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何はともあれ、ポジションだねえ

 さて、本日から通常運転に戻ります。と言うわけで、声楽のレッスンに行ってきました。

 発声練習をザッとやって、コンコーネです。今回は8~10番でしたが、次回も8~10番です。つまり、色々とちゃんと歌えていなかったので、次回もう一回って事ですね。

 まずは、いつもの事ですが、ポジションがダメでした。これは歌に限らず、フルートでもそうなのですが、私は歌い始めとか演奏始めを、割と無頓着に始めてしまうキライがあります。これがダメなんだそうです。

 歌う前には、必ずポジションを作る事。鼻腔への道を開いておくこと。そういう事をせずに、何気に歌い始めるから、色々と失敗するわけなんです。発声練習をして鼻腔を開いておいたり、何度か曲を歌えば、やがては鼻腔は開いてくるものなんだけれど、それではダメで、最初から自分の意志で鼻腔を開き、ポジションを高くしておいてから、歌い始めるべきなのです。

 つまり、ポジションを高くするって、鼻腔への道を開いておく事と同義なの?

 さらに言うと、一度作ったポジションは歌っている間は死守すべきで、絶対に下げてはいけないのです。と言うのも、歌っている最中に、一度下がったポジションを上げるのは至難の業だから、下げないようにするのが大切なんだそうです。

 さて、歌う前に鼻腔を開くには、色々な方法があります。例えば、ハミングなんかもいい方法らしいです。私は…ハミングがあまり得意ではないので、それよりももっと別な方法を考えた方がいいかもしれません。とにかく、意識的に鼻腔を開いて、ポジションを上げられる様に自分を訓練していかないといけないようです。

 それとブレスコントロールがいい加減って言われました。先生がおっしゃるには、指定された場所以外のあっちこっちで息をしているけれど、それではダメという事です。実は似たような注意をフルートのH先生にもよく言われています。「そこでブレスしちゃダメ」ってね。

 実は、私の意識の中では、ブレスはするべきところでしかしていません。先生方に指摘されている箇所では、自分ではブレスをしているつもりはないのです。ただ、つい、息の流れを瞬間的に止めてしまうんです。止めているだけで吸っているわけではないし、その止めるのも(自分なりにフレーズの切れ目と感じている箇所で)ついつい無意識で止めてしまうのです。

 ここが区切り…そう思うと、無意識に息が止まって区切りをつけようとするんです。

 その無意識に息の流れを止めてしまう事が、他人から見たらブレスしているように見えるわけなんです。ブレスをしているわけでもないのに、ブレスをしているように思われるのは心外ですが、自分がやっている事なので、仕方ないですね。大切なのは、本当にブレスをしているかしていないかではなく、音の流れをそこで断ち切ってはいけないって事なんだと思います。だから、意識の有無に関わらず、そこで息を止めてしまうのはダメなんですよ。

 ブレスは最初からしていないのだから、いつでも息の流れを止めずに、常に息を流し続けられるようにしないとダメですね。

 でもなぜ、無意識とは言え、息を止めてしまうのだろう?

 息が足りないわけではないんです。と言うのは、最近は歌う時に、息などあまり吸わずに歌っていて、それでも何とかなっています。だから、息が足りないわけではないのです。それに息が足りなければ、事前にたくさん吸っとけばいいだけの話だし、それほどの必要性も感じていないし…。足りていないわけでもないのに、無意識で息を切ってしまっているという所が、ちょっとやっかいです。だけど、直さなければいけない欠点なら、頑張って直すしかないですね。

 それと、フレーズの歌い出しが遅いと言われました。これは以前にも、同じ事を注意されています。ダメですね。

 原因は、私の反射神経の遅さとか、音楽を感じるタイミングの問題にあります。私は音楽をオンビートで歌い出そうする人なんですが、そのために実際の声は、ちょうどのタイミングよりも多少遅れて音声化されるので、結局、遅く感じられるわけです。大切なのは、オンビートで歌うことではなく、オンビートで歌っているように聴こえる事。つまり、実際のオンビートよりも、もう少しだけ早めに歌い出すようにすると、オンビートで声が出てくるわけで、そういう鈍いところを治さないといけません。

 歌い出しもそうだけれど、楽譜を見ている所(視線)も、私は常にオンタイムなんですよ。いま正に音が出ている箇所を見ながら演奏しています。

 オンタイムの少し前に行動するとか、少し先を見ているとか、そういう事ができません。そういう事をやっちゃうと、頭の中が錯乱しちゃうんですよ。そういう意味では、私は音楽の鑑賞者であっても、演奏者には向いていないのかもしれません。

 さらに本日のダメ出しは…ブレスそのもののに時間をかけ過ぎって言われました。たいして息を吸わないのに、チンタラとゆっくりと息を吸っているので、色々と間に合わないのだそうです。確かに、意識的に素早く息を吸うなんてやっていないものね。

