていた“良い声”ってのが、少々的外れだったように思い始めました。そして、プロ歌手の歌を聞くと、以前よりも強く激しく「ああ、上手だなあ」と感じるようになりました。これは生はもちろん、録音でもそうです。なんか、CDを聞いていると、時折、あまりの上手な歌声に涙ぐんだりします。それくらい、発声の上手さを感じられるようになってきたかもしれません。

 とまあ、声の事を中心に書きましたが…それは、歌の方は、ちょっとねえ、マダマダでしょ? 歌詞もクチがまわらずにきちんと言えていない箇所がたくさんあるし、表現と言った面では、まだまだ棒歌いだし、人間性なんてものが、何も表現されていません。失恋の歌なのに、ちっとも悲しく聞こえないでしょ? ま、このあたりについては、発表会に向けて、もっと歌い込んで、自分なりの歌に仕上げられたらなあって思います。

 最後にちょっと言い訳を(笑)。ピアノを弾いているのはY先生ですが、先生はバリトン歌手ですし、お弟子さんもバリトンさんばかりなので、この曲を普段はバリトン用の低い調性で弾いていて、指が低声用で覚えているので、私の伴奏をしていても、ついつい指が落ち着きません。同じ高声の生徒さんであっても、ソプラノだとレパートリーがバリトンと被らないので問題ありませんが、なまじ男性同士のテノールとバリトンだと、レパートリーが被るんですね。でも、声が違うから、調性が違うわけで、そんなわけで、Y先生的には、私の伴奏って、やりづらくて厄介なんだろうと思います。…ご迷惑おかけしてます。

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コメント

  1. おぷー より:

    のびのびとした良い歌い方になってきてますよ、すとんさん。
    もう少し母音を長めに取って、子音に繋ぐ様にすると、歌詞が滑らかになり、よりイタリア語らしく聞こえると思います。
    歌詞のリズム読みをされてから、歌う様にするといいのではないかしら。

  2. 椎茸 より:

    高めの音が美しくなっているように思いました。聴いていて気持ちがよかったです。
    あとは、おぷーさんと同じ感想を持ちました。
    母音を長めに、って自分の先生もよくおっしゃってますし、そうしてみるとこれまた歌いやすくなったりします。

    発表会までがんばってください!

  3. 游鯉 より:

    すとんさん、アラフィフっておっしゃってましたけど、
    声だけ聞いていると、そうは思えないです。
    見かけ若くて、この声、マイナス十歳に見えても仕方ないですよ〜
    この声でご本人自身が聴こえているのはもっと低い声って不思議ですね。

  4. wasabin より:

    こんにちは~

    良いお声をお持ちですね。
    軽く歌われているのは伝わってきます。
    あとは、残された時間でご自分を分析しわかってらっしゃる事を実行されててた上、
    イタリア語らしさと曲想を出されると、「さらに素晴らしい曲」に仕上がると期待してます。

    個人的には深みもプラスされた声も聞きたいのですが・・・
    発声法では葛藤もお持ちの様ですし、発表会前ですので無理されませんよう・・に。(o^-^o)

  5. Az より:

    声も歌も良いと思いますが、

    すとんさんの場合とにかく音程の外れが・・・

    全編あまりに強く歌われ過ぎ、いがり過ぎかも。

    ご自分では意識されておられるのでしょうか?

    もっと軽やかに歌われたら、なお素晴らしいと思いました。

    発表会、がんばってください。

  6. Cecilia より:

    聴かせていただきました。
    私が「あっ」と思ったのは低音です。ご自分ではあまり意識されてないのかもしれませんが、今までにない深みを感じました。
    これも深く歌おうとかしないほうが良いのかもしれませんね。
    全体的にはほかの皆様と同じ感想でしょうか。
    メロディーがレガートにつながると良いのではと思います。

  7. 玉ちゃん より:

    今までに無い音色が出てきましたね。出だしから次の展開部の高音部に移る前まで。
    落ち着いた雰囲気のある声だと思います。この音色をパッサジョから高音部にまで持ちんだらどんな声になるんでしょうか?K:Y比が5:5だということですが3:7くらいまで行ったら又聴かせて下さい。3月の「最後の歌」との違いがはっきりわかります。

  8. すとん より:

    おぷーさん

     お誉めいただき、感謝です。うれしいです。

     私はイタリア語話者ではないので、イタリア語らしく歌うというのに困難を覚えます。でも、おっしゃる通り、歌う前にリズム読みですよね。私も苦手な箇所、何度も何度も歌詞を読み返しています。でも、イタリア語の分かる人が私の歌を聞いたら、どう思うのでしょうね、きっと「これ、イタリア語ですか?」って言われちゃいそう。

     母音を長めにとって子音につなぐ…やってみます、頑張ってみます。

     アドヴァイス、感謝です。

  9. すとん より:

    椎茸さん

     母音を長めに…って大切な事なんですね。正直、私は母音を長めにして歌う余裕ってないんです(汗)。余裕無いけれど、無いなりに、トライしてみます。やりもせずに出来ないなんて、言っちゃいけませんからね。

     発表会、頑張りますよ!

  10. すとん より:

    游鯉さん

     そうなんです、頼りなげな外見に、ヘナヘナ声なので、ついつい若く見られちゃうんです。貫祿ないもんなあ…私。

     実生活では良い事は一つもありませんが、歌の時だけは、若く見られるのは都合よいです。なにしろ、私はテノールで、テノールの歌って、若者の歌ばかりですからね。若く見られないと、歌える歌が無くなっちゃうんです(笑)。

    >この声でご本人自身が聴こえているのはもっと低い声って不思議ですね。

     そうなんですよ、もっと低くて、もっと太い声を感じてます。ほんと、声って不思議ですね。

  11. すとん より:

    wasabinさん

    >軽く歌われているのは伝わってきます。

     以前と比べると、実際、とても軽く歌っているんですよ。それが伝わるのは、うれしいです。でもまあ、実際は、まだまだ重いんですねえ…もっともっと軽く歌えるはずなんですが、修行不足です(汗)。

    >個人的には深みもプラスされた声も聞きたいのですが・・・

     私も聞きたいです。深み…いいですね。憧れです。でも、どうやって??

