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高音が出ないだけで、私はハイ・バリトンじゃなくてテノールだよ

 声楽のレッスン報告の続きです。とにかく、まだ習い始めだと言う事と、レッスン自体が濃い目のレッスンという事もあって、たった1回のレッスンですが、ブログでは何回にも分けてアップしないといけないくらいの内容があるんです。とにかく、やたらとたくさん習ってきました。

 さて、私の声は、ナチュラル・ボーンなテノールですが、私自身は高音に不足のあるテノールです。声質はテノールなのに、テノールに必要な高音が全然出ません。なので、よく、ハイバリ(ハイ・バリトン。高い声を得意とするバリトン)に間違えられるし、キング先生からはハイバリ転向を薦められた私ですが、Y先生に言わせると、私は「色々と残念なテノール」というジャンルに入るそうです。

 そう言えば、数年前、某合唱団の入団オーディションを受けた時、「声はテノールだけれど、高音が足りないんだよねえ…。残念だけれど、しばらくバリトンをやってみるかい?」と言われて、断った事があります(汗)。ああ、私は昔から「色々と残念なテノール」だったんですね(涙)。

 Y先生がおっしゃるには、声がテノールなんだから、高音は楽に出るはずで、それが出ないのは、単純に、今までの練習の仕方が悪かったからだ…という事らしいです。つまり、トレーニング方法が悪かったので、当然出来るはずの事が出来ていないだけ…って事のようです。

 分かりやすく、重量挙げを例にして考えてみましょう。

 ここに、大会に向けて、100Kgのバーベルを持ち上げないといけない重量挙げの選手がいたとします。彼は大会に向けて、毎日のトレーニングで、今はまだ持ち上がらない100Kgのバーベルに、連日、根性で挑みつづけるという練習をしていました。もちろん、持ち上げられない重さですから、練習では、ちっとも持ち上がりません。それでも、大会では100Kgのバーベルを持ち上げないといけないので、その持ち上げられないバーベルを何とか上げようと、ひたすら、100Kgのバーベル相手に、孤軍奮闘するような練習をしてきた…私の声楽の練習って、そんな感じだったのではないかって言われました。

 そういう練習方法で、大会までに100Kgのバーベルが持ち上げられるようになるかと言うと、持ち上げられるようになるかもしれないし、持ち上げられないままかもしれないし、結果として持ち上げられるようになったとしても、とても時間がかかって大会には間に合わないかもしれないし、第一、カラダへの負担も大きいので、下手をすると、トレーニングでカラダを壊してしまう恐れだってある…という練習だというわけです。

 すでに100Kgを持ち上げられる選手が余裕で100Kgを持ち上げるためのトレーニングなら、毎日100Kgのバーベルに挑戦するのは、意味のある事だけれど、今現在その100Kgのバーベルが持ち上がらないわけだから、いきなり100Kgのバーベルで練習する事に、どれだけの意味があるのだろうかって話です。

 その選手が現在、確実に持ち上げられるバーベルが50Kgならば、まずは50Kgのバーベルを使って、重量挙げに必要なカラダの使い方や、バーベルを持ち上げるテクニックの確認をしながら、少しずつバーベルの重さを増やしていけば、やがて100Kgのバーベルもすんなり持ち上がるようになる…かもしれないわけで、根性で練習するのではなく、合理的に段階を踏みながら練習していく事が、一見、遠回りに見えて、案外、目標に早く到着する可能性の高い練習方法…ってわけです。

 つまり、高音の練習も、やみくもに高い音がある曲にチャンレンジして、撃沈を繰り返すのではなく、しっかりとカラダの使い方や発声方法を確認点検して、高音が出せるカラダを作ってから、高い音に挑むなら、自然に高音は出る様になるものなんだそうです。そのために、今は、基礎の基本から、一つ一つテクニックを確認していっているわけです。

 ちなみに、妻は、カラダの使い方を確認したら、Hi-Fが楽に出てました、それもロングトーンでね。この発声方法を知っていれば、ガラコンサートのクリスティーヌ(最高音はHi-Es)で苦労する事は無かったのに…とブチブチ言ってました(笑)。それほど、カラダの使い方一つで、音域って、パッカーーンと広がるんだねえ…。ま、私は妻ほど器用ではありませんので、なかなか言われたとおりにできないので、音域も簡単に広がらず、苦労しておりますが…。

