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ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、日本のフルート

 この前、ボケーっと道を歩いていたら、突然ひらめいた事があったので、それを書きます。何の根拠もない、ただの妄想なので、あまり深く突っ込まないことね(笑)。

 それは、楽器としてのフルートには、ドイツ式、フランス式、イギリス式、アメリカ式、日本式があるんじゃないかってこと(根拠なし)です。

 例えば…

 ドイツ式ってのは、本家本元のベーム式フルートをベースにしつつ、そこにドイツの職工さんたちの工夫がたっぷり乗ったフルートの事。つまり、銀製・カバード・オフセット・Eメカなどのギミック満載のフルート。音色的には、深い森のようなダークな音色。そういうのがドイツ式フルートじゃないかな? 本来は、このドイツ式がフルートの標準とか基準とかになるべき存在のフルートなんじゃないかな?。

 一方、その対極にフランス式と言うのがあって、こっちは快楽主義的なフルートです。リング式なのは、そのせい。だって、その方が指がこそばゆくて気持ちいいでしょ。それと、面倒なことは嫌いな人たちなので、単純明快に、あらゆるギミックは排除。オフラインすら面倒だってので、インラインにしちゃいます。つまり、銀製・リング式・インライン・Eメカなしってのがフランス式。音色は、宮殿のお庭にふりそそぐ陽光のような明るくきらびやかで軽やかな音色です。『美音追求、音量は狙わず』というサロン仕様の楽器です。こっちは、ドイツ式に対するカウンター的存在だったはずです。

 このように、ヨーロッパ大陸では、ドイツとフランスの二項対立があるわけですが、それに付け加えて、「大陸」対「海の向こう」の二項対立の上に、イギリス式があるわけです。イギリス式…頑固というか古色蒼然と言うか、とにかく古いものが大好きな国民ですからね。さすがにベーム式は受け入れたものの、なるべく昔ながらのものは変えたくないというのが本音なイギリス人ですから、そのフルートの材料に銀を使うなんて、もっての他で、こちらの標準は、昔ながらの木管。木管にベーム式のメカを載せてお終い。それがイギリス式です。音色は霧に煙るロンドンのような湿りけのある音です。どこか懐かしいというか、現代楽器なのに古楽器のような雰囲気になります。

 さて、このイギリス式に対するカウンターがアメリカ式です。ドイツから逃げてきた腕のいいユダヤ系の職人さんたちが頑張ったせいか、基本的な作りの部分は、ドイツ式に似た感じのギミック満載にする一方で、アメリカ人特有の欲張りな性格のためか「できることはなんでもしよう」というチャレンジ精神につながって、ある意味、最新で最強のフルートを目指すわけです。現代フルートのスタンダードは、いまやアメリカ式だと言ってもいいのではないかと思います。

 まずは音域の拡大は当たり前。だから、B-footは標準装備。銀で作るのも当然だし、ギミック満載なのも当然、気持ちがいいならリング式もウェルカム。あと、アメリカという国は何でもかんでも広くて大きいので、当然フルートも大音量化の道を突っ走るわけです。そのために、管厚は分厚くします。それでも精神の根っこの部分は、大英帝国なわけだから、音色は温故知新的な、クリーミーでどこか懐かしい雰囲気を残しつつも、迫力で他を圧倒したいという、すごく贅沢な方向に走ります。

 さて、最後に控えし日本式ですが、この特徴は何と言っても、黄金製ってところでしょう。さすがに、黄金の国ジパングです。フルートも黄金で作っちゃいます。材質に特徴がある反面、音色的には特に大きな特徴はなく、あえて言えば「あなた好みに私を染めてください」というヤマトナデシコのような従順な性格が特徴と言えば特徴です。

 さて、まとめです。

 ドイツ式(カバード&Eメカ・森の音色)
 フランス式(インライン&リング式・宮殿の音色)
 イギリス式(木管・古楽器の雰囲気)
 アメリカ式(B-foot&大音量・最先端で最強を目指す)
 日本式(黄金の笛・あなた好みの笛になりたい)

