スポンサーリンク

私は耳が悪い or 電子キーボード購入顛末記 その2

 昨日の続き。

 そばに展示してあった電子キーボード類を弾いてみた。最近の電子楽器は、なかなか馬鹿にできないんだよなあ…などとつぶやきながら弾いてみたものの、やはりほとんどのものはフェイクでしかなかった。大人が遊びで弾くにはいいけれど、子どもの学習用には向かないなあ。やっぱり嫌いでもアップライトかなあ…と思っていた時に、ヤマハのCLPシリーズを弾いた。だまされた。電子キーボードなのに、大好きなグランドピアノの音がした。鍵盤の感じも、やや浅めのキータッチだが許容範囲内だと思えた。

 同じヤマハの電子キーボードでも、他のシリーズはダメ。ピアノの音もオーケストラの音も出ます、なんていう高機能な100万円以上もする高級機種であっても、私の耳にはフェイクなピアノにしか聴こえなかった。とりあえず、その日は何も買わずに帰宅した。

 それから何度もお店に通った。違う店でも試しに弾いてみた。CLPシリーズに対する印象は最初のものと変わらなかった。

 結局、CLPシリーズの中でもグレード差があったが、高いモデルと安いモデルの差は、私の耳や指では分からなかったので、CLP-230という一番安いモデルを買った。

 楽器屋からは、これで子どもに練習させると、子どもの指が壊れますという、優しいアドバイスをいただいたが、軽く無視した。教養の一部としてピアノを習わせるだけなので、指が壊れるほど練習させるつもりなど、最初から毛頭ないのである。だから、そんな心配をする必要は全くないのである。

 また、これではピアノタッチが学べませんよとも言われた。そりゃあそうだろ、これはグランドピアノではないのだから。でもまあ、これはこれで、タッチの強弱やキーを押し込む速さや深さに応じて違った音色が出てくる。大雑把に考えるなら、これで良いだろう。細かなタッチの違いを気にするなら、電子キーボードはもちろん、アップライトでもどうかと思う。細かなタッチの違いまで気にするなら、やはりグランドピアノにするしかないだろうが…音大入学をめざすならともかく、教養としてのピアノにそこまで求めるのかい? それにグランドピアノは習いに行った先生のお宅で弾いてくるだろうから、それで良しとしよう。

 エレピは弦を叩いているわけではなくスイッチがどうのこうの…で、長くは持ちませんよとも言われた。私は大量生産な工業製品に耐久性などは求めません。毎日弾いて、短くて5年、長くても10年持ってくれれば良しと考えてます。その頃になれば、息子君の状況も今と変わっているだろう。もうピアノは卒業して勉強に邁進するかもしれないし、逆にピアニストをめざして猛練習を始めるかもしれない。どんな状況になっているかは、親の私にも分からない。だから、今の電子キーボードが壊れるのはむしろ好都合で、その時に状況にあったものに買い換えるつもりだから、楽器屋的にはむしろ安心してほしい。

 もっとも息子君の状況を無視して考えるなら、近所のピアノ工房に家具調のスピネットピアノの製作を注文したいなあ…。一品物はたしかに高価だけれど、楽器って本来、高価なものだし、趣味のものだし、非実用品だし…。年をとったら、そういう贅沢もありでしょう…なんてね。

 ともかく、ピアノ弾きの方々から見れば、私の選択はムチャにしか思えないだろうなあ…。アップライトより電子キーボードの方が良いと思える私の感覚は、あぜんとするばかりだろう。

 だから「私の耳は悪い」のだと思う。本当に耳が悪い。

 息子君は、案外、夜の遅い時間にピアノの稽古をする。当然、ヘッドフォンでする。親は練習には関知しない。息子君のピアノは、ピアノの先生にまかせている。それでいいと思っている。もちろんピアノの先生とのコミニュケーションは密に取った上での話である。

 もし彼がアップライトピアノを弾いていたら、練習時間はほとんど確保されないだろう。学校が終わって、学童保育に行ったり、習い事をしたり、近所の友達と遊んだりで、彼は夕方遅くまで外にいる。帰って来て、風呂に入って食事をして、それからピアノの練習だなんて、私はそんなのは絶対に許さない。だいたい近所迷惑。だから、息子君の生活様式から考えても、電子キーボードでよかったと思う。

 この前、何気にヘッドフォンを外して練習させてみた。案外、上手だった。そして、普通にピアノを弾いているように聴こえた、彼の腕前も、ピアノの音も。

 ああ、やっぱり私は耳が悪いんだなあ!

