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知らない楽器は神楽器に聞こえる(笑)

 吹奏楽部と言うのは、学校の部活の中でも、なかなかに活発な部活だったりします。なので、地域の吹奏楽部同士のつながりみたいなモノも、結構ディープだったりします。

 で、ある日の事、ウチの近隣のいくつかの学校が集まって、合同練習会のようなものを開催したと想像してください。もち、私は、新米顧問として、その練習会に自分の部の子たちを引率していったわけです。

 合同練習会は、一度、全員で集まって、お互い挨拶をしたら、各部屋に別れて、課題曲のパート練習から始まります。各楽器ごとにガッコの枠を越えて集まって、一緒に練習して、互いに批評などをしあうわけです。すごいですよぉ、子どもって、言葉に容赦がないですから、言葉の凶器が飛び交ってます(怖い怖い)。

 ウチの子たちも普段から一生懸命練習してますし、なかなかの腕前だと思いますが、余所の上手い子たちは、本当に上手いですね。学生であれだけ吹ければ、なかなかのものだと思います。

 クラリネットは上手、トランペットも上手、オーボエなんてプロ並、サックスなんて今すぐにジャズバーで小銭稼げそう…。しかし、我等がフルートパートの子たちは……なんじゃい、これ? 話にならん。音色が単純な上に、あまり良い音色じゃない。指は廻るけれど、吹き方は極めて乱雑だし、一生懸命なのは評価するけれど、一生懸命以上のものが無いじゃん。なんで、他の楽器はあんなに上手なのに、フルートパートだけは残念なの? もしかすると、この地区は全般的にフルートのレベルが低い地区なのか!

 いやあ、一人のフルーティストとして落ち込みましたね。なんで、こんなにフルートちゃんたち、残念なの? 他の楽器とバランス取れてないじゃん…。

 なんて思って、顧問の控室でボヤいていたら「サックスはどうにも…」とブツブツ言っているセンセがいたんですよ。

 私は「サックスの子たちは立派じゃないですか、楽器もよく鳴っているし、指も廻るし…。それに比べてフルートは…」と言ったら「いやいや、フルートの子たちの方が上手じゃないですか? あれぐらいサックスの子たちも吹けたら…」とおっしゃるわけだ。

 聞けば、そのセンセはサックスの人らしく、ご自分もサックスを趣味で吹かれて、サックスの事なら、まあまあ分かる人らしいのだけれど、私と同じで、ブラバンの顧問は今年始めてなんだそうです。だから、他の楽器については、これから勉強しますって感じの人です。

 なんか愉快になっちゃいました。結局、そのセンセがサックスの事をボヤくのも、私がフルートちゃんたちの演奏で落ち込むのも、お互い、自分のフィールドの楽器だから、色々とアラが分かっちゃうんですよ。でも、顧問経験が少なくて、自分のフィールド以外の楽器については、全然分からない。だから、子どもたちが一生懸命練習している姿を見るだけで「すごい、えらい、お上手」って思っちゃうわけなんですよ。私なんてサックスパートの練習を聞いて『ここには、サックスの天才が大勢いるんじゃないの!』なんて(正直)思ったものですが…サックスの人に言わせれば、あれではマダマダなんだそうです。たぶん、フルートに関しては、私がフルートの人だから、フルートには辛口になりますが、このセンセに言われば、うらやましいほどに上手なんだそうです。

 つまり、我々新米顧問って、知っている楽器には厳しいけれど、知らない楽器については、まるで神楽器のように聞こえて、欠点やアラやミスなどのかけらも全然見えない…って事なんですね。

 つまり、吹奏楽の顧問をやるにも、経験って奴が、やっぱり必要って事です。単なる音楽好きとか、一つの楽器が吹ける程度じゃ、全然足りないってわけです。

 うん、色々と学ぶ事があるな、まだまだ。

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コメント

  1. funkyhassy より:

    こんにちは、
    おもしろい体験をされましたね。

    私の知人のアマチュアフルーティストは、いろんなところで演奏会をしますが、習っている教室の発表会が一番緊張するって言っていました。

    だって、オーディエンスはみんなフルートを勉強しているわけで、ごまかしは一切きかないですからね。

    それにしても楽器は何であれ、同じ音楽を演奏しているのに自分のフィールド以外が上手に聴こえるって、結構みなさん上手なんじゃないですか?

    全ての楽器の経験を持つ音楽顧問って、たぶんいないんじゃないかな。。。
    フルートにせよ、サキソフォンにせよ、ひとつの音楽を作っていくパーツに過ぎず、細部まで指導するのはやはりそれぞれの楽器を専門にしている先生に委ねざるをえないような気がします。
    すとんさん率いるチームのフルートはハードル高くなりそうですね(笑)。

  2. operazanokaijinnokaijin より:

