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磨いたら、リセットされちゃうよ

 フルートのレッスンに行ってきました。

 実に久し振りに、姉様を加えて三人でロングトーン練習をしました。姉様の使用楽器も、たしかムラマツ。ムラマツ2本にミヤザワ1本の組み合わせは、なかなかいい感じです。レミファあたりの音が、私だけ、ほんの少し低めになる以外は、実にいい感じです。ううむ、スケールの違いって、実は結構大きい問題かもなあ。アルタス製のアゲハでロングトーンをすると、こんなに楽に、こんなにビシッと音が合わないものなあ。いつもあれこれ音を曲げて、それでもどっか違う感じがしていたのに…ミヤザワ恐るべし。ってか、私もムラマツを吹けば、本当にピタって感じになるんだろうなあ。

 強い吹奏楽団で、奏者の楽器のメーカーを揃えるって話を聞きますが、あれって案外大切な事かもしれませんなあ…。

 さて、アルテですが、音を出す前に「実は、このフルート借り物なんですよ~」と牽制しちゃいました。「どうしたの?」と尋ねられたので「実はいつものフルートは、オーバーホールに出しちゃったんですよ」「いつ返って来るの?」「五月の中頃なんです」「そうだろうね…」 と言うわけで、遠回しに『今は本気出せませんから!』って言い訳しちゃいました(てへっ)。

 で、15課7章H-durの5番『H-durのクロマティック』です。前回同様で、あっちこっちミスるし、音も吹きすぎ傾向だし、ところどころ低音が混じる、なんか散々でしたが、OKをいただきました。へへ、借り物フルートって事で、ご勘弁いただけたようで…。

 gis-mollの6番、7番は、時折「ビッ!」なんて感じで変な音が混ざりましたが、合格。8番『gis-mollのスケールとアルペジオ』は…あっちこっち間違えましたが「家でしっかり復習しておくんだよ」と言われながらも合格でした。ふむ、言い訳ってしておくもんだな。

 ミニヨン・エチュードは19番も合格。ま、こちらの曲は2箇所ばかりミスブローはしたものの、前回のレッスンで注意されたところはバシっと直してきたし、吹きすぎないように、注意に注意を払って演奏したわけだし、ああ、よかった。合格できて…。しかし、管体銀を吹きすぎないようにするのは、大変。息が余って余って、ブレスの箇所で、息を吸わずに、吐いちゃったくらいです。ほんと、レンタちゃんは、息を使わずに演奏できるので、厄介ですよ。

 次回の宿題は、アルテが15課8章Des-durの『Des-durのロングートン』と1番の『音階準備練習』。ちなみに、Des-durって、私の嫌いなbが5つもト音記号の隣に並んでます。まるでイヤガラセのように並んでいるんです。ああ、憂鬱。

 ミニヨン・エチュードは、いよいよ最後の20番です。ちなみに、二度目の a tempo 以降のブレスの位置は、H先生によって、すべて変更されちゃいました。この楽譜のブレスの位置では違うんだそうです。ちなみに、ブレスの位置はガリボルディ本人の指定ではないそうです。って事は……ですね。

 先生が模範演奏をしてくださいました。それにしても20番は最後の曲だけあって、すごく難しそうで、涙がチョチョ切れそうです。

 先生に「これ(ミニヨン・エチュード)が終わったら、どうしますか?」と尋ねたら「この曲は、すぐには終わらないよ~」って言われました。それはさすがに分かってますって(笑)。「心配しなくても、大丈夫だよ。次の楽譜はもう用意してあるからね」「次って、何ですか?」「“ミニヨン”の次は“プチ”だよ。今は円高だからね、まとめてフランスから買っておいたんだよ。高い時と比べて、二千円近く安く買えたんだよ」だそうです。もっとも、二千円近く安く買えても、それでも三千円近い値段するそうですけれど。フランスからの輸入楽譜は、お高いですね。

 ミニヨン・エチュードの次は、プチ・エチュードってわけですね。お値段はちっとも“プチ”じゃないけれどね。

 さあて、今回の雑談は…オーバーホールの話です。

 「いくらかかったの?」と尋ねられたので、ズバリ答えると「それは…高いねえ…。でも、店も手数料は欲しいだろうし、メーカーに送るとなると、送料もかかるし、高額商品だから、保険もかけないといけないだろうし…それで高くなってしまうんだよなあ。アルタスだったら、安曇野だろう? 安曇野まで直接持ち込めれば、安くなるんだけれどねえ…」って言われました。まあ、そうでしょうね。私もそう思います。

 オーバーホールの内容を尋ねられたので、頭部管の修理と磨きも含めたことを伝えると「私たちプロは、自分の楽器に“磨き”はかけないよ。だって、楽器を磨いたら、新品に戻ってしまうんだよ。せっかくそれまで自分が育ててきた楽器が、水の泡になってしまうわけだよ。新品同様になるって事は、そういう事。とても吹きづらくなるって事でもあるんだよ」とおっしゃってました。ああ、なるほど。では、アゲハも元のツンデレのツンツンフルートに戻ってしまうわけですね。

 せっかく育てたのが水の泡になってしまう…って聞くと、普通だとガッカリするかな? 私も正直に言えば、一瞬ガッカリしました。

 先生がおっしゃるには「私たちは、中古のフルートを買った場合、前の持ち主が素人だったら、必ず磨きをかけて、リセットするんだよ。素人が吹いていた楽器なんて、変な悪い癖が付いていて、吹きづらいから、一度リセットして、最初から楽器を鍛え直すんだよ」…なんだそうです。

 そうか、下手な人が吹くと、フルートってダメな悪い癖を持ったダメな楽器になってしまうわけだ。そう言えばアゲハって、私がフルートを始めて、まだ三カ月しか経っていない時に購入した楽器なんですよねえ…。

