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レチタティーヴォは、やっぱり難しい…

 声楽のレッスンに行ってきました。今回は、発声練習もしないで、いきなり、二重唱の練習をしました。それもレチタティーヴォを徹底的に、です。

 発声練習もしないで、いきなり歌うのは、ちょっと乱暴な気もしますが、いわゆる“本番”って奴では、十分な発声練習やら音出しやらができない事もあります(ってか、できません)。そんな中で、ポンと本番の舞台に出て、歌うわけですから、日頃から、大した準備をしないままでも、歌えるようにしておかないといけないので、こういう“いきなり歌う”という練習は必要ですね。…自宅練習でも取り入れてみるか!

 さて、レチタティーヴォは難しいですね。なにしろ、レチタティーヴォを歌っている時は、オペラの中の時間は動いているわけで、レチタティーヴォの間は、歌手は歌手であると同時に俳優もやらないといけないわけで、歌にも演技にも集中していないといけません。なので、アリアを歌うのとは、また違った難しさがあるわけです。

 例えば…レチタティーヴォの時は、お話が動いていますから、歌手も演技しながら(つまり、動きながら)歌いがちですが、実はこれはあまり良くないのです。やはり、演技をしている瞬間と、歌っている瞬間は、細かく分けて、それぞれに集中した方がよさそうです。つまり、原則的に“動きながら歌わない事”です。動きながら歌うと、動きも歌も流れてしまいがちなんですよ。

 だから「演技をしながら歌う」と言いますが、細かく言えば、まずは動きで演技をして、歌いだす直前に、動きを停止して、歌の時は、しっかり客席を見て歌で演技する事に集中した方がよさそうです。つまり、歌のフレーズとフレーズの間と言うか、間(ま)の時に動いて演技をして、肝心の歌の時は、止まって歌に集中するのがよさそうです。

 だから、二重唱で、相方に歌いかける場面であっても、ずっと相方を見たまま歌うのは良くないわけで、レチタティーヴォ的には、まず歌いだす前に相方を見つめるという演技をしてから、客の方に向き直って、相方への歌を歌い始めるのがグッドです。こういう、客を意識した手順って、何もオペラに限らず、普通に芝居なんかでも、似たような事をやっていると思います。

 レチタティーヴォを歌っている時は、歌に集中しているのは当然として、演技もしているわけだから、しっかりと役に入り込んでいる事は大切です。つまり、自分の役のキャラに成りきっておくわけです。自分が今演じているキャラなら、こんな時は、今は何を考えて、どんな行動をするか、いつも考えている事が肝心です。だから、相方が歌っている時は、相方の歌の邪魔をしてはいけない(&客の視線を集めてはいけない)のは当然だけれど、だからと言って、ボケーっとしていてはいけない、というわけです。

 レチタティーヴォは、音楽的には起伏に乏しいし、早口で歌われがちだけれど、だからと言って、決して流して歌ってはいけません。言葉の一つ一つと、それを話している人物のキャラを考えて、抑揚のつけ方を変え、声の強さを変え、話す速度や間の取り方も考えて歌うのです。レチタティーヴォを歌う事で、舞台でどんな芝居が繰り広げられているか、どんな人物たちがいるのか、と言った事を、客に分かるように伝えないといけません。

 だから、決して独りよがりで歌ってはいけません。自分では上手に演じているつもりでも、それが相方とかみあっていなければ、何も客には伝わりません。

 レチタティーヴォでは、自分のフレーズを歌うことで、次に来る、相手のフレーズを自然に引き出してあげないといけません。また、アリア直前のフレーズなら、次に歌うアリアの呼び水になるように歌ってあげないといけません。レチタティーヴォを歌う時は、常に、次に来るものを予期し、それを引き出してあげられるように考えながら歌うのです。

 そして、レチタティーヴォと言えども、しっかりメロディアスに歌わないといけないところは、しっかりアリアのようにメロディアスに歌うこと。逆に、演説調で歌うところは、しっかりと語り口調で歌うこと。レチタティーヴォにも、しっかりとしたメリハリをつけて歌う事が大切です。そして、作曲家が楽譜に書き表した意図をくみ取りながら、歌っていくわけです。ああ、難しい。

 ピアノ合わせの反省もしましたよ。私の場合、乱暴に歌いすぎる嫌いがありましたので、レッスンでは、ちょっと丁寧に歌ってみたら、今度は、発声の準備が遅くなってしまいました。準備が遅くなれば、力押しになってしまったり、音程が届かなくなってしまい、良くありません。ある意味“丁寧に歌うこと”と“準備を早くして歌うこと”は、相反する部分があるかもしれません。そこはうまい具合に落としどころを見つけてやらないといけません。要は、バランスが大切なんです。

 それと、先生と、発表会後の、ちょっと新しい企画について相談しました。来年あたり、ドドーンと大きな花火を打ち上げることになるかもしれません。門下の皆さんには、いずれ、ご相談申し上げたいと思います。

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