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出来ない時は、拍頭を取ってみる

 自宅で譜読みをし、音取りをしている時に、困ってしまう事が多々あります。それは『目の前のフレーズがきちんと演奏できない』という事。

 フレーズが全くイメージできない…ってわけじゃないのです。かなり複雑な譜面であっても、今はレコ勉が出来ますし、参考にするべき音源だって、YouTubeに行けばゴロゴロしているわけですから、たいていの音楽は、楽譜を見ながら、実際の音源を聞いて、ある程度のイメージはつかめるんです。

 でも、イメージがつかめたからと言って、それで演奏できるわけじゃないのです。

 読譜と演奏は、全くレベルが違う話なんですね。

 とにかく、難しいフレーズ、ややこしいフレーズで、うまく演奏できない時は、まずは拍頭の音だけで演奏してみる事にしています。拍頭…つまりビートを感じてみるわけです。フレーズに付いている細かな音符は、ひとまず省略して、拍頭だけで演奏してみるのです。拍頭だけの演奏が出来ない…って事は、さすがにありませんから、これはこれでどうにかなるわけです。

 この状態から、少しずつ細かくリズムを刻んで演奏していくのです。拍頭だけで演奏と言うのは、つまりリズムをすべて4分音符に馴らして演奏するようなものなので、次は8分音符を基本にして、拍の表と裏だけの演奏してみるとか、それができたら、16分音符のリズムも付け加えていくとか…。とにかく、大雑把なリズムから細かなリズムへ徐々に付け加える…と言うか、拍を割って割って割って、演奏していくわけです。

 これを地道にやっていると、結構複雑な譜面もなんとか演奏できるようになります。

 音程がうまく取れない時も同じです。まあ、楽器の場合は、音程は楽器任せの部分があるけれど、歌は自分で音程を作っていくわけだから、歌っていて、どうしても音程が正しく取れない箇所ってあるわけです。そんな時も、ひとまずは拍頭の音だけで歌ってみると良いかも。

 拍頭の音だけをつないで歌えるようになってきたら、そこから細かな音符を加えて歌ってみるのです。だいたい、拍頭の音は和音構成音だったりするので、たいていは歌いやすいのですが、細かな音符の音は、不協和音の音だったりして、そこが案外、難しかったりするわけです。

 あるいは、母音の音色のために音程が取りづらいという事もあります。そんな時は、すべての音を“ア”の母音で歌ってみます(私は“ア”が得意です。他の母音が得意な人は、“ア”ではなく得意な別の母音でも構わないと思います)。“ア”だけで歌えるようになったら、つぎは他の母音も加えて、母音だけで歌ってみる。それができてから子音を加えてみる…というふうに段階を踏んで歌ってみると、歌えなかった箇所も歌えるようになるものです。

 あとは慣れね。楽器での「指が回る回らない」と同様に、歌でも「クチが回る回らない」はありますから、慣れに関しては、数多く演奏するしかありません。

 と、このように、難しいフレーズを練習する際には、あまり細かな部分にこだわって練習するのではなく、まずは、大きな枠組みを守って練習する事が大切だと思います。まずは枠組みを確認し、そこから不要にはみ出さない事です。その枠の中に収まっていく感覚を感じてから、細かな部分を練習していくと、大抵の場合、音楽は丸く収まるものです。
 とにかく、優先するのは、大枠であって、細かなところは、後から調整していくのです。

 この感覚は、ソロでも大切ですが、アンサンブルなら、なおさら大切かも。

 そういう点で、うまく演奏できない時の練習は、部分練習が必須です。出来ない部分だけを、取り出して、その箇所を重点的に練習をするのです。その部分の大枠をマスターし、徐々に細かくしていくのです。

 音楽を練習する時は、全曲の通し練習も必要だし、楽しいのだけれど、通し練習ばかりをやっていても、一向に上達しないのは、こういう部分の練習をしないからだと思います。

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コメント

  1. とも より:

    私もいろいろと手を変え品を変えて勉強します。

    歌詞がつかない時には、楽譜ではなくて歌詞カードを見ながら歌うのが、私には有効な練習方法です。。
    いま、テンポが早くて二重子音ばかりのところを練習しているので、すとん様のように、机を叩きながら読譜もしています。

    ソロだとごまかしがきかないので大変ですね。
    合唱も各自が手を抜いているわけではないでしょうけど、個人のレベルの差もありますから、どうしても限界があるように感じてしまいます。

  2. すとん より:

    ともさん

    >ソロだとごまかしがきかないので大変ですね。

     まあ、そうですね。その代わり、きちんと歌えるようになる…と言うか、ならざるをえないわけで、そこがまた楽しいところです。常に高いハードルを飛び越えていくような充実感があるわけです。

     確実に上達していくでしょうが、その分、偽らざる自分の姿を見つめ続けるわけで、メンタル、鍛えられますね(笑)。

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