    オペラ座の怪人大好き人間です。
    私も楽器経験者で、吹奏楽部でフルートを、ロックバンドでサックスを、吹いていました。
    今日のお題にかこつけて、2つの楽器について、思い起こせば、、、、、
    似て非なる楽器だから、どっちが「よい」とか、どっちが「難しい」とかいう議論は、
    もちろん無意味なのですが、それでも、無理やり、勝手に書かせていただくならば、
    サックスよりもフルートの方が繊細で、
    サックスよりもフルートの方が難しい、という気が致します。当然かしら?
    ( ̄▽ ̄;)
    指使いは両楽器に共通していますが、やはり、唇、唄口、マウスピースが違いますから。
    で、私、ロックバンド時代、サックスパートであっても、
    基本的な練習はフルートでやっていました。曲を覚えるとか、強弱とか、
    ビブラートの工夫とか、とか、とか。で、本番直前の練習でサックスに持ち替えてました。
    すみません、単なる思い出話で、、、、、
    あと、また、話が変わりますが、、、、、
    ( ̄~ ̄;)
    吹奏楽部時代、フルート初心者さんとサックス初心者さんとを見ていて思ったのですが、
    フルート初心者さんは、最初、音を出すこと自体がなかなか難しくて、
    すぐやめちゃう人が多い半面、根気よく、粘り強く、コツコツ続ける人もいて、
    一方、サックスは、音を出すこと自体は最初から簡単なので、
    すぐ曲が吹けるようになって、でも、なんだか、コツコツ練習をしないでサボっちゃって、
    で、半年くらいすると、フルートのコツコツメンバーはかなり上達していて、指も回り、
    でも、サックスのメンバーはあんまり上達していなくて、指も回っていなかったような、、、
    ああ、また、単なる思い出話で、すみません。
    ( ̄□ ̄;)!!

  3. すとん より:

    funkyhassyさん

    >すとんさん率いるチームのフルートはハードル高くなりそうですね(笑)。

     率いてませんから(笑)。実際の指導は、若い教職員や外部コーチに任せてます。私は…一体なんのためにいるんでしょうね? とりあえず、今のところ、馬鹿話をして、生徒たちの練習のジャマばかりしてます(爆)。

    >だって、オーディエンスはみんなフルートを勉強しているわけで、ごまかしは一切きかないですからね。

     ですね(笑)。皆さん、耳は肥えているわけですからね。たしかに厳しいです。

    >全ての楽器の経験を持つ音楽顧問って、たぶんいないんじゃないかな。。。

     これがねえ…程度は大したことはないのかもしれないけれど、吹奏楽部の顧問って、大半の楽器は演奏できるという人、結構いますよ。いや、顧問に限らず、生徒たちも、複数の楽器を平気で持ち替えたりしてます。もちろん、自分のメインの楽器と言うのはあるけれど、案外、複数の楽器をどうにかしています。私と一緒に顧問をやっている若い方は「私はホルン以外は全部吹けるし、指導できますよ」って人と「フルート以外なら、とりあえずOK」って人がいます。はい、皆さん、器用なんですね。

     え? 私ですか? 私は「フルートしか吹けないし、それもどうにかこうにか…」って人です(爆)。不器用ですいません。なので「すとん先生は、フルート以外、やんないんですか~」って生徒たちが言ってきます。まるで吹奏楽部の顧問は複数の楽器が演奏できて当たり前って感覚のようです…が、私はピッコロですら吹けない、フルート・オンリーな人なので、早く「すとん先生はフルート以外はダメ」と生徒たちに認識させようと思ってます(でないと、色々と面倒くさい:笑)。

     ま、他の顧問が複数の楽器が演奏できると言っても、それほど上手ってわけではないのだろうと思いますが、それでもいいんです。だって、楽器演奏の細かなテクニックを指導するのって、元々素人である教職員では無理ですから、そこは気にしてもしようがないでしょ。そのために外部コーチも雇っているわけだしね。

     …実は私、サックスに浮気心がないわけじゃないです(爆)。特に、部で吹き手がいなくて遊んでいるソプラノサックスあたりを狙っていたりします(うふふ)。

  4. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     ジャズなどでも、フルートとサックスの持ち替えをする方は大勢います。operazanokaijinnokaijinさんもその手の方だったのですね。私の前のフルートの先生も、フルートとテナーサックスの持ち替えしてました。

    >サックスよりもフルートの方が難しい、という気が致します。当然かしら?

     へえ~? まあサックスは新しい楽器だから、色々と合理的に作られていて、とっつきやすいって部分はあるでしょうね。道具が進化している分、人間が楽できるんでしょうね。そこへ行くとフルートは、途中で改良されているとは言え、基本的には古いタイプの楽器ですから、演奏に際しては、色々と人間が苦労しないといけない部分もあるわけで、そこが『フルートはコツコツ』って事につながるのでしょう。

     そう言えば、フルートとサックスの持ち替え奏者って『フルートメインだけれど、求められればサックスも吹きます』って人の方が『サックスメインで、ついでにフルートも吹きます』って人よりも多いような気がしますが、これってフルートの方が難しいせいかしら? もっとも、バンドに参加する管楽器奏者って、圧倒的にサックスメインの方が多くて、フルートメインの方って…なかなかいないし、フルート専任の方って、ほとんど見かけないですね。

     私はジェスロ・タロが大好きです。イアン・アンダーソン、最高っす。

  5. operazanokaijinnokaijin より:

    ジャズ・フルート、私は、ハービー・マンとデイブ・バレンタインが好き。
    マンとはブルーノート東京で、バレンタインとはブルーノートニューヨークで、
    握手しましたーーーーー!!!!!
    \(◎o◎)/\(^o^)/\(◎o◎)/\(^o^)/\(◎o◎)/\(^o^)/

  6. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     そう、ジャズフルート。私は一年ほど前まで、現役のジャズフルーティストさんにフルートを習ってました(えへん)。なので、それまでジャズのジャの字も知らなかったのに「習うよりも慣れろ」という方針で、ジャズを仕込まれております(へへっ)。

     それにしても、両巨頭と握手済みですか! うらやましー!

     あ、ちなみに、ジェスロ・タロはジャズじゃなくてロックです。イアン・アンダーソンはロック系のフルーティストさんですよ。

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