 そういうモロモロを含めて、あれもこれもダメなので、コンコーネはもう一回同じ曲なんです。

 二重唱「乾杯の歌」のレッスンは、妻が準備不足だったので、中止になりました。そこで、さっそく「約束」の練習になりました。

 最初のフレーズに出てくる「ミドラファ」のラが高いAsなんだけれど、この音がどうにもきれいに所定の音高まで届いていないのだそうです。

 正攻法でちゃんと発声するのが正しいやり方なのだけれど、ここはフレーズ的には一瞬軽めに発声されればいい箇所なので、ファルセットで歌うというやり方もアリと言われました。大切なのは、きちんとこの音程に届いている事なので、何があっても音をきちんと届かせる事。そのためには、ファルセットでもなんでも使いなさいって事なんだと思います。確かに、この音は正しい音高に届いていませんね…。

 自己反省的には、ラの前のドでポジションが下がっているんだと思います。このドのポジションを下げずにいられると、ラが出てくれるのだと思うのですが…。それを試みてから、ファルセットの使用を考えてもいいかなって思います。

 前回のレッスンで注意された高いGはなかなか良く歌えるようになったと、先生に誉められました。これは、その前のフレーズから口の中の状態を変えず(つまりポジションを下げず)歌っているからなんです。音程によって、口の中の状態を変えてしまう私の歌い方を根本から見直さないとダメなんですよ。

 他にもアレコレたくさんダメなところはありますが、一つ一つ潰していかないとダメですね。

 この曲は、来年のガラコンサートの時の、プログラムの真ん中で歌うべき曲だと言われました。ある意味、ポジション確認のための持ち歌としましょうって事です。

 先生からガラコンサートで他に歌いたい曲はありませんかと尋ねられたので、同じロッシーニの「ラ・セレナータ」を歌いたいと言ったら、即座に反対されました。ううむ、あの曲は和声的に難しくて、私の手には負えないと言われました。たしかに簡単ではないよね。でも、プログラムの中核にロッシーニを置いちゃったら、その前後に何を持ってくればいいわけ?

 本当は軽めのクラシック・クロスオーバーな曲をガラコンサートで歌いたかった私ですが、ロッシーニを歌うんじゃあ、なんかおかしいでしょう。同様に、先生が以前おっしゃってたナポリ民謡もどうなのって感じです。ロッシーニを真ん中に据えるなら、その前後もロッシーニで固めたいですね。ロッシーニが無理なら、せめてベッリーニとかドニゼッティとかでの歌曲で固めたいものです。いっそ「バガ・ルーナ」とか歌っちゃうかい。それともトスティを歌っちゃおうかな。

 ま、曲目はゆっくりと考えていきましょう。

コメント

  1. Yテノール より:

    >ポジションを高くするって、鼻腔への道を開いておく事と同義なの?

    私見では別かなって思っております。
    鼻腔は、解剖学的に実在し、文字どうり、そこを共鳴器官として機能させるのだと思います。

    ポジションは、イメージとして頭上に想定していますので、実際の解剖学的なメカニズムは別に機能しているのでしょう。
    私は、ポジションは、イメージ的に発声する場所と思っております。(実際は声帯ですが)

    どんな楽器でも発音機関と共鳴機関は別ですよね。

    声楽の場合、ポジションで発音し鼻腔で共鳴させるのかなって思っております。

  2. すとん より:

    Yテノールさん

     な~るほど。ポジションってのは、イメージの世界の話ね。私は今ひとつ、そのあたりのところが、うまくつかめてないのですよ(だから、高音が苦手なのかも)。もっとも「鼻腔への道」というのも、リアルには存在しないのだから、イメージと言えばイメージだけれど、現実世界に片足を突っ込んでいる段階で、イメージとしては物足りないのかも(笑)。とにかく、まだまだよく分かっていない私です。

    >声楽の場合、ポジションで発音し鼻腔で共鳴させるのかなって思っております。

     そんな事、想像した事すらありません。そうか、ポジションで発音かあ…。そういう発想すらありません。うーむ、うーむ。じゃあ、どこで発声しているかって言われても、意識した事はないです。

     リアルに考えると声帯で発声しているんだけれど、そう思ってしまうと、ポジションが落ちてしまうわけで……ああ、発声って難しいなあ。

  3. プリロゼ より:

    おひさしぶりですわ♪

    ポジションとか、演目のお話はムズカシイからスルーして(笑)

    昨日までの記事、まぢ、面白い!!
    そして、とても参考になりましたわ。
    全部プリントしてシッカリ読み直したい位に、感動しておりますの。

    声楽バージョン、楽しみですわ~[E:heart04]

  4. グレッチェン より:

