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ゴスペルって奴を生で聞いてきました

 “生”と言っても、もちろんPAは入っていました(笑)。

 えっと、見てきたのは“亀渕友香&VOJA”さんのコンサートです。はい、いわゆる、ゴスペルって奴です。私の好きな声楽&オペラとはジャンル違いですが、声を使うという部分での共通点があるので、その部分に興味を持って見てきたわけです。

 まず全体的な感想を言うと…単純に良かったです。私はやっぱり讃美歌が好きなんです。ゴスペルって、今っぽいリズムとコードを使っているけれど、これも紛れもない讃美歌なわけで、ゴスペルを聞いていると、神様への思いって奴が、不思議とすぅ~っと心に染み込んできます。普段着の讃美歌って感じかな。なんか、生活と乖離していない感じの讃美がいいです。

 そして、讃美歌には、やっぱり合唱が合いますね。讃美歌をソロで歌われると、その人の信仰告白って気がするけれど、合唱で歌われると、私たち(聞いている私も含む)の信仰告白って感じがするんですよ。ああ、だから、宗教曲ってのは合唱主体なんだなって思いました。

“亀渕友香&VOJA”さんは、たまにテレビに出演されて、その歌を披露されていますが、テレビで見ると、圧倒的な迫力でガガーっと迫ってくる感じなんだけれど、彼らのライブを見ていると、そういうイメージではないんですよ。あの迫力はテレビ局のミキシングのおかげなんだなあって思いました。

 ライブでの彼らの歌声は、パワーを感じるけれど、同時に“癒し”なんですよ。聞いていると、実に楽な感じになります。歌っている人たち一人一人が無理せず、伸びやかに軽やかに歌っていて、決して怒鳴ったりガナったりしないのです。ほんと、普通にきれいなポップスコーラスグループなんですよ。ポップスと言っても、ジャズとかソウル系のコーラスなんですが…。テレビでのあのイメージを想像していたのですが、実は割と音楽的にはオーソドックスだったので、むしろ好感を持ちました。

 VOJAさんたち(合唱団の方です)の発声を注意深く観察してみました。

 ソウル系のポップスコーラスなので、発声はやはり胸声(地声)中心ですが、多少の頭声は混ぜている様子ですが、やはり高いところは男女ともに頭声で歌うのではなく、一部のメンバー以外の方はファルセットを使っていました。おそらく、ここでは高いところはファルセットで歌うのがデフォルトなんでしょう。こういう声の使い方は、ポップス系の方に共通した特徴ですが、その中で数人の女性歌手の方が高いところを張りのある頭声で歌われていました。その歌声は、ポップス系と言うよりも、まるでハードロックの歌手のようでした。色々な発声の方がいるものなんだなあ…って思いました。

 彼らの発声方法は、どうにも潔いものでして、マイクに任せられるところは、マイクに任せちゃうという感じで、すごく合理的な発声でした。クラシック系の歌をやっていると、すべてを自分で引き受けてしまいがちですが、機械に任せられる部分は任せ、余裕が生まれたら、それはダンスとかトークとかに使うというのは、本当に潔いです。

 音量的には、驚いたのですが、マイクを通さない彼らの歌声は、市民合唱団の方々とさほど変わりません(彼らは会場を走り回るので、私の目の前を何度も歌いながら通過したので、分かりました)。声の拡声と響きの付加は機械に任せるわけです。しかし、小さめの声ですが、しっかりと密度のある声をしていました(このあたりが市民合唱の人とは違う)。音量的には小さめでも、しっかりと発声しているので、それをマイクで拡声した時に、あれだけの聞き応えのある声が出てくるんだなあと思いました。ゴスペルは、マイクがあってこその歌唱…なのかもしれません(違うかな?)。

 気になったのは、彼らの足元です。男女ともに、かなり高めのヒールを履いてました。女性は分かります。舞台に出る女性はヒールを履くものですから。でも男性も驚くほど高いヒールのブーツを履いてました。これは発声と関係があるのか? それとも、単なるステージファッションなのか分かりませんが、でも男性であれだけのヒールを履いて歌うと、絶対に発声に影響があると思いました。

 そうそう、主役の亀渕さんの年令を聞いてビックリしました。実は私、彼女は私と同じくらいの年令の人だと思ってました。多少は上の方かもとは思ってましたが、同じ世代だろうと思ってましたが……実は、むしろ私の親世代の人でした。いや~、ビックリ。私の母よりも年上! でも、とてもそんな風には思えない。

 冷静になって観察すると、確かに見た目は…私の母とあまり変わらないかもしれない(汗)。いやむしろ、恰幅が良いだけに、もっと老人くさい面もあります。じゃあ、なぜ私が亀渕さんを老人ど真ん中の人ではなく、我々のような老人初級者だと勘違いしていたのかと言うと、声がすごく若いからです。亀渕さんの声だけ聞けば、私なんかと変わらないくらいの声の張り艶でしたので、外見は「老けてるなあ~」と思いつつも、声の若さで年令を判断していたわけです。

 それにしても、あの年令であの声ってすごいよね。歌う筋肉をすごく鍛えているんだろうなあって思いました。そうそう、歌だけではなく、しゃべりの滑舌も良かったです。すごいですよ。私が子どもの頃に見た、晩年の名歌手たちは、年齢的には現在の亀渕さんと変わらないくらいだったでしょうが、声も滑舌も明らかに衰えていました。さすが、本当のプロは老いても商売道具の手入れはきちんとしているわけです。

 亀渕さんって、海っぽい雰囲気の人だなと前々から思ってしたが、話を聞いてみたら、実は湘南の人でした。…とは言え、ちょっぴり半島よりの湘南なんですが(爆)。なるほど、だからその雰囲気に親近感が湧くのか。納得。

 ゴスペルをちゃんと聞いてみて、自分でやりたいとまでは思わなかったけれど、こういう歌の楽しみ方もあるんだなあって思いました。教会での讃美がこんな調子だったら、教会ももっと信者さんが増えるんじゃないの? なんて、いらない事も考えちゃいました。

コメント

  1. Cecilia より:

    早朝にこの記事を拝見し、ふむふむ・・・と思いながら読んでいましたが、その後夫と記事に関係なくゴスペルの話になり、今度ワークショップに行くことになりました。
    でも私ははまりたくないので最初からそこははっきりさせておこうと思っています。指導している先生(アメリカ人)がゴスペル以外にやっていることに興味があり、その話をしていたのですが・・・。
    う~ん、こういう展開になるとは!

  2. すとん より:

    Ceciliaさん

    >でも私ははまりたくないので最初からそこははっきりさせておこうと思っています。

     それは大切ですね。女性の場合、クラシック、特にソプラノとポピュラーでは、発声方法が根本的に違いますから、使い分けが巧みにできるならともかく、そうでないと、両方に悪い影響が出ると思います。

     とは言え、ワークショップに行けば、色々と学ぶことも多いでしょうね。楽しみじゃないですか! それと人脈を広げる事は大切だしね(笑)。

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