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フルートをもっともっと響かせよう

 フルートのレッスンに行ってきました。今回は姉様がいなかったので、私が教室に入った時には、先生がご自身の練習なさっていました。準備をしながら、先生の生練習を聞きました。

 いつもレッスンに行くと、姉様の演奏とか、先生の練習とか、先生と姉様の二重唱とかを聴かせていただいてます。こうやって、上手な方の演奏を、生で聞く事ができるって、実はかなりの勉強になっているんじゃないかな?って思うようになりました。耳学問?ってわけじゃないけれど、この準備の時間に聞く演奏が、とてもよい勉強になっていると思います。

 さて、ロングトーン練習です。今回はお相手は先生です。先生とロングトーン練習をすると、実に気持ちいいです。音がピタッと調和して濁らないんです。…おそらく先生の方が色々とやってくださっているのでしょうが、実に気持ちよくロングトーンができます。

 で、いつものようにメトロノームに合わせて、アルテ15課2章のD-durのロングトーン練習ですが、今回は最初の音「レ」を一つ出しただけで、早くもダメが出ました。

 「君はしっかりとフルートを鳴らしていて、良いのだけれど、君の楽器は良く響く楽器なんだから、もっと楽器を響かせるようにしよう。世の中には、よく鳴るけれど、全然響かない楽器もたくさんあるんだ。そういう楽器を吹いている人はカワイソウだけれど、君は違うのだから、しっかり楽器を響かせるようにしなさい」と言われました。先生が“楽器を鳴らして吹く(派手で大きな音量になります)”のと“楽器を響かせて吹く(芯のあるしっとりした音になります)”の二通りのお手本を示してくれました。「君の吹き方だとコレ[フルートを鳴らす]。フルートはそう吹いちゃダメだよ。[フルートを響かせる]こうやって吹かないとダメなんだ」

 理屈はよく分からないけれど、先生がやったのをマネして吹いてみました。「そうそう、その通り!」って感じで、一音一音、誉められながら吹きました。

 「分かりましたか? クチビルに力を入れずに吹くと、楽器が良く響くようになります。もちろんクチビルの力を抜くと音が出づらくなるけれど、その分はしっかりお腹で息を支えてあげればいいからね」なんだそうです。ああそうか、クチビルを脱力して、しっかりお腹で息を支えて吹いていたんだ(知らずにやってました:笑)。

 歌でもノドに力が入っていると美しい声にはなりません。ノドは脱力し、お腹とか腰とかで息を支えると美しい声になるのですが、フルートでも、どうやら似たような感じで、クチビルは脱力し、お腹とか腰とかで息を支えてやると良いみたいです。

 誉められながらロングトーンを気持ちよく終えた私は、1番の「音階準備練習」をメトロノーム72の速度で吹きました。はい、楽器をよく響かせながらです。途中何度も「レ!」と言われながら吹きました。

 「レ!」って言われるのは、中音「レ」です。その時に左手の人指し指を上げ忘れると「レ!」って言われます。それくらい、すぐに人指し指を忘れてしまう私です。

 「いいかげん“レ”の響きを覚えなさい。人指し指を上げた時と上げない時の音の響きは全然違うでしょう。指を間違えるのは仕方ないけれど、間違えたら、その間違いに気づきなさい。音の響きを聞いて『しまった!』と思うように…」と言われましたが、実は私、人指し指の上げる/上げないの響きの違いがよく分からないです。いや、単音で比べれば何となくは分かるけれど、曲とかフレーズの途中だと分からない。ううむ、まだまだ私のフルート耳は未完成です。

 1番の「音階準備練習」は、中音「レ」で時たま注意されるくらいで、他はできているので、これはひとまず合格になりました(ありがとうございます)。次回は2番の「アルペジオ基本練習」から、5番の「D-durのクロマティック」までが宿題になりました。「うう、いっぱいある…」と弱音を吐いたら「大変だったら、ここ(3番)まででもいいよ」と宿題を減らしてくれました。…とりあえず、2番と3番を集中的に練習してこようぉと。

 ミニヨン・エチュードは6番です。これは最初の2音でダメが出ました。「音をいちいち押さない事」と言って、音を“いちいち押した演奏”と“押さない演奏”の二通りのお手本を示してくれました。こうやって目の前で実演してもらえると、よく分かるんだよね…。

 なるべく音を押さないように吹いてみました。どうやら音を“鳴らそう”とすると、音を押してしまうようです。なので、音を“鳴らす”欲を横において(笑)、響かせるように吹くと良いみたいです。しかし、フルートの音って、響かせるように吹くと、奏者自身にはフニャフニャで頼りなげに聞こえるけれど…これでいいんだよね。

