まだ、体調が回復していませんでしたが、声楽のレッスンを受けてきました。
まずはピアノ合わせの反省会からです。ピアノ合わせの時に取ったビデオを見ながら、反省をしました。反省点は三つあります。
1)“美しい撃沈”とは “美しい撃沈”とは、撃沈してしまった音そのものは、発声を失敗して上手く歌えなかったけれど、その他の部分はすべてきちんと音楽的に歌えているタイプの撃沈の事。そして、歌えなかった音も、結果としては撃沈しているけれど、発声的には正しくアプローチしていて、たまたま失敗してしまったというパターンの事。このパターンならば、たとえ撃沈しても客は「今日は調子が良くなかったのかな?」と優しく許してくれるのだそうです(世間の人はテノールには優しいのです)。
一方“美しくない撃沈”とは、撃沈箇所以外にも発声的に色々と問題を抱えていて、撃沈箇所到着以前から音楽の形が崩れてしまって、その結果、撃沈してしまっているパターンの撃沈の事です。つまり、撃沈した音だけでなく、そこに至るまでにドンドンと歌が崩れてしまった挙句の撃沈です。これは単なる下手くそとしか思われない失敗パターンなのです。
ちなみに、発声がドンドン崩れてしまうのは、体力の問題もあるけれど、むしろテクニックの問題と捉えた方が良いのだそうです。つまり、歌う体力をきちんと温存していくテクニックが不足しているって事です。
また、撃沈箇所以外はきちんと歌えないといけないのですが、撃沈箇所の音も「音が高くて届きませんでした」ではなく「音程は届いたけれど、声が裏返ってしまって、ちゃんとした響きで歌えませんでした」というタイプの失敗でないとダメなのだそうです。つまり「音が届かなかった/音にならなかった」ではなく「声が裏返ってしまった」という方向の失敗をするべきって事なんです。
つまり、同じ撃沈でも“美しい撃沈”と“美しくない撃沈”には、深くて広い谷が存在しているって事です(涙)。
とにかく、一曲の中で、出来の良い箇所と不出来な箇所が混在している私の歌は、まだまだ上達途中って奴で、撃沈箇所以外の歌は、すべて“出来が良い”と思えるほどに、仕上げておかないと、足りないのですよ。
うん、こりゃあ、かなりマズい状態かもしれない(汗)。
2)“言葉が落ちている”とは 単語が丸々落ちているのではなく、単語の末尾の“r”がたくさん落ちてしまっている事を言ったのだそうです。“r”はイタリア語歌唱では死活問題だから、こいつを絶対に落としてはいけない…。そうですね、“r”をきちんと発音できるかできないかで、言葉の意味が変わっちゃいますからね。“r”つまり巻き舌は大切です。それに、あと数カ所、母音を間違って覚えている箇所があるので、そこを注意することも言われました。
3)“声が重い”とは それは“力押し”で歌っている(笑)から。歌っている時はなかなか気づきませんが、ビデオを見ると、実は私、結構“力押し”で歌っております。力で押して歌うと、声が重くなるばかりでなく、醜くなりますね。響きが消えてしまいます。この“力押し”で歌ってしまうのは、私の悪い癖です。長いこと、個人指導を受けずに合唱で(力任せ)に歌っていたために身についた悪い癖ですね。実際、合唱上がりのテノールさんに、この“力押し”傾向はみられますが…私はかなり顕著に“力押し”の傾向がありますね(残念)。
先生からは「この曲はベルカントで歌う曲だけれど、一度、ヴェルディオペラのようなベルカントは忘れて、モーツァルト・アリアでも歌うような気分で歌ってみたらどうだろうか?」と言われました。ううむ、確かにモーツァルト・アリアならば、力む要素ゼロだものね。そういう気分でこの曲に臨んでみましょうか?
