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高音発声の見直しをしました

 声楽のレッスンに行ってきました。

 この日は、一日中、外でカメラマンをやっていた(それでも日陰を渡り歩いていたのだけれど…)ので、日焼けした顔でレッスンに行ったところ「舞台が近いのだから、日焼けはダメだよ」と言われました。外出する時は日焼け止めはデフォだそうです。ま、確かに、変に日焼けしたファントムなんて見たくないよねえ(笑)。
 
 
 声の原音は、もちろん声帯で作りますが、それに響きを加えたものが我々の声であります。で、響きを豊かに付け加えれば加えるほど、美しい声と言われるわけです。

 では、その響きはどこで作るのでしょう? …それが今回のレッスンで習った事です。実際のレッスンでは、一つ説明されたら、その方向で発声してみて、良しと言うことなら、次の説明をして、さらに発声して…の繰り返しでしたが、ブログでは説明部分だけをかい摘んで書いておきます。
 
 
 声帯で作られた声は、胸と口腔に行きます。胸と口腔で響きを付け加えられて、声になります。さらに口腔の奥には鼻腔があります。口腔まで来た声が鼻腔を経過する事で、さらに鼻腔の響きも加わって、より豊かで美しい声になります。ここで大切なのは“声帯 -> 口腔 -> 鼻腔”という順番であって、声帯 -> 鼻腔というショートカットではないということです。それこそ、この声帯 -> 鼻腔というショートカットで発声してしまうと、口腔での響きが載らない薄っぺらな声になってしまうわけです。

 口腔(&胸)で作られた響きが、その人の基本的な声の響きになるので、どんなに高い声や低い声を出しても、この部分の響きを変えなければ、違う音程であっても同じ声に聞こえるわけです。たまに、高い音や低い音で別人のような声になってしまう人がいるけれど、それは(胸の形は変わらないけれど)口腔の部分の形が変わり、口腔の響きが変わってしまうから、別人の声のように聞こえるわけです。あくまで、口腔の響きをベースに、そこでの響きを変えないようにしながら、その上に鼻腔の響きを付け加えて、美しい声で歌っていきたいものです。
 
 
 では、鼻腔の響きとは、どうやって付け加えるのか? それは鼻腔への声の通り道を開ける事で、勝手に声が鼻腔に入って響きます。だから、声を鼻腔に響かせようなどとは考えずに、声が鼻腔に入っていけるように、鼻腔への道を開けてあげるという意識が大切なんです。この鼻腔への道を開ける感覚は、あたかも、声を後ろに廻していく感覚と同じです。

 そして高音発声では、その高さに声を持っていくのではなく、その高さの響きが出るように、鼻腔への道を開いてあげる事が肝心で、その高さの響きが出れば、その高さの声も容易に出る…というわけなんです。

 そして、この声の道の開け方が、いわゆる“ポジション”って奴です。「高いポジションで歌う」=「高い音が出るような声の通り道を開けて歌う」ことです。

 この高いポジションによる発声で、私の場合、Gまでは楽にいけるはずなんだそうです。ただし、Asから上は、そういうわけにはいかないそうです。もちろん、Asから上でも、発声のやり方としては、この方向だけど、ここまで高い声になってくると、口腔の声と鼻腔の声のバランスが変わってきて、たとえ同じ声を出していても、自分的には、声が変わっていくように感じるのです。つまり、As、A、B、H、Cと、それぞれ自分的には違った音色の声を出しているという感覚になります。

 ただし、自分の感覚では、違った声であっても、その声を第三者が聞いたときは、全部同じ声(ただし、音程は違う)に聞こえないといけないわけです。自分の感覚と他者の感覚が異なる…ここが声楽発声の難しいところであり、そこでうっかり間違えてしまうと、間違った発声を身に付けてしまう事になります。
 
 
 高音発声では、一般的に『クチを大きく広げよう』と言われます。実際に、クチを本当に大きく広げて高音を歌う歌手もいます。

 しかし、クチの大きさや形には個人差があります。だから、クチはむやみに開ければ良いというものではないのです。結論から言えば、クチは、開けなさ過ぎではダメだけれど、開けすぎもダメなんです。声って、その音程の声がよく響く適切なクチの開き方(適切なクチの容積)があるわけで、それ以上開いても、そこまで開いていなくても、響き的にはダメなんです。つまりは「Aさんに良い方法でも、Bさんには良くない方法」ってのがあるわけで、私の場合、クチを開きすぎているわけで、それも筋肉痛を起こすほどに、クチを開きすぎているのです。筋肉痛を起こすほどに、不自然な事をして、歌が歌えるわけがないってわけです。