 例によって「レ!」と何度か言われながら吹いてみました。前回、吹けなかった、あの難しい二ヶ所もちゃんと吹きましたよ。転調のところで、多少ドタバタしてしまいましたが「まあまあの出来…」という事で、6番が合格になりました。ありがとうございます。

 次回までの宿題は、当然7番です。先生がお手本を吹いてくださったのですが、…結構速いじゃん、この曲。八分音符のところなんか、指が廻らないかも(涙)。そんな感じで呆気に取られていたら、先生が「ゆっくりでいいんですよ。ゆっくりでいいから、その代わり、しっかり吹いてきてください」と言ってくださいました。はい、アレグロって書いてあるけれど、モデラートぐらいまで速度を落としますけれど、その代わり、一つの音符もオロソカにせずに吹いてきます。

 本日のレッスンはここまで。レッスンが終わると、楽器は片づけます。

 今回は先生ご自身がたっぷり練習なさったのでしょうね。先生、ティッシュペーパーを取り出して、ご自分のフルートのタンポの水分を取ってます。

 「タンポの水分取りは、ティッシュでいいんですか?」って尋ねたら「タンポがベシャベシャにならなければ、水分取りは、やらなくていいんだよ。どっちかと言うと、なるべくやらない方がいいんだよ」 へーって顔をして「でも、ティッシュだと紙のコシが弱くてやりづらくないですか? 私は最近はタンポの水分取りはしなくなりましたが、以前はよくやってました。その時は、某メーカーのペーパーを使って…」と言ったら「ああ~、アレね。アレは、水分と一緒にタンポの油も取ってしまうんだ。だから、タンポの水分取りに使わない方がいいな。ティッシュにしなさい、ティッシュに!」と言われました。

 「そうですか、良かれと思ってやっていたのですが…知らないって損ですね」

 「ところで君、グリス、使っている?」「いいえ」「それはよかった。アレを使うと、却って接合部にホコリが付いて、フルートが傷んでしまうよ。アレは木管フルートやピッコロで使うものだから、普通のフルートでは使わない方がいいよ」 …グリスに関しては、所有していないので、絶対に大丈夫です。

 「そうそう、フルートを楽器拭きで拭くのも注意しないとね。楽器拭きの中には、フルートの表面を削ってしまうのもあって、メッキの楽器なんかは、そういうので拭くと、早くダメになってしまうんだよ。楽器はそんなにピカピカに拭く必要はないよ。(私が自分のフルートをゴシゴシ拭いているのを見て)まあ、銀の楽器なら、磨きがいもあるだろうけれど…でも、楽器を磨く暇があったら、自分の腕を磨きなさい」と言われました。へへへへ。

 「メッキって、意外にすぐに剥がれるからねえ」…とは先生です。「先生、楽器が古くなりましたって言って持ってくると、たいていはメッキが剥がれただけなんだよ。楽器自体はまだまだ使えそうだけれど、やっぱりメッキが剥がれたらダメだよね」との事です。どうやら先生はアンチ・メッキ派のようです。

 そこで「先生、最近は、金の楽器が欲しいけれど、予算の都合で金が買えなくて金メッキのフルートを使う人もボチボチいるみたいですが…」と尋ねてみたら「金メッキ? 剥がれるよ。いずれ剥がれしまうものにお金をかけちゃダメだよ。金メッキだって安くはないだろ? 金のフルートが欲しいなら(君は)9Kを買いなさいよ」 やっぱり先生はアンチ・メッキ派のようです。

 「プラチナメッキ…と言うのもありますね」「ああ(楽器が)重いよ」「重いですか?」「重いね。(君には)お薦めじゃないよ」なんだそうです。

 「フルートの音に関して言うと、金も9Kあたりが一番いい音かもしれない。14Kだと、ちょっと音がしっかりしすぎてしまう。そういう点では、むしろ18Kの方が柔らかくていい感じだよ。どっちにしても、アマチュアの人だと、まず14Kや18Kは吹きこなせないから、考えなくていいよ」なんだそうです。

 「それにしても、最近は誰も彼も金のフルートを持ちたがるね。私の弟子でも金を欲しがる人がいるけれど、だいたい相談されたら『君には金は無理だよ』って言ってるよ。音大生だと14Kあたりを持っている子も多いけれど、実はちゃんと吹きこなしている子は少ないんだよ」って言ってましたね。

 そして最後に「君の楽器はとてもいい楽器だから、まずは、その楽器をしっかり吹くことだけを考えなさい。腕を磨けば磨くほど、いい音で鳴ってくれるから、がんばりなさい」と言われました。