 …です。あくまで、私の妄想ですからね、根拠ありませんからね、あまり真に受けない様に(笑)。

コメント

  1. 紫水 碧 より:

    なんだかフルートもそう言う視点で考えると面白いですね。フランスは最近YAMAHAでインラインリングはフランス式で、フランスはEメカを嫌うから普通インラインリングにEメカは付けないと正面切って言われたのですんなり理解しちゃいました

    歩きながら考えたり閃いたりするのは良いことらしいですね。高校時代の数学の先生が力説してました(笑)

  2. かのん より:

    妄想でいいのなら

    日本は職人気質で、他国ではあとは奏者にまかせよう、とおもうレベルの音程(ピッチ)とかこだわってそう。より押しやすいように、とか、機能のソフト面の充実とか。無駄にばねにこだわったりとか。

    妄想です。

  3. すとん より:

    >紫水碧さん

     歩くと血行が良くなるそうです。血行が良くなると、多くの血液が脳を巡回し、たくさん酸素が運ばれるそうです。そのため、脳細胞が活性化されるので、歩きながら考えると良いのだそうです。音楽関係では、ベートーヴェンが毎朝散歩をしながら曲想を練っていたそうです。

     そうそう、フランスの方はEメカを嫌うそうですね。Eメカを付けると音色が若干変わるので、それを嫌うのかもしれません。

     私が思うに、歴史的に、フランス人さえEメカを受け入れていたら、おそらく、現代フルートにはEメカは標準機能として、当然のように取り入れられていたでしょうね。現在、フルートに、Eメカの有無のオプションがついているのは、フランス人のわがままのせいではないかと、思ってます。

     それくらい、フルート音楽界では、フランスって無視できない存在なんでしょうね。

  4. すとん より:

    >かのんさん

     妄想には妄想で応える。正しいやり方だと思います。

    >日本は職人気質で、他国ではあとは奏者にまかせよう、とおもうレベルの音程(ピッチ)とかこだわってそう。

     あるかもしれない。だから、学生さん向けの廉価品でも、奏者にまかせずに、楽器側できちんとしようとするから、結果として、初心者にやさしい楽器になっているのかもしれません。高級品は諸外国のメーカーもがんばってますが、初心者向けの楽器は、日本のものが一番でしょ、やっぱり。

     あと、日本の職人さんは、バネとかネジとかピンとかに、こだわっていそうです(笑)。あと、仕上げにも無駄にこだわっていそうなイメージがあります。そういう、スペック表に現れないようなところにこだわっているような気がします。

     無論、これも妄想です(笑)。

  5. 河童 より:

    日本式はもっとしたたかな○○では
    「あなた好みに」と言いつつしっかりと吹き手を操っています。
    わたしも操られています。

  6. すとん より:

    >河童さん

    >「あなた好みに」と言いつつしっかりと吹き手を操っています。

     そりゃあまあ、日本の女性は昔から、亭主の操作が上手ですから(って、違うか?)。

     山内一豊の妻みたいなのが、日本式の正体だったりして(笑)。

     世間的には亭主関白だけど、内実はかかあ天下というのが、幸せな家庭なのかもしれません(って、もっと違うか?)。

  7. 河童 より:

    話がちょっとずれてすみませんが
    ゴールドフルートの音色の理屈は・・・と妄想しました(専門のかたのコメントがほしい)

    メーカーのスペックを見ると標準の管厚が
    総銀 0.4mm、金 0.3mm
    あたりですね。管厚が大きく違うんです!!