 アップライトピアノだって消音ピアノにすれば…なんて選択肢、実はこの時はありませんでした。なぜなら私は、消音ピアノの存在について全く知らなかったのだから! これではいかんと、つい先日、またまた楽器屋さんに行って、消音ピアノに触ってきました…が、この話は、また今度ね。

コメント

  1. Cecilia より:

    うちは消音ピアノですが基本的に生でピアノ練習をさせました。
    しかし、長女の習い始めの頃はよかったのですが、次女も習うようになって、トータルの練習時間が恐ろしく増えてしまいました。
    本当にご迷惑だったと思いますが、迷惑にならない時間に練習させるとなると、2人の練習時間のスケジュールをきちんと立てる必要がありました。
    私が実家で弾いていた頃は気が向いた時間にだらだらと、気が済むまで練習できましたが、こういう住宅事情ですとそういうわけにはいきません。
    そのせいで思いっきり外遊びも犠牲になった側面があります。
    お世話になった絶対音感教室の主催者の先生も子供の外遊びなどを重視していらっしゃいましたが、それをやっていたら絶対音感のお稽古なんてやってられないし・・・庶民は辛いですよ。
    (防音ばっちりでグランドが置けて、外遊びを思いっきりできて、ピアノ練習ものびのび出来る人はとてもリッチな人ではないでしょうか?)
    電子キーボード・・・それを考えると本当に納得のいく選択ですね。
    消音ピアノは昨日リンクさせていただいた記事にも書きましたが、結局タッチが悪くても(消音だと)良い音が出てしまいますからね。
    おまけに普通の鍵盤を削っていろいろ取り付けているせいで重くなるし・・・。

  2. すとん より:

    >Ceciliaさん
     たぶんピアノ学習の最大の問題は、ピアノの演奏そのものが難しく、その習得に並々ならぬ努力と時間が必要だという点でしょう。
     もう少しピアノ演奏が簡単ならば、子供たちもずいぶん解放されるのですが…。
     それと、今の子供たちは、ウチの息子君も含めて、ピアノに限らず、複数の習い事をしているので、ホント、忙しすぎるような気がします。子供なのに「疲れた」とか「忙しい」とか言ってますが、そういう世の中は、何か間違っているような気がします。
     消音ピアノについては、たぶん、来週あたり書きます。

  3. ことなりままっち より:

    その1も読んで感じたのですが、こういってくれる楽器屋さんというのは案外良心的なのかもしれません。(このお客はアップを買ってくれるとふんでいろいろ言ったっていうことも考えられますが。悪意に取ればですが)

    私はすとんさんとは別に、覆面リサーチ(爆!これはブログのネタですので書きますね)を自主的にやったことがありますけど、CVPでもKOLGでも、音がよすぎるなぁと感じます。どしろーとがこんな音が最初から出るか(怒)!っていう意味です。タッチはうーん。生ピアノだってかわいそうなくらい弾きにくいものありますし。CLPはちょっと触っただけですが、すとんさんのような目的には合っているのではと思います。

    私も電子はおすすめはしませんけれども、住宅事情や高学年の時間割など事情も分かるので強くは言えませんね。『ご自分の状況の中でベストなものを選んでください』というアドバイスしか実際できないという指導者が多いと思います。
    ちなみに複数の習い事をやってたのは私。なのでスケジュールの大変さは分かっています。ただいまどきは、音に対して不寛容な人が多いってことは感じますね。

  4. すとん より:

    >ことなりままっちさん
     楽器屋さんは本当にいい人ですよ。基本的に商売っ気はない人です。その商売っ気の無さが、逆に商売繁盛に繫がっているのだと思います。ま、生業というものは、何でも誠実さが肝心ってことで…。
     おっしゃるとおり、デジピは音が良すぎるとは思います。私も色々な条件さえクリアできれば、迷わずコンサートグランドを買ってしまう人(笑)なので、厳しい現実社会の中での妥協が電子キーボードです。ピアノの先生的には納得いかないでしょうが、私のような選択をする人も、少なからずいるのではないかと思ってます。
    >音に対して不寛容な人が多いってことは感じますね。
     実はあの有名な「ピアノ殺人事件」ってウチの地元周辺での事件なのです。だから、私を含めて、こっちの人間は騒音には余所よりも神経質にならざるをえないところがあったりします。

タイトルとURLをコピーしました