 …ううむ、つまり『お前はまだまだ、その楽器の良さを十分に引き出せていない。さっさと腕を磨いて、その楽器にふさわしい腕前になれ!』って事ですね。……腕に見合わない楽器を使ってて、ごめんなさいです。ま、とにかく、四の五の言うヒマがあったら、まずは腕を磨きましょうって事です。

 それにしても、もしも私が先生に「楽器を買い換えたいでーす」なんて相談したら、「まだ早い!」の一言で終わりだろうなあ…。

コメント

  1. しっぽパン より:

    すとん様。ごぶさたしております[E:happy01]
    フルートの先生のお話から推察するに、
    すとん様の先生も素敵な先生ですね[E:tulip]

    ブログを読んでいる私も、勉強になります[E:scissors]
    私の吹き方も「楽器を鳴らして吹く」クセがあります。
    「楽器を響かせて吹く」事を教わっているはずなのに、
    いつ間にか「音さえ出てればいい」状態になってしまっているようです[E:despair]

    今は、そのクセをなくすのが課題になっています。
    一度ついたクセはなかなか取れないものですね~[E:coldsweats01]
    毎日、「ソノリテ」を吹きながら、耳を澄ませております。[E:note]

  2. 初めましてこんにちは。
    いつも楽しく読ませてもらっています。

    私もフルートを習っていて・・・まだ半年と
    始めたばっかりなんですが、昨日のレッスンでも
    中音レの人差し指の件を注意されたのを思い出して
    「やっぱり中音レって結構鬼門なんだなあ」って感じました。

    その時先生は私の指を見ていた訳でなく音を聴いた瞬間に
    「もしかして人差し指上げ忘れてませんか?」とおっしゃいました。

    「(聴いただけで)分かるんですか?」と尋ねたら「ええ」と
    答えて下さいました。

    私自身は長く伸ばしている中音レなら何となく違いが分かりますが、
    短いフレーズに挟まっていると気づかないで吹いちゃってる感じでしょうか。

    私にとって中音レは意識しないと人指し指を上げ忘れるし、
    意識しすぎると指がまごついちゃったりと・・・なかなか厄介な音となっています。

  3. すとん より:

    しっぽパンさん

    >いつ間にか「音さえ出てればいい」状態になってしまっているようです

     …ですね。フルートは音色が命なので「音が出てれば、いいってものじゃないんです」って感じですね。でも、ついつい、吹くのに一生懸命になってしまうと…ねえ(笑)。それが進むと、音が壊れてしまうので注意しないといけませんね。

     ソノリテ…やっぱり、これは基本ですよね。私もフルートの音が壊れてしまった時は、前の先生によくロングトーン練習をさせられました。症状がひどくならないうちに“お手当て”って感じでした。ソノリテはフルートの万能薬みたいなものなのかもしれません。いや、滋養強壮剤かも(笑)。

  4. すとん より:

    神楽坂雪華さん,いらっしゃいませ。

     ところで「雪華」さんはなんてお読みしたら良いのでしょうか? 「ゆきはな」さんで合ってますか?

     それにしても、なぜ、先生という種族は、中音レの人指し指の上げ下げが分かるんでしょうね。実に不思議です。

    >意識しすぎると指がまごついちゃったりと・・・なかなか厄介な音となっています。

     …ですね。右手の人指し指を上げ下げし、ついでに左手の小指も上げ下げし、ほんと、やっかいな音です。困っちゃいますよ。

     神楽坂さん、またよろしかったらコメントしに、やってきてください。

  5. しんじ より:

    すとんさん
    いつも楽しく読ませていただいてます。
    例の9Kのしんじです。
    8年たった 私も すとんさんと同じことを 先生から 毎週いわれています。
    「唇をしめるな、力を入れるな」 
    「ろうそくやライターの火を消すように フーッ と吹きなさい」
    「あなたと私(先生)とはお腹の力が違います」 
    「1つひとつの音を大事に」 
    「音符ごとに息を
    とめてはいけません」 
    「フレーズごと又は拍子ごとに覚えてから吹くようにしなさい…遅くてもいいです」 
    「すべての息を使いきりなさい」
    …なんて
    レッスンでは10分~15分「ソノリテ」半音の上り・下りを行ないます
    吹奏楽団では、8拍吹いて、4拍休む ロングトーンです
    毎日の練習もチューナーを見ながらのロングトーンです
    これで、息を足していかなければ、音程が下がることがよくわかります
    来年1/21が発表会です
    先生から希望は?といわれて
    バッハのフルートソナタ C-dur と言ってしまいました
    難曲です