以上で、反省会終了です。レッスンの方は、体調不良のために、曲はやらずに、発声だけをみてもらいました。
今回の発声のポイントは…体力を色々と節約しよう、でした。力押しからも分かる通り、私は歌う時に、カラダの至る所で無駄に体力を使っております。この無駄に体力を使うことで、すぐに疲労困憊になるわけだし、声も重く聞きづらくなり、音程も届かなくなってしまうわけです。つまり、諸悪の根源の一つである“力押し”を回避するためにも、まずは体力を節約する事を覚えましょうって事です。
まずは基本的な事だけれど「決して、力押しを歌わない」事です(笑)。分かっちゃいるけれど止められないのが、私の場合“力押し”。いやあ~、参りました。とにかく“声が出ない”“音が届かない”と感じたら、無意識で“力押し”をしてしまう癖がついている私ですが、それを意識的に止めて、今後は、力付くで歌うのではなく、“声が出ない”“音が届かない”と感じたら「声を引っくり返して発声しちゃえ~」という覚悟で、歌っていくこと。それくらい、あっちこっちの、力を抜いて歌う事を覚える事です。
最初はそれもできるのだけれど、夢中になってくると、ついつい力で押しちゃうんだよなあ…。ああ、長年かけて身に付けた癖はなかなか治らないです、どーしましょう。
次のポイントは「息を吸いすぎない」事です。息をたくさん吸うと、吸った息をキープするだけで、かなりの体力を使ってしまうので、なるべく息は吸わないで歌うこと。元々の肺活量が十分あるので、特別にたくさん息を吸わなくても、歌を歌うくらいの息はいつでも体内にあるのだから「息は吸わないでもいいや」くらいの気持ちでいるのが良いみたいです。
三点目のポイントは「声は柔らかく出す」事です。私の癖として、歌い始めるかなり前に息をたっぷり吸って、それをノドを閉めて貯め込んで、歌い始めの時に、ノドにアタックをつけて一気に発声するという癖があります(もちろん、褒められた癖ではありません)。これは、体力は消耗するは、声は堅くなるは、ポジションは下がったままだはで、何も良いことがありません。
そこで、歌っている間は、絶対にノドは閉めずに、開けっ放しにし、ブレスも歌い出しの半拍前程度のところで、余裕を持って息を吸い、息を吸ったら、ノドは開けたまま、息の流れも止めずに、即座にゆっくりと歌いだす事。そうする事で、声が柔らかくなり、また、かなりの体力が温存できるはずだそうです。実際にやってみたら、こうやって歌うのってだいぶ楽です。
最後のポイントは「息を吸ったら、吸っている時に、声のポジションを上げていく」事です。そのためには、息は口から吸うことが大切ですね。口から息を吸い、吸う時にノドの奥を開ければ、自然と声のポジションは高めになるので、そのポジションが下がる前に歌いだせば…声のポジションが高いまま歌えるわけよ。これもかなりの体力温存とつながるようです。
以上の四点に気をつけること。さらに、自宅の練習では、前回のレッスンで注意された、姿勢にも気をつけ(前屈みにならないように気をつける事)、その上で、今回やった発声、脱力に注意して歌う事。これが肝心。
体調が良くならないうちは、無理に歌を歌わなくてもいいけれど、この発声練習だけは続けましょう。風邪をひいている時は、ノドが腫れたり、熱があるうちは、おとなしくしている事が大切だけれど、体調や声の調子を見て、少しずつ歌っていくこと。大切なのは、ノドを痛めないこと。
なんとか、次のピアノ合わせまでには“美しい撃沈”と言われるように、撃沈箇所以外はちゃんと歌えるようになりたいです。そして本番では、撃沈せずに見事に全曲歌いあげたいものです。
ガンバ。
コメント
3点目、重要ですよ。
Sotto voceで出す心を持つと、発声が大分違ってくると思います。
口蓋の鼻の穴に近い部分から優しく出す感じ、かな。
モーツァルトのアリアは、息づかいの勉強にもマルだと思います。
旋律が美しいので、歌い甲斐がありますよ。(・∀・)イイ!
>おぷーさん
三点目と言うと「声は柔らかく出す」ですね。私の声とは程遠いのですが『ビロードのような声』というほめ言葉がありますね。柔らかくて密度が高くてなめらかな声の事ですが、こういう声って、力んだ声の対極に存在する声なのだろうと思います。声の柔らかさは意識することで、かなり達成できるはずですが、歌っていると夢中になって、色々と忘れてしまうというのが難点です。
>口蓋の鼻の穴に近い部分から優しく出す感じ、かな。
うん、分かりやすいし、結構効果的なイメージですね。ただ、私の場合は、このイメージはかなり危険でもあります。と言うのも、良いのは最初だけで、すぐに声がは鼻に落ちて鼻声になってしまうのです。鼻声も私の発声の癖なんですが、鼻声はなんとしても回避しないといけません。
意図せず発声すると、声がすぐに鼻に入ってしまう人なので、それを回避するために、結構意図的に声を後ろに廻しているのですが、その作業で体力を使い果たしているという側面があります。たぶん、無駄に体力を使っているのだろうと思いますが…このあたりには、まだまだ要研究です。
『発声がドンドン崩れてしまうのは、体力の問題もあるけれど、むしろテクニックの問題と捉えた方が良いのだそうです。つまり、歌う体力をきちんと温存していくテクニックが不足しているって事です。』
これってまさに私が今、直面している課題ですね!!