 私は今でもヘタッピだけれど、アゲハを吹き始めた頃は、今よりもずっとずっとヘタッピだったわけで、そのヘタッピだった時の悪い癖が染み込んでいたのが、この前までのアゲハなわけだから…楽器を磨いて、一度アゲハの身に付いた悪い癖をリセットして、もはや初心者とは言い切れない腕前になってきた私が再教育をしてあげれば、以前よりも、ずっと良いフルートに育ち変わるわけで、おお、これは千載一遇のチャンスじゃありませんか! ビバ、リセット。ビバ、磨き。

 うむ、やはり高いお金を出して“磨き”を加えて正解です…と思うことにしましょう。
 「オーバーホールに出して、タンポを変えると、しばらくは楽器が安定しないから、二カ月置きに調整に出しなさいよ」とも言われました。はい、そうします。でも、調整って1回五千円程度するんだよね。交通費も加えると、一回一万円弱だね。ま、フルートって金食い虫だねえ、まあ、今に始まったわけじゃないけれど。

 ま、それでも、ピカピカの新品になってアゲハが戻ってくると思うと、かなりうれしい私でした。へへへ。

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コメント

  1. ひょっとこ より:

    調子が良いものは触るんだけど、いじらない。

    bが5つってことは、
    ピアノで言うところの黒鍵全て使うってことね。

  2. すとん より:

    ひょっとこさん

    >調子が良いものは触るんだけど、いじらない。

     うん、そういう事なんだと思うし、それって勝負の鉄則だね。余計な事はしない、って事です。

    >bが5つってことは、ピアノで言うところの黒鍵全て使うってことね。

     あ、なるほど。そんな事、気付かなかったけれど、そう言われれば、そうだね。ここまでは、白鍵で演奏していた音が黒鍵に順に変わっていたわけで、ある意味、ここが一つの頂点ってわけです。これ以上臨時記号が増えると…今度は、白鍵で演奏していた音が、別の白鍵に変わっていく(全音ではなく、半音で隣り合っている音同士が対象になります)ってわけで、ますます訳分からなくなってきます。

     そんなに、面倒くさい調なんて、実際に使うのかなあ…。まあ、使わなくても『練習のための練習』と割り切って練習するけれど…ね。

  3. ひょっとこ より:

    メジャーの場合、フラットの時は三つの黒鍵側の上から、
    次は二つの黒鍵の上から交互にフラットしてゆくわけね。
    6つ目からはB(Cb)になっちゃうけどね。
    インターバルでいうと最初のフラットが10のBb。
    二つ目からはそれに5(パーフェクト4)足して15(3)でEb。
    http://en.wikipedia.org/wiki/Pitch_constellation
    15が3になるのは時計と一緒。

    シャープは三つの黒鍵側の下から、
    次は二つの黒鍵の下から交互にシャープではあるんだけどね。
    シャープは最初のシャープが6(F#)で
    次からはそれに7(パーフェクト5)足すと13(1)でC#。
    ちなみに黒鍵の位置は下から1、3、6、8、10(Cは0ね)。
    慣れると数字と音名は瞬時に一致する。

    鍵盤の黒鍵で考えた方が早い。とりあえず。

  4. すとん より:

    ひょっとこさん

     お、確かに、ひょっとこさんのおっしゃるとおりだ。鍵盤の黒鍵で考えると、実にスムーズで分かりやすくて、おまけに規則的だ。なるほどなるほど。

     臨時記号の並び方には、何かの規則性があると、何となく感じていたけれど、そういうことだったのか。とっても、合点。

     感謝です、ひょっとこさん。

  5. YOSHIE より:

    安曇野>>なんかワクワクするような響きですよね。
    安野光雅さんの水彩スケッチ。
    私もエントリーが上がった後にアルタスってどこだろう?と検索して、安曇野行かないのかな?お店に出すんだ、と思ったので。
    でも、すとんさんの時間割を想像すると安曇野まで行ってる暇がない感じだなぁ、とも思いました。
    もし時間が許せば行かれたのでしょうか?

    工房って大好きなので。

    (実家の家業―私は継いでないし親はリタイアしてます―が『〇〇〇工房』って看板掲げてたんです)

  6. すとん より:

    YOSHIEさん

     安曇野は…さすがに行けませんよ。アルタスの営業さんからは、もしも安曇野に来てくれれば、接待で美味しい蕎麦屋に連れて行ってくれると言われてますが、まさか、蕎麦屋に行きたいために、安曇野まで電車で長々と行くわけにはいきません。でも、信州のホンモノの蕎麦は一度食べてみたいとは思ってますが…。

     安曇野だと、湘南からだと、やはり宿泊が伴いますからね…これがもしも、埼玉や千葉あたりの工房だったら、日帰りが可能なので、行っちゃってたかもしれません。

    >工房って大好きなので。

     私も大好き。モノが実際に作られている現場って大好きなんですよ。なんか、独得のオーラがあるでしょ? だから私、小学校のセンセをやっていた時、社会科見学って奴で、工場やら会社やら役所やら、子どもたちを色々な現場に連れて行きましたよ。ホンモノの現場を見せる事で理解できる事ってありますからね。

     ちなみに私自身が一番印象に残っている社会科見学ってのは、相撲部屋見学かな? 相撲部屋に行って(男子だけだけれど)フンドシしめて、土俵で力士の皆さんと稽古のまねごとをして、ちゃんこをご馳走になって、親方に相撲部屋経営の難しさなどの話を聞いたりして、半日遊んでもらいました。リアルに力士の方々の筋肉を見て触って投げられて…とてもいい経験になりました。あと、ちゃんこって、マジ美味いですよ。

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