    吹奏楽団では
    10/23は「相模原 大野中公民館 こどもまつり」
    12/18 「クリスマスコンサート」に出演します

    フルートアンサンブルでは
    10/22 中山地区センターでコンサート
    (入場料200円)
    12/4 中山地区センター ふれあいまつりに出演します

    どちらも 末席にいます
     

  6. すとん より:

    しんじさん

     本当に、全く、同じですね(笑)。「あなたは私ですか?」って言うくらい同じ。結局、アマチュアが引っかかるのはそこなんでしょうね。

     違うのは、私の場合、今の先生も前の先生も、ソノリテをやらない事。代わりのロングトーン練習も、音出し程度って所です。ちなみにタファゴベに至っては代理の練習すらしません。きっと色々とお考えがあるのでしょう。

     それにしても、しんじさんの秋はフルートで忙しいですね。いやあ、大変だ。

     来年の発表会は…バッハのフルートソナタですか? うわー、それは大変だあ。でも、金色に輝くフルートのオーナーなら、それくらい吹けないとサマにならないのかな? 私もバッハを吹けるようになりたいです。

  7. プリロゼ より:

    久しぶりでフルートネタにコメントするような気がいたします[E:shine]

    中音レだけれど、ワタクシ間違えたことないんですぅ(ちょっと自慢[E:happy02])
    人差し指を上げないと音がこもったカンジしませんか?
    ちょっと気持ち悪い音に聴こえると思うんだけれど・・・。

    ワタクシ、音だけは褒められるのぉ[E:note]
    その代り指が回らないんだけれどね[E:coldsweats01]

  8. すとん より:

    プリロゼさん

     ううむ、負けた。プリロゼさん、耳いいなあ~。その「ちょっと気持ち悪い音に聴こえる」ってのがポイントなんですよ。私は別に人指し指が閉じたままの音が“気持ち悪い”に聞こえないから、何度でも平気で間違うんでしょうね。

     だから先生に「響きを覚えなさい!」って言われるわけだ。結局、当人にその違いが分からない限り、何度でも同じような間違いを繰り返すってわけだ。

     まるで人生のようだね(笑)。

  9. プリロゼ より:

    でもね、低音のレで、つい人差し指上げちゃうの〜っ(笑)

  10. すとん より:

    プリロゼさん

    >でもね、低音のレで、つい人差し指上げちゃうの〜っ(笑)

     それって、私が“中音レ”を“低音レ”の運指で吹いちゃう事の鏡あわせで、“低音レ”を“中音レ”の運指で吹いてるだけじゃん(爆)……おばかちゃん(はぁと)。

  11. BOA より:

    お久しぶりです♪
    レッスンお疲れ様です。

    新しいフルート欲しい病にかかっているのですが
    すとんさんの先生の仰るように
    今の楽器でちゃんと腕を磨くのが先かと思い知らされました。

    10~18歳までフルートを習い、ブランク10年を経て、再開したのですが
    先生のような音色を出すには、楽器ではなく腕なんでしょうね。
    すとんさんの楽器はよく鳴る楽器と太鼓判をおされているから
    これから音色が変わるのが楽しみですね~!

  12. すとん より:

    BOAさん

     BOAさんも『フルート欲しい病』ですか? 私も現在『9Kのフルート欲しい病』にかかってます(笑)。

     私は「フルートを買い換えるよりも前に腕を磨け~」と言われてますが、BOAさんはご自分で「もっと腕を磨かなきゃ」って思っているだけで、先生からそう言われたわけじゃないでしょ。私とはキャリアが全然違うんだから、腕磨きは(どんなに名人になっても)当然の事として、ホントにフルート欲しけりゃ、先生にお伺いたてちゃえばいいんじゃないの~。案外、先生、二つ返事でOKくださるかもよ。

     いい音が出ないのは、腕のせいももちろんあるけれど、楽器による上限ってのもありますからね。だから、自分のせいなのか、楽器のせいなのか、一度、客観的な耳で判断してもらったらいかがですか?

     もっとも私は「いい音が出ないのは、楽器が悪いからだ~」と思う人よりも「まだまだ自分は修行不足だな…」って思っちゃう人の方が、人間として好きだな。

    >これから音色が変わるのが楽しみですね~!

     いやあ~、実際、先生が変わったせいもあるのでしょうが、私はフルートの音色がドンドン変わっていくのを感じます。ベクトルとしては、軽やかでキラキラない方向になってます。ガタイのデッカいオッサンが吹いているのに、なぜかフルート自身は“夢見る乙女系”を目指しているようです。そのアンバランスが面白いのかもしれません。

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