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吹けないところは歌えない、歌えないところは吹けない

 ええと、フルート関係の記事って事に…なるのかな? 皆さんは、新曲をいただいた時に、どういう手順で練習しますか?

 いきなり、初見演奏…しちゃいますか? それとも鉛筆でも取り出して、頭から順番にアリナーゼしていきますか? それとも…?

 私は、ひとまず、楽譜を見ながら、鼻唄を歌うかな? 鼻唄をうまく歌えない部分は、ピアノを弾いて確認するかな? それでも、今一つ、つかめない曲だと、この段階で音源を聞くかもしれません。つまり、まずは音取りから始めます。

 音取りが完了したところで、ようやくフルートを組み立てて、練習しはじめるでしょう。ま、だいたい、いつもこんな感じです。

 で、フルートを吹きながら、分からない箇所があると、フルートを置いて、手を叩いたり、足でカウントしたり、指揮マネをしながら、また鼻唄を歌います。

 ま、声楽の音取りと基本的な手順は一緒。違うのは、声楽の場合は、ピアノに貼りついて音取りをするけれど、フルートの場合は、よっぽど難しい音程じゃないかぎり、フルートだけで練習する点が違うかな?

 これは私の推測なんだけれど、フルートしか吹かない人って、どれだけ音取りをやっているんだろ? 音取りをしないでフルート吹いて、大丈夫なの? って思います。

 と言うのも、実は私、フルートを練習していて、どうしてもうまく吹けない箇所って…あるじゃないですか? そういう時って、フルートを横に置いて、鼻唄ではなく、階名唱をしてみるんですよ。吹ける箇所は、たいてい階名唱できますが、吹けない箇所は階名唱ができません。階名唱ができないので、まずは階名で歌う練習を徹底的にやります。で、階名唱ができるようになってから、再びフルートを手にすると、今度はスラスラと吹けるようになっている事が多いんですよ。

 つまり、フルートが吹けない原因にも色々あるけれど、私の場合、譜読みでつまづいて吹けないケースが結構あるって事です。だから、階名唱をするんです。階名唱は、まず音符と階名を結びつける練習となります。音符と階名が結びつけば、あとはこっちのものです。階名と運指はすでにつながっていますので、頭の中で階名唱をしながらフルート吹けば、バッチグーっなもんです。

 この練習、実は私の苦手なアルベジオ練習の時に、すごく効果があります。ほら、私って、アルペジオ演奏が苦手なんですけれど、あれって、次にどの音に飛んでいいのかが分かりづらくてそれで失敗するんですよ。だから、通勤の道すがら、一生懸命、苦手なアルベジオの箇所とかを、まるで呪文を唱えるようにブツブツと言いながら歩くんです。帰宅するころには、しっかりスラスラと階名唱ができるようになっていますので、それでフルートを構えて吹くと、あら不思議、昨日までの苦労が嘘のよう…ってパターンです。

 私、思うんですよ。たぶん、音楽を学ぶ人は、フルートが吹けなく(ってか、自分の楽器が演奏できなく)ても、歌は歌えると思います。でも、歌が歌えないと、フルートって吹けないんじゃないかな? もちろん、オペラ歌手のように歌える必要は全くないけれど、少なくとも鼻唄程度は歌える事が必要だし、できれば、アイドル歌手程度には歌えると、なお、いいかなって思います。

 歌とフルート、一見、全く関係ないように見えるけれど、おそらく、歌って、すべての楽器演奏の基本じゃないかなって思います。

 よく楽器のレッスンで、生徒に歌を歌わせる先生っているでしょう。生徒の側からすれば「私はピアノを習いに来ているのに、歌わされるなんて、ナンセンス!」とか思ってプリプリしちゃう…なんて話、たまに聞きます。

 でも、まずはともあれ、生徒に歌わせる先生っているわけで、息子君のピアノの先生がそうだし、私の場合、ヴァイオリンのヒイロ先生が、このタイプの先生で、ヴァイオリンの演奏する前に、必ずと言っていいほど、練習曲を歌わされました。あれって、たぶん、こういう事だったんじゃないかなって思うんですよ。