     発声に関しては、試行錯誤はしていますが、悩んでいません。今は、Y先生の教えの通りにやっていきたいと思ってます。問題は、Y先生が教えてくださる事を、忠実に再現できない、ぶきっちょな私がここにいるって事です。

  12. すとん より:

    Azさん、サンクスです。

     音程の件は、自分でも気になっていました。歌いながらも「あちゃ!」「やっちまった!」「うへ、届かない」などと、心の中で何度も何度も自分に突っ込みながら歌っている次第です。

     でも、こうやって、あらためて、ブログの愛読者さんからご指摘いただくと、キリとします。身が引き締まるというか「そうか、音程、気をつけないとな!」と思うものです。だから感謝です。

    >全編あまりに強く歌われ過ぎ、いがり過ぎかも。

     まさに、図星です。まだ、強く歌う癖が抜けないんです。って、これは私自身が前々から持っている悪い癖でもあるけれど、軽く軽く歌わないと…。力めば力むほど、音程が外れていくのは分かっていますが、やっちゃいます。そこが私のダメなところです。

     もっともっと軽く歌える様に、心に刻みます。

    >もっと軽やかに歌われたら、なお素晴らしいと思いました。

     ですね、ですね。私もそう思います。思うだけじゃなんですから、やってみます…ってかやれるように頑張ってみます。せっかくの発表会ですからね、最善を尽くして、自己ベストをめざしたいと思います。

  13. すとん より:

    Ceciliaさん

     そうですか、低音ですか? 私はテノールということもあり、常に“意識は高音”なんですよ。まあ、低音が苦手意識もあるし、投げちゃっている部分もあります。意識していない部分に良さがあるというのも、うれしいけれど、ちょっぴり皮肉ですね。

    >メロディーがレガートにつながると良いのではと思います。

     ですね。レガートはクラシック音楽全般の基本です。確かに、私の歌、改めて聞くと、結構、ゴツゴツしてますね。いかんいかん、反省です。

  14. すとん より:

    玉ちゃんさん

    >今までに無い音色が出てきましたね。

     ぐふっ、うれしい。こういう誉められ方が、うれしいんです。

    >K:Y比が5:5だということですが3:7くらいまで行ったら又聴かせて下さい。

     キング式は、私に合わなかっただけで、悪い発声方法じゃないんです。何よりの魅力は、声をつややかに響かせる点です。もっとも、私の場合、つややかの手前で壊れてしまうだけの話なんです。

     でも、キング式は、声色という点では、捨てがたい魅力があるんだよねえ…。

     玉ちゃんさんのおっしゃるとおり、キング式もほのかに残して発声方法を完成させられると、ベストなのかもしれません。

     私はキング先生のようにはなれなかったけれど、その香りぐらいは、身に付けておきたいと願ってます。

  15. 第九を歌っています より:

    聴かせていただきました。
    今までで1番の出来だと感じました。
    音程に安定感あり、声に響きがあり低高音均一で素晴らしいです。

    更に向上させるには、
    発声はまだ平面的な響きですが発表会後に改善すればいいと思います。

    ここからはうちの師匠の受け売りですが、イタリア語はアクセントを強調する。またイタリア語の母音も明確に。テナーは力強さも必要だそうです。だだし、レガートで歌う事が大前提ですが。

    さらに強弱を考慮して戴ければいいのではないかと思います。

    ビブラート、装飾音、ポルタメント等音楽表現はアカペラで正しい音程で歌えるようになった後で試みて下さい。

  16. すとん より:

    第九を歌ってますさん、おひさしぶり。

    >今までで1番の出来だと感じました。

     これもまた、うれしいコメントですね。まあ、今までがひどすぎた…と言うのもありますが(笑)。おっしゃるとおり、発音は、平面的と言うか、上っ滑りなんですね。私がイタリア語話者ではない…と言うのは言い訳にもなりませんね。私同様、イタリア語話者でない方でも、もっと上手にイタリア語らしく歌ってますからね。

     アクセント、明確な母音、レガート…勉強になります。感謝です。

    >ビブラート、装飾音、ポルタメント等音楽表現はアカペラで正しい音程で歌えるようになった後で試みて下さい。

     そうですね、そうします。

     下手な歌でも、こうやってアップする事で、第九を歌ってますさんを始め、色々な方からのアドヴァイスを受けられる事は、実にうれしい事です。自分では気づかなかった事に気づいたり、薄々感ずいていたけれど、目を背けてた事などと、直面できた事は、今回の大きな収穫でした。いやあ、本当に、感謝です。

  17. すずめおばさん より:

    今回は正直な感想を(^^)

    もっとふわっと息に声を乗せてはどうでしょうか?
    声質は良いと思うので、母音で響かせると耳に優しいかも・・・。

  18. すとん より:

    すずめおばさん

     正直な感想は大歓迎ですよん。

     ふわっと息に声を乗せる……どないすんですか? ちっとも想像できません。ああ、だから、私の声は硬いんだな。今度、Y先生に尋ねてみようっと。

     母音で響かせる…うむ、そうですね。もっと母音でしっかり歌えるように(しっかり響かせられるように)意識してみます。頑張りますよ~。

     サンクスです。

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