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世界最高クラスの吹奏楽のコンサートを聞いてきた

 少し前の話になりますが、世界最高クラス…だと思われる吹奏楽のコンサートを聞いてきました。もちろん、推定世界最高クラスなのですが、おそらく同意される方も大勢いらっしゃるかと思います。

 何を聞いてきたのかと言えば『自衛隊音楽まつり』です。出演部隊は以下の通りです。

陸上自衛隊中央音楽隊
海上自衛隊東京音楽隊
航空自衛隊航空中央音楽隊
陸上自衛隊東北方面音楽隊
陸上自衛隊西部方面音楽隊
陸上自衛隊第302保安警務中隊
防衛大学儀仗隊
自衛太鼓

在日米陸軍軍楽隊
米海兵隊第3海兵機動展開部隊音楽隊
バガッド・ド・ラン=ビウエ軍楽隊(フランス海軍所属)
シンガポール軍軍楽隊

 コンサートの開催自体は(連載の都合でタイムリーに記事をアップできませんでしたが)本当に素晴らしいコンサートでした。

 自衛隊…と聞くだけで、拒否反応を示す方もいらっしゃるかと思いますが、そういう偏見を取り除いて、純粋に音楽団体として見た場合、ほんと、自衛隊と言うのは、世界最高クラス演奏団体だと思いました。なにしろ、吹奏楽嫌いな私(ごめんなさい、でも巷の吹奏楽の演奏って苦手なんです)なのに、彼らの演奏には感動して、幾度となく感動の涙を流してしまったくらいです。私が嫌いなのは、吹奏楽ではなく、下手くそな吹奏楽の演奏だったのだと、よく分かりました。とにかく、音楽のジャンルを越えて、素晴らしい演奏だったのです。

 そもそも、吹奏楽の起源は軍楽だという説もあるくらいですから、自衛隊の演奏がピカイチなのも、そりゃあ当たり前と言えば当たり前の話なのかもしれません。

 それでは、時間を追って書いていきたいと思います。

 この(あえてこう書きますが)コンサート、実は無料公演なのです。インターネットで申し込みをして、当選すると入場券代わりのはがきが送られてくるのだそうです。で、このはがきのチケットがプラチナチケットで、まあ、簡単には当選しないのだそうです。私なんかは運がない人なので、こういう抽選式のコンサートって、まず当たりません。

 ちなみに、抽選に外れたら転売屋(いわゆるダフ屋、最近はネットで販売するケースが多い)に世話になる人もいらっしゃるみたいですが、その転売価格が高いです。そもそもタダ券なのに、10万円オーバーがザラです。元手がかかっていないのに、この高価格。ダフ屋もいい商売です。

 実はこのコンサートには、出演する隊員さんが家族や知り合いに配るチケットがあります。いわゆる、関係者チケットって奴です。これははがきではなく、普通のチケットなのですが、私の知り合いに、今回のコンサートに出演される隊員さんがいましたので、その方からいただいたチケットで入場しました。別に不正は働いていないし、チケットを分けてくれた隊員さんの演奏は、一生懸命応援したしね(義務は果たしたぜ!)。

 会場は日本武道館です。全席自由席という事もあって、事前に“行列が出来る”と聞いていたので、開場時間の1時間前に現地に到着したのですが、その段階で数百メートルもの入場待ちの行列が出来ていました。ちょっと目がくらみました。足の骨折を抱えているのに、1時間も屋外でただ立って待っているだけ…と言うのも、なかなかつらい体験でした。

 やがて開場時間になり、行列もどんどん前に進み、やがて日本武道館にたどり着きました。入場直前に手荷物検査を受けました(テロ対策としては当然だね)。武道館には正面である南側から入ったのですが、私が入った段階で、正面席はすでに満席。そこから西側に移動していったのですが、私が確保できた座席は、一階の南西席と西席の境目の席で、舞台をほぼ真横から見るような感じの、観劇的にはかなり残念な座席になりましたが、代わりに舞台上部にある特大モニターがよく見える席だったので、まあ良しとしました。