 クチの開きは、音程に応じた、無理の無い大きさに開いていけばよいのですが、クチは開き具合(口腔内の容積)も大切だけれど、その形も大切なんです。容積的には同じでも、横開きのクチでは美しい声は得られないわけで、クチは縦開きが基本となります。イメージとして、音波は横波ではなく、縦波なんだと思った方が、結果が良いみたいです。

 またクチの開きすぎが良くないのは、口腔内の容積は変わらない場合、クチが開くと、そのクチが開いた分、自動的に別の部分が閉じてしまうわけで、その閉じた部分が、私の場合、鼻腔への声の通り道ではないかと先生は考えています。この推論ならば“クチを開きすぎ -> 声が塞がれたように感じる -> 高い声が出ない”というのも納得です。
 
 
 高い声をきちんと出すには次の手続きを順番どおりに行う事が必要となります。

 1)声帯をしっかりと鳴らす
 2)口腔でしっかりと声を響かせる。
 3)鼻腔へ声が行ける様に道を開ける。

 だから、あくまでも、発声で大切なのは、口腔でしっかりと声を響かせる事であり、今まで学んだことを捨てて、ゼロから始めるのではなく、今まで学んだ事(口腔での発声)を基盤として、そこに必要なもの(鼻腔への通り道の開け方)を付加し、不必要なもの(無駄な力みとクチの開けすぎ)を捨て去る事が大切なんです。

 力を入れすぎると声帯は鳴りません。それは弓を強く弦に押しつけて弾くとヴァイオリンが鳴らなかったり、息をたくさん吹き入れるとフルートが鳴らないのと、一緒。声帯がキレイに鳴る為には、適切な力を声帯に加え、適切な息を声帯を通す事が大切です。

 力の入れすぎはダメ。脱力のしすぎもダメ。クチの開けすぎも、開けなさ過ぎもダメ。程良い加減を自分で見つける事が大切。自分の内部の感覚では、多少違ったものであっても、それを外部の人間に悟られてはいけない。一人一人、声帯も違えば、骨格も違うわけです。他人のやり方をそのまま真似ても、高音発声はできません。自分の声帯と自分の骨格に見合ったやり方を見つける事が大切なんです。

 今回のレッスンは、ひたすら発声だけをやりました。結局、曲は少しも歌いませんでしたが、たまには発声を見直す事は必要なので、これはこれでOKです。

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コメント

  1. Yテノール より:

    実は、私の四月最後のレッスンも、ストンさんと同様、発声のチェックだけでした。
    私の場合,風邪で喉をやられていたので、ケアーの為に軽く発声だけやりましょうということでしたが
    「鼻腔だけで歌っている感じです。」ということで
    「先ず声帯をちゃんと鳴らし響かせた上で口腔や鼻腔への道を開き共鳴させればいいのです。鼻腔で歌おうとする必要などありません。」と注意されました。

    短時間の発声チェックでしたが、直感的に凄く凄く大事な指摘を頂いた感じがしております。

  2. すとん より:

    Yテノールさん

    >先ず声帯をちゃんと鳴らし響かせた上で

     ここが違うんだよなあ。やっぱり、発声指導には決まった形はなく、一人一人のオーダーメイド指導なんだなあって思いました。今回は説明の中で「声帯をきちんと鳴らして…」と言われましたが、具体的指導では、私は声帯を鳴らす事は求められませんし、それ以前に、声帯を鳴らす指導を受けた事ありません。

     むしろ先生は、妻に、声帯の鳴らし方を教えた時は、私を部屋から追い出したほどですから。私には声帯の鳴らし方を教えたくないようです。

     と言うのも、先生がおっしゃるには「すとんさんに、これ以上、声帯を鳴らす方法を教えたら、きっとすぐに声帯を鳴らしすぎて、声を壊すから…」って言われました。

     Yテノールさんには「声帯を鳴らせ」は良い指導であっても、同じ事を私に求めると、私の声は壊れちゃうかもって事ですね。

     発声指導って、やっぱり、一人一人違うんだなあ。

  3. かなめ より:

    はじめまして。
    突然のコメント失礼します。

    高音発声の知見を広めたくてネットサーフィン中していて訪問させて頂きました。

    >声帯 -> 鼻腔というショートカットで発声してしまうと、口腔での響きが載らない薄っぺらな声になってしまうわけです。

    全くですよね。声量も出ないし、迫力もない声になってしまいます。

    勉強になりました。
    また遊びに来ますね。

    良かったら私のサイトにも遊びに来てください。
    では失礼します。

  4. すとん より:

    かなめさん

     遊びに行かせてもらいました。色々な事がコンパクトにまとまっていて、興味深いサイトでした。これからじっくりと読ませていただきます。

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