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音楽家とローンについて、考えてみた

 家のローンの支払いにあくせくしている私でございます。バブル時代の収入の良い頃にローンを組みましたので、デフレの時代になって、お給料も半減してしまい、余裕でサクっと支払えるはずだったローンに、汲々として生きているわけでございます。

 とりわけ、困ったのが、ローンの“ボーナス払い”の部分。これはボーナス時にちょっと多く返す事で、月々の返済額を少なめに押さえる事ができるわけなんですが、ローンを組んだ時の収入で考えていますので、デフレで収入が減り、お給料が減り、ボーナスが減ってしまった今では、月々の返済はどうにかなっても、ローンの“ボーナス払い”の部分に苦労しております。

 なにしろ、ボーナスからローンを支払った後でも、貯金をして、ちょっとは家族旅行ができる程度の金額にローンの返済額を設定したはずなのに、今じゃ、いただくボーナスの金額よりも、ローンの返済額の方が高いんだもの。ローンのボーナス払いのために、月々から少しずつ貯めておいて、その貯金とボーナスを合わせて、ボーナス払いをしている始末で、私のようなサラリーマンですら、ローンって奴は支払いが大変だったりしますが、自由業である音楽家の方々は、ローン(つまり“借金”)については、どうなんでしょうと、まことにお節介な事を考えてみました。
 
 
 まず、貸す側である銀行の立場になって考えてみました。

 銀行からすれば、お客様が音楽家かどうかというのは、どうでも良い話であって、大切なのは、そのお客にお金を貸した場合、きちんと計画通りに返済してもらえるだろうか…って事だけが問題となります。

 きちんきちんと計画通りに返済してもらえそうなら、大口のローンだって引き受けたいですが、たぶん大丈夫だろうけれど、景気に左右されるなどの不安要素があるならば、最初は小口のローンで勘弁してもらって、まずは返済能力の有無を確かめた上で、大きなローンを引き受けるかどうか考えたいと思うし、収入が安定していても金額そのものが少なめなら、ローンは小口のままにしておくのが無難だし、収入が全く不安定ならば、ローンは一切無理って奴です。

 だから、音楽家と言っても、大学の先生であったり、音楽高校の先生、あるいは普通学校の音楽の先生であるならば、音楽家である以前に、学校の先生って事になります。学校の先生ならば…学校と言うのは、親方日の丸であったりするし、私立学校であっても、学校は学校だから、簡単に倒産もしなければ、経営状況だって急落する事はありません。だから、音楽家であろうがなかろうが、学校の先生ってのは、銀行にとってみれば、なかなかの上客となります。もしも、ローンの申請があれば、簡単な手続きでOKとなるでしょう。家でも車でも買い放題です(は言い過ぎか:笑)。

 演奏オンリー音楽家の場合は…どうなんでしょうね。たとえ、演奏家として売れっ子でも、その人気が五年後十年後まであるかどうかは分かりません。まして、今現在、微妙な人気しか持ち合わせていない音楽家の場合、その将来の見通しは全くたちません。

 もしその音楽家がフリーランスであるならば、銀行の立場としては、お金をお貸しするには勇気がいります。ローンを組むのは難しいかもしれません。

 ただ、同じ演奏オンリーの音楽家でも、芸能事務所に所属していて、事務所(つまり民間会社)が色々と保証してくれるならば、その事務所の規模や信用によっては、ローンを組めないわけでもありません。つまり、音楽家本人ではなく、その芸能事務所の信用でローンを組むわけです。

 また、演奏オンリーの音楽家で、芸能事務所に所属していない人で、収入が全く不安定でも、その人の家族や親類が経済的にしっかりしていれば、話はまた別ですね。たとえば、その音楽家の配偶者の方が堅い職業の場合、音楽家本人ではなく、配偶者の方の名義でローンを組む事が可能です。配偶者名義でローンを組んで、実際には音楽家本人が返済していく…おそらく、そういう人って、たくさんいらっしゃるでしょうね。

 結局、ローンって、その人の社会的な信用って奴に左右されるわけで、社会的な信用ってのは、結局は、安定した収入って奴なんです。大切なのは“安定した”という部分で、今現在たくさん稼いでいるかどうかでは無いって事なんです。今は億単位でガッポガッポ稼いでいても、五年後も億単位で稼いでいられるかって事ですね。五年後も億単位で稼いでいるという保証があるなら、バンバン、ローンだってお貸ししますが、五年後はどうなっているか分からないと言うのなら「お金がある今、ニコニコ現金払いでお願いします」って事になるわけです。

 どうも私の友人たちに話を聞いてみたところ、音楽家に限らず、フリーランスの方の場合、ローンに頼らずに、収入がある時に貯金をして、大きな買い物をする時は、一気にその貯金を使って、現金払いで買い物って方が、多いような気がしました。でも、これって、ある意味、健全なやり方ですよね。借金をしない生き方と言うのは、なかなかクレバーな生き方なんだなって思いました。