 歌わせると言っても、子どもは素直だから問題ないし、教える先生も音大とか出てて、副科とかで声楽をやっていたり、音楽教員の免許を取るために合唱の勉強をしていたりするから、歌うことに、特別の抵抗はないでしょう。私も息子君も歌人間だから、レッスンの時に歌えと言われて、一瞬「え?」とは思うものの、平気で歌っちゃう。

 けれど、普通の人が大人になってから楽器を始めたりした場合、たぶん“歌う”って、ものすごく心理的抵抗があるんじゃないのって思います。ほら、大人って、素直じゃないし、見栄っ張りだし、心が弱いでしょ。「ピアノ弾く前に歌ってごらんなさい」なんて言われた日には『先生/教室を変えようか…』と悩んじゃうんじゃないかな? だいたい『私は歌が苦手だから、楽器を始めたんだ!』って言う人もいるだろうしね。まあ、その気持ちは分かるけれど、いくら歌が苦手でも、鼻唄程度なら歌えるでしょ。音程なんて甘々でいいんだし、リズムも丸くなっていいんだからサア…。

 その他にも、先生から「フルートで歌うように吹きなさい」って注意される方、いらっしゃいませんか? そして「フルートで歌うってどうすればいいの?」って悩んでいる方、いらっしゃいませんか? 私が思うに、そんな時は、実際に歌っちゃえばいいんですよ。もちろん、鼻唄でもOKですよ。で、一度歌ってみたら、自分が歌った、その通りにフルートを吹けば、それでいいんだと思いますよ。

 と言うわけで、吹けないところは歌えない、歌えないところは吹けない、って話でした。ちゃんちゃん。

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コメント

  1. ゆうき より:

    自分もフルートを習っていますが、曲を吹く前には
    必ず、音階名で歌わされていました。
    初めは凄く抵抗がありましたが、早い指の動きが必要とされる所など、
    実際には指が動かないのではなく、歌えないから吹けない、という事実が実感してきました。タンギングする所とスラーの箇所を誤ってしまうので、歌う時からしっかり意識するよう、言われていました。
    (過去形なのは現在、従事している先生がいないからです。)
    ところで、会社員の身分では、毎週・定時にレッスンに通うのは難しいですね。自分も一苦労しました。
    今後も宜しくお願いします。

  2. 私は・・・いきなり吹いちゃう派でしょうか。

    アナリーゼ出来るほど音楽理論に明るくないので、
    とりあえず吹く前に調号と拍子の確認だけして吹き始めます。

    まだまだ作品と言う程の大きい曲を吹いてませんし、
    アルテの1巻と言うことで、いきなり吹いても大丈夫な曲が
    多いという事でしょうね。

    ただ・・・リズムが苦手なので、変拍子、シンコペーションや
    やたらにタイでつながっていたりすると「ん?」となり、
    頭の中でリズムを刻んでみて事前確認はします。

    私もアルペジオで上手くできなくて先生にアドバイスもらったことがありますが、
    同じく頭の中で音名をつぶやくイメージで吹くと指もその音階に合わせて
    動いてくれる・・・とおっしゃってました。

    私は通常は、頭の中に鳴っている音に対応する音階をそのまま押さえる
    と言う感じで吹いているので新鮮なアドバイスでした。

    あと・・・やはりフルートを吹いている時でも「歌って」と頻繁にアドバイスもらいます。

    やはり音楽の基本って歌にあると思いますし、いくらそつなく吹けても
    歌えてなかったら意味が半減すると言うことなんでしょうね。

    ちなみに歌は高音が出ないせいで苦手意識があるかもしれません。
    (歌謡曲とかは高いのが多くて歌えない曲が多い)
    とりあえず・・・カラオケは好きではありません(^_^;)
    歌う事を強要する人も多いですし、流行りの曲はほとんど知らないので(^_^;)

