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美しい歌声は美しい立ち姿から…

 声楽のレッスンに行ってきました。

 まずは忘年会やら新年会やらの打ち合わせとか、ガラコンサートの参加者の確認とか、チラシ作成の話とか、その手の事を先生と話しました。

 で、レッスンです。今回のレッスンは“立ち方”と“呼吸”を見直そうというわけで、まずはそこから始めました。

 で、立ち方。まず直したのは、骨盤。私は今まで骨盤を倒し気味にして、背中を緩めて、背中や腰を自由に使える様に立っていました。この立ち方だと、呼吸のキープとか、息をしっかり支えるってのが楽にできますが、そろそろ次のステップに行きましょうか…って事で、今度は骨盤を立ててみました。もちろん、ただ骨盤を立てると、腰の筋肉がキツキツになりますので、骨盤を立てたまま、腹筋(胃袋のあたりから恥骨周辺までの広い範囲)をグ~ッと後ろに引きます。それこそ“やせた人に見えるくらい”思いっきり引きます。この時の注意は、後ろに引くのは腹筋だけで、お尻は絶対に後ろに引かない事。もちろん、骨盤は倒さないし、腰も曲げない。

 この姿勢で立つと…確かに我ながらカッコいいです。いかにも“歌手”っぽく見える立ち方です。問題は、この姿勢で楽に立っていられるのは、ものの10秒かそこらって事です(笑)。すぐに、腰筋と腹筋の両方がつります、30秒もすると、内腿のあたりの筋肉が張っているのが分かるようになります。やがて背筋と尻筋が痛みだし…シンドイです。つまり、私がこの姿勢になったのは、人生始めてってわけで、今まで使った事のない筋肉をフル稼働するので、かなりキツいです。で、休み休み、立ち方の練習をしました。

 今までは背中を緩める事で腰回りの自由を獲得してきましたが、これからは腹筋を引き締め、引き締められた腹筋に押された内臓が間接的に背中を押して緩め、それによって腰回りの自由を獲得する事になります…かな? とにかく、今までは“背中で立っていた感じ”ですが、今度の姿勢だと“お腹で立っているような気”がします。

 次にこの姿勢のまま、呼吸をしてみます…って、今までとは使う筋肉が違うせいか、なんとも違和感。とにかく、たくさん吸えない感じだし、きちんと吐けない感じがします。吸う方はほとんど吸わなくてもいいと先生がおっしゃいますが、とにかく吐く方はきちんと吐きましょうと言われましたが、この姿勢だと、ほんと息を吐くのが大変です。ああ、また必要な呼吸筋を一から鍛え直しってわけだ…。ただ、どうやら、この姿勢だと、立っているだけで、すでに大量の息が体内に入っているような気が(なんとなく)します。ならば、息を吸うことよりも、吐くことに集中した方が結果が良さそうです。

 で、この立ち方で歩いてみました。あれ、不思議、上半身がびくともせずに、しっかり固定されています。なんか不思議な気分。で、この立ち方でアリアを歌ってみました。最後まで楽に歌えました。あれ、なんか疲れない。不思議、不思議。先生がおっしゃるには「今日は立つ事だけに集中してもらったけれど、しっかり歌えば、おそらく高いAも出るでしょう」との事です。

 とにかく、この立ち方をガラコンサートまでにしっかりマスターすることが言われました。

 次回までの宿題として、この立ち方と呼吸法を自宅でしっかり練習してくる事。それとコンコーネの1~5番をこの姿勢のまま歌ってくる事。もちろん、アリアの練習もしてくる事を言われました。

 さて、先週からの話題の、鼻腔共鳴の件。ただ今、鋭意格闘中な私ですが、それについて、キング先生と色々な話をしました。

 まずはマスケラの件。マスケラで歌う事は大切だし、テノールにとっては必須なんだそうです。しかし、マスケラで歌うために、マスケラを意識するかどうかは、また別問題なんだそうです。つまり、過程はどうであれ、結果としてマスケラで歌っていればいいわけで、その過程として、マスケラに声を響かせる人もいれば、むしろ声を後ろにひっぱった方がいい人もいるし、鼻腔共鳴を意識した方がいい人もいれば、むしろ鼻腔共鳴は忘れた方がいい人もいる。つまり、一人一人のカラダが違う以上、そのやり方や強調点も一人一人違うのが正解なんだそうです。これは、門下とか流派の違いではなく、あくまで、個人の違いなんだそうです。

 一人一人違うから、Aさんのやり方をBさんがマネしてもダメだし、Bさんが避けているやり方をやった方がCさんには近道なのかもしれないって事なんです。

 ここが声楽の難しいところで、美しい歌声を作るための、決まった手順とかやり方というのはなくて、一人一人の事を考えて、どういう順番で、どういうやり方を教えていくかは、それぞれの先生の考え方次第なんだそうです。だから、声を作っている途中を見ると、まるで別のことや逆のことをやっているように見える事もあるけれど、最後はきちんと治まっていくのだそうです。

 例えば、私の場合。私は最初、鼻声がひどかったので、まず鼻声を取るところから始めました。鼻声を取ったところで、次は胸声を鍛えました(この期間がだいぶありました)。胸声がある程度落ち着いてきたところから、少しずつ声の響きを上に持ってきているところで、今はようやく、鼻腔共鳴のところまで響きを持ってきている最中なんだそうです。もちろん、これで完成ではなく、さらにまだまだやるべき事はあるのだそうですが、私の様子を見ながら、少しずつ少しずつ鍛えてくれているそうなんです。

 ありがたいですよ、キング先生は。

 でも、この手順はあくまで私の場合はこうですというだけで、人が変われば、またやり方も手順も変わるわけです。例えば、私は一度もキング先生から、音量増加とか声帯をきちんと使う事などの注意を受けたことはありません。しかし、妻は、今まさにそのあたりを毎度毎度注意されています。その代わり、妻は音程の注意はさほど受けませんが、私は「今のは、ちょっと低かったかな~」とかよく言われます(発声が良くないと、音程が甘くなります)。

 だから歌声って、既製品じゃなくて、すべてが名人によるハンドメイド楽器だし、衣装で言うなら、全部が全部、オートクチュールみたいなものなんです。

 贅沢な音楽だね、声楽って。

コメント

  1. グレッチェン より:

    まあぁ 明日の本番を前にお勉強になりますわ[E:shine] ピアニストとは たった一度 フルート、ピアノ、歌が揃うのは 明日初めて(つまりブッツケ本番)というプロ顔負け悪夢のようなステージなんですのよ[E:bearing] 美しい立ち姿[E:boutique]と。私は高音出す時は 肩甲骨から下に向かって天使の羽を生やすように言われてますけど 明日生えるかしら[E:crown]

  2. すとん より:

    グレッチェンさん

     羽とか翼とかは、よく聞く話ですね。私もキング先生から、そういう例えを聞くことがあります。要は『肩甲骨をきちんと開きなさい』とか『背筋を思いっきり使って歌いなさい』とか、そういう意味だろうと心得ています。

     でも「肩甲骨が…」とか「背筋が~」とか言われるよりも「羽を生やして~」と言われた方がイメージ湧くし、分かりやすいのも事実。

     明日が楽しみですね。ぶっつけ本番、かっこいー。

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