 とにかく、私の場合、何事も力任せだし、カラダがあっちこっち固まっているし、動きが止まっているし、発声方法自体に誤りがたくさんあるんだそうです。
 
 
 「人間は止まったら死ぬからね…。とにかく動き続けなければダメです」

 Y先生がおっしゃるには、人間は動物の一種ですから、立ち止まるよりも動き回る方が楽なんだそうです。確かに、三時間棒立ちのままなんて無理だけれど、三時間歩き回るなら、何とかなるものでしょ? それは、歌でもそうで、カラダを固まって止めた状態で歌うなら、歌はとてもシンドイし、ツラいし、痛いのだそうです。私が今まで、声を出すたびに苦痛を感じていたのは、カラダを固めて、声を止めた状態で歌っていたからなんです。常にカラダは動いている事が肝心だし、それによって、声にも推進力が生まれてくるのです。とにかく、カラダを止めずに、楽に楽に歌って、最大限の効果を得ることがポイントなんですよ。
 
 
 また、お腹の支えは、きちんと電話をかけて(笑)、声を出すよりも先に開始していないといけません。支えと発声が同時では意味がないのです。と言うのも、事前に支えがある事で、声を出す前に、息が体内で一度圧縮される事がミソなんだそうです。その一度息が圧縮されて生まれたエネルギーが、声のエネルギーになるわけです。

 しかし、だからと言って、その圧縮されたエネルギーを一度に放出するのではなく、それを維持しながら、ゆっくりとフワ~と発声していく事も大切なんです。

 と言うわけで「声の出し始めは、ダンゴではなく、ロケットでよろしく」と言われました。

 この“声の出し始めがダンゴ”なのは、私だけでなく妻も言われてました。ダンゴと言うのは、声の出し始めに勢いがありすぎる…って事で、そんな出し方をしてしまうと、先が無いんだそうです。一方、ロケットと言うのは、息交じりの声から始めて、あたかもクレシェンドのような感じで声を出すやり方です。そういうやり方で声を出さないと、声に未来がないわけで、ここはロケットでスパーンと声を出さないといけません(つまり、声の出し始めの形が、ダンゴとロケットの二種類あって、ロケットの方が正しいわけで…ほぼオカルトですね:笑)。

 で『ロケット』でスパーンと声を出すためには、作為的な事をしてはいけないわけで、具体的なイメージで言えば『話し声のような出だしの発声で歌うこと』なんです。話し声のように声を出すと『ロケットでスパーン』ってなるわけで、つまり、何かの作為を加えた作り声での発声は、NGなんです。自然な話し声のような声で歌う事が、まずは大切なんです。声なんて、自然に楽に発声しないと続かないわけですから、最初に自然に楽に発声をする事を覚えるわけですが、これが実に難しいのです。この自然の声に、自然な響きを付加すると、きちんとした歌声になるわけなんです。

 とにかく、理想の声があって、そこに近づけていくのではなく、今持っている自分の声を正しく楽に発声する事で、立派な歌声を作り上げるという戦略なんですね。ああ、色々と目からウロコでございます。

 しかし、発声練習って、声出しでは無いんですね。今まで、合唱団にいた頃もそうだったし、キング先生のところでもそうだったけれど、発声練習って、声出しの延長線上にあったものだったけれど、ここでは声出しどころか、本当に1音1音の発声をチェックされ、指導され、注意され、修正されます。この発声練習だけで、ほんと、あっと言うまに1時間がすぎてしまうんです。ああ、中味が濃い。

 この後、曲のレッスンに入ったのですが、またまた長くなったので、その話は、また後日(たぶん来週)アップします。

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コメント

  1. めいぷる より:

    基本って如何に大事か…って事ですね。
    私が師匠を変えたとき(すとんさんの知ってる人から→知らない人へ…笑)、まさにこんな感じでしたねー。

    すとんさんが先生に注意される感じを読んでいて、、、
    最初に電話をかけること、ダンゴじゃなくて、、を、笛を吹くときも意識してみてくださいね。
    「出ちゃった」ではなく「出した音には責任を持つ」って感じで。かなり変わると思います。(^。^)

  2. すとん より:

    めいぷるさん

    >最初に電話をかけること、ダンゴじゃなくて、、を、笛を吹くときも意識してみてくださいね。

     H先生に「吹きすぎ!」って、よく注意されますが、これってたぶん、息が“ダンゴ”なんでしょうね。おまけに、電話してないし…。ブレスコントロールって事では、笛も歌も、大筋では変わらないのだと思います。ただ、歌の時は、ブレスコントロールに集中できますが、笛は…運指の方にどうしても気が取られちゃうのよ(涙)。まだまだ、修行が足りませんが…それでも、なるべく電話をかけて、ロケットで吹いてみたいと思いました。

    >基本って如何に大事か…って事ですね。

     ほんと、大切です。で、基本って、ただ基礎練習をしているだけじゃ、身につかないという事も感じました。基本を身に付けるべく、きちんとポイントを押さえて基礎練習をしないとダメ。基礎練習も、やればいいってもんじゃないって事です。

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