夕飯は…ネオ屋台村には口に合わない料理しかないって分かっていながらも、冒険心と「日本食って、本当に美味しいんだ…」という確認のために、ついつい食べてしまいました。東京国際フォーラムを一歩出れば、いくらでも美味しい料理を安く食べられると分かっているのに、高くて口に合わないモノを毎年食べては悦に入っている私です。もしかしてM?
口に合わないモノを食べて喜んでいるのも、祭りに酔っているからでしょうね。…そんなこんなをしているうちに、夜になりました。
ショパン歌曲コンサート
夜になったので、相田みつを美術館で行われた、ショパンの歌曲コンサートを聞きに行きました。席数わずかに110席。私の席は、歌手の真ん前で前から二番目。およそ歌手から3メートルほどの“砂かぶり”な席でした。美術館で行う音楽のコンサートってのは、なかなかいいですね。
歌手は、ドイツ系テノールのハンス=イェルク・マンメル氏。フォルテピアノは、モード・グラットン嬢。そう、ピアノではなく、フォルテピアノだったんですよ。それも、1848年製のプレイエルピアノ。つまり、ショパン時代のピアノなんですね。
(伴奏とは言え)フォルテピアノで聞くショパンは、いい感じでした。プレイエルは現代のスタンウェイとは、かなり音色の違う楽器でした。とりわけ、高音域の音は全然別モノ。プレイエルはやさしい木の音がするんですよ。これと比べると、現代ピアノであるスタンウェイの音は、まるで鐘の音にように感じられます。
奏者のグラットン嬢は、腕はもちろん良いのですが、すごく小さくてかわいい人なんですよ。外人なのに、日本人の小柄な女性並に小柄(笑)。外人なのに童顔(笑)。だから、ちょっと見、小学校高学年程度にしか見えません。でも、キュート、かわいすぎます。実は去年、有田正広氏の伴奏も彼女がやっていましたが、その時から私は注目しています。うむ、来年も彼女のコンサートにぜひ行こう!
そうそう、曲目はこんな感じでした。
メンデルスゾーン作曲「歌の翼に op.34-2」
メンデルスゾーン作曲「挨拶 op.19-2」
メンデルスゾーン作曲「朝の挨拶 op.47-2」
メンデルスゾーン作曲「旅の歌 op.34-6」
メンデルスゾーン作曲「夜ごとの夢に op.86-4」
リスト作曲「ラインの美しき流れのほとり」
リスト作曲「唐檜の木はひとり立つ」
リスト作曲「私はまさに絶望しようとした」
リスト作曲「毎朝私は起き、そして問う」
ショパン作曲「17のポーランドの歌 op.74」より
第1番「おとめの願い」
第5番「彼女の好きな」
第6番「私の見えぬところに」
第3番「悲しみの川」
第15番「花婿」
第16番「リトアニアの歌」
第14番「指環」
第10番「闘士」
ショパンの歌曲だけでは、コンサートが成立しないので、同時代のメンデルスゾーンとリストの歌曲も一緒に演奏してくました。期せず、三人の作曲家の持ち味比べみたいな感じになりました。
メンデルスゾーンの曲は、メロディアスですね。その分、ちょっと俗っぽく感じられるかもしれない。音楽優先で作られているんだろうなあって感じます。歌うなら、メンデルスゾーンが一番いいかもしれません。
リストの曲は、あまり親しみやすいという感じではありません。いかにも芸術歌曲って感じで、風格すらあります。ロマン派の歌曲って、こんな感じですよね。
ショパンの曲は、他の二人と比べると、少し素朴かもしれない。歌詞に素直にメロディを付けてみました…みたいな印象です。こうやって聞き比べてしまうと…もう一捻り欲しい…というのが正直な感想です。やはり、ショパンは歌の作曲家ではないと言えるでしょう。