    管厚が薄い方が共鳴しやすい・・・鳴り始めやすい(鳴らしやすい)
    重い方が音が減衰しにくい・・・・・・残響がある(よく響く)
    と考えると合致するような気がします。

    軽い木(グラナディラは重いので違います)や竹では音がスパッと切れる感じ。
    金属は重いので余韻が残る。
    ゴールドは薄管で比重が大きいので、低い音も共鳴しやすく余韻がより残る・・・鳴らしやすく太い音色でよく響く。
    銀に金メッキするとすこし鳴らしづらいけれど、重くなりより響くようになる。
    などと。

    ならば薄管の総銀に純金メッキがコスト的には理想?

  8. すとん より:

    >河童さん

     良い所に目をつけましたね、さすがです。私も以前から、河童さんとだいたい同じような事を考えていました。いやあ、先を越されちゃったあ…。

     おっしゃるとおり、管厚は共鳴のしやすさと大きく関係すると思います。薄いほど共鳴しやすく、厚くなるほど共鳴しづらいです。で、一般的には、共鳴をする方が音色的には美しいと考えられます。

     そして、重量は音のエネルギーの伝達性と関係していると思います。これはオーディオの常識で、このあたりを踏まえた上で、スピーカーの設計組み立てが行われます。

     それゆえ、重いモノほど音の伝達性に優れているので、重いフルートはより遠くまで音が鳴るのだと思いますし、最近の傾向として、音が遠くまで届く事がフルートにも求められているのだと思います。

     フルートという楽器は、ほぼ形状が決められています。決められた形状を保ったまま、音の伝達性を重んじて、重量を増やそうとすれば、自然と管厚を厚くせざるを得ない。しかし、管を厚くすると、共鳴性が犠牲になる。そこで以前は、音量を取るか、音色を取るかという、二者択一になってしまったわけです。

     二者択一を避け、共鳴性を保持したまま、音の伝達性も求めるなら、管厚を薄くしたまま、全体の質量を重くすればいいわけで、だから、比重の大きな金属に素材がシフトし、ゴールドがもてはやされる様になったのだと思います。

     ほら、河童さんとほとんど同じ話になりました。

     ただ、私がここで躊躇して、記事にできなかった理由は、現実はそんなに単純ではないだろうと思ったからです。

     管厚を薄くし、重量を増やすのが、フルートにとって良い事なら、なぜ金よりも比重の大きなプラチナを使った、プラチナフルートがあまり普及しないのか? ここが疑問。

     ゴールドはもちろん、銀と比べても、全然比重の軽い、洋銀を使ったフルートでも、頭部管の造り方次第で、音量的にあまり大きく見劣りのしないフルートが作れること。ならば、質量による音の伝達性の優位性ってなんなの? ここも疑問。

     もっともっと、突き詰めて考えていくと、分からないことがいっぱい出てきます。

    >ならば薄管の総銀に純金メッキがコスト的には理想?

     いや、金メッキは中途半端です。やるなら、プラチナメッキですよ、つまり、PTPフルートです。メッキなんて、本当に極薄なんですから、音を考えてのメッキなら、思いっきり極端に走らないと効果が出ませんよ。

  9. 河童 より:

    プラチナはモース硬度4.5、金・銀は2.5。
    また融点がべらぼうに高いんです。
    つまりプラチナは金銀より加工に向かない金属だというこではないでしょうか。

  10. すとん より:

    >河童さん

     プラチナは硬い…んですか? それは知りませんでした。貴金属だから、当然、柔らかい金属だと思ってました。へえ、勉強になりました。感謝です。

     硬いから…と言うのは、たしか「チタンは錆びないし、アレルギーもないけれど、硬くて加工しづらいので楽器に向かない」と言うのと、同じですね。もっとも、チタンは比重が軽い金属ですけれど(笑)。

     でも、いくら硬くても、日本の職人さんなら、そこはきっと立ち向かって克服できそうな気がしますし、実際、管体プラチナのフルートなら、ムラマツとミヤザワにあったと思います。

     …プラチナフルートと言えば、雅子妃殿下はムラマツの特製プラチナフルートをお吹きになるそうですが…さすが、皇族、妃殿下だよね。ご愛用の楽器が一般人とは全く違う。

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