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誰でも陥るスランプについて考えてみた

 スランプとは…大辞泉によると、次のように定義されています。

>心身の調子が一時的に不振になっている状態。また、実力が発揮できず、成績などが一時的に落ち込んでいる状態。

 音楽の演奏などで言えば「ついこの前まで、これくらいの曲は簡単にミスなく弾けたのに、なぜか最近はあっちこっちでミスってばかりいて、全然弾けない。ああ、スランプだー」って感じなんでしょうね。

 そういう経験、私にも無いわけじゃないです。でもまあ、最近は、そんな感覚とは、トンとご無沙汰ですがね(笑)。

 と言うのも、スランプに陥る人って、真面目なんですよ、真面目。真面目だからスランプに陥るんです。

 私も基本的には真面目人間です。だから、以前は、音楽の練習だって、毎日毎日数時間もやっていたし、毎日毎日少しずつ上達もしていました。その頃は、たまにスランプに陥っておりました。

 でも、最近は、人間は真面目なんだけれど、仕事等が忙しくて、ほとんど音楽の練習ができていないので、上達なんてするわけないし、いやそれどころか、下手になる一方で、前回できていた事が今回できないなんて、日常茶飯事なので、スランプなんて陥るはずがないのです。今の私が陥っているのは、単純に「練習不足」なのですから。

 閑話休題。で、真面目な人が陥りやすい思考パターンに「私はこれだけ努力しているんだから、日々上達して当たり前だろう」というのがあります。ま、努力は報われるはずだ…という強い信念ですね。私にも、そういう思考パターンはもちろんあります…が、オジサンなので、そればかりとも限らないという事実は人生で学びましたので、スランプからの回復は比較的早かったと思います(それでも、やっぱり何度かはスランプに陥りました)。

 まずスランプの原因ですが、案外多いのが、疲労です。そう、疲れちゃっているのね。真面目な人って、疲れていても練習するんですよ。頑張って練習するんですよ。確かに、筋肉筋力の維持という面で考えれば、疲れていても練習する必要はあるかもしれません。でもね、神経的…と言うか、学習的には、疲れていて集中力に欠けている時に練習しても、全然身につきません。疲れている時は前進できません。せいぜい立ち止まるので精一杯。いやむしろ、疲れから無意識に悪い癖が生じて、かえって後退してしまう事だってあります。そうやって、疲れから来る集中力の無さとそこから生じた悪い癖によって、今までできた事ができなくなって…ああ、スランプだ!となるわけです。

 もちろん、ここで言う疲労には、肉体的な疲労はもちろんだけれど、精神的な疲労ってのも入ります。肉体的な疲労と言うのは自覚しやすいのだけれど、メンタル的な疲労って、案外自分じゃ分からなかったりするんだよね。

 なので、疲労が原因のスランプ脱出の方法としては、とにかく休む。肉体的に休む事は当然として、メンタル面でも休む。でも、真面目な人って、休めないんですよね。だから、どんどんスランプ沼の深みにズブズブと入っていってしまうわけです。

 根が真面目だから、スランプから脱出できないんだね。

 「私、疲れてませんよ。いつでも心身ともに元気いっぱいです。でもスランプなんです…」と言う人もいますよね。そういう人って、私に言わせると、ちょっぴり傲慢なんですよ。その傲慢さがスランプの原因となっています。

 努力は報われる…と真面目な人ほど信じていますし、そうでないと、世の中不公平ですし、実際、長い目で見れば、確かにその通りなんです。でもね、短い期間で見ると、必ずしもそうとも限らないのです。

 音楽に限らず、なんでもそうなんですが、学習と言うのは、常に1次関数的に、努力と結果が比例関係にあるわけじゃありません。ある時は、グングン上達するけれど、ある時は長らく上達しないのです。これは多くの場合、努力と結果の関係が階段状になるケースが多いからです。

 つまり、普通の学習と言うのは、毎日毎日努力をし続け、その努力がある一定以上なされた時に、一気にブレイクスルーがやってきて、ドンと上達するけれど、一度上達すると、またしばらくはその状態をキープし続けるので、次のブレイクスルーに向けて、努力を積み重ねていかないといけないのです。ポケモンGOのレベル上げと一緒です。

 なのに、努力は報われると信じて疑わない人は、努力した分だけ上達しないと気持ち悪いし、努力しているのに上達しない自分にイラついているわけですね。

 でもね、努力は必要なんだけれど、短期的に見れば、努力は必ずしも報われるものではないのです。上達しなくても、努力を積み重ねていかなければならない時だってあるんです、次のブレイクスルーに向けて努力を貯めていかないといけないのです。

 でも、貯めていくという感覚が分からず、努力した分だけすぐに上達するべきだと信じているので“スランプ”を感じるのです。つまり、世界は自分の考えどおりにならないと許せないわけで、努力は常に上達に結びついていないとイヤなのです…つまり、傲慢なんですよ。

 と言うわけで、スランプの原因は、疲労か傲慢か、そのいずれか、その両方だったりするのです。

 だいたい、音楽をやっている人って、たいてい真面目だからね。努力は報われると信じているわけです。だから、一生懸命に努力をしていくわけです。その真面目さがスランプを生むわけです。

 でもね、真面目な人に「もっといい加減にやんなよ」なんていうアドヴァイスは無力ですからね。だから、スランプに陥った人は、みんな苦しむわけです。苦しんで苦しんで、疲労回復をするか、次のブレイクスルーがやってくるまで、苦しみぬくわけです。

 ま、昔の私もそんな感じでしたが…全くご苦労な事です。

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コメント

  1. アデーレ より:

    スランプです。まさしく、今。なんていうかな、自分の技術もさる事ながら、習い事はある程度、師匠の気分次第で変わると申しますか、、だからすぐ歌いたい歌が習える訳じゃないし、、何というか、生徒は師匠次第ですね、伸びもレパートリーも、。先生によって、ゆっくりの人や背伸びさせ系の人など。。。まあ、スランプなんで、、余計に歌いたい歌を歌う機会に恵まれていない事に少し拗ねている訳ですね。(笑)はい、すみません、失礼しました。。

  2. すとん より:

    アデーレさん

     お、スランプですか? それなら、心身ともにお休みされると良いですね。音楽以外の趣味に、ちょっとばかり逃避するのも、遠回りに見えて、案外、スランプ脱出の近道かもしれませんよ。

    >だからすぐ歌いたい歌が習える訳じゃないし、、何というか、生徒は師匠次第ですね、

     激しく、同意。私、英語の歌曲やアリアを歌いたいのに、なかなかその機会は得られません。でも、時折、むりやりのゴリ押しをして歌っちゃう事もあるんだけれど…ね。おっしゃるとおり、師匠にも得意分野ってのがありますから、そこを外れるモノはなかなか難しいです。

    >少し拗ねている訳ですね。

     提案。拗ねるくらいなら、歌っちゃえばいいよ。もちろん、人前とかだと色々面倒だけれど、自宅練習とか、カラオケとかで歌っちゃえばいいよ。私、そうやって、歌っている曲が何曲かありますよ。楽しいよ(笑)。

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