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戦前戦時歌謡に興味があります

 昨年後半の朝ドラが「ブキウギ」で笠置シズ子&服部良一で、2020年の朝ドラが「エール」で古関裕而だったという事もあって、私の中では、戦前戦時歌謡ブームが訪れています。

 実はほんの少し前まで、戦前戦時歌謡なんて、軍歌くらいしか知りませんでした。それ以前の明治や大正の歌謡曲や流行歌とかになると、教養として知識は持っていたし、いわゆる“懐メロ”って感じで、子どもの頃にはたびたび耳にしていました。でも、なんかつまらない退屈な音楽だなあ…くらいにしか感じていませんでした。

 それと言うのも、私が子どもの頃は、戦前戦時に活躍した歌手の幾人かは、まだ現役で活躍していて、テレビ等にも出演して歌っていたからです…とは言っても、もうすでにだいぶ老化していて、歌っている歌も懐かしさ全開で、音楽としてはだいぶ劣化した、正直、聞くには“思い出補正”が必要で、それが無い耳で聞くと“ヒドいもの”でしかなかったのですよ。

 例えば、淡谷のり子の「別れのブルース」なんて、私が子どもの頃に本人歌唱をテレビで聞きましたが、正直、とても鑑賞に耐えられるレベルの歌唱ではありませんでした。音程もフラフラだったし、発声はちりめんビブラート全開で聞き苦しかったです。他の歌手にしても、みな、老人声で音程リズムともに微妙な歌をお達者に歌っていたので、全盛期知っている大人たちは懐かしさでいっぱいになって聞けたのでしょうが、私ら子どもたちには「こりゃヒドい」としか思えなかったのです。

 なまじ当時の歌手がまだ現役だった事もあって、昔のイキの良い歌唱をアーカイブ音源とかで聞くこともなく、あのヒドい歌唱が当時の音楽だと思いこんでいたわけです。

 それに私はまだ子どもでしたから、そんなヒドい昔の音楽よりも、当時の流行りの音楽(ただし、これらも今の耳で聞くと、かなりヒドい歌唱ばかりなんですが…)の方ばかり聞いていた事もあって、戦前戦時歌謡なんてロクに聞きもしなかったわけです。

 …ヒドいヒドいと書きましたが、実際、私が子どもの頃は、流行歌の歌手なんて、プロでもリズムキープができない歌手、音程外しまくりな歌手なんて、大勢いて、そんな人たちがテレビでドヤ顔で歌っていたわけで…そりゃあ、クラシック業界の人から「ポピュラー音楽なんて…」とバカにされるのも納得のレベルだったわけなのですよ。

 それはともかく、今や戦前戦時歌謡を歌っていた歌手も、ほぼほぼ鬼籍に入り、それらを聞くとなると、昔のアーカイブ音源に頼らざるを得ないわけです。で、そんな当時のアーカイブ音源…多くはモノラル録音ですが、今の最新技術でノイズリダクション等を行い、音質は贅沢を言えませんが、普通に聞けるレベルにして耳にできるわけです。当時現役バリバリだった歌手たちが録音した歌唱って、後年お達者になった歌唱なんかとは全然比べ物にならないほどに良いわけですよ。

 淡谷のり子の「別れのブルース」だって、全盛期のモノラル録音は、後年の再録音版よりもテンポは速いし、変なビブラートは付いていなくて「おお!」って思ったものです。ましてや、私が子どもの頃には現役引退してしまって聞けなかった笠置シズ子や渡辺はま子、伊藤久男なんて、全盛期の歌唱を初めて聞くわけで「ええっ!」って思ったものです。

 そこから遡って、当時の歌手の当時の歌唱をたまに聞くようになり、かなり気に入ってしまいました。

 ああ、戦前戦後の日本の歌謡界って、結構カラフルな世界だったんだなあ…って今は思っています。だって、私が子どもの頃の歌謡界って、ほぼほぼ演歌一色で、それに反発する若者は四畳半フォークの時代だったんだよ。演歌とフォークしかない世界…暗い、暗い、根暗いでしょ? それ以外は…って言うと、先にも書いたようなヒドい音楽が蔓延していました。私の子どもの頃の一般人が聞く日本の音楽界って、そんな程度だったのよ。

 それを考えると、今はいい時代になりました。

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コメント

  1. tetsu より:

    >戦前戦時

    「青い山脈」の藤山一郎は知っていましたが、「犬神家の一族(1976)」の高峰三枝子も歌手だったのですね。
    露営の歌 / 藤山一郎
    https://www.youtube.com/watch?v=mbTmLd_n4cQ

    高峰三枝子/湖畔の宿 (特攻隊慰問に唄った歌)
    https://www.youtube.com/watch?v=SWdaFdBVbB0

    源泉徴収とか厚生年金は戦時中作られた制度で、今有効かは別として、司馬史観のように1930年代から終戦(敗戦)までは暗黒時代のように語るのはおかしい、かと。

    https://www.iwanami.co.jp/book/b261377.html
    『坂の上の雲』と司馬史観
    司馬は明治維新から日清・日露戦争までは良かったが,日露戦争後から日本は坂をころげ落ちるように,1930年代の戦争の時代へと突き進み,遂に自滅した(敗戦)という.本当にそうだろうか.

    https://www.amazon.co.jp/%EF%BC%91%EF%BC%99%EF%BC%94%EF%BC%90%E5%B9%B4%E4%BD%93%E5%88%B6-%E5%A2%97%E8%A3%9C%E7%89%88-%E2%80%95%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%B0%E6%88%A6%E6%99%82%E7%B5%8C%E6%B8%88-%E9%87%8E%E5%8F%A3-%E6%82%A0%E7%B4%80%E9%9B%84/dp/4492395466
    野口悠紀雄
    1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済

    失礼しました。

  2. すとん すとん より:

    tetsuさん

     令和の時代の今だから分かることがあります。

     戦争(太平洋戦争)の時代を悪しざまに言う人達って多いですね。今も多いですが、当時はめっちゃたくさんいました。まあ、日本は負けちゃったので、その「“負け”と自分は関係ないんだー」と言いたかった当時の一部の人たちが、戦争中の日本は何もかも悪いと言っているような気がします。

     そういう人って、精神的に自分を日本から切り離しているんだろうと思います。例えば、心が赤い人とか、えせインテリな人とか、強い者に媚びて、へつらって、すり寄って生きるしかない人とか、元々は外国人で戦争中に自分たちの住んでいる地区が日本に併合されて日本人になってしまった人とか…ね。まあ、それ以外にも、風を読んで日本を貶めているような人もいたのだろうと思います。

     それだけ戦争に負けて悔しかったんだし、無力を感じたんだと思います。戦争って、負けちゃいけないんだね。

     でもさすがに令和の今は“戦後”じゃないわけで、いつまでも戦後を引きづって「戦争中の日本はすべてダメ」と考えるのも、老害だよね。

     良いことは良い、悪いことは悪い…と歴史をきちんと評価していく事が、いつの時代でも大切なんだ。

     どの時代の人だって、精一杯生きていたわけで、それがたまたま戦争の時代だっただけで、そんな彼らを全面的に悪しざまに罵るのは、彼らに対する畏敬の念が大きく欠けているような気がします。彼らは、私達の父祖なわけで、自分のご先祖様を悪く言うのは、自分や自分の子孫たちを悪く言う事でもあると思うのだけれど、それって気持ち悪い事だよね。

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