 それにローンって、結局は借金なわけで、借金である以上、利息を払わないといけないわけでしょ? 現金払いなら、利息を払わずに済むから、同じモノを借金で購入するよりも、安く入手できるわけだし…。やっぱり、借金して買い物なんて、しなくて済むならしない方がいいよね。

 家だって、私はローンを組んで買ったけれど、ローンを組まずに、自分でコツコツ貯金をして買おうと思ったなら……毎月毎月、家の購入のための貯金をしながら、今現在住んでいる家の家賃も払っていくわけだから…あまりたくさんの金額を貯金できません。目的額に達するまで、かなりの時間が必要となり、もしかすると、未だに家も買えずに借家生活をしているかもしれません。

 ローンで家を買うなら、頭金はしっかり貯金して貯めないといけませんが、家を買ってしまえば、借家の家賃は支払わずに済むわけで、それをローンの返済に充てれば、早く家を入手できる上に、返済も早く終了し、貯金して家を購入するよりも早く、経済的に身軽になれるかもしれません。

 それにだいたい、お金なんてものは、ある程度貯まってくると使いたくなるわけで、家を購入しようと思って貯金していても、実際に家を購入する前に、別件でお金を使ってしまうかもしれません。それを考えると、利息を支払ってでも、ローンを家を買った方が正解って事になるのかな?

 そう考えると、やっぱりローンって奴は、必要なものだな。

 ローンを組まずに生きていくのは立派だけれど、ローンが組めない生活ってのは、ちょっと私には厳しい生き方だなって思いました。

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コメント

  1. YOSHIE より:

    企業は「借金も財産の内」という考えがありますね。親によっては「あなたの教育費は総額これだけかかったので社会人になったら月々返済するように」なんて人もいるとか聞いたことがあります(考え方としては間違ってないと私は思いますが)
    いくつもローン(リボルビング払いとか利率が凄くて怖い)を組んで生活が破綻するのでなければ、私は月賦は構わないと思います。学生の持ってるスマホ等はほぼローンですよね。その上2年で完済すると次の機種が欲しくなるという、ローンが終わったから基本料金や通信費だけで身軽になってホッとするという感じではないんですよね。
    私がローンが大変そう、と思うのは千住真理子さんでしょうか。偉いなあ凄いなあ、と思います(私に言われたくないですね)
    少しスケートを習いに言ってた時に先生から聞いた話では一線の選手としてやっている人の親は会社経営とか不動産を持っているとか、やはりお金持ちが多いと言うことでした。
    でも五嶋節さんが(龍君の番組だったけど)クローゼットにズラリと並んだ華やかな衣装の総て、みどりさんの衣装を手作りしていたというのを見た時も「すごい!!」と思いました。

  2. operazanokaijinnokaijin より:

    すとん様のエッセイではなく、
    YOSHIE様のコメントへの、コメントですが、
    許されますでしょうか?

    >>>親によっては「あなたの教育費は総額これだけかかったので
    >>>社会人になったら月々返済するように」なんて人もいるとか

    ええっと、私、operazanokaijinnokaijin、の親のことでしょうか?
    ( ̄▽ ̄;)

    私の父親の口癖は、もうちょっと、品のない言い方でして、
    「お前を育てるのに、金がかかって、しょうがない。金返せ!」
    「中学出たら、働いて、金返せ!」
    「高校行きたかったら、働いて、自分の金で定時制へ行け!」
    うーん、嫌な思い出、、、、、
    (>_<。)  (>_<。)  (>_<。)  (>_<。)  (>_<。)

  3. YOSHIE より:

    すとんさん失礼します。

    >operazanokaizinnokaizin 様

    つたないコメントにコメントありがとうございます。
    中学出て働いて定時制行け!とは、一瞬「え?!」と思ったのですが、子供に厳しい事を言うのは、言葉の暴力でない限り親の愛なのではないかな?と思いました。
    (実際言葉DVだったのならすみません)
    子供をダメにするのはとても簡単で何でも欲しがるものをホイホイと買い与えれば良いのだとか。
    現実問題、今2013年時点では高卒でないとバイトも雇って貰えないそうですが、大学などは本来はより一層勉強を極めたい人が行く場所なんですよね。

    皆ではないでしょうが大学は青春時代の引き延ばし期間モラトリアム期間になってしまっていて・・・日本の教育は慢然と受けてると自我が見つからないように操作されているので、本当は18歳位で一度社会に二年位出た方が自分を見つめられるんじゃないかな?と思ったりもします。

    話がそれました。
    でも中学生(元服前に)で教育費がかかって仕方がない!って言われてしまうと子供としては戸惑ってしまいますね。
    やはり辛いかもしれない、ゴニョゴニョ。。。

  4. すずめおばさん より:

    声楽家だと「後援会」とかある人がいますよね。
    それなりの「人脈」が大事みたいです。
    私の知ってる人は、親がかなりのお金持ち。
    子供を立派な音楽家にするためには、お金を惜しまない!という感じでした。