    ポジションとブレスって微妙ですよね 私は両目の間を目がけてブレスを取るようにするとポジションも高くなります ただ歌いだす時に強く息をあてるとポジションが下がり易いので気を付けています 少し物足りないくらいで丁度良いですね ポジションが下がると高音まで滑らかに響かずにEあたりでドッコイショと言う感じになります 優雅な月は美しいですね トスティも良いです 好きなテノールはクラウスですが彼の 私は死にたい は こちらが死にたくなります

  5. すとん より:

    プリロゼさん、おひさ~。

     昨日までの記事と言うと…お盆特別連載の100質問ですね。

     私は、盆暮れ休みの時は、自分もしっかり休みたいものだから、あの手の特別連載を事前に書いておいて、それを分割してアップロードすることで、私自身がお休みしているのです。ですから、毎年、年始年末とお盆の時期はあの手の、例えば100の質問だったり、CD紹介だったりを連載しているのです。ちなみに、去年の夏は…ヴァイオリン製作記を連載してました。そう、去年はヴァイオリンを作ってました。作ると言っても、組立済みのヴァイオリンの調整をして、ニス塗っただけですが(笑)。パソコンだと、左フレームにある「カテゴリー」の「ヴァイオリン購入(&製作)顛末記」って所にまとまってます。こんな感じで、いつもやっているんですよ。

     この時に作ったヴァイオリンを、私は毎日弾いているわけです。

    >声楽バージョン、楽しみですわ~

     はい、では、楽しみにしていてください。

  6. すとん より:

    グレッチェンさん

     今だにポジションの事がよく分かっていない私です。「両目の間~」とはよく聞く言葉ですね。「両目の間から息を吸え(グレッチェンさんはこれですね)」とか「両目の間から声を出せ」とか「両目の間に響かせろ」とか…、ちょっとしたポイントのようですね。おそらくは、副鼻腔をどうにかすると、そんな感覚になるんじゃないかなって気がします(違うか?)。

    >強く息をあてるとポジションが下がり易いので

     あ、そうか、なるほど。私は息のアタックが強めな人でよく注意を受けるのですが、それもポジション下がり気味の原因のひとつなんだなあ。

     とにかくポジションが低くなってしまうと、五線よりも上の音が全く出なくなってしまいます。だからと言って、ポジションが高くても出ない音は出ないのですが(笑)。それよりも、ポジションの高低と音色は関係あるような気がします。ポジションが高い方がキラキラした声が出るような気がします。

     「私は死にたい」はトスティですね。私もトスティ、大好きですよ。やっぱ、トスティを歌っちゃおうかな?

  7. Yテノール より:

    ポジションが高いほど、高音もそれだけ出し易くなりますが、私もストンさんの仰るようにポジションは一義的には音質、音色の為のものだと思っております。

    眉間から息ですか。呼吸のツボっていろんな説があるんですね。
    私はキング先生の弟子ですので、仙骨上部の背筋です。
    背筋の筋トレの時、キング先生がよくチェックで手を置いてくれるところですね。
    息は、そこを意識するようにしています。

    ちなみに眉間のあたりは、楽器で言えば、ラッパの朝顔、リコーダーのフットジョイント(ベル)みたいなところって思っています。
    キング先生がよく「マスケラで歌う」って仰ってますよね。

  8. すとん より:

    Yテノールさん

    >キング先生がよく「マスケラで歌う」って仰ってますよね。

     言わないよ。先生から「マスケラ」なんて単語、聞いたことないよ(笑)。私は「声は後ろに!」とか「もっと後ろで歌え!」とか、まあ真逆の事をよく言われま~す。おそらく、その人その人で、注意すべきことが違うからなんだと思うけど。

     そうでなくても「いつも前で歌いすぎ」って言われてますので「マスケラで歌う」はありえません(爆)。

     声楽は、一人一人楽器が違うから、同じ登頂点を目指していても、登山口やら登山道やらが違うんだろうなあって思います。どこをどう通っても、最短距離でテッペンに行ければ、まあいいかって思ってます(笑)。

  9. Yテノール より:

    そうですね。
    一人一人素材が違うんだから、楽器にしていく方法もみんな違うってことですよね。
    キング先生のご苦労、改めて身にしみました。
    お互い、自分という素材を活かした楽器になれるよう、これからも工夫して参りましょう〜♪

  10. すとん より:

    Yテノールさん

     そうそう、声楽教師というか、ヴォイス・トレーナーを真面目にやろうとしたら、結構、大変なんだと思いますよ。器楽系の先生も大変だけれど、まだ教則本って奴があって、ひとまず、それをを端からやっていけば、形になるけれど、声楽は教則本そのものがないからね。生徒一人一人に応じたプログラムを先生が考えて指導しないといけないわけで、それなりに引き出しがないと、やれない仕事だと思います。

     指導書とか虎の巻って奴がない分、大変だろうなあ。

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