私も最後のカデンツの最高音Hにまったく届きませんでした。
家でカデンツだけ抜き出して歌えばこの問題のHも何とか出ます。
でも最初から歌い続けていくと、まったく届きません。
お互い、撃沈の理由もだんだん解ってきたので、後は、その課題をクリアーするべく工夫練習していくのみですね。
本番は激友の汚名返上と参りましょう〜♪
>Yテノールさん
>家でカデンツだけ抜き出して歌えばこの問題のHも何とか出ます。
>でも最初から歌い続けていくと、まったく届きません。
私も同じ状況です。いや、私の場合、最近までは、家でカデンツァだけ抜き出して歌っても、全く届かなかったのですから、やっとその状況にまで到達した…と言うべきでしょうか。もちろん、最初から歌い続けていくと、全く届かないどころか、そこに行くまでに歌の形が崩れちゃうのですが(汗)。
まずは原因究明ですね。それに関して言うと、複数の原因が考えられますが、だいたい原因はつかめていると思います。次にくるのは、それを解決するための対処法ですが、これが、分かっているので後は練習次第なモノもあれば、分かっているけれど全然出来ないモノや、全く検討もつかないモノが入り乱れております。出来るところから、着実に問題を潰していこうとは思ってます。
まず、私の場合は、歌う時の姿勢の見直し…かなって思ってます。あ、脱力も合わせてやらないと…。後は欲張らずに、一つクリアしたら、次の課題に挑戦…って感じで行きたいと思ってます。
オペラアリアって難しいですね。ある意味、アマチュアがそんなモノに取り組んでいるのですから、撃沈しても仕方ないと思います。でも、せっかく、発表会という、人前で歌を披露する場を与えられたのですか、そこまでには何とかして、不沈空母になって出撃したいと思ってます。
気持ちだけは勇ましいのですが…なかなか内実が伴いません(汗)。
私も、「カデンツァだけ歌えば最高音、出るみたい。」というところまで辿り着けたのはごく最近のことです。
本当に一歩ずつですね。
でもこの一歩は、かなり画期的かも。
三の丸を落としたくらいの感じでしょうか〜笑
私は、家では、キング先生直伝の指一本口に入れての発声練習を続けております。
奥を開けて、なるべく響きを作ることが糸口になるかなって思っております。
声が前でて、潰れたたら、我が軍勢総崩れ間違いなしですからね〜汗
なんか、喩えが浮沈空母とか、三の丸とか、戦いモードになってますね〜笑
>Yテノールさん
例えが戦いモードなのは、それだけ私たちにとって、オペラアリアが難攻不落のそそり立つ障壁であるからでしょう。これを攻略しなけりゃならぬ、陥落させなければならない、そういう思いがついつい戦いモードの用語を選ばせているのだと思います。
敵はかなり強大です。
私は「発表会に備えて準備する」って、とても大切な学習過程なんだなあ…と最近思うようになりました。発表会の時期って、この手の難敵と半年間、取っ組み合うわけですよね。普段の時は、一曲にかける時間はせいぜい1~2カ月じゃないですか? 2カ月で乗り越えられる壁よりも、半年かけて乗り越える壁は、やはり壁の高さが違うわけだけれど、その高い壁を乗り越える価値ってあると思うし、高い壁を越える事で見える世界ってのもあると思います。
私の場合は、脱力かな…。力みすぎるとノドが塞がってしまいますから。ノドが塞がると、声がその時点で止まってしまいますからね。ノドが塞がり声が止まってしまうなんて、まるでわが軍の兵士が、敵陣突入を企てながらも、その手前の落とし穴に落ちてしまうようなものですからね。それではマズいですから、脱力して、落とし穴に入らないようにしないと…。
体調不良と忙しさのために、最近、練習をサボり気味でした。ボツボツ練習を再開しないといけない…かな?
「発表会に備えて準備する」って、とても大切な学習過程なんだなあ…
まったく同感同意見です!!
「百の練習より一回の本番」なんてぇこともどこかで聴いたことがあります。
でもね、キング先生が仰ってましたよね。
『いいですか、これは、発表会じゃなくって、演奏会ですよ!!』
発表会は自分たちが楽しむもの、演奏会はお客様を楽しませるものということらしいです。
ストンさんの仰るように発表会も高い壁ですが、
演奏会ということになったら、その壁の高さは〜どんだけ〜??
>Yテノールさん
>演奏会ということになったら、その壁の高さは〜どんだけ〜??
まあ、無料演奏会というのが、救いかな。「無料だから手を抜く」「無料だから下手でもいい」とは思わないけれど「無料だから許してもらえる」という部分はあると思います。
これがたとえ、五百円程度でもいただいて行う“有料コンサート”って事になったら、客は絶対に許さない…と思いますよ。その費用がたとえ会場費とか必要経費とかに使われ、演奏家の懐には、入るどころか持ち出しだったとしても、有料コンサートになったら、プロと同レベルの出来が要求されると思います。
なので…いつかは有料コンサートで歌えるようになりたいですね。そういう会の主催者から、お声かけをしてもらえるくらい、歌が上手になりたいものです。まあ…死ぬまでそういうチャンスは無いと思うけれど(爆)。