また「チコちゃんに叱られる」の解答のような(笑)よく分からないタイトルを付けてしまいました、ごめんなさい。
このタイトル、もともとは「声楽の発声は、空手やボクシングではなく、もちろん剣道やフェンシングでもなく、柔道や合気道のようであるべきだ」としたかったのですが、それではタイトルとしては長すぎるので、標題のようにしたわけです。
「声楽と格闘技に、どんな関係性があるんだい?」
空手やボクシングは打撃系の格闘技です。剣道やフェンシングは道具を使う格闘技です。一方、柔道や合気道は組み手系の格闘技です。打撃系の格闘技は、自分の力で相手を倒します。道具を使う格闘技は道具の殺傷力で相手を倒します。組み手系の格闘技は、相手の力や体重を利用して倒します。つまり声楽の発声も、自分だけの力で行うのではなく、道具の力に頼るのではなく、相手である会場をうまく使うべきだと言いたいのです。
ややこしくて、ごめんなさい。
打撃系の格闘技のような発声とは、地声の力だけで歌う、響きを利用しない、がなり声や胴間声、怒鳴り声での歌唱のことです。確かに音量はあるでしょうし、会場の響きなどは利用せずに、どんな場所でも歌えるでしょうが、こんな発声でクラシック声楽を歌うべきではありません。だって、そんな声は、うるさいだけで美しくはなりません。でも、応援団などでの発声は、むしろこの手の発声でなければ良くないでしょう。
道具を使う格闘技のような発声とは、マイク等を使う事を前提とした、ポピュラー歌手のような発声です。これはこれでアリでしょうが、クラシック声楽には向きません。音楽ジャンルが違います。
組み手系の発声とは、会場の響きを有効活用した発声で、響きの良い会場でなければ、歌えませんが、そもそもクラシック声楽ってのは、ヨーロッパの石造りの教会とか音楽ホールとかで歌われる前提で作られた音楽なのですから、会場の良い響きが無いと成り立たない音楽なのです。だから、会場の響きを利用して歌うのが当然であり、そうでない場所での歌唱は無理なのです。
逆に、クラシック声楽を歌う側の立場で考えるならば、いかに会場の響きを使って発声していけるかを考えて歌うべきです。決して力押しで歌ってはいけません。それでは声の美しさが台無しになってしまいます。また、マイクがなければ聞こえないような、響きの無い声で歌ってもいけないのです。
会場の響きを利用しなければ歌えないのが、クラシック声楽であるならば、我々は歌うべき場所を十分吟味しなければいけません。響きが希薄な場所での歌唱は、ノドを酷使し、声を壊しかねないので、そういう場所での歌唱は避けなければいけないのかもしれません。
私は野外(つまり全く響きのない場所です)で歌って、声を痛めた事がありますが…あんな事は絶対にしちゃいけないのです。
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