世の中には“音痴”と陰口を叩かれるタイプの人がいます。まあ、私もかつてはそう言われていたと思うんですが、たぶん、今は音痴じゃないと思うんです。少なくとも“ひどい音痴”ではないと思います。普通に歌が歌えるからね。
で、音痴の人の特徴は「正しい音階に従って歌が歌えない」です。この場合の音階は、相対的なものであって、絶対音で歌えないといけないというほどシビアな話ではありません。オリジナルと調性は違っていても、相対的に正しい音階で歌が歌えれば、その人は音痴でないとみなされます。
つまり「ドーレーミー」と歌っても、ドとレの音程幅、レとミの音程幅が、正しい音程幅とは違うために、なんとも落ち着きの悪い印象を聞いている人に与える…というのが音痴の症状です。もちろん、本人は正しい音階で歌っているつもりだし、本人の中にあるイメージも正しいのですが、なぜか歌うとイメージとは違っているわけです。
往々にして、音痴の人は正しい音階を用いて歌えていると思っている事が多いので、自分が音痴である事に気づいていない事もあり、音痴の矯正はなかなか難しいものがあります。
そんな音痴をどうやって治すか…なのですが、まず、音痴には二種類の音痴がいると私は考えます。感音性の音痴と、運動性の音痴です。数的には、感音性音痴はごく少数で、大半の音痴は運動性音痴です。
そのうち、感音性の音痴に関しては、治すことは無理だろうと思ってます。感音性の音痴の人は、一般的には耳が悪いと思われていますが、実は脳に障害があるケースが多く、耳で聞いた音から作られるイメージが、その他大勢の我々のような人たちが作るイメージとは極端に違うイメージを作ってしまうという特徴があり、その実、感音性音痴は、感音性難聴の1パターンに相当すると考えられます。
つまり、聞いた音が頭の中で歪んで認知されてしまうタイプの人で、人数的にもごく少数だと思われますし、今回はこの人達の事は横に置いて論を進めます。
さて、音痴の大半を占める運動性音痴の話に参りましょう。
よく、音痴の人は、耳が悪いとか、音感が無いとか言われがちですし、聴音系の訓練をして音痴を治そうとしますが、それってあまり結果が良くないじゃないですか? と言うのも、そういう訓練って、数的に少ない感音性音痴の方々の治療には必要かもしれませんが、絶対的多数を占める運動性音痴には意味のない事なんです。
と言うのも、運動性音痴の人って、耳が悪いわけじゃないんです。では彼らの場合は、何が問題なのかといえば、単純に“不器用”なんです。ほら、走ると足がもつれて転ぶとか、ボールを投げると足元に落としてしまう人っているでしょ? あれの歌バージョンが運動性音痴なんです。
だから、運動性音痴を治すのは、実は簡単なんです。不器用な事を前提として、丁寧にカラダの動かし方を学んで不器用を克服するだけなのです。つまり、音痴に関して言えば、正しい発声を学べば、それで音痴は解決するのです。
そもそも音痴の人は、ドを発声しようと思っても、不器用なために、声がドに当たらずに上に下に外してしまうだけなんです。自分の中で持っているドのイメージは正しいので、自分では正しく歌っているつもりなんですが、不器用なために、声が外れ続けてしまい、聞いている人には音痴に聞こえるってわけです。
「自分で歌っていて、音が外れている事が分からないのか?」
極端にハズレていれば、流石に本人にも分かりますが、微妙に外れている場合(多くの音痴の歌は、微妙にハズレていることの積み重ねであんなひどい歌になるのです)案外、本人には分からないものです。声って、自分が聞いている声と他人が聞いている声って違うし、本人は他人ほど冷静に正しくは自分の歌は聴けないんですね。
というわけで、音痴は正しい発声方法を学ぶ事で治ります。ただ、自分の声は自分では分かりませんので、独学で音痴を治すのは至難の業であり、必ず第三者の耳が必要です。もっとも、最近はチューナーというものがあり、スマホのアプリにもチューナーアプリがありますから、そういうモノを使えば、独学で音痴が治るかもしれません(私には分かりません)。
とにかく、音痴は治ります。諦めてはいけないのです。
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