  3. めいぷる より:

    私は一番悪いパターンですね(苦笑)

    楽譜を見た瞬間に、反射的に最初の方は頭の中で階名で歌ってますが、
    直ぐに楽器で音を拾います…極力楽譜通りに。
    この時に、絶対に頭の中で階名で歌いながら吹いてます…そーしないと吹けない。

    全体に「こんな感じ」が掴めたら、
    そのまま吹けなかった細かい部分を詰めるのと同時に、全体のアナリーゼを進めていきます。
    詳細の「?」の部分は、「声を出して音程通りに歌う」事で結構解決します。勿論可動域は調整しますよ(笑)

    典型的なトップダウン構築ですね。
    でも、本当はボトムアップで、全部考えた上で「ゆっくり」から、実速で吹くのは仕上げだけ…ってつもりで練習するのが一番効率的だそーです。

  4. おざっち より:

    まず歌う、というのはゴールウェイも言ってましたね。
    声を出して歌うというのは、すべての楽器演奏の基本だと思います。
    ただ、私の場合は、譜面を見ても全く歌えませんから、先にフルートで吹いてみて、それを歌ってみて、それから再びフルートを吹いてみる、という手順を踏みます。
    声楽もやっておられるすとんさんは、相乗効果と言いますか、歌とフルートがうまくマッチングしている感じですね。
    ダンスの場合は、リズムを心の中で歌いつつステップを踏む、なんてことはあるのでしょうか?

  5. すとん より:

    ゆうきさん、いらっしゃいませ。

    >ところで、会社員の身分では、毎週・定時にレッスンに通うのは難しいですね。自分も一苦労しました。

     いやあ、本当にそうですね。私もフルートのレッスンには毎回行こうと思ってますが、月に一回程度はお休みせざるをえない状況になってます。先生は「どんなに忙しくても、レッスンにだけは来なさい」とおっしゃってますが…なかなか。

     でも、レッスンに行けない日があるから、レッスンに行ける日が、うれしくて、待ち遠しいのだと思ってます。

     ゆうきさんの先生も、歌わせる人だったのですね。

  6. すとん より:

    神楽坂雪華さん

    >私は通常は、頭の中に鳴っている音に対応する音階をそのまま押さえる

     うわあ~、それは憧れだなあ。神楽坂さんは絶対音感があるから、それが出来るんだと思いますよ。私は音感を持っていませんから、頭の中で音楽が鳴っていても、それに対応する音が分からないので、ニッチもサッチも参りません。いいなあ。

    >歌謡曲とかは高いのが多くて歌えない曲が多い

     一オクターブ下げましょう(笑)。何も実音で歌う必要はないんですよ。

     フルートも同様ですよ。神楽坂さんのすぐ下のコメントでメイプルさんがおっしゃってましたが、メロディに合わせて、音域う変えていけばいいんです。これは私のヴァイオリンの師匠であるヒイロ先生がよく言ってました「歌うなら、ヴァイオリンの一オクターブ下でもいいんだよ。楽に歌えばいいんだから」ってね。

     私は…カラオケは好きですよ。でも、流行りの歌は知らないので、歌えません。私はカラオケに行っても、古い洋楽とか、ミュージカルナンバーとかばかり歌ってます(笑)。

  7. すとん より:

    めいぶるさん

     トップダウンでやれちゃう、めいぷるさんがステキです。比較しちゃアレですが、私の場合、楽譜を見てすぐに楽器を持ったら、そのまま硬直しちゃうだけで、一歩も前に進めませんから(爆)。

     でも、めいぷるさんでも、やっぱり頭の中では階名唱をしているのですね。なんか安心しました。

    >詳細の「?」の部分は、「声を出して音程通りに歌う」事で結構解決します。

     うん、自分の手法に自信を感じますよ、私のやり方は間違ってなかったと…。でも、本当は「歌ってからフルートを持つ」ではなく「いきなりフルートで吹く」に憧れますよ。音取りなんかしないで、いきなり初見ピャララララ~って吹けたら、カッコいいだろうなあ。