 それにしても、要所要所で案内をしている人も、当然隊員さんなんですが、彼らは実に有能です。あれだけの大人数を、何の迷いもなく、極めて適切にスムーズに案内するんですよ。なので、ほんの短時間で、大きな混乱もなく、観客達はスムーズに着席できちゃうんですよね。いやあ、自衛隊って有能優秀。

 私、日本武道館に入ったのは、これで人生二度目[最初は若い時にビリー・グラハム師の集会に出演者(合唱団メンバーです)として入って、ハレルヤコーラスを歌いました]で、全く不慣れな場所で、なかなか落ち着けなかったのですが…いやあ、武道館って、施設としては古いなあ…。座席は小さいし、冷暖房はダメダメだし、客の動線も良くないし、バリアフリーからは縁遠いし…。なにしろ、ここでビートルズは歌っているわけで、音楽ホールとしては、もはや骨董品だよね(って、ここは音楽ホールじゃなくて、武道館だってば:笑)。

 演奏は、最初に書いた通り、感動&感涙ものでした。音楽には力があるから、きちんと演奏するだけで、人の魂を揺さぶるんですね。普段は、プロアマ含め、なかなかきちんとした演奏を聞くことが少ないので、感動しにくいのです。特に吹奏楽は、アマチュアの音楽ですから、稚拙な演奏も多く、感動しにくいです(ごめん)。

 それにしても、各部隊とも、本当に上手です。歩きながらのマーチング形式で演奏していたのですが、高い水準で行動も音楽も一糸乱れないのです。これを見ちゃったら、他のマーチングは見られません(ほんと、ごめん)。とにかく、すごいです。

 特に日本の部隊は、どの隊も完璧な演奏で、最初は録音を流しているんじゃないかと錯覚するくらいに、あらゆる意味でバランスの取れたスキのない演奏をしていました。あと、最近話題の自衛隊の歌姫の方々が5人も出演されて、眼福でございました。

 ゲスト出演された、外国の部隊もそれぞれに個性的でした。日本の部隊は、いわゆる吹奏楽を演奏したのですが、アメリカの部隊は…ありゃあ吹奏楽ではなく、ブラスロックだね。とにかく、どの曲でもエレキギターが唸る唸る…、アルトサクソフォーンがバリバリ吹き鳴らすわけです。あと、日本の部隊は歌姫がスタンダードナンバーでヴォーカルを取りますが、アメリカの部隊では男性歌手(テノールだね)がロックナンバーでヴォーカルを取ります。お国柄の違いが出ます。

 フランス軍は、バグパイプとチャルメラ(ってラーメンじゃないよ、小型のオーボエね)が大活躍していましたし、シンガポール軍はダンサーさんが大活躍してました(たぶん、あのダンサーさんも兵士なんだろうね)。

 中でも、私が一番感動したのは、第302保安警務中隊の皆さんの行進です(音楽じゃなくてごめん)。この方々は、いわゆる“特別儀仗隊”の方々で、音楽の演奏は一切しないで、ただただ会場を行進し、持っている銃剣を上げ下げするだけなのですが、それがとっても感動的なのです。この方々、普段は、我が国を訪問される国賓の方々を迎える役目の兵隊さんで、他国では近衛兵と呼ばれる仕事をしている方々なのです。やっている事は、ただの行進なんだけれど、それがとても美しいし感動的なのです。彼らの素晴らしさを表現する言葉を私は持ち合わせていませんが、とにかく素晴らしいのです(詳しくは、下に貼った動画を見てください)。

