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低音には限界があるけれど、高音は努力次第でいくらでも出せるようになるよ!

 私は合唱団にいた頃、上記のセリフを何度も聞かされました。
 低音は、声帯の長さによって出せる低さには限界があって、どんなに頑張っても出ない音は出ないのだけれど、高音は、努力次第でいくらでも高い音は出るのだから、ヴォイトレを頑張りましょう…って感じでした。
 確かに低音には限界があるのは理解しますが、高音が努力次第というのは、かなりの眉唾だなって思うようになりました。やはり、低音に限界があるように、高音にも限界はあると思います。ただ、その一方で「低音には限界があるけれど、高音は努力次第でいくらでも出せるようになる」という言葉の意味も分からないでもないです。
 と言うのも、低音って割と早く底に達するからです。自分の限界が分かりやすいとも言えます。少し発声練習をすれば「ああ、これ以上の低音は出ないなあ…」と感覚的に分かるものです。
 しかし、高音って、いくら練習してもなかなか天井を見せてくれません。昨日は出なかった音が今日は出るって事があるんです。もう無理かな?と思っても、それを越えてみたり、越えたと思ったら、また出せなくなっていたり…と、なかなか天井を見せてくれません。でもって、長期的に見てみると、それなりに上の方が拡張されていたりするんです。ですから、努力次第でいくらでも高い音が出るような気がしてしまうし、実際、ある程度の高音は訓練を経ないと出せるようにならないのも事実です。高音発声には努力が必要というのは真理ですから「低音には限界があるけれど、高音は努力次第でいくらでも出せるようになるよ!」という言葉は“いくらでも”なんて軽々しく言ってはいけないような気がしますが、努力は必要という点に於いては、大いに同意します。
 つまり、努力をし、やるべき事をやった後は、低音に底があるように、高音には天井があって、それぞれ、低くて出せない音や、高くて出せない音があるわけです。
 考えてみれば、いくら音域の広い楽器であっても、出せない低音や高音はあるわけで、人間の声だって楽器であると考えれば、努力をいくら重ねても、出さない音はあるんです。
 人の音域なんて、実声だけで歌う男声でせいぜい2オクターブ。女性はファルセットも鍛えて使いますから3オクターブぐらいでしょうか? まあ、せいぜいそんなモノです。ちなみに、フルートの音域が約3オクターブですから、人間の声の音域なんて、そんなに広いわけではないみたいです。

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コメント

  1. 通りすがり より:

    こんにちは。
    既出かもしれませんが、
    ニコニコ動画に
    ”あなたは何タイプ_ミックスボイスで高音発声【タイ】”
    https://www.nicovideo.jp/watch/sm16842863
    というのが有ります。
    個人が低音から高音までの出せる音域を数種類の
    タイプに分けています。
    かなり声を鍛えた状態でのタイプ分けみたいです。
    参考になればと思います。
    自分的にも結構合致してる感じがします。

  2. すとん より:

    通りすがりさん
     面白い動画のご紹介、感謝です。
     うーむ、ポピュラー向けの動画なので、正直よく分かりませんでした。Lowとかmiddleとか、何ぞや?って感じです。
     この定義なら、たぶん私は“タイプ3~4”ぐらいかな? 小田和正? スピッツ? 彼らとは全然音色違うけれど(笑)。
     私が思うに、これって、マイク使用前提の、かなり息の弱い人向けの話なのかなって思いました。生声で歌う人だと、こんなに低音は出ないし、裏声? ヘッドボイス? 使っちゃダメっしょ(笑)。
     チェストの限界低音ってのはともかく、裏声の限界高音って何?って感じです。そんなの無用の長物でしょ? 男声は裏声とかヘッドボイスとかで歌っちゃダメよん(笑)。クラシック業界で言うところの頭声ってのは、おそらくミドルボイスの事だろうしね。使うのはそこまで。だから裏声の限界高音どころか、裏声なんて全く鍛えないから、よく分からないというのが正直な感じです。
     とは言え、与太話としては楽しいですね。自分の声がどんなタイプなのかって知りたいものね。
     一応、私の声は、クラシック的に言えば、あまり美しくはないけれど、ややレッジェーロ寄りのリリコ・テノールです。まあ、日本人テノールとしては、割とよくいるタイプの声です。へへへ。

  3. kyonzy より:

    あー、わかりますぅ!
    友人のテノールさんが言ってました。上も下も限界があるって。
    コメント欄にあった動画も拝見しましたが、やはり持って生まれた器というのはそれぞれ限界があって、それぞれタイプに分けられるのかもしれませんね。
    バスの友人は、テノールの先生にバスは良くわからないからバスの先生を探した方が良いよと言われた話も聞いた事があります。男声の世界には女声にはわからない世界がありますね。

  4. すとん より:

    kyonzyさん
     そうそう、上も下も限界があるんです。その限界の中で如何に美しく歌っていくかが大切なんです。なので「上は頑張れば…」なんて言うのは、ちょっと無責任かなって思ったりします。
    >バスの友人は、テノールの先生にバスは良くわからないからバスの先生を探した方が良いよと言われた話も聞いた事があります
     分かります。バスとバリトンは親戚ですが、テノールは彼らとはだいぶ違いますからね。テノールにはバスやバリトンの事はよく分かりませんし(ってか、テノールって何も考えていない人が多いです)、バスやバリトンにはテノールの世界は想像を絶する異世界だろうと思うし…。その道を極めようと思うと、物足りない点が生じるかもしれませんが…それは上級者の話であって、初中級者ならば、それぞれの違いよりも、それらに共通する声楽の基本テクニックを習得する事が先だと思います。
     テクニカルな話をするなら、女声のテクニックはカストラートのテクニックが基礎にあるので、割と女声同士はテクニックの話をしやすいのだと思います。一方男声は、バスやバリトンは、ベルカントの時代からの伝統的なテクニックで歌っていますが、今のテノールのテクニックは、20世紀初頭にヴェリズモ・オペラの台頭とともに生まれてきたのです。つまり、アンチ・ベルカント思想が根っこにあるんですよ。そりゃあ、テノールとバスやバリトンでは話が合わないわけですよ。

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