  8. すとん より:

    おざっちさん

    >まず歌う、というのはゴールウェイも言ってましたね。

     …うーん、そうだったかもしれない(汗)。私もゴールウェイのマスタークラスを聴講しているのに、失念してました(笑)。

    >声楽もやっておられるすとんさんは、相乗効果と言いますか、歌とフルートがうまくマッチングしている感じですね。

     かもしれませんね。歌と笛の違いはあれど、同じ音楽ですから、どこかでつながっているんだと思います。

    >ダンスの場合は、リズムを心の中で歌いつつステップを踏む、なんてことはあるのでしょうか?

     ありますが、それが良いことかは別問題です。ダンスの場合、やはり、その場に流れる音楽を聞いて踊るべきじゃないかなって思います。音楽を聞いて、音楽にノッテ、自分を表現していくのがダンスなんだろうと思います。

     楽器演奏もダンスも、伴奏とのアンサンブル、って意味では同じだと思います。自分の中で、しっかりと自分の音楽/リズムはキープしながらも、きちんと周りの音楽と合わせていく事が大切なんだと思います。

  9. のん より:

    ブログそのものは今迄にも少し書いた事がありましたが、音楽ブログと言うのが有る事を今迄知らなくて、音楽の(私の場合、音楽と言う言葉を使うほど上級では無いのですが、)事は余り書く事も無く、皆さんの様に音楽を楽しんでいらっしゃる方がこんなに多く、また、皆さんの様に真剣に取り組みながら、それを楽しんでいらっしゃる方が多くいる事、ちっとも解りませんでした。
    中学時代、器楽クラブでソプラノアコを担当していた私としては(今はアコは弾いてはいないけど)すとんさんのおっしゃる事、そして、皆さんのコメント、いちいちうなずく次第です。
    真剣に取り組むからこそ、音楽を楽しむ事が出来る、のではないか、と、その思いがますます強まり、今私は歌しか取り組んで居ないけど、そして、所見で歌うどころか、ピアノで弾いてもらった音さえ取れなくなってしまったけど、訓練すればもう少しマシになるのでは?と。
    それにしても、以前は簡単な曲だったら大体何となく音がとれていたのに~!、と、これ、老いには逆らえないって事?それとも怠慢??

  10. すとん より:

    のんさん

     ソプラノアコって、小型で高音担当のアコーディオンの事ですか? ウチに一つあります。とても古い楽器で、昔、何となく弾けたらいいかなって思って入手しましたが、今は納戸でほこりをかぶってます(笑)。

    >以前は簡単な曲だったら大体何となく音がとれていたのに~!、と、これ、老いには逆らえないって事?それとも怠慢??

     人は確かに老いるけれど、老いることで失うのは、主に神経系の伝達速度です。つまり、素早い動きや速いスピードに対応できなくなります。でも、音楽を演奏するために必要な、聴力も記憶力も運動能力も筋力も、老いとは、直接の関係はありません。それは第一線で活躍している音楽家に老人が多いことからも分かります。老いたら音楽ができなくなるなら、スポーツの世界同様に、音楽の世界でも、現役プレーヤーは若者ばかりになるはずですが、音楽の世界では、ジイサンバアサンが活躍しているので、老いと音楽には、あまり強い関連性がない事が分かります。

     音が取れない…と感じるようになったのは、声楽のレッスンを受けるようになってからだとしたら、これは『音が取れなくなった』のではなく『音が取れていない事に気付くようになった』あるいは『以前ならOKを出していた音程の違いに、今ではOKが出せないほど、耳が良くなってきている』という可能性があります。

     のんさんの場合は、おそらくこれなんじゃないでしょうか? もちろん、聴力関係に病気がない事が前提です。聴力関係の病気は、本人が気が付かないうちに進行しているケースもあるので、少しでも疑いがあったら、お医者さんに相談してくださいね。

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