 防衛大学校の儀仗隊の皆さんは、ファンシードリルを見せてくれました。正直、第302保安警務中隊の後では、学生さんたちの動きは見劣りしてしまいます(ごめん)が、第302保安警務中隊の方々は、ただ行進するだけですが、防衛大学校の皆さんはダンス的なフリもあり、なかなか見応えありました。最後に空砲で一斉射撃をするのですが、その爆音に、私は耳を持っていかれました。よく、大きな音を聞いて、耳がツーンとすると言いますが、私はアイスピックで両耳を刺されたような痛みを感じました。いやあ、マジで痛かったです。もっと前の席で聞いていたら、マジ、ヤバかったかもしれません。

 自衛隊と言えども、音楽を演奏する部隊の隊員の皆さんはミュージシャンなわけで、我々一般人と比べると、かなりガタイはいいと言うものの、それでも一般人の範疇の体格なのですが“自衛太鼓”と呼ばれる和太鼓を演奏する隊員の皆さんは一般隊員なんだそうです。自衛太鼓は一般隊員の方々の“部活動”として活動されているという事で、その演者もみな一般隊員の方なわけで、ほぼ全員、レスラーのような体格をしていました。みんな、肩からふともものようなモノが生えているんですよ(笑)。そういう人が二百名前後登場して、それぞれが和太鼓を叩きまくるんです。

 これ、すごいなんてもんじゃないです。

 音って、普通は耳で聞くものですが、この自衛太鼓は耳ではなく、全身で聞きます。いや、全身で聞こえちゃいます。肘や膝で音が聞こえます。足の裏やお尻でも音が聞こえます。胸や腹や背中でも聞こえますし、指先なんて、ハミングをしている時の口腔みたいにビリビリ震えます。音は振動だ…という事が理屈抜きで体感できます。その音圧だけで感動します。『雷鳴』という曲を演奏していましたが、本物の雷鳴よりも、もっと雷鳴でした。この凄さは、録音や中継では伝わりません。実際、この下に貼った公式動画でも、自衛太鼓のパートは音声トラブル?のために大きくカットされているしね。

 休憩なしの2時間のコンサートでしたが、ほんと、あっという間に終わってしまいました。コンサート自体はネットでも中継されましたし、その動画もネットには残っていますし、ここにも貼りましたが、このコンサートの本当の素晴らしさは、やはり直接会場に行って、その目で見て、その耳で聞いて、全身で音楽を感じないと分からないと思いました。下の公式動画でも、その魅力の1/100の伝わってないもの…。いや、ほんと、実際はこんなモンじゃなかったんだよ。

 こんな音楽体験、しようと思って出来るものじゃありません。そういう意味では、よい経験ができました。チケットを分けてくれた隊員さん、ありがたやありがたや…。

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コメント

  1. tetsu より:

    こんばんは。

    変なところに反応してしまい失礼します。

    >最初は若い時にビリー・グラハム師の集会に出演者(合唱団メンバーです)として入って

    こちらは幼少期、東京ドームできる前の後楽園のビリー・グラハム大会になぜか行きました。
    今はその業界から足を洗っています。
    トランプが出てきてからもよく話題にあがる福音派ですがファンダメンタリズムとの違いがwikiなどを見てもよくわかりません。
    ビリー・グラハムはwikiによれば今年の2月に亡くなったのですね。知りませんでした。

  2. すとん より:

    tetsuさん

     ビリー・グラハム…当時の某業界ではアイドル的存在でしたね。実は私、動員されて歌ってたんですよ(笑)。観客数水増し…と言っては聞こえが悪いのですが、集客力の強さがビリー・グラハムの魅力と言うか強みでしたからね。

     それはさておき、福音派とファンダメンタリズムの違いですが…私個人は、ほぼ一緒だと思ってます。言葉の違いとしては、自分たちが名乗る時は「福音派」であって、その福音派の人々を他派の人が揶揄する時に「ファンダメンタリズム」という言葉を使っているような気がします。つまり、ファンダメンタリズムには、一種の侮蔑感が伴っている…というのが私の感覚ですが、これが正しいかどうかの保証は全くありません(違っていたら、ごめんね)。

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