    やっぱりお金なんだな~~と、思いました(^0^;)

  5. すとん より:

    YOSHIEさん

    >一線の選手としてやっている人の親は会社経営とか不動産を持っているとか、やはりお金持ちが多いと言うことでした。

     スポーツ選手に限らず、あまりお金が稼げない系の職業(や趣味)は、やはりお金持ちじゃないと厳しいみたいですね。私が大学院で勉強していた時も、教授に「お前は貧乏人なんだから、パトロンを見つけないと、この先は無いぞ」と言われ、パトロン探しに失敗して、今日に至っております(笑)。ま、そんなモンです。

     ゼニがないと、留学ひとつ、できませんからね。

     何をやるにしても、先立つものはゼニでして、ゼニを持っていない者には、道が開かれないのが、近代市民社会って奴です。でも、ゼニさえあれば、道が開けるわけだから、経済的な余力さえあれば、自由を満喫できる素晴らしい社会なんだと思います。問題は、私には経済的な余力がさほど無かった…ってか、ほとんど無かったという悲しい事実ですよ。

  6. すとん より:

    YOSHIEさん&operazanokaijinnokaijinさん

     節度さえ保ってくだされば、別に横レスは歓迎ですよ。

    >高校行きたかったら、働いて、自分の金で定時制へ行け!

     私も同じような事を言われました。実際に、弟は定時制に行ったし…。私は奨学金をたんまりもらって、高校大学大学院と進学しました。もっとも、奨学金をもらった上に、学費は免除してもらえたので、経済的には返って楽だったかも。それに、どの奨学金も、返済は全額免除にしてもらっちゃたので、なんかラッキーって感じです。

     それでも一応、アルバイトの類はして、一応、苦学生のフリはしてました。なんか、そうしていないと、世間様に申し訳がたたないような気がしてました。

    >今2013年時点では高卒でないとバイトも雇って貰えないそうですが、大学などは本来はより一層勉強を極めたい人が行く場所なんですよね。

     中学生のバイトはなかなかありませんが、高校生になると、バイトもそこそこありますよ。もちろん、あくまでも『小遣い稼ぎ程度』の仕事ばかりですが。今でも、いわゆる“苦学生”と言うのはリアルにいますよ。ただ、高校生では、生活するのに十分な賃金がいただける仕事は、さすがにありません。そういう意味で、本当の苦学生たちは、苦労しています。

    >本当は18歳位で一度社会に二年位出た方が自分を見つめられるんじゃないかな?

     昔は徴兵がありましたね。今は徴兵制度が無くなってしまったので、それに変わる何かが必要なんでしょうが、徴兵と言わずに、一年程度の体験入隊ぐらいはしてもいいんじゃないかなって思いますよ、もちろん、男女ともにね。…ってダメかな?

  7. すとん より:

    すずめおばさん

     『子ども一人、家一軒」という言葉があります。これは、子ども一人、音大に通わせるためには、家一軒分の費用がかかるという意味です。実際は、こんなにかからない子もいれば、とても家一軒では足りない子もいます。あくまで、ケース・バイ・ケースですが、貧乏では音大にいけない事だけは事実です。

     それだけお金をかけて、音大を出て、プロの演奏家になったとしても、演奏家として生活できる程に稼げる人はほんの一握りで、多くの演奏家は赤字経営なんですよ。だからと言って、バイトをしちゃうと音楽活動できなくなっちゃうので、家が裕福か、パトロンがいないとダメなんです。

     ファンクラブとか後援会なんてのも、ある意味、タニマチやパトロンみたいなものなんですよ。

  8. るき より:

    ローンの話ではないのですが、森進一が売れっ子で長者番付に毎年載っていた頃、弟が慶大の医学部に進学しようとしたのだけれど、保護者が人気商売だからと断られたという話をきいたことがあります。仕方ないので日大に行ったらしいです。
    たしか当時はフリーではなくてナベプロ所属だったんですけどね。
    ことほどさように、演奏家の収入はあてにならないもののようで。

  9. すとん より:

    るきさん

     森進一が売れっ子の時代のナベプロと言えば、今のジャニーズ事務所にも勝るとも劣らないほどの、大手芸能事務所でしたし、そこのトップタレントである森進一ですから、お金には不自由していなかったはずですが…当時の慶應は、お金だけじゃ入れない…って事だったんですね。今はたぶん、芸能人の家族でもOKだと思うのですが。

    >ことほどさように、演奏家の収入はあてにならないもののようで。

     一昔前の芸能人さんは、売れている時の稼ぎもすごかったでしょうが、その一方で、借金話もよく聞きますから、売れない時は、本当に稼げなかったのでしょうね。ま、ある意味、芸能人をやるってのは、バクチみたいなものだったのかもしれません。

     当たればデカイ…けど。なんでしょうね。

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