マンメル氏はノッポなテノールでした。グラットン嬢と並んで立っていると、なぜか笑いが込み上げてきます(巨人兵と小人…なんですよ)。声はいかにもドイツ系って感じでした。声量はかなりありそうですが、会場が小さめなので、押さえて歌っていましたが、時折、会場のキャパを越える声を出していました。豊かな音量の持ち主が、軽めの声で楽に歌う感じっていいですね。聞いていて、楽だなあと感じました。
マンメル氏は、メンデルスゾーンとリストは暗譜で歌っていましたが、ショパンはさすがに楽譜を広げて、結構、じっくりと楽譜を眺めながら歌っていました。きっと、ショパンはレパートリーには入っていないのでしょうね(無理もない)。でも、マンメル氏の歌うショパンは、男性的で良かったですよ。第1番の「おとめの願い」も第三者的な立場からの歌唱で、すがすがしかったです。次は彼の歌唱で、濃いめのドイツリートを聞いてみたくてなりました。
生演奏で改めて聞いてみて、ショパンの歌曲は第1番の「おとめの願い」と第3番の「悲しみの川」はなかなか良いなあと思いました。この二曲は秀作だと思いました。
丸の内交響楽団
マンメル氏のコンサートの後は、本日最後のコンサート、と言うわけで、展示ホールに下りて、丸の内交響楽団の演奏を聞きました。
もう、夜も深い時間に入ってきたというのに、会場にはすごくたくさんの人がいて、でもこっちも疲れているので、なんとか座席に座りたくて…で、ようやく見つけた席は舞台の上手側の席でした。まあ、ここでもいいやと思って座って演奏が始まるのを待っていました。
オーケストラの人が入ってきて、ようやく気がつきました。私が座った席からでは、指揮者は見えない。フルートも見えない。いやいや、実は、コントラバスしか見えない。それも、コントラバスの後ろ姿だけ。ヴィジュアル的に最悪な席でした…が、疲労困憊していたので、まあいいやと思って聞きました。それに、コントラバスの人と同じ音を聞いているのも悪くないかなって思ったし…。
曲目は、ショパン作曲「軍隊ポロネーズ」のオーケストラアレンジ版、リスト作曲の「ハンガリー狂詩曲第二番」、メンデルスゾーン作曲の「真夏の夜の夢」から「結婚行進曲」の三曲でした。
ここでおもしろかったのは、オーケストラアレンジの「軍隊ポロネーズ」。ピアノ曲そのままな印象のアレンジでした。「へえ、このフレーズはこの楽器がやるんだ~」という楽しみで聞いていました。
それにしても、コントラバスしか見えなかったわけですが、コントラバスって譜面が遠いね。譜面から1メートル以上も離れて見ているわけで、あれって、かなり目が良くないとキツいなあ。ってか、ほとんど暗譜しているんでしょうね。他の奏者たちと比べて、極端に遠距離で譜面を見ているようです。
演奏は、とても、熱心にやってましたね。そこがアマチュアの良い部分だと思います。
最後を丸の内交響楽団でしめて、この日は終了。ラーメン食べて帰りました。いやあ、実にヘトヘトになりましたよ。ごくろうさま。
コメント
あ、ショパン歌曲きかれたんですね?
素朴な疑問。ポーランド語でしたか?ドイツ語でしたか?
ポーランド語でショパンの歌曲ってなかなか聞けなくて。。。。ちょっとおうかがいしてみました[E:smile]
>みるてさん
ポーランド語でした。1番のような、かわいい女の子の歌も、巨人兵みたいな男声が歌っちゃうところが、歌曲だなあ…って思いながら聞きました。歌曲って、歌い手が必ずしも歌の主人公その人ではなくてもいいので、そういう事も可能なんだなって思いました。これがオペラなら、歌い手=主人公ですから、こんなかわいい女の子の歌なんて、男声歌手が歌えるはずはないですからね。
みるてさんは、今、ポーランド語と格闘中なんですよね。歌と言語は切っても切り離せませんから…ご苦労お察し